独立開業から5年で売上1億円達成!急成長事務所の開業反省会 vol.1 | 石黒健太税理士事務所

独立・開業

独立開業から5年で売上1億円達成という急成長を遂げた石黒健太税理士事務所。急成長の背景にある開業までに行った準備や開業後1~2年の戦略はどのようなものだったのでしょうか。また、今振り返ると失敗したなと思うことはあるのでしょうか。今回は所長の石黒健太氏に独立開業をテーマにお話を伺いました。

プロフィール
石黒健太/石黒健太税理士事務所 所長
平成19年 税理士法人FP総合研究所
平成20年 新日本アーンストアンドヤング税理士法人 ・上場企業や外資系企業の申告を担当
平成24年 税理士法人みらい経営 ・滋賀事務所所長に就任 ・中小企業や個人の顧問先に対する税務申告 ・記帳代行創業支援で創業融資や助成金を多数獲得 ・経営支援 ・相続対策(不動産所有法人での節税、株価対策等)
平成25年 株式会社みらい経営コンサルティング 取締役就任
平成28年 石黒健太税理士事務所 開業
平成28年 株式会社SORA 代表取締役就任

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独立前の想いからできた現在の事務所

現在の事務所概要を教えてください

大きくは会計チームと社労士チームに分かれています。会計チームは更に2つに分かれていて、創業支援やクラウドサービスを使って自動化の支援をするチームと財務コンサルなどの付加価値業務に取り組むチームになっています。全体では私と正社員5人、短時間社員3人、パートが6人の15人が在籍していて、この体制で月次の顧問先を120件ほど持っています。

独立開業された経緯や背景を教えてください

元々は独立するという考えはなくて、できるとも思っていなかったんですよね。ですが、27歳のときに当時所属していた事務所の支社の立ち上げに携わることになり、自分なりに試行錯誤しながら立ち上げを進めていきました。結果的に立ち上げは上手くいきましたが、試行錯誤する中で、「自分で安定した事務所を作り上げた方が早いのではないか」、「より人を大切にする事務所を作りたい」というような思いが生まれてきて、独立開業することでそのような理想を実現できるのではと思いました。

自分たちがしたいサービス提供に向けた準備

石黒健太税理士

開業に向けた準備の流れを教えてください

最初に準備に動いたものは使うツールですね。申告業務や業績管理などが一気通貫で出来るものということを必要条件として、コストは気にせず探していました。その後、資金調達として銀行と公庫に申請をして1,300万円を借り入れました。借り入れを考えた理由としては、開業時から過去に一緒に働いていた方とパートさんと3人でスタートするつもりだったのでそのくらいは必要だと思っていたからですね。急遽開業の時期が早まったので、事務所は自宅と同じマンションの一室を借りました。

ターゲットの顧客や事務所のコンセプトはどのように決めましたか

1番は顧客となる経営者の年齢層ですね。自分の年齢の上下10歳ほどの方が話が合いやすいと思っていました。また、周囲の税理士と比べると若さが差別化につながるとも思っていました。そのため、創業支援に狙いを絞りました。また、顧客に進める前にまずは自分が実践する事を心がけており、事務所の立ち上げや創業融資、補助金、クラウド会計の導入や人事評価制度、業績報告会など、まずは自社で試して、良かったものを顧問先にサービスとして提供するようにしました。もう1つ大事なのは、やらないことを決めるということです。リスクが高いことや所長である自分しかできないこと(相続やM&A)や、継続で顧問契約が結べない顧問先はお断りしていました。理由はそのような先に時間を取られて営業や商品開発が出来なくなると、本当に自分たちがサービスを届けたい先に必要なサービスを届けることが出来なくなってしまうと思ったからです。

開業時に立てた5年で1億円という目標

開業時に売上の目標は立てましたか

5年で1億円という目標を立てました。理由は勤務時代に参加したセミナーで会計事務所の上位5%の売上が1億円というのを知ったこと、1人の税理士が担当できる限界が1億円だと感じていたことからですね。現在、経営をしながらも感じているのですが、年間130%の売上成長が人を大事にしつつ伸ばせるちょうどいいラインだと思います。このスピードであれば、組織として次のフェーズへ移行するための準備もできます。逆に売上3億円や150%の成長という目標を立てると、組織も自分も疲弊しそうだなという感覚がありました。

 

