• 作成日 : 2015年6月4日
  • 更新日 : 2018年10月31日
  • 労災保険

労災保険の適用

労災保険の適用

労災保険の適用

労災保険の正式名称は、「労働者災害補償保険」と言います。通勤途中に労働者が負傷した場合や、業務中に発生した事故等により労働者が負傷したり、死亡することがあった場合に労働者や遺族に対して保険給付を行う保険です。今回は、労災保険の適用について解説していきます。

労災保険の被保険者は?

労災保険には、「被保険者」という概念がありません。実務上、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・介護保険では、被保険者が登場します。同じ社会保険制度の中でも、被保険者が登場しないのは、労災保険だけです。

なぜ被保険者という概念が存在しないのかというと、労災保険は「強制適用」であり、「事業所単位」で行われることになっているためです。
労働者個々人は被保険者ではありませんが、会社は労働者を雇い入れたら、各事業所において、原則として労災保険の適用を受けることになるため、その会社で働く労働者は全員、おのずと労災保険に加入していることとなります。

強制適用とは?

労災保険では、原則として、労働基準法で規定する労働者を1人でも雇った会社には、強制的(当然)に適用されます。例外である暫定任意適用事業以外の会社では、労働者を1人でも雇い入れると、強制適用事業所としての手続き(労働保険関係成立届など)を行わなければなりません。

ここでいう「労働基準法で規定する労働者」は、①会社に雇われている者 ②労働の対償として賃金を支払われる者という2つの要件を満たす労働者のことを言います。したがって、正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマー、臨時の日雇いアルバイトであっても、1人でも雇った会社は、労災保険が強制的に適用されます。

また、労災保険の加入手続きをしていない強制適用事業所で、その会社に勤務する労働者が仮に仕事中の負傷等により労災の給付が必要となった場合、会社が労働保険関係成立届等の手続きをしていなかったとしても、労働者には労災の給付が行われることとなっています。

但し、会社が手続きを怠り、労働保険料を納付していない場合には遡って保険料の支払いが必要となるだけでなく、費用徴収(労働者またはその遺族に行われた給付の費用の全部または一部を徴収)が行われる場合もあります。

暫定任意適用事業とは?

労災保険では、労働基準法で規定する労働者を1人でも雇った場合には、強制的に適用されると説明しましたが、例外として保険関係の成立を事業主の判断に委ねている事業があります。これを「暫定任意適用事業」といいます。

暫定任意適用事業において、労災保険を適用するには、保険加入のための特別な手続きが必要です。

暫定任意適用事業の要件

1. 労働者5人未満の個人経営の農業であって、特定の危険または有害な作業を主として行う事業以外のもの
2. 労働者を常時雇用することなく、かつ、年間使用延労働者数が300人未満の個人経営の林業
3. 労働者5人未満の個人経営の畜産、養蚕または水産(総トン数5トン未満の漁船による事業または災害発生のおそれの少ない特定水面等において主として操業するものに限る)の事業

派遣労働者に関する労災保険のルール

「労働者派遣事業」とは、派遣元で雇用する労働者を、その雇用関係を維持したまま、派遣先の事業場で働かせ、派遣先の指揮命令を受けながら派遣先のための労働に従事させる事業です。派遣事業者(派遣元)に雇用されながら、他の会社(派遣先)での指揮命令を受けて労働する労働者のことを、「派遣労働者」と言います。

労働者派遣法では、派遣労働者が被った労働災害の補償責任は派遣元にあるとしています。したがって、派遣先の業務で労働災害にあって負傷した場合は、派遣元の労災保険が適用されることになります。

役員や同居親族は労働者ではない?

労災保険は「労働者のための」保険制度です。そのため、「法人の役員(代表取締役等)」や「個人事業主」、「同居の親族」などの労働基準法上の労働者でない人たちは、原則として労災保険は適用されず、業務中や通勤途中において負傷等が発生しても、労災の給付を受けることができません。

但し、例え事業主であったとしても、中小事業主の中には、労働者とほとんど変わりのない業務を行っている方も多く、業務中の災害に備えることが必要な場合もあります。その場合、労災では一定の範囲の者について「特別加入」を認めており、「特別加入」をしていれば、業務中の災害に対して給付を受けることができるようになっています。

まとめ

会社は、労働者の採用を決めて雇い入れたら、労働者の安全と健康を確保する責任が発生します。

労働安全衛生法に定められている、危害防止基準の確立や責任体制の明確化および自主的活動の促進の措置を講ずる等、労働災害の防止に関する総合的・計画的な対策を推進することにより、職場における従業員の安全と健康を確保するとともに、労働災害が起こった場合に必要な給付を迅速に行うことができるよう、労災保険の手続きも忘れずに行っておく必要があります。

HRプラス社会保険労務士法人 監修

HRプラス社会保険労務士法人
東京都渋谷区恵比寿を拠点に、HR(人事部)に安心、情報、ソリューションをプラスしていくというコンセプトのもと、全国の顧問先に対し、人事労務に関するコンサルティングを行っている。企業が元気にならないと雇用は生まれない、賃上げはできないとの思いから「人事労務で疲弊する日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションに掲げ、人事労務担当者の立場に立った人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、IPO支援、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開。

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