事務所のホームページを持っている税理士が多くなっています。税理士との顧問契約を検討する際にインターネット検索をするユーザーも増え、ホームページは有効な集客手段の1つとなっています。そこで本記事では、まだホームページを持っていない方や、リニューアルをしたい方向けに、「税理士のホームページの作成方法」から、「掲載すべき項目や作成のポイント」について解説していきます。
目次
税理士がホームページを作る目的とは
税理士に限らず、起業により「自分の事業を紹介したい」、さらに「集客につなげたい」と自社サイトを持つ事業者は増加の一途です。税理士が自身の事務所のホームページを持つ場合、作成段階でその税理士がどのような状況にあるかでホームページ作成の目的が異なります。
まずは、ある程度実績を積んだ税理士が、今までの業績を盛り込んだオフィシャルなサイトを立ち上げるケースです。その場合、税理士の人となりを中心に据えて、専門とする業務のコンテンツを充実させるといった作り方が多いでしょう。
ホームページのメインコンテンツには、次のようなものが考えられます。
- 税理士経歴、プロフィール、信条・理念など
- 税理士のこれまでの業績や得意分野についての記載
すでにその税理士を知っている人や、専門家の考え方を知りたい人などがアクセスし、専門的な判断や知識を得るためのホームページになります。これに対し、これから事業を拡大したい税理士がサイトを立ち上げる場合は、そのサイトの出来不出来が業績に直結します。
この場合のホームページ作成にあたっては、想定される訪問者を対象に次のようなものが考えられます。
- 新規顧客への案内・情報発信客の集客(販路開拓)
- 見込客への案内・情報発信
- 顧問先への情報提供
- 事務所スタッフの募集
最近では、名刺に事務所のホームページアドレスやQRコードを記載することも一般化しており、デジタル社会においてホームページを持たないことがハンデにもなり得えます。
税理士のホームページの作成方法
税理士の中にはシステムに強い方も多く、また最近では比較的簡単にホームページが作成できる仕組みもあるため、自己制作のケースも多いです。
ホームページ制作会社に依頼する
専門の制作会社にホームページの作成を依頼する方法は、どの業種を問わず従来よりよく行われてきました。税理士事務所に特化したホームページ制作会社もあるため、利用しやすくなっています。
制作会社があらかじめ用意したテンプレートに事務所の情報を入れて仕上げる方法から、フルカスタマイズまでさまざまな依頼方法があります。ホームページに掲載する写真も専門のカメラマンが撮影したり、制作会社の持つホームページ作成のノウハウを利用したりと、高度な技術が使える点がメリットです。
しかし、ホームページの更新などリニューアルの都度、追加料金が発生することもあります。導入費用だけではなく、ランニング費用がかかる点にも注意が必要です。
自分でホームページを作成する
税理士には、自分で必要なドメインやサーバーを調達し、ワードプレスなどを利用して自分でホームページを作成できる人もいます。
CMSとはContents Management System(コンテンツマネジメントシステム)の略で、サイトのテキストや画像、デザイン・レイアウトなどを一元的に管理する画面のことです。現在、最もよく利用されているCMSがワードプレス(WordPress)です。ワードプレスはシステム設計図(ソースコード)を公開した無料のCMSであるため、利用に費用はかかりません。
ビジネス用にワードプレスでホームページを立ち上げるには、最初にサーバーやドメインを契約し、そのサーバー上にワードプレスをインストールすることから始めます。その後、CMSのインターフェース上で編集作業をするといった手順で進めます。非常に完成度の高いホームページが比較的簡単にできます。
CMSを利用すると感覚的に操作ができたり、予備知識がなくても簡単に作成できたりするものの、自分で作成するためにはCMSをどのようにカスタマイズするかという知識はある程度必要です。もちろん、CMSを利用しないでホームページを作成することも可能ですが、さらに専門的な知識が必要です。
