働き方改革が広がり、副業を解禁する企業も増えてきたことで、副業をしている方も多くなっています。公認会計士の方で副業を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、公認会計士におすすめの副業や探し方、副業をする際の注意点を詳しく解説していきます。
目次
公認会計士が副業をする目的とは
最初に、公認会計士が副業をする目的をみていきましょう。
副業の目的として多く挙げられるのが、収入を増やすことです。公認会計士は、監査業務が集中する4月~5月の繁忙期は猛烈に忙しいのに対して、6月~8月の閑散期はそう忙しくありません。閑散期に副業をし、収入の足しにしたいと思う人は多くいます。
ただし、公認会計士の副業は、単に収入増のためだけには留まりません。副業で、本業で出会えない人と出会うことによる人脈づくり、あるいは本業ではできない業務を行うことによるスキルアップを図ることも可能です。将来の独立を視野に入れている人なら、副業を独立の準備と位置づけることもできるでしょう。
公認会計士資格という専門性の高さから、公認会計士は副業でもさまざまなニーズがあります。収入増、あるいは人脈づくり・スキルアップの観点から、積極的に副業にトライしてみてはいかがでしょうか。
公認会計士のスキルが活かせる副業とは
公認会計士のスキルが活かせる副業として、どのようなものがあるかをご紹介します。
記事執筆
公認会計士の副業として多いのは、まず記事の執筆です。会計分野の専門的な知識を活かし、会計関連の雑誌やウェブサイトなどの記事を執筆します。
記事の内容は、専門的な事柄の解説から、ややくだけた調子の体験談まで、幅広くあります。場合によっては、ほかの公認会計士などとチームを組み、書籍を執筆するケースもあります。
記事執筆には読み手にとって分かりやすい文章を書くスキル、あるいは読み手の興味を引くような企画力・発信力が求められるため、まず個人のブログやSNSを通して情報発信してみるのもいいかもしれません。
ブログを見た編集者から声がかかり、雑誌のコラムを担当するようになった、あるいは書籍の執筆依頼が来た、などの事例は数多くあります。
非常勤の監査
公認会計士は、非常勤でも監査業務に従事できます。近年では人手不足や雇用の多様化により、監査法人が公認会計士と業務委託契約を結び、勤務日数・時間を制限して監査業務に従事してもらうことが増えてきました。
非常勤監査の業務内容は、監査法人が行う業務のサポートで、具体的には四半期・年度決算の財務諸表監査、内部統制監査、任意監査、IPO支援、IFRS導入支援などとなります。監査法人に勤務して3~5年程度のレベルなら対応できる内容です。
報酬は、一日7~8時間勤務で、日給4万~6万円が相場です。日給5万円なら、月に10日間勤務すれば、月給は50万円になります。出社せず、リモートでの勤務ができる場合もあります。
専門学校や大学での講師
専門学校や大学で、公認会計士試験をめざす学生に受験指導を行うという副業もあります。具体的な業務内容は講座の講師、試験答案の採点などが中心で、場合によっては教材の作成を行うこともあるでしょう。
会計・監査の基礎知識を改めて学び直す機会になるとともに、新たな会計ルールの知識が深まることがメリットです。講座で自身が勤務する監査法人・会社での事例を取り上げるなどすれば、監査法人・会社の宣伝効果もあるのもメリットといえるでしょう。
バックオフィスのサポート
中小企業や個人事業主の、会計・税務を中心としたバックオフィス業務のサポートも、公認会計士の副業としてポピュラーです。
小規模な事業体では人手が足りず、バックオフィスに十分な人員を配置できないケースが多くあります。そのような事業体のバックオフィスのサポート、あるいは業務効率化のためのコンサルティングなどを、公認会計士が行います。
監査法人に勤務する公認会計士のなかには、税務申告についてはあまり経験がない方もいることでしょう。この副業は、税務申告の実務経験を積むまたとない機会となります。そこで得られた経験を、本業に還元することもできるかもしれません。
サポートをした企業で高い評価を得られれば、その企業から知り合いの企業などの紹介を受けることもあり得ます。そのようにしてクライアントを増やしていき、独立開業へとつなげていく会計士も多くいます。
