税理士試験や税理士登録、プロフィール写真の規定や良い撮り方を紹介。

独立・開業

税理士試験や税理士登録、プロフィール写真の規定や良い撮り方を紹介。
税理士や税理士を目指している方は、税理士試験や税理士登録時、プロフィール写真を撮る機会があるかと思います。その際、規定に沿っていなかったり、後々も使う写真の写りが悪かったりすると、手間がかかるだけでなく良い印象を与えられないことがあります。本記事では、税理士試験やプロフィール用の写真の規定やプロフィール写真の撮り方を紹介していきます。

税理士試験用の写真

税理士試験の受験申込書を提出する際には、裏面に受験者の氏名を記入した顔写真を貼付しなければなりません。提出した顔写真については試験当日に試験官へ配布され、各席を巡回して受験生の本人確認を行います。

税理士試験用に提出する顔写真は、以下の規格に則ったものを用意してください。

  1. 大きさは、縦4.5㎝×横3.5㎝のもの(パスポート申請用と同じサイズ)
  2. 脱帽・正面向・顔中心の人物配置で背景が無地のもの
  3. カラー写真であること
  4. 申込日前6か月以内に撮影したもの

引用:令和4年度(第72回)税理士試験受験案内|国税庁

試験当日に眼鏡を使用する場合には、眼鏡をかけた状態で撮影しなければならないためご注意ください。

また、画像が不鮮明な場合やカラーコピーあるいはスナップ写真の切り抜き、コピー用紙への印刷は不可です。デジタルカメラで撮影した写真を使用する際は、必ずデジタルカメラ専用の印刷用紙で出力しましょう。

税理士登録用の写真

日本税理士会連合会にて税理士登録の申請を行う際にも、本人確認のための顔写真が3枚必要です。税理士登録時に提出する写真については、日本税理士会連合会にて以下の規格が設けられています。

  1. 申請書提出日前3月以内に撮影されたものを添付します。
  2. 背景は無地とし、上着及びネクタイ(男性)着用、脱帽の正面向写真とします。
  3. 大きさはおおむね縦2.8㎝、横2.4㎝とします。
  4. 写りが不鮮明なものや顔の部分が小さい等本人確認が困難なもの、また、粗雑な現像のため短期間で変色するようなものについては差替えを求めることがあります。
  5. 写真(3葉)の裏面に必ず氏名及び撮影年月日を記入してください。
    3葉のうち1葉は税理士証票に貼付します。

引用:登録に必要な提出書類等|日本税理士会連合会

なお提出した顔写真のうち1枚は、税理士にとってのライセンス証ともいえる「税理士証票」に使用されます。税理士証票は原則として10年更新であり、長期間にわたって使用するものとなるため、写真の品質などにも気を配るようにしましょう。

税理士のプロフィール写真

税理士試験や税理士登録用の写真とは異なり、プロフィール写真については規格が存在しません。そのため税理士が自らにとって好ましいプロフィール写真を検証し、そのイメージに沿った写真を撮影することが重要です。

近年ではインターネット環境が普及し、税理士業界においてもWeb戦略が着実に浸透しつつあります。事務所ホームページなどを通じて、見込み客が税理士のプロフィール写真を見る機会が増加しています。そのような場合には、それぞれの媒体に掲載されている写真が税理士の第一印象となるため、プロフィール写真の役割や重要性も自ずと高まります。

プロフィール写真の目的を正しく理解し、自らの事務所にとって効果的な写真撮影に取り組みましょう。

税理士のプロフィール写真の使い道

税理士資格を活かし、第三者に対して情報発信を行う場合には、氏名に加えてプロフィール写真を掲載する方法が一般的です。具体的には、以下の媒体を通じてプロフィール写真を活用するケースが多いです。

  • 事務所ホームページ
  • SNS
  • 雑誌や書籍
  • Webメディア

上記の媒体はいずれも一度も会ったことのない第三者が目にする機会も多いため、発信者である税理士にとってはプロフィール写真が自らの第一印象を構成する大切な要素となります。近年ではSNSを活用する税理士も増加しており、自らの発信内容に適した写真を選択することで発信力の強化も期待できます。

