【一覧つき】税理士の集客方法とそれぞれのメリット・デメリットを解説

【一覧つき】税理士の集客方法とそれぞれのメリット・デメリットを解説

税理士が顧問先を獲得しようとするとき、さまざまな集客方法があります。
しかし最適な集客方法は税理士によって異なります。
この記事ではこれから本格的な集客を始める税理士へ向けて、それぞれの集客方法についてメリット・デメリット、適したターゲット層、費用の相場、外注を利用すべきかなどについて詳しく紹介していきます。

税理士の集客方法とメリット・デメリットの一覧

まずは税理士が行える集客方法の一覧と、それぞれのメリット・デメリットの概要をお伝えします。

【集客方法とメリット・デメリットの一覧】
方法メリットデメリット
顧問先・知人からの紹介・コストがかからない・断りづらい
銀行からの紹介・コストがかからない・銀行との関係作りが前提
・やや断りづらい
他の士業からの紹介・コストがかからない・各士業との関係作りが前提
HP(ホームページ)・特にない(HPがないとマイナス面が大きい)・単体での集客力はやや弱い
ブログ(SEO)・始めるだけなら簡単・SEOライティングの知見が必要
・運用コストがかかる
動画・比較的コストが少ない
・ブランディングに効果あり
・定期的な発信が必要
・視聴数に比して問い合わせにつなげづらい
・炎上リスク
ネット広告・即効性がある・広告運用と制作のスキルが必要
・ややコストがかかる
税理士会や商工会議所からの紹介・コストがかからない・税理士会などとの関係作りが前提・案件数が少ない
税理士紹介サービス・やりたい案件だけ取れる・コストがかかる
SNS・コストがかからない・定期的な発信が必要
・炎上リスク

顧問先・知人からの紹介

税理士の顧問先から、または事務所スタッフの知人などから新しいお客さんを紹介してもらうパターンです。

顧問先から紹介される場合、紹介する人は

  • 税理士のサービスに満足している かつ
  • 紹介される人とも良好な関係がある

ということがいえます。
顧客満足が実感でき、さらに紹介される人も取引先としてある程度担保されやすい点がメリットです。
さらに、顧客獲得コストもかからないので、税理士にとって最高のパターンといえます。

ただし以下のようなデメリットもあります。

  • 税理士と紹介される人の相性が良いとは限らない
  • 断りづらい(断ると紹介した人の顔をつぶす可能性も)

紹介される案件は紹介する人の属性によるので、個人・法人問わずさまざまな案件がきます。美容や医療など同業の紹介案件が増えることもあれば、まったく異なる種類の案件も来ることがあり、以前はこの紹介パターンが税理士の集客の主流でした。しかし新規開業の税理士などの場合、紹介ばかりを待ってはいられないため、他の集客方法も行う場合が多いです。

銀行からの紹介

税理士と銀行の間にコネクションがあると、銀行から顧客を紹介されることがあります。
税理士も顧問先の借り入れにその銀行を紹介することがあるので、お互い持ちつ持たれつの関係といえます。

銀行からの紹介も顧客獲得のコストはかかりませんが、銀行とのパイプが必要です。その地域で何年も活動を行ってきた、地盤のある税理士ができる集客方法です。
大手の税理士法人の中では銀行のOBを雇い、定期的に銀行に案件がないか収集をしている場合もあります。紹介される顧問先は銀行が相手にする顧客=「法人または個人の資産家」が前提となるので、フリーランスや新規開業の法人の紹介は少ない傾向にあります。

他の士業からの紹介

行政書士や司法書士など、他の士業から案件を紹介されることがあります。例えば、法人の設立をするときなどがよくあるパターンです。士業同士で専門領域をすみ分けながら協業するため、お互いの顧客を紹介できる点が魅力です。双方向の紹介であればコストはかかりませんが、税理士が各士業とパイプ作りをしておく必要があります。

HP(ホームページ)

HPを開設し、税理士のサービス内容や強みを載せて問い合わせにつなげる集客方法です。
HP単体での集客力は弱いですが、見込み客はあらかじめどんな税理士か、どんなサービスをしてくれるのかを確認することが多いため、令和の時代にHPは必要不可欠といえるでしょう。

一方で、税務に詳しくない人は税理士の違いが分かりづらいことがあります。次のポイントに工夫をこらして差別化をはかると効果的です。

  • 魅力的なプロフィールや事務所紹介
  • 得意なサービス
  • 分かりやすい料金体系
  • 事務所の所在地

HPは自ら作成してコストを抑える方法もありますが、プロに依頼したほうがクオリティが期待できます。

ブログ(SEO)

ブログによる集客とは、ウェブ上に会計や税金に関する記事を書き、検索流入を通じて問い合わせにつなげる方法です。記事を書くだけなら難しくなく、外注しても1記事あたり5千〜数万円程度に収まるため、始めること自体は難しくありません。

