税理士がSNS集客で成功するために必要なこととは?ポイントと注意点を紹介

税理士がSNS集客で成功するために必要なこととは?ポイントと注意点を紹介

開業税理士にとって集客は事務所の成長を左右する重要な要素です。集客の戦略はオフラインからWEB広告の活用など多岐にわたります。また近年では、SNSを活用して集客を行う税理士も増えてきました。しかしながら、営業活動には苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?本記事では、SNSを最大限活用して、集客を成功させるために必要なポイントと注意すべき点について解説します。

なぜ、SNS集客が税理士にとっておすすめなのか

SNSユーザーの拡大に伴って、集客や採用活動などのビジネス目的でSNSを活用する事業者が増加しています。税理士業界においても、事務所のアカウントを開設してSNSを運用する税理士が次第に増加し、トレンド情報を発信することで多くのフォロワーを獲得しているケースもあります。

下図のような背景から、SNS集客は税理士にとって相性が良く、効果的に運用することで事務所としての認知度を大幅に高めることも可能です。

 

 
SNS集客のメリットや、他の集客方法との違いを正しく理解し、自身に合った効果的な営業活動を実践しましょう。

コストや労力が低い

税理士事務所が営業活動を行う場合、集客に効果的とされている媒体やルートとしては、以下のものが挙げられます。

  • 事務所ホームページ
  • ブログ運営
  • Web広告
  • 税理士マッチングサイト
  • 金融機関や他士業からの紹介

ただし上記の集客方法についてはまとまったコストや労力を要します。開業直後で事業資金に不安がある場合や事務所のマンパワーが不足しているケースでは、これらの手法を用いることが難しい場合も多いでしょう。

一方で、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSは、無料でアカウントを作成して開始・運用できるため、初期費用やランニングコストをかけずに活用することが可能です。またSNSの利用者の中には、同業者や他士業などのユーザーもいるため、有益な情報の収集やオンライン上でのネットワーク構築にも役立てることができるなど、集客面以外のメリットも期待できます。

法令改正が後押しに

インターネット環境が発達した現代においては、さまざまな情報をオンライン上で検索し、収集する機会が増加しています。特に、FacebookやTwitterなどの普及によってSNSが情報源となるケースも少なくありません。

総務省が公表している「令和3年通信利用動向調査」によると、下図のとおり、SNSを利用する個人の割合は全体で78.7%まで拡大し、幅広い世代に活用されていることがわかります。
 

 

またSNSの利用目的についても、SNS利用者の63.7%が「知りたいことについて情報を探すため」と回答し、情報収集を目的とした利用が全体で2番目に多いという結果になっています。

2023年10月1日から導入予定(2022年11月22日時点)の「インボイス制度」や、電子帳簿保存法改正によって2024年1月1日から適用される「電子データ保存の義務化」など、税制改正に対する世間的な関心も高まり、SNSを通じて情報収集を行うユーザーも多くなっています。

税理士にとっては、ユーザーが求める情報を発信する価値が高まり、抜本的な制度改正が見込まれる現状において、SNSは特に相性の良いツールのひとつといえます。

競合税理士がまだ少ない

税理士業界では、開業税理士の平均年齢が60歳を超えるといわれ、20〜30歳代の若手税理士が少ないことから、業界全体での高齢化が進んでいます。
そのような業界特有の現状によって、他の業種に比べてSNSを利用する競合他社の割合は少ないと考えられるため、他の税理士事務所との差別化を図るうえで有効な手段となるはずです。

税理士がSNSを活用することで、SNSから直接集客に結びつくケースだけでなく、事務所のホームページなどの他の媒体で興味を持った見込み客が、SNSを通じて税理士事務所の情報を深めるというパターンも想定されます。

特に税理士に対してコンタクトを取ること自体に、躊躇してしまうケースも少なくありません。SNSと他の媒体を併用することで、他の事務所との差別化を図りつつ、潜在顧客の心理的抵抗感を緩和するように意識しましょう。

