税理士登録に必要な要件とは?登録の流れや費用も解説。

税理士登録

税理士登録に必要な要件とは?登録の流れや費用も解説。

税理士として独占業務を遂行するためには、「税理士会」に登録する必要があり、登録には税理士会の定める要件を満たす必要があります。本記事では、税理士登録に必要な要件から登録の流れ、かかる費用まで詳しく解説していきます。

税理士登録するための要件とは

税理士登録を行うためには、下図のとおり「税理士となる資格」と「実務経験」の2つの要件を満たさなければなりません。

 

 

これらの要件を満たした場合に、日本税理士会連合会に備えられている税理士名簿に登録が可能となり、正式に税理士となることができます。

税理士となる資格とは

税理士登録を行うためには「税理士となる資格」を有している必要があり、具体的には以下のいずれかに該当するケースを指します。

  • 税理士試験の合格者
  • 税理士法の規定により、税理士試験の試験科目のすべてを免除された者
  • 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
  • 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)

参考:税理士法 | e-Gov法令検索
税理士試験5科目合格を経て「税理士となる資格」を保有するケースが一般的ですが、大学院にて税法や会計学に関する修士号を取得することで一部科目の免除を受けることも可能です。また国税庁や税務署など国家公務員である「国税専門官」として一定の年数を勤務した場合には、その勤務年数に応じて試験科目の一部または全部の免除を受けることもできます。

2年以上の実務経験

税理士試験に合格した場合や試験科目のすべての免除を受けたことで「税理士となる資格」を得た場合には、さらに2年以上の「実務経験」を満たす必要があります。この場合の実務経験については、税理士法基本通達で以下のように定められています。

  • 税務官公署における事務のほか、その他の官公署及び会社等における税務に関する事務
  • 簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
  • 仕訳帳等から各勘定への転記事務
  • 元帳を整理し、日計表または月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
  • 決算手続に関する事務
  • 財務諸表の作成に関する事務
  • 帳簿組織を立案し、または原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

参考:第2条《税理士業務》関係|国税庁
したがって仕訳入力などの会計処理、決算手続きなどの税務申告を行う一般的な税理士事務所や、国税庁や税務署などの税務官公署での勤務については実務経験としてカウントできます。

税理士事務所や税務署などの勤務経験がない場合でも、一般企業の経理業務を通じて日々の会計処理や税務手続きを行っている場合には実務経験として認められるケースがあります。ただし簿記の知識を要しない単純な事務作業については、実務経験としてカウントすることができないためご注意ください。

会計士資格や弁護士資格を有する場合は書類のみ

弁護士や公認会計士資格を保有している場合には「税理士となる資格」も有していることとなり、税理士試験の合格だけでなく、2年以上の「実務経験」に関しても不要とされています。これらの有資格者が税理士登録を行う場合には、登録に必要な書類を日本税理士会連合会へ提出し、それらが受理されれば税理士登録が完了します。ただし弁護士や公認会計士が税理士登録を行う場合においても、面接を含む登録調査などの工程は通常通り実施されます。

なお公認会計士の場合、平成29年4月1日以後における公認会計士試験の合格者については、実務補習団体等で実施される税法に関する研修を修了することが義務付けられています。

税理士登録に必要な実務経験の計算方法

税理士試験に合格した場合や試験科目の免除を受けた場合に必要となる「2年以上の実務経験」については、計算方法が複雑なケースもあり、誤った解釈が税理士登録自体の遅延原因にもなりかねません。実務経験を証明するための「在職証明書」に関するトラブルも多いため、税理士登録を目指す場合には実務経験に関する正しい知識を抑えておきましょう。

 

 

同じ税理士事務所でなくても良い

税理士登録の要件とされている実務経験については、通算で2年以上と定められているため、一箇所の職場においてこれを満たす必要はありません。したがって異なる税理士事務所でそれぞれ1年ずつ勤務した場合には、通算で2年以上の実務経験を満たすこととなります。

正規の雇用関係があり、税務や会計業務などの実務経験に該当する業務以外に従事しない場合には、暦にしたがって実務経験期間を計算できます。したがって正職員として税理士事務所で勤務する場合には、一般的には入社から2年経過すれば実務経験要件を満たします。

一方でパートやアルバイトなどの非正規雇用の場合や、一般企業などで実務経験に該当する業務以外の業務にも従事する場合には、実務経験に該当する部分を抽出する必要があります。具体的には勤務日数や勤務時間の実態に応じ、税務や会計業務に従事した時間を「積上げ計算」で計算しなければなりません。