しかし、ブログ集客の難易度は常に上がっており、書いた記事を検索上位に表示させるにはGoogleのSEOに関する専門的な知見がないと難しいです。また、年単位での継続が必要とされ、継続的な負担を認識しておく必要があります。

運営を外部に委託する場合にはコストも高くなるうえ、代行会社は玉石混交で中には質が悪い業者もあるため、選定が難しい側面もあります。

ブログ集客は結果が出るまでに不確定要素も多いため、はじめのうちは集客源として順位を低めにすると良いでしょう。

動画

動画による集客とは、会計や税務に関する情報をYouTubeなどの動画で発信する方法です。
ヒロ税理士大河内薫税理士が税理士YouTubeとして有名です。

メリットは情報発信を続けることで税理士のブランディングにつながり、独自のチャネルが出来上がる点です。チャンネル登録者が多いと、セミナーの呼びかけなどにも非常に効果的です。また、出演者を税理士自身とすればコストも比較的抑えられます。

ただし、YouTube単体では顧客の問い合わせにつながりづらい部分もあります。視聴者は動画を見るのが目的なので、そこから問い合わせへと発展しづらいのが現状です。動画の概要欄に設置した問い合わせのリンクは、ブログやHPに設置したリンクと比べるとクリックされる確率はやや劣る傾向にあります。

動画による集客の場合、辛抱強く継続して、ほかの集客方法とミックスすると効果が高いでしょう。また炎上リスクも存在するため、コンプライアンスの意識を常に持つことも忘れてはいけません。加えて、2022年においてYouTubeはコンテンツ量が非常に増えているため、これから始める人には難易度は高めといえます。一方で、魅力的な企画が思いつく人や女性税理士であればまだまだチャンスはあるでしょう。

集客以外にも採用のために活用する税理士もおり、活用の幅は広いといえます。

インターネット広告

インターネット広告を通じて顧客獲得につなげる方法があります。例えば、Googleで「税理士」と検索すると、検索結果の一番上に税理士紹介サービスなどが表示されることがあります。これはリスティング広告と呼ばれ、クリックのたびに広告料が発生しています。

インターネット広告

インターネット広告は即効性があり、効果測定もできるため、集客には非常に効果的な手法です。
一方で、集客効果をあげるためには広告運用スキルと、LP制作スキルの両方が必要になります。税理士自身で行うにはハードルが高く、広告代理店などを通じて行う場合が多いです。

税理士会や商工会議所からの紹介

インターネット集客が主流ではない時代では、開業したての税理士は税理士会や商工会議所へ出入りして、イベントの手伝いなどの下働きをしていたようです。確定申告などの案内イベントで窓口を担当して商工会議所などとコネクションをつくり、案件の紹介を受けていました。現在ではかなり少数派の手法です。

税理士紹介サービス

税理士ドットコムミツモアなどの税理士紹介サービス、マッチングサービスを利用する方法です。さまざまな案件の紹介を受けることができ、そのうち気に入った案件だけに手を挙げれば良いシステムです。顧問先などからの紹介と違い、断りづらいということもなく、案件に魅力を感じなければ断ることができます。

その代わり紹介料が発生し、年間の顧問料などに一定料率をかけた金額を紹介会社に払わなければなりません。コストは発生しますが、時期に合わせて集客をする・しないを選択し、柔軟に利用できます。

また、紹介サービスには税理士ドットコムのような紹介型とミツモアなどのようなマッチングプラットフォーム型があります。大まかな違いとしては次のように分けられます。

【ビジネスモデルの違い】
紹介型マッチングプラットフォーム型
案件への応募紹介会社からの紹介プラットフォーム上で好きなものに応募
依頼者との連絡紹介会社のオペレーターが仲介プラットフォーム上で依頼者と直接
支払う手数料約70%35%前後

SNS

Twitter、Instagram、Facebookでの情報発信を通じて集客を行う方法です。
ターゲット層に響く情報発信を続けることで、フォロワーを獲得し少ないコストで集客ができます。動画での集客と同様に根気強く投稿を続けることと、炎上リスクに気を付ける必要があります。

また、各SNSでの利用者の年齢・性別の分布にも気を付ける必要があります。例えば総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によるとTwitterの利用者の中心は10代・20代ですが、30代では約半数、40代でも38%が利用しています。若い経営者層に情報を届けるには有効といえるでしょう。
一方でInstagramの場合、利用者は女性が多く、比較的女性へのアプローチが得意といえます。2022年2月時点でInstagramは投稿内容にクリック可能なURLを貼れない、という集客ツールとしての弱みはありますが、視覚的なアプローチが得意であれば試す価値はあります。

 

それぞれの集客方法でのターゲット層は?