SNSで成果を上げるポイント

SNS集客が税理士にとって効果的とはいえ、闇雲に運用していても、なかなか期待する成果は得られません。

下図のようにSNS集客の成果を上げるためのポイントを整理し、客観的な視点に基づいて効率的に運用することを心掛けましょう。
 

 

見込み客の属性を理解する

SNSの運用において、ひとつの指標となるのが「フォロワー数」です。

フォロワーとは、特定のSNSアカウントに対して興味を持っているユーザーであり、フォローしているアカウントからの投稿を継続的に追いかけるファンのような存在です。ビジネス目的でSNSを活用する場合、フォロワー数を増やすことで事務所の集客にも役立てることができます。

ただしフォロワー数を獲得することが、必ずしも事務所の集客へ直結するとは限りません。

自らの事務所のターゲット層とは異なる属性を持つフォロワーを数多く獲得したとしても、そこから業務受注に発展する可能性は少ないため、闇雲にフォロワー数を伸ばすことよりも、着実に見込み客をフォロワーにつなげるための戦略的な運用が重要です。

そのためにはターゲット層が抱える悩みや課題を予測し、それらの見込み客に刺さる投稿コンテンツを検討したうえで、情報を発信し続けることが成果につながります。

またSNSといってもさまざまな種類があり、自分自身が想定するターゲット層にマッチするSNSを利用することが必要不可欠であるため、それぞれのツールが持つ特徴を正しく理解し、自らにとって最適なSNSを選択しましょう。

それぞれのSNSの特徴を掴む

近年では、プライベートやビジネスを問わず、さまざまなSNSが利用されていますが、ツールごとに利用者層やサービスとしての特徴が異なります。

一般的なビジネス上の集客目的でSNSを利用する場合には、SNS全体でのユーザー数が多いツールとして、TwitterやFacebook、YouTubeが活用されるケースが多いです。それぞれのSNSの特徴については、以下のとおりです。

Twitter
Twitterとは、国内の月間アクティブユーザー数が4,500万人にも及ぶ巨大SNSです。140文字という限られた文字数内で投稿(ツイート)することや、他のアカウントからのツイートを拡散する「リツイート機能」などを利用し、手軽に情報発信することが可能です。Twitterでは幅広い年齢層のユーザーがいますが、その中でも10〜20代の若い世代において積極的に活用されているため、それらの世代に向けて情報発信をする場合には最適のツールといえます。
特にTwitterの拡散力は他のSNSと比較しても非常に高く、大きな話題を集めるツイートを投稿することで、数日のうちに数百から数千人単位でフォロワーが増加する場合もあります。

またTwitterはアカウントを匿名で作成できるため、ユーザーの本音を把握しやすく、ビジネス目的での利用の場合には、顧客ニーズの掘り起こしを行う際にも効果的です。

税理士がTwitterを利用するメリットとしては、ユーザー間で話題となっている出来事がわかる「トレンド機能」や、特定のツイートをフォロワー全員と素早く共有する「リツイート機能」により、有益なツイートをすることで知名度向上につながる点が挙げられます。ただし、投稿できる文字数の制限などの背景から、意図せず他のユーザーの反感を買ってしまうケースもあります。その場合にはTwitterの拡散力の高さや匿名性があだとなり、炎上する危険性もあるためご注意ください。

Facebook
Facebookは実名でのアカウント登録が原則とされるSNSであり、不特定多数のユーザーと交流するというよりも、知人や友人、家族間で利用されるケースが一般的です。Facebookにおけるユーザーの年齢層は30代以上の社会人の登録率が高く、特に経営者層が利用することも多いため、ビジネス目的で活用されやすいSNSのひとつです。

税理士がFacebookを活用するメリットとしては、原則実名で利用するSNSであることから、信頼関係が築きやすく、交流のあるユーザー同士のつながりが深いため、既存顧客から「シェア」された際の引き合いも強くなりやすい点が挙げられます。