石黒健太税理士

売上を達成するためにとった営業・集客手法はありますか

主な集客手法は金融機関や創業支援団体のセミナーに講師として呼んでもらうセミナー営業ですね。自社セミナーや簿記の講師などで地道に実績や人脈を作っていく中で、徐々にお声がけをいただけるようになりました。他にもブログやメルマガ、ホームページやYoutubeなど色々やりましたが、あまり効果は出なかったです。振り返ると、楽をしようとすでにある仕組みやノウハウをそのまま使った施策はあまり効果は出ず、自分の足や人脈を使いながら考えた施策が実を結んでいると思います。楽をしちゃだめということですね(笑)

開業して約2年後に京都に事務所を移転していますが、その立地はどのように決めましたか

ポイントは2つです。1つ目はターミナル駅の近くということですね。来所型の事務所にしたかったので交通の便が良く、顧客が足を運びやすい場所を選びました。2つ目は専門学校の近くということですね。人材の採用のためにも学校に通いやすい場所を選びました。2点目を特に重視しましたね。

やるべき事を全部やったから目標達成できた

石黒健太税理士

開業してみて感じたギャップはありますか

まずは意外と自由じゃないということですね(笑)顧客はもちろん、組織や自社のバックオフィスなど、想定したよりも色んなところに気を使う必要がありました。あとは、事業計画とのずれですね。計画ではずっと黒字で考えていました。しかし実際は2年間の累計で1500万円の赤字になったこともありました。でも、そこまでマイナスだとは考えていなくて、成長していくために必要な投資だったと思います。その中にはあまり成果の出なかった広告料やコンサル料もあったのですが、そのノウハウを自分なりに考えて転用していくことで後々うまくいくことに繋がったからです。

当初の事業計画を達成できた要因は何だと思いますか

やるべき事を全部やったからですね(笑)あまりやる人は少ないと思うのですが、業界の中で気になった人にはFacebookでメッセージを送って直接会いに行くこともしました。そこで経営の相談にのってもらったり、良い部分を真似させてもらったのはすごく良かったです。事務所運営におけるベンチマークにもなりました。後は、事業計画を達成しようとする強い意志ですね。当たり前ですが、計画というのは素晴らしくて、常に現実とのギャップが生まれてきます。そのギャップを赤字を出してでも埋めに行けたことは良かったと思います。

逆に失敗したなと思うことや次回起業する際に気を付けたいことはありますか

その強い意志を売り上げだけではなく利益に持つべきだったかなとは思います。売り上げに充てた分、経費とかがおざなりになってしまったりして、甘かったなと思う部分ではありますね。また、事務所名に自分の名前を入れなければ良かったかなと思います。事務所名は日々使うので、名前が入っていると所有者感が出てしまうと感じています。ワンマンではなく、理念共有型の組織を作りたかったので、事務所名にもそれを反映させるべきだったと思います。

京都で1番起業家を輩出する事務所に

今後の方針や目標について教えてください

京都で1番起業家を輩出する事務所を目指すことですね。そのために、職員1人1人の自己実現ができる組織にしたいです。私自身、お客様とのお話の中で、事務所の立ち上げ経験の話を喜んでもらえることが多いので、その成功体験をほかの職員にもしてもらいたいなと思っています。当社で経営や営業のノウハウを勉強してもらって起業してもいいし、当社に残りながら新しいサービスを提供してもらってもいいと思っています。また、フレキシブルな勤務体系をとって、家族や勉強の時間に充ててもらってもいいというような自由な感じにしていきたいですね。所属する組織というよりも集まる場所というような事務所を作っていきたいと思います。

 


今回、インタビューを受けていただいた石黒健太氏に独立開業をテーマとしたセミナーにご登壇いただきました。
開業前後の数年間を振り返っていただき、開業までの準備や事業戦略、成功の要因から失敗したことまでたっぷりお話いただきましたので、ご興味のある方はぜひお申し込みください。

また、独立・開業を検討している方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

よくある質問

どのような集客方法をしていましたか。

主に金融機関や創業支援団体のセミナーに講師として呼んでもらうセミナー営業で集客していました。振り返ってみると、楽をしようと既存の仕組みやノウハウをそのまま使った施策はあまり効果は出ず、自分の足や人脈を使いながら考えた施策が実を結んだという印象があります。

独立開業が成功し、目標達成できた要因は何だと思いますか。

開業に向けた準備、ターゲットの顧客や事務所のコンセプトの決定などのやるべきことを全て徹底したことです。あとは、事業計画を達成させようという強い意志です。

独立開業するうえで気をつけるべきことは何ですか。

独立開業を成功させるために、売り上げではなく、利益を重要視することです。売り上げに当てた分、経費などがなおざりになってしまったことを後悔しています。
また、理念共有型の組織を作りたいのであれば、所有者感がでてしまうので自分の名前を事務所名に使用するのはあまりおすすめしません。

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