次に、それぞれの集客方法でのターゲットとなる層についてです。
ターゲット層と集客方法との相性を一覧にまとめました。メインとするターゲット層との違いがないか確認できます。

【集客方法とターゲット層との相性】
〇:向いている
△:多くはないが顧客獲得はありえる
×:向いていない
個人:個人事業主、個人の確定申告、相続案件
新規:スポット案件、新規開業など
乗換:他の税理士からの乗り換え

【集客方法とターゲット層との相性】
方法個人・新規個人・乗換法人・新規法人・乗換
顧問先などからの紹介
銀行からの紹介×
他の士業からの紹介××
HP
ブログ(SEO)
動画
ネット広告××
税理士会や商工会議所からの紹介××
税理士紹介サービス
SNS×

訴求できるターゲット層の広さでいえば、次の3つが魅力的です。

  • 顧問先からの紹介
  • HP
  • 税理士紹介サービス

このうち、HPと税理士紹介サービスはプロフィールを充実させるなど、自らコントロールできる余地が多く、かつ長く利用することも可能なため、早めに着手しておくと良いでしょう。他の集客方法については、ご自身のターゲット層との相性をみて運用を検討しましょう。

なお、集客の準備については下記記事をご覧ください。

集客方法の実行は内製か外注か

集客方法によっては、外注を利用することで効率的に行えるものがあります。特に、開業したては税理士自身で多くのことを行わなければなりません。外注を利用することでコストは発生しますが、本業に集中できるメリットがあります。

内部で行うか、外注するかの一覧

次にそれぞれの集客方法について、内部で行うか、外注するかの一覧です。内部で行えば低コストで行えますが、外注したほうが一定の質が担保できます。

【内製と外注の向き不向き】
〇:向いている
△:できるがクオリティはさまざま
×:向いていない

方法内製外注
顧問先などからの紹介×
銀行からの紹介×
他の士業からの紹介×
HP
ブログ(SEO)
動画
インターネット広告
税理士会や商工会議所からの紹介×
税理士紹介サービス×
SNS×

動画に関しては企画・撮影・出演・編集とさまざまな要素が絡んできます。企画では専門家である税理士のほうが外注先より知見が多くありますが、編集には時間がかかるため、編集だけ外注を利用するという方法もあります。また、SNS運用を委託できる会社もありますが、Twitterなどの発信には専門的な知見とスピード感が求められます。税理士自身で運用したほうが成功の確率が上がるでしょう。

外注する場合のコストはいくらかかる?

外注を利用した際の金額の相場についても以下にご案内します。もちろんこれらより価格が低いものもありますが、スキルの低い人を雇っている場合が高く、あまり良い成果が得られないことが多くあります。

  • HP制作:100万円~
  • ブログ1記事:15,000円~
  • 動画1本の編集:10,000円~
  • インターネット広告:100万円~/月
  • 税理士紹介サービス1回:売上の30%~

ブログの1記事が15,000円となっているのは1文字3円で5,000文字の記事を書いてもらった場合です。専門的な税務の記事を知見のあるライターに書いてもらおうとすると、1文字3円ほどかかります。また、インターネット広告が100万円以上となっているのは、広告代理店に依頼した場合です。業界の慣習で依頼の最小ロットが100万円となっていることが多いです。

ターゲット層の売上と獲得コストは適切?

集客の施策を打つ際に、ターゲット層の売上と顧客獲得コストが適切になるか、見通しも立てておく必要があります。

例えば、ブログによる集客を狙おうとした場合、外注で週2本投稿を続けたときは
15,000円×2回×4週×12か月=1,440,000円
記事の執筆だけで1,440,000円はかかる計算になります。ブログからの問い合わせ件数は検索順位に依存するため、コントロールが難しく、開始してすぐはコスト回収が読めません。開業したての税理士にとってはかなり不安定な状況になってしまいます。

一方で、紹介サービスであれば成約に対して手数料が発生するため、コストのコントロールは比較的しやすい集客方法といえます。また、広告も比較的短期間で成果に結びつきやすく、コストのコントロールがしやすい手法です。

集客では税理士紹介サービスも活用を

マネーフォワード クラウドではパートナーの税理士・会計事務所向けに業務支援サービスを行っております。パートナーシップにご参加いただければ、無料で紹介サービスも提供いたします。開業したての税理士、集客に悩む税理士はぜひお問い合わせください。

よくある質問

税理士の具体的な集客方法として何がありますか?

税理士の集客方法として
・顧問先・知人からの紹介
・銀行からの紹介
・他の士業からの紹介
・HP(ホームページ)
・ブログ(SEO)
・動画
・ネット広告
・税理士会や商工会議所からの紹介
・税理士紹介サービス
・SNS
 などが挙げられます。また、それぞれのメリット・デメリットもありますので、ご確認ください。

できるだけ多くの人をターゲットに集客をしたいです。

訴求できるターゲット層が広い集客方法として、顧問先からの紹介・HP・税理士紹介サービスが挙げられます。

ブログ運営をを内製で行うか外注するか迷っています。

ブログ運営は外注向きのコンテンツになっております。また、ブログ運営を外注する上でかかるコストはおよそ1記事あたり15000円です。

【監修】マネーフォワード クラウド 会計事務所担当

会計事務所・税理士の事務所経営に関するお役立ち情報をマネーフォワード クラウド 会計事務所担当が提供します。
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