社外CFO
ベンチャー企業の社外CFO(最高財務責任者)も、公認会計士が副業を考えるときの選択肢のひとつです。
ベンチャー企業には、起業時の資金調達や、事業拡大時の財務戦略立案・実行、あるいは上場準備時の財務の統括・内部統制・渉外などの目的で、CFOを迎えたいというニーズが強くあります。しかし、フルタイムでCFOを雇用するのは、賃金がかなりの高額になる、あるいはタイミングよく優秀な人材を見つけるのが難しいなどの課題もあり、簡単ではありません。
そのため、公認会計士と業務委託契約し、必要な期間に、必要な業務のみを行ってもらう「社外CFO」を活用するベンチャー企業は多くあります。
社外CFOの案件数はそう多くありませんが、ほかの副業と比べれば報酬は高額です。また、経営ポストでもあるため、将来の転職などを見据えた場合は貴重な経験を積める機会になるでしょう。
公認会計士の副業の探し方
公認会計士の副業の探し方を紹介します。
クラウドソーシングサイト
まず手軽なのは、クラウドソーシングサイトの利用です。サイトで「公認会計士」とキーワードを入力すれば、公認会計士のスキルが必要な仕事の募集が表示されます。
補助金のための事業計画書作成や、キャッシュフローの分析、決算申告作成、バリュエーション、会計の仕事についての体験談執筆など、さまざまな副業を見つけられるでしょう。
会計職専門サイトで副業求人を探す
会計職専門の転職サイトでも副業の求人を探せます。転職サイトは本来、正社員の求人を掲載するものですが、最近では働き方の多様化を踏まえ、副業の求人も多数掲載されています。
IPO準備中のベンチャー企業や上場企業の経理リーダー候補・社外取締役、監査法人の非常勤監査、コンサルファームでのコンサルなど多数の募集があります。副業禁止規定がなく、Wワーク可能の正社員募集もあります。
知人から紹介してもらう
知人からの紹介も確実な方法といえるでしょう。副業をしている知り合いの公認会計士にその副業を紹介してもらう、あるいは知り合いの経営者に公認会計士を探している経営者を紹介してもらう、監査法人のパートナーと知り合いになり非常勤監査の仕事を紹介してもらう、などができるかもしれません。
公認会計士が副業をする際に注意すべきこと
公認会計士が副業をする際には、以下の点に注意する必要があります。
就業規則を確認する
副業をするにあたっては、まず本業の法人・会社の就業規則を見て、副業が禁止されていないかを確認しましょう。
近年では、副業を認める会社が多くなってはいるものの、すべての会社が認めているわけではありません。副業禁止の会社に勤務しながら隠れて副業をすれば、会社とのトラブルや公認会計士としての信頼の低下につながりかねません。
本業に影響を及ぼさないようにする
副業が本業に影響を及ぼさないようにすることも大切です。副業が忙しくなりすぎて、睡眠不足による体調不良に陥ることなどがないよう、くれぐれも注意しましょう。本業の機密情報を漏らさないことも重要です。
公認会計士として独立性を保持する
公認会計士としての独立性を保持することも副業の際のポイントです。
公認会計士は、監査人としての独立性を保たなければなりません。監査とコンサルの同時提供などは禁じられているため、本業と副業のサービス提供先には気を配る必要があります。
本業やプライベートのバランスを意識して副業をしよう
公認会計士の副業は、単に収入増のためばかりでなく、本業や将来の転職・独立に大きなプラスになることもあります。記事執筆や専門学校や大学での講師、バックオフィスのサポートなどさまざまな副業がありますので、クラウドソーシングサイトで探すなどしてトライしてみてはいかがでしょうか。
ただし、副業をするにあたっては、本業や体調、プライベートに支障をきたさぬよう、注意するのも大切です。バランスを意識して副業に取り組みましょう。
よくある質問
公認会計士が副業をする目的は?
まずは収入増が大きいですが、それとともに人脈づくりやスキルアップも図れます。
公認会計士のスキルが活かせる副業は?
記事執筆や非常勤の監査、専門学校や大学での講師、バックオフィスのサポート、社外CFOなどがあります。
公認会計士の副業の探し方は?
クラウドソーシングサイトや会計職専門サイトの利用、あるいは知人からの紹介などがあります。