自らの事務所ホームページやSNSであれば、自由にプロフィール写真の変更ができます。しかし、雑誌や書籍、外部のWebメディアに掲載した写真については、長期間にわたり残り続けます。掲載する媒体によっては自らの意思で修正や変更ができないケースもあるため、写真選びは慎重に行いましょう。

税理士がプロフィール写真で与えたい印象

税理士試験用や税理士登録用の写真とは異なり、プロフィール写真に規格はありません。税理士自らが訴求したいイメージを検討し、それに則した写真選びを行うことが重要です。不適切なプロフィール写真を選んだ場合には、自らが伝えたいイメージとは反対の印象を与えてしまうケースもあるためご注意ください。

税務会計の専門家として、重要な顧客情報を扱う税理士業務の性質を加味すると、一般的な税理士像としては「誠実さ」や「安心感」などのイメージが重視される場合が多いです。プロフィール写真などの情報をもとに「誠実さ」や「責任感の強さ」を印象づけることができれば、相手に対して「安心感」を与え、問い合わせにつながる可能性も自ずと高まります。

プロフィール写真によって「誠実さ」や「安心感」を与えるためには、奇をてらった写真よりも、清潔感のあるスーツなどを着用し、シンプルで落ち着いた印象の一枚を選ぶ方が適切です。撮影の際にはしっかりと背筋を伸ばし、軽く微笑むなどの優しい表情で「親しみやすさ」や「社交性」を表現することも効果的です。また税理士試験用や税理士登録用の顔写真とは異なり、プロフィール写真では上半身写真や全身写真を使用するケースも多いため、撮影の際にはポージングについても検討しましょう。腕組みをす ることで「自信の大きさ」を表すことができ、体の前で軽く手を重ねる場合には「上品さ」や「柔和」なイメージを際立たせることができます。

業務内容や顧客層によって与えるべき印象は異なる

税理士業務については一般的な税務顧問業務に加え、資産税業務やコンサルティング業務など、サービス内容は多岐にわたっています。税理士事務所によって扱う業務内容は異なり、それによってターゲットとなる顧客層にも違いが生じるため、プロフィール写真を介して訴求すべきイメージにも差異が生まれるケースも考えられます。

たとえば相続税や事業承継業務など、専門性が高く、顧客のさまざまな想いを慎重に汲み取るような業務を中心に取り扱う場合には、より一層「誠実さ」や「信頼性」が求められます。若さや華やかさをアピールするよりも、ダークスーツなどを基調とした落ち着いた雰囲気を選択する方が無難でしょう。また、背景についてもシンプルな無地や事務所の会議室などを活用し、知的なイメージを醸成するケースが一般的です。

一方で新たに創業する事業者のサポート業務を中心に展開する場合には、「真面目で堅い」という税理士への世間的なイメージを払拭することが効果的なケースもあります。そのような場合には、顧客が気軽に質問できるように「明るさ」や「親しみやすさ」を印象づけることも効果的です。具体的には服装に明るい色やカジュアルさを取り入れることや、開放感のある屋外で撮影を行って背景に変化をつける方法も有効です。

プロフィール写真を通じて訴求すべきイメージは、税理士自らのサービス内容やターゲットとなる顧客層、掲載する媒体によっても異なります。まずは事務所としての事業戦略や方向性を検討し、必要に応じていくつかの写真を使い分けるなど、プロフィール写真を効果的に活用しましょう

写りを良くする税理士のプロフィール写真の撮り方

たとえ同一人物の場合でも、写真の色合いや撮影場所の工夫によってプロフィール写真の印象は大きく異なります。写真撮影の際には身だしなみを整えることはもちろん、さまざまな工夫を講じることによって写真全体のクオリティを高めるように心掛けましょう。

