確定拠出年金とは

確定拠出年金とは

確定拠出年金とは

確定拠出年金」とは平成13年10月から日本に導入されている、私的年金の一種です。導入からまだ歴史の浅い確定拠出年金ですが、企業・個人の加入数は年々増え続けています。

厚生労働省の報告では平成30年5月末の時点で約30,000社、679万人以上が何らかの確定拠出年金に加入し、企業年金制度の代表ともいえる厚生年金基金の加入者数(405万人)を大きく上回りました。

今回は確定拠出年金の仕組みを説明し、加入者が増え続ける背景を明らかにします。

「確定拠出年金=401k」の理由

本題に入る前に、確定拠出年金の呼称について説明します。確定拠出年金は、英訳である「Defined Contribution Plan」の略称で「DC」や「日本版401k」と通称で呼ばれることが多いです。

制度の土台となった米国の確定拠出年金制度が内国歳入法(日本では所得税法や法人税法に相当する)の401条(k)を根拠としたことが理由です。

確定拠出年金と確定給付年金の違い

そもそも「確定拠出」とはどういう意味でしょうか? これに対する概念である「確定給付」とともに考えてみましょう。

確定給付:自分が将来年金として「もらえることができる金額が決定している
確定拠出:自分及び会社が掛金として「支払う金額」が決定している

「確定給付年金」とは、将来(退職後)の年金給付額があらかじめ定められている年金制度です。公的年金や企業年金などこれまでの年金制度はどれもこの確定給付年金でした。

国や企業が将来の年金額を約束し、加入者は老後の生活計画が立てやすくなり、安心することができる制度です。サラリーマンが対象の厚生年金基金や確定給付企業年金、フリーランス向けの国民年金基金などがこれに該当します。

一方、「確定拠出年金」は、年金資産の運用のために拠出される掛金の金額が決まっている制度です。拠出した掛金は個人別に明確に区分され、掛金とその運用利益の合計から将来の年金額が決定されます。

確定拠出年金は「自己責任型」

両者の違いは、運用面ではっきり表れます。確定給付年金では、運用を行うのは国や企業であり、結果責任も負っています。原則として、あらかじめ約束された給付額の原資を運用で賄うことができなければ、国や企業は不足分について補てんしなければなりません。

それに対して、確定拠出年金では加入者自身が運用の仕方を選択します。将来給付される年金額は加入者個人の運用次第で変わります。企業型の場合でも、企業は掛金を拠出しますが、結果に対する責任は負いません。確定拠出年金は加入者にとって「自己責任型」の年金制度なのです。

確定拠出年金が導入された背景

では、なぜ確定拠出年金制度は導入され、加入者が伸びているのでしょうか?次の2つの背景が考えられます。

退職給付会計の導入

従業員の退職後に支給する年金や一時金を退職給付と言いますが、従来の日本では、その準備のための制度は十分に確立しておらず、確定給付型の企業年金制度という形が主流でした。会計上も年金と一時金を別々に処理し、年金資産の積み立て不足があっても表面に出ることはありませんでした。

そうした企業経営の透明性を改善するため、平成13年3月期決算から導入されたのが「退職給付会計」です。退職給付会計は、企業の退職給付の積み立て状況を示す会計基準のことで、一時金と年金を会計上一体として処理し、年金資産の時価評価を行うことで積み立て不足を明らかにし、その穴埋めを義務づけました。

昨今の厳しい経済状況のなか、年金資産を見込んでいた利回りで運用できない場合も多くなっています。取り決めていた給付金額に満たない場合、その不足分は債務となり、企業経営の安定性、堅実性を損なう原因となります。

その結果、リスクのある確定給付型の年金制度に代わり、企業の積立金不足を解消する手段として確定拠出年金が期待されています。企業が掛金を拠出した時点で、退職給付のための支払い義務を果たしたとみなされるからです。

労働移動への対応

厚生年金基金や確定給付企業年金などの確定給付年金には、離職や転職時における個人単位での年金資産の移動が十分に保持されず、労働移動への対応が難しくなるという課題がありました。