しかし、CMSの種類によっては、無料で使えるコンテンツや機能、ページ数が限られることがあります。そのような場合、最初は無料で始め、ある程度メンテナンスに慣れてきたら有償に変更して、内容をリニューアルという段階的な導入が無難です。
税理士のホームページ作成にかかる費用
税理士事務所のホームページ作成において、作成方法別の費用感を見ていきましょう。
【ホームページ制作会社に依頼する場合】
- 費用はピンからキリまであり、より良いものを作ろうとすると高くなる
- デザイン性の高いものや機能性に優れたものを作ろうとすると、相場としては100万円以上かかる
ホームページに盛り込む内容を考えるだけでも時間を要します。まして、事務所開設当初でじっくりとホームページを検討する時間が取れなかったり、特にデザインにこだわりたかったりと、自作では難しい場合にはホームページ制作会社に依頼して作ってもらうのがよいでしょう。この場合、いくつかの作成会社に対し「相見積もり」を取り、比較検討することをお勧めします。
【自分でホームページを作成する場合】
- 外注する場合よりも安価にできる
- サーバー代、ドメイン代、CMS利用料などがかかる
ホームページを作成するにあたって必要となる費用の詳細を見てみましょう。
まずは、サーバー代です。サーバー代とは、ホームページに掲載されているテキスト・画像データを格納する先(サーバー)のレンタル費用のことです。サーバーのレンタル料はレンタル会社のプランにもよりますが、月1,000円程度あれば問題ないでしょう。
もちろん、サーバーを自前で設置もできますが、サーバー管理のための知識やサーバー取得費用、メンテナンス費などがかかります。物理的にサーバー設置のためのスペースや、常時稼働させるための電気代も必要です。
次に、ドメイン代です。
独自ドメインとは、ネット上の「住所」のことで、URLやメールの「○○○.com」などのドットの右側部分を指します。この独自ドメインを税理士事務所固有のものとすることで、独自性が高まり、さらにシステムにかける意欲や信頼度を高めることにつながります。
ドメイン代は、どんなドメインを利用するかで料金が異なりますが、多くは年間数百円〜2,000円程度です。
最後にCMS利用料ですが、現在はワードプレスなどのように無料で使えるものが多数あります。したがって、月額料金などは基本的にかからないものを選択することをお勧めします。
税理士のホームページに載せるべき項目
標準的な税理士事務所のホームページについて、盛り込む内容を見てみましょう。
- 提供サービス内容
- 誰にでもわかるよう、見やすく平易な言葉で提供が可能なサービス内容を記載します。どのような人が対象なのか、具体例を示しながら記載すると分かりやすく親切です。気軽に問い合わせができることをアピールし、電話やメールへ誘導できるようにしておきましょう。
- 料金一覧
- 一番、訪問者が気になっている情報かもしれません。税目によって料金の考え方が異なる場合もありますので、金額体系の分け方については、他の税理士事務所の料金表や税理士会のサイトにある料金表のサンプルなどが参考になります。
- プロフィール
- 効果的な自己紹介の一例として、事務所の様子もわかる執務中の写真を複数枚盛り込むことをお勧めします。ネット上において税理士はみな同じように見えているので、趣味や経歴、著書など人柄が分かり、親近感が得られる内容が良いでしょう。職員がいる場合には、本人の許可を得て職員の写真も掲載することで面談への抵抗が和らぎます。
- 事務所概要
- 基本的な事務所データを記載します。
所属団体、提携士業先、職員を含めた資格者など、アピールしたいものを中心に記載します。ここに事務所の理念などを掲げている例もよくあります。 - アクセス
- 事務所へのアクセスを地図付きで記載します。駐車場の有無なども記載しておくと親切です。
- 問い合わせフォーム
- メールでの問い合わせが簡単にでき、当初はSNSなどでも連絡ができるようにしておくと相互に利便性が高まります。
税理士がホームページを作成するときのポイント
最後に、税理士がホームページを作成するときのポイントを3つ挙げます。制作会社に依頼する場合であっても、企画段階での注目ポイントになります。