適度なレタッチ

プロフィール写真の撮影が完了したら、細部のレタッチ(加工・修正)を行うことで写真の印象を向上させることが可能です。

顔色のトーンを明るく補正するケースやシミやシワ消し、衣服の乱れ・汚れの修正、写真全体をきれいに見せるためのゴミ・ホコリ除去を行うなどの方法が一般的です。女性の場合には美白効果、男性の場合には髭剃り跡など肌トラブルの補正を行うことによって、清潔感を高めることもできます。

ただし目や鼻、口などの顔のパーツや骨格そのものを修正するようなレタッチについては、写真そのものに違和感を与えるだけでなく、実物との違いによって不信感につながるリスクもあるためご注意ください。

背景を工夫する

プロフィール写真については、背景によっても全体の印象が大きく変わります。

士業の場合には自らの専門性や厳格さを際立たせるために、本棚や会議室テーブルなどを背景とするケースが一般的です。また事務所内部を背景にすることで、プロフィール写真を通して所内の雰囲気を伝えることができるというメリットも期待されます。

背景の色合いについても、シンプルな白色や自然光が差し込む窓辺を選択することで、清潔感や透明感のある写真を撮影することが可能です。一方で撮影場所の明るさが不足している場合や黒や紺色の背景の場合には、全体的に暗い印象となってしまい、重苦しいイメージへとつながる可能性もあるためご注意ください。

また開放感のある屋外を背景とすることで、ナチュラルで穏やかなイメージを強調することも効果的です。屋外を背景にする場合には路地裏のような暗い場所ではなく、太陽光や青空、木々の緑などの自然の風景が写るように撮影しましょう。

おすすめメイク

一般的にビジネスの場においては、きらびやかな印象よりも落ち着いた雰囲気の方が親しみやすさが感じられ、好まれる傾向にあります。メイクに関してもリップやチークが濃すぎると派手な印象を与えてしまうため、ナチュラルメイクで清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。

ベースメイクについては美白効果が高いものがおすすめですが、白くなりすぎると顔が浮いて見える可能性があるため、肌に合ったものを選ぶようにしましょう。また、プロフィール写真においては目元の印象が非常に重要ですが、過度なメイクは強気な印象を与えるおそれがあるため、アイシャドウやアイライナーはオーソドックスなベージュやブラウン系がおすすめです。

プロフィール写真の印象を高めるために、男女ともに清潔感のあるヘアセットを行うことが重要です。写真撮影の前にしっかりと髪型を整えることで、引き締まった印象を与えることができます。また、ビジネス用のプロフィール写真では耳や眉が見えている方がすっきりとした印象になるため、女性の場合には必要に応じて髪をまとめるなどの対応を検討しましょう。

身だしなみを整えて良い写真を撮ろう

税理士業務において写真撮影が必要な場面はいくつか想定されます。

税理士試験や税理士登録時の顔写真については、制度上定められた規格にしたがうことが大前提となるため、身だしなみをしっかりと整え、要件を満たした写真を用意してください。

一方でプロフィール写真に関しては、税理士自らが追求するイメージに合った写真を自由に活用することが可能です。ただし、あくまで写真を見る第三者に対して好印象を与えることが目的であるため、プロフィール写真を通じて自分自身のイメージアップにつながるよう、最適な身だしなみや撮影場所について検討しましょう。

よくある質問

税理士が顔写真を用意すべき場面は?

税理士試験の受験申込や税理士登録を行う際には、それぞれの規格で定められた写真を用意しなければなりません。また独立開業を行った場合には、営業活動などに際してプロフィール写真を活用するケースが一般的です。

税理士のプロフィール写真の使い道は?

事務所のホームページやSNS、書籍・雑誌、Webメディアなどの媒体で利用するケースが多いです。なお媒体によってはあとから写真を差し替えることができない場合もあるため、写真選びは慎重に行いましょう。

プロフィール写真撮影時のポイントは?

税理士としての「誠実さ」や「安心感」「親しみやすさ」を訴求できるよう、清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。また撮影場所や背景、メイクなどを工夫することで、写真全体の出来栄えを高めることも可能です。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

記事一覧ページへ

関連記事

事務所開業の手引き