また、加入のルールも厳格で、中小零細企業や自営業者まで十分普及しませんでした。
以上のような問題点を解決し、公的年金に上乗せできる年金制度の新たな選択肢として確定拠出年金が注目されてきたのです。

確定拠出年金の制度の概要

「企業型」と「個人型」がある

確定拠出年金では、企業型年金と個人型年金のどちらかに加入します。両制度に重複して加入することは出来ません。

 企業型年金個人型年金
実施主体

企業型年金規約の承認を受けた企業

国民年金基金連合会

加入できる者

実施企業に勤務する従業員
(=国民年金第2号被保険者)

1.自営業者等
(農業者年金の被保険者の方、国民年金の保険料を免除されている方を除く)
(=国民年金第1号被保険者)

2.企業型年金加入者、厚生年金基金等(※1)の加入員等の対象となっていない企業の従業員
(=国民年金第2号被保険者)

3.専業主婦(夫)等
(=国民年金第3号被保険者)

掛金の拠出

事業主が拠出
(規約に定めた場合は加入者も拠出可能(※2))

加入者個人が拠出

拠出限度額

1.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
⇒55,000円(月額)

2.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合
⇒27,500円(月額)

1.自営業者等
⇒68,000円(月額)
(※国民年金基金の限度額と枠を共有)

2.企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
⇒23,000円(月額)

3.専業主婦(夫)等
⇒23,000円(月額)

(注1)厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済
(注2)「マッチング拠出」のこと。以下の2つの要件を同時に満たすことが必要です。
(1)個人の拠出金 + 企業の拠出金 ≦ 法令上の拠出限度額
(2)個人の拠出金 ≦ 会社の拠出額

制度の概要としては以下の3ステップからなります。

1.企業型:会社が毎月の掛金を従業員(加入者)の個人別の専用口座に拠出する。
個人型:加入者が運営管理機関と個人型プランを選び、毎月掛金を拠出する。

2.企業型:会社の用意した運用商品の中から、従業員が運用商品を選択する。
個人型:選択した個人型プランの中から、加入者本人が運用商品を選ぶ。

3.原則として、60歳になったら年金もしくは一時金として受け取る。

運営管理機関とは

企業型も個人型も「運営管理機関」を通して制度運営が行われています。「運営管理機関」には、証券会社、銀行、保険会社などの金融機関が多く、平成30年7月末時点で217社が国の登録を受けています。

企業や個人は、選定した運営管理機関に自分名義の口座を設け掛金を積み立てます。運営管理機関は、拠出された原資をどのように運用するか加入者に運用商品を示します。

加入者は保険、公社債、預貯金、投資信託などの運用商品のなかから自分の好きなものを選びます。その際、運営管理機関は、異なる特性の商品を最低3つ以上示し、そのなかから1つ以上は元本確保型のものとする必要があるとされています。

確定拠出年金に加入するための条件

企業型年金加入者

60歳未満の「国民年金の第2号被保険者」、「厚生年金保険の被保険者」、「私立学校教職員共済制度の加入者」が対象です。

確定拠出年金制度を採用するかどうかについてを労使で合意し、規約を作成します。導入すれば企業単位で全従業員が加入者となります。また、規約により加入年齢を65歳まで引き上げ可能です。

個人型年金加入者

自営業者などの「国民年金の第1号被保険者」または「企業型年金加入者、厚生年金基金等の加入員等の対象とならない企業の従業員(=国民年金第2号被保険者)」、「専業主婦などの被扶養配偶者(=国民年金第3号被保険者)」が対象です。

農業者年金の被保険者、国民年金保険料を免除されている人、公務員(共済組合の加入者)は対象外のため加入できません。

まとめ

以上、確定拠出年金の導入の背景と制度の仕組みについて見てきました。確定給付年金に比べて制度自体が非常にシンプルなうえに、労働移動が激しい近年の労働市場にも対応でき、企業だけでなく個人でも小額拠出で運用を続けていくことができるため、中小企業やフリーランスといった事業主を中心に加入が増えています。ほかにもさまざまなメリットがあります。詳しくは「確定拠出年金の10のメリット」をご参照ください。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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