一方で、Facebookのデメリットとしては、匿名性が低く、Twitterに比べてカジュアルな利用がしづらいことから、投稿したコンテンツに対する爆発的な拡散力は期待しにくい点とされています。完全にゼロから新規顧客の獲得に取り組むケースよりも、既存顧客から波及してクライアントの獲得を目指す場合に適切なSNSといえます。

YouTube
言わずと知れた世界最大の動画プラットフォームであり、年代や公私を問わず、さまざまな属性を持つユーザーに活用されています。

YouTubeにおいては、テキストベースではなく動画形式での情報発信が主体となるため、セミナーや講座などの配信を行うことも可能です。税理士のように自らの知識やノウハウをサービスとする業種には、とっても相性の良いSNSと考えられます。

YouTubeを活用するメリットとしては、テキストではなく動画として配信できるため、税理士としてのスキルだけでなく、人柄や雰囲気も併せて伝えることが可能であり、見込み客がコンタクトを取るまでの心理的障壁を緩和しやすい点が挙げられます。

一方で、YouTubeの動画を作成して定期的に配信を行うためには、撮影や動画編集作業が必要不可欠です。自らのYouTubeチャンネルの発展に向けて、多くの時間や労力を投入することが必要不可欠です。

特にYouTubeの爆発的な普及により、視聴者が動画に対して求めるクオリティも高まっています。顧客獲得という成果を達成するためには、良質でオリジナリティのある情報を継続的に発信し、チャンネル登録者数や再生回数を増やすことが重要です。

YouTubeチャンネルを開設する際には、闇雲に動画配信を行うのではなく、しっかりとしたマーケティング戦略を構築し、計画的な運用を実践しましょう。

このようにSNSの種類によってユーザー層やサービスの特徴が異なるため、税理士としてSNS集客を検討する際には見込み客の属性や発信したい情報を整理し、自らにとって最適なツールを精査しましょう。

プロフィールを充実させる

いずれのSNSを活用する場合においても、顧客獲得のためにはプロフィールを充実させることも重要なポイントです。SNSを通じて集客を行う場合、税理士が投稿したコンテンツに関心を持ったユーザーがプロフィールを経由し、事務所ホームページなどから問い合わせを行うケースが多くなります。

プロフィールを作り込むことで、信頼感を醸成できるだけでなく、見込み客からの問い合わせへつなげるための導線を整備でき、SNS集客の効率性や確実性を高めることができます。

SNSでプロフィールを作成する場合には、むやみに自分自身の強みを書き連ねるのではなく、ターゲット層のニーズを考慮したうえで、読み手から関心を持たれる内容を意識して記載しましょう。

ただし、文章量が多くなりすぎてしまうと逆効果であり、ビジネス利用の場合には350文字程度が最適であるとされています。SNSのツールによっては文字数の制限が設けられている場合もあるため、箇条書きや優先順位をつけて記載するなど、端的で伝わりやすいプロフィールを意識しましょう。また、せっかく魅力的なプロフィールを作成できたとしても、その後の問い合わせ先などが不明確な場合には、SNS集客の十分な成果にはつながりません。プロフィールには事務所ホームページのURLを記載したり、外部リンクを設置したりするなど、自分が誘導したい媒体への導線を設計することをおすすめします。

定期的に情報発信する

SNSを用いて効果的な集客を実践するためには、どのツールにおいても単にアカウントを作成するだけでなく、継続的な情報発信が欠かせません。一般的にTwitterやFacebook、Instagramなどのように、新しい投稿がタイムライン形式で次から次へと流れていくようなツールを「フロー型」といいます。

「フロー型」の場合には、瞬間的に他のユーザーから注目を集め、リアルタイムでコミュニケーションをとることに適していますが、過去の投稿については膨大な情報の山に埋もれてしまうため、常に有益な情報を発信し続けることが重要です。一方でYouTubeやブログなどは「ストック型」のSNSといわれています。

「ストック型」の場合には、瞬間的な拡散力では「フロー型」に劣るものの、投稿したコンテンツが自らのメディア内に蓄積され、時間が経過した後でも検索によって閲覧されやすいという特徴があります。ただしYouTubeを活用する場合にも、チャンネル登録者や再生回数を増やすためには、更新頻度を高め、有用なコンテンツとしての価値を高めることが大切です。

いずれのツールを活用する場合においても、SNS集客の成果を上げるためには有益な情報を継続して発信することが重要であり、そのための「ネタ探し」も必要不可欠です。さまざまな情報を発信する際には、闇雲に投稿を続けるのではなく、他のユーザーに「共感」や「学び」を与えられるような投稿を心掛けましょう。

SNSの利用時に注意すべき点とは?