たとえば1~2年目に一般企業にて経理業務に従事し、3~4年目にかけて税理士事務所でアルバイトとして勤務した場合には以下のように積上げ計算を行います。

①一般企業勤務(総勤務時間2400時間、実務経験に該当する業務への従事割合80%)
2400時間×80%=1920時間

②税理士事務所勤務(総勤務時間1800時間、実務経験に該当する業務への従事割合100%)
1800時間×100%=1800時間

③通算勤務時間
①+②=3720時間

このような積上げ計算によって算出した勤務時間が通算で3696時間以上となる場合には、2年以上の実務経験を満たすこととなります。ただし積上げ計算においては、時間外勤務や休日出勤などは計算に含めることができないためご注意ください。

税理士登録の申請時には、実務経験を証明する書類として「在職証明書」の提出が必要となります。複数の勤務先で実務経験を満たす場合には、在職証明書もそれぞれの勤務先から発行を受けなければなりません。非正規雇用や税務や会計業務以外の業務にも従事するケースにおいて「積上げ計算」を行う場合には、「勤務時間の積上げ計算書」も併せて提出してください。

なお実務においては在職証明書の発行にまつわるトラブルが数多く発生しています。本来の在職証明書は、単に「その勤務先における業務内容や勤務期間を証明する書類」としての役割に過ぎません。しかし勤務先の代表者による署名や捺印が必要であることから、「勤務先から税理士登録の許可をもらうための書類」へとすり替わってしまう傾向があります。

特に税理士事務所においては、職員が税理士となることによる人件費の増加や独立開業による離職リスクを回避するため、勤務先が在職証明書の作成を渋るケースもあります。代表者の理解を得て税理士登録を行うことが理想ではありますが、どうしても困難な場合には代表者ではなく同勤者に証明してもらうことも可能です。在職証明書のトラブルが発生した際には、ぜひ税理士会へご相談ください。

試験に合格する前の期間も含めることが可能

税理士登録を行う際に必要となる実務経験については、税理士試験合格後だけでなく、合格前の期間もカウントできます。したがって試験合格前に通算で2年以上の実務経験を満たす場合には、合格とともに税理士登録申請を行うことも可能です。

なお税理士試験における科目免除を受けるため、実務経験期間中に大学院へ通学していた場合には、その通学期間中の勤務日数や勤務時間の整合性を確認するため、別途「大学院通学状況説明書」を提出する必要があります。その際には講義のカリキュラムや成績証明書の添付が必要となるため、申請の際には書類に不備がないようご注意ください。

税理士登録申請の流れ

日本税理士会連合会へ税理士登録の申請を行う際には、下図の流れに沿って手続きを進める必要があります。

 

 

ミスや漏れによって税理士登録が遅延しないよう、登録申請手続きの正しい流れを確認しましょう。

必要書類の提出

税理士登録申請の際に提出する書類については、申請者の属性で以下のように分類されます。

■すべての申請者が提出する書類
以下の書類に関しては、税理士試験合格者または免除者、弁護士や公認会計士資格保有者を問わず、すべての申請者が提出しなければなりません。申請を行う際には漏れのないように必ずご準備ください。

  • 税理士登録申請書
  • 登録免許税領収証書(6万円)
  • 登録手数料(5万円)
  • 本人写真
  • 本籍の記載のある世帯全員の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)
  • 登記されていないことの証明書(東京法務局が発行するもの)
    ※令和元年12月14日以降の登録申請については提出不要
  • 身分(身元)証明書(本籍地の市区町村が発行したもの)
  • 資格を証する書類
  • 履歴書
  • 誓約書
  • 税理士会会長宛の誓約書
  • 直近2年分の確定申告書のコピーまたは住民税の課税証明書
  • はがき(日税連指定のもの)

■税理士試験合格者及び試験免除者が提出する書類
税理士試験合格者や免除者については、通算で2年以上の実務経験要件を満たすことを証する書類の提出が求められます。「提出必須の書類」と「該当者のみ提出が必要な書類」に区分されるため、お間違えのないようご準備ください。

1.必須書類

  • 在職証明書
  • 在職証明書に係る印鑑登録証明書
  • 源泉徴収票または確定申告書のコピー

2.該当者のみ提出が必要な書類

  • 税理士事務所と会計法人の関係について
  • 職務概要説明書
  • 勤務時間の積上げ計算書
  • 大学院通学状況説明書

なお登録と同時に税理士事務所を開業する場合や、税理士法人を設立して社員税理士となる場合には事務所を設置する義務があるため、その確認として「税理士(法人)事務所の設置に関する書類」の提出が必要となります。具体的には建物の登記事項証明書や賃貸借契約書、建物の外観及び本拠となる場所を撮影した写真などを他の申請書類と併せて提出してください。