ターゲットを明確にする
ホームページ作成にあたっては、まず訪問者のターゲットを絞ることが重要です。
狙うターゲットを明確にすると、どのようなコンテンツを作成すべきかがはっきりします。誰にもあてはまるが決め手のない内容より、ぐっと訴求ポイントが絞り込めます。どのような意図をもって検索したのか、訪問者の抱える課題をある程度予測します。どのような悩みを解決できるのかを明確にしましょう。
SEOとはSearch Engine Optimization(検索エンジンの最適化)の略で、Webサイトの検索結果を向上させる方法のことを言います。特定のキーワードによる検索結果について、自分のホームページが上位にくるように調整することをSEO対策と呼びます。ターゲットとなる訪問者がよく検索するキーワードをホームページ内に記載することで、そのキーワードで検索が行われた際に、上位表示されやすくなります。
ファーストビューを整備する
ファーストビューとは、訪問者がWebページにアクセスした際、最初に表示される部分(画面)を言います。顔を合わせる場合においても第一印象が重要なのと同じように、ホームページにおいてもユーザーはファーストビューを見て、2、3秒で閲覧するかどうかを決めると言われます。訪問者は最初の2、3秒で、このページは誰をターゲットにしているか、読み進めるメリットの有無を判断します。
訪問者が検索キーワードを入力した背景を探り、訪問者が抱えている悩みや課題を刺激し、「このサイトは自分の探していたものがありそうだ」と認識してもらいましょう。訪問者の見たいと思われる追加・補助情報を入れ、直感的にサービス内容が分かるようなレイアウトやデザインにし、読み進めるように誘導することが重要です。
プロフィールを充実させる
税理士のホームページにおけるプロフィールには次のような項目があります。
- キャッチフレーズ:訪問者を立ち止まらせるような魅力的なコピーなど。
- 対応可能地域:面談が必要な場合等にはコンテンツに地域性を盛り込みます。
- 経歴:生い立ちから今までの簡単な経歴によりバックグラウンドの紹介。性格や趣味、家族紹介なども簡単に載せると親近感がでます。
- 得意分野:今までの体験などからのアピールや得意なサービスの詳細。
税理士とコンタクトを取るのが初めての人も多いため、初歩的なことからでも受けつけるなど、優しさや丁寧さをアピールすべく、全体に優しい雰囲気の文体にするなどの工夫を凝らしましょう。誰から見ても充実していると感じるプロフィールは、作成側の意欲やモチベーションの高さと比例するでしょう。
魅力的なホームページで、集客力を高めよう
文章を書くときには、構成がしっかりしていないと読者に何を訴えたいのかがかすんでしまいます。同じようにホームページを作る際に、目的や意義を明確にした上で着手しないと、進む先が定まりません。
ホームページへの訪問者に、たとえ成約に至らずとも何かを得てもらうために、ターゲットを絞り、ビューで捉え、魅力あるホームページを心掛けましょう。
ホームページは一度作成して終わりではなく、更新を繰り返し、育てていくものです。
使い方次第で集客力のアップが見込めるもう1つの事務所として活用されてはいかがでしょうか?
よくある質問
税理士のホームページ作成の目的にはどんなものがありますか?
開業間もない税理士であれば、「新規顧客の集客」「見込客への案内」「情報発信」「顧問先への情報提供」などのほか、「事務所スタッフの募集」などが挙げられます。
税理士のホームページ作成にかかる費用の種類にはどんなものがありますか?
制作会社に依頼する場合には、制作会社への「委託料」や「更新料」、また自分で作成する場合には、「サーバー代」「ドメイン代」などがかかります。自分で作成する場合には無料で利用できるCMSがおすすめです。
税理士がホームページを作成するときのポイントはなんですか?
どんな訪問者を対象としているのかターゲットを明確にすること、ホームページへの訪問者が最初に見るページ(ファーストビュー)を作り込むこと、プロフィールを充実させしっかりアピールすることなどです。