アカウントを作成することで気軽に始めることのできるSNSですが、期待した成果が得られずに更新が止まってしまうケースも多く見受けられます。SNS集客を行う場合にはいくつかのポイントに注意したうえで、マーケティング戦略を構築し、継続的な運用に取り組みましょう。

効果が出るまでに時間を要する

SNS集客を行う場合には、問い合わせにつながるのはフォロワーやチャンネル登録者の一部であり、問い合わせの中から業務受注に至る件数はさらに絞られます。

SNS集客においては、見込み客の源泉となるフォロワーを拡大することが重要ですが、1件の投稿で他のユーザーの注目の的となるような「バズる」と呼ばれる状況に達することは稀でしょう。

そのような背景から、ビジネス目的でSNSを活用する場合には、基本的にコツコツと継続的に運用することで着実にファンを増やすことが大切であり、そのためには闇雲に投稿するのではなく、ターゲット層を意識した情報発信が求められます。

他の広告媒体を活用する場合と同様に、潜在顧客の持つニーズを正確に把握し、それらのターゲット層が求める情報を意識してSNSへ投稿し続けることが重要です。継続的に投稿をし続けるためには、日々のネタ探しも含めてスキマ時間を活用するなどの工夫が必要であるため、税理士業務の効率化を図りながら、可能な限り毎日投稿を心掛けましょう。

炎上などのミスブランディングに繋がる恐れも

SNSを活用することで、他のユーザーにとって有益な情報を拡散しやすい一方で、発信内容によっては批判的なコメントが殺到する「炎上」の状況に陥ってしまうリスクもあります。集客目的でSNSを利用している場合には、実名や事務所の名前でアカウントを登録しているケースが多く、自らの発信内容によって炎上してしまうと、事務所全体のブランドを著しく低下させてしまいます。

情報を発信する際には、主観的な意見や批判的な内容、誤解されるおそれのある投稿をしないように、投稿前に発信する内容を客観視し、問題となり得る情報が含まれていないかどうか入念にチェックしましょう。

ターゲットに応じたSNS活用で成果を上げましょう

税理士事務所を独立開業した直後においては、事業資金に余裕がない場合も多いため、顧客獲得のための集客方法が限定されてしまうケースが一般的です。その中で、SNSは事務所としての経営資源に応じた運用がしやすいため、集客活動や人材採用、同業者や他士業との人脈づくりなど、さまざまな場面において有効な媒体といえます。

SNSの種類も多岐にわたっているため、税理士としてのターゲット層や顧客ニーズを詳細に分析し、自らの事務所に適したツールを活用しましょう。

よくある質問

税理士がSNS集客を行うメリットは?

低コストで運用できる点や、高齢化する税理士業界では税理士によるSNS利用が比較的少ない点が挙げられます。またインボイス制度などの税制改正に関する情報の需要が高まっていることも、後押しとなるでしょう。

SNS集客で成果を上げるためのポイントは?

SNSの種類ごとに利用者やサービスの特徴が異なるため、自らのターゲット層の属性を分析し、最適なツールを選びましょう。また闇雲に投稿するのではなく、見込み客が求める情報を発信することを心掛けてください。

SNS集客で注意すべき点は?

SNS集客で成果を上げるためには、見込み客となるフォロワーを獲得する必要があります。そのためには一定の期間を要することが大半であり、自らの投稿によって炎上することがないように細心の注意を払いましょう。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

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