計上可能な経費

確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)に所得のあった人が、所得税などの税金を納めることです。平成49年までは復興特別所得税もあわせて納める必要があります。

所得税の対象となるのは1年間に得た所得です。所得とは、全体の収入金額をさすわけではなく、収入金額から経費と各種控除を差し引いた金額です。控除と並んで所得から差し引けるものが、必要経費とも呼ばれる「経費」です。

ここでは確定申告にあたり、必要経費に含める場合の注意事項をまとめます。

必要経費に算入するときの注意事項

必要経費を計上する際、個人事業主の場合には、事業を営む場所と自宅が同じという場合もあるでしょう。その場合、必要経費になるものと、そうでないものの区別が複雑だという理由から、必要経費を計上しなかったり、計上漏れをしてしまったりといった場合があります。

また、個人事業主の場合には、税法上の適用の知識がなく、本来、経費として計上すべき費用を必要経費として処理していない場合も多々あります。必要経費に算入するときの注意事項を以下に列記しますので、経費計上の際にはご確認ください。

家事関連費

個人事業主の場合、仕事とプライベートとの両方で同じものを使用することがあります。自宅開業している場合の家賃やインターネット代、水道光熱費などです。こいうった費用を家事関連費といいます。交際費や接待費もこれにあたります。この家事関連費のうち必要経費になるのは、以下のものです。

・その費用の主な目的が業務を遂行するためであり、かつ公私の区分を明確に示すことができる場合の、業務のためにかかった支出
・青色申告者の場合で、取引の記録から、その支出が業務を遂行するうえで必要であると、しっかりと証明できる場合は経費として算入できる。

必要経費に算入できるものの例

利息
事業資金にあてるためにお金を借りていたい場合、その利息が必要経費になります。元金は必要経費にはならないので、計算する際には注意が必要です。ただし行っている事業がマンション経営などの不動産所得を得るものの場合、土地や物件取得のための借入金の利子は扱いが少し複雑になりますので、事前に詳細を確認しましょう。

資産の除却・損失・修繕
業務で使用している資産の取り壊し、使わなくなった資産を別の場所に保管するなどの資産の除却、火災被害などにあったときの資産の滅失等による損失や、それら資産を修繕するために費やした費用は、一定の場合を除き必要経費になります。

個人事業税
個人事業税は全額必要経費に算入することができます。固定資産税に関しては業務で使用している部分のみを必要経費にできます。

配送に関わる備品
引越しの際に使用するダンボールやガムテープなど、「配送に関わる備品」は経費計上が可能となります。

水道光熱費
「水道光熱費」も経費に計上可能となります。ただし、事務所兼自宅となっている場合、事業所として使用している分を按分して経費計上することができます。

通信料金
事業で使用した割合に応じて経費計上が可能です。

旅費交通費
業務で使った、電車代・タクシー運賃・駐車料金などは「旅費交通費」として経費計上が可能です。

公告宣伝費
従業員の名刺作成や広告などにかかった費用は「公告宣伝費」として計上が可能です。

従業員のための費用
社会保険料や社員旅行の費用など、従業員のための費用となるものについては「福利厚生費」として経費計上が可能です。

修繕費
建物の修繕などにかかる「修繕費」ですが、通常の維持管理や原状回復ということであれば、経費計上が可能です。

消耗品費
プリンター用紙やインク、事務用品や工具など、取得価額が10万円未満のもの又は使用可能期間が1年未満のものについては「消耗品費」として経費計上が可能です。

外注工賃
製造業で外部の業者に加工を依頼した場合、「外注工賃」(外注費)として経費計上することが可能です。

必要経費に算入できないものの例

家族のための地代家賃
同一生計の配偶者や、その他の親族に支払う地代家賃は、必要経費にはなりません。受け取った側も所得として計上する必要はありません。

一方で、子どもが自分で事業を始める際に、父親から業務で使用するための部屋を借りたとします。それに対して課税される固定資産税等の費用は、子どもが営む事業の必要経費になります

家族に支払う給与
同一生計の配偶者や、その子ども対して支払っている給与は、青色申告で一定の届出を行った場合には青色事業専従者給与として経費に計上できます。また、白色申告の場合は事業専従者控除を受けることができます。

所得税、住民税
・所得税や住民税は必要経費ではありません。

罰金、科料および過料
・罰金、科料および過料などは必要経費ではありません。

賄賂(わいろ)
・公務員に対して賄賂(わいろ)をわたした場合も、その金額は必要経費にはなりません。

出張の際の実費以外の出張手当
一般的に「旅費交通費」と混同されやすいのですが、事業主が出張した場合の実費以外の出張手当については経費計上できません。

事業に直接用いていない範囲の水道光熱費
住宅兼事務所のような使い方をしている場合、事業とは直接的に関係しない家庭の水道光熱費は経費計上されません。

特定支出控除について

特定支出控除とは給与所得者が次の1から6の特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が、下記の表の区分に応じそれぞれ「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。

その年中の給与等の収入金額 特定支出控除額の適用判定の基準となる金額
一律その年中の給与所得控除額×1/2

特定支出に該当する項目は下記です。

1.通勤費(通勤として認められる支出)
2.転居費(転勤に伴う転居と認められる支出)
3.研修費(職務に必要な技術や知識を得ることを目的とした研修の支出)
4.資格取得費(職務に必要な資格取得のための支出)
5.帰宅旅費(単身赴任で、勤務地や居所と自宅の間を行き来するための支出)
6.勤務必要経費(以下の支出で、職務のために必要なものと給与の支払い者から証明されたもの)
 ・図書費(職務に関連する書籍、定期刊行物、その他の図書を購入する費用)
 ・衣服費(制服、事務服、作業服など、勤務場所で着る必要のある衣服を購入する費用)
 ・交際費等(給与の支払い者の得意先、仕入れ先などへの接待、供応、贈答などのための支出)

その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。

※6は平成25年分より追加された項目です。

なお、この控除を受けるためには条件があります。

・給与の支払い者、つまり会社に特定支出であると証明をしてもらうこと
・合計額のうち、会社からいくらかの補助金が支払われている場合は、その補助金の分を差し引いた残額で申請すること

確定申告の際には、給与所得の源泉徴収票のほかに、以下の添付書類が必要となります。

・特定支出に関する明細書
・会社が発行した特定支出であることを認める証明書
・通勤費や帰宅旅費の場合は、交通機関を利用したことの証明書、運賃の証明書類など

まとめ

必要経費の判断は実質判断が求められることもあり、慎重な処理が必要になります。
経費計上できるもの、できないものをしっかり理解し意識しながら、会計帳簿を作成していきましょう。

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監修:高木 健太郎 (税理士)

税理士法人ナレッジラボ 代表社員
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