これらの必要書類を準備し、登録を受けようとする税理士事務所や税理士法人の所在地にある税理士会を経由して、日本税理士会連合会へ登録申請を行います。

面接

申請者が申請書類を提出した場合には、税理士会や支部の登録調査員によって「登録調査」が行われ、税理士登録の適否を判断します。税理士登録と同時に税理士事務所を開業する場合には、開業予定地の実地調査も行われることとなります。

登録調査には面接調査が含まれており、税理士会より面接実施日がはがきで通知されます。面接調査の内容としては、申請書類の内容確認に加えて「税理士登録の動機」「これまでの業務経験」「今後どのような税理士になりたいか」などの質疑応答が中心となります。すでに税理士登録の要件を満たした申請者に対する調査であるため、落とすための面接ではなく、あくまでも登録前の最終確認としての意味合いが強いといえます。

税理士登録の可否

税理士会や支部による登録調査が完了すれば、最後に日本税理士会連合会によって登録の適否に対する最終判断が下ります。

 

 

税理士登録の決定

税理士会で登録調査が実施され、面接も完了した場合には、登録の適否を判断したうえで日本税理士会連合会へ申請書類が進達されます。その後、進達を受けた日本税理士会連合会によって改めて調査が実施され、登録審査会において登録の適否に関する最終的な判断が下されることとなります。

一連の調査の結果、登録拒否事由に該当せず、税理士登録が適当と認められた場合には、税理士名簿に登録されるとともに氏名や登録番号が官報をもって公告されます。登録申請書を提出してから登録決定まではおおむね2~3ヶ月程度の期間を要することとなり、登録決定を受けるまでは税理士を名乗ることはできません。そのため登録申請中の期間において、名刺や看板、ホームページなどに「税理士」と記載することは税理士法違反に該当するためくれぐれもご注意ください。

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税理士登録が拒否される場合

「税理士となる資格」や「実務経験」の要件を満たしているケースでも、税理士法第24条の規定により以下のいずれかに該当する場合には税理士登録を受けることができません。

  • 懲戒処分により、弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の業務を停止された者または鑑定評価等業務を行うことを禁止された不動産鑑定士で、現にその処分を受けている者
  • 報酬のある公職に就いている者
  • 不正に国税や地方税の賦課あるいは徴収を免れ、もしくは免れようとした者で、その行為があった日から2年を経過しないもの(他者について免れさせ、または免れさせようとした者を含む)
  • 国税や地方税、会計に関する事務について刑罰法令に触れる行為をした者で、その行為があった日から2年を経過しないもの
  • 心身に故障があり、税理士業務を行わせることが適正を欠くおそれがある者
  • 税理士法第4条第4号~第11号の欠格条項に該当していた者が、規定年数を経過して登録申請をしたときに、税理士業務を行わせることが適正を欠くおそれがある者
  • 税理士の信用または品位を害するおそれがある者、その他職責に照らして税理士としての適格性を欠く者

 

公職に就いている場合や心身に故障がある場合を除き、基本的には税理士としての健全性や責任を十分に全うできないと想定されるケースについて、登録拒否事由に該当することとなります。

税理士登録するためにかかる費用

税理士登録を行う際には、以下のとおり様々な費用を負担しなければなりません。まとまった金額が必要となるため、登録申請を行う前に準備すべき資金を確認しましょう。

■全国共通

  • 登録免許税:6万円
  • 登録手数料:5万円

■税理士会

  • 入会金:4万円
  • 会館建設費:2万円
  • 税理士制度発展募金:1万円

※上記の費用については、各税理士会によって異なる場合があります。

■その他諸費用

  • 登録研修時テキスト代等:1万円程度
  • 各税理士協同組合連合会費用等:数千円
  • 名札代:実費

これらの費用が発生することにより、登録時には約20万円程度の資金が必要となります。

また税理士登録を行うことで、税理士会及び税理士会支部に対して年会費がかかります。地域によって金額は異なりますが、一般的には税理士会に対して約8万円、支部に対しては約3.6~6万円の年会費が発生し、毎年10~15万円程度の会費負担が生じることとなります。

準備をしっかり行い、税理士登録をスムーズに進めよう

税理士登録を行うためには、試験合格などの条件に加え、通算で2年以上の実務経験が必要となります。しかし実務経験要件を満たしたからといって直ちに登録する必要はなく、自らが税理士として働く決心がついた段階で申請手続きを開始することも可能です。申請要件や手続きの流れを理解し、自分自身のキャリアプランに照らし合わせて最適なタイミングで登録申請を行いましょう。

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よくある質問

税理士登録をするための要件は?

税理士試験合格者や試験免除者、弁護士や公認会計士の資格保有者として「税理士となる資格」を有することが求められます。さらに試験合格者や試験免除者に関しては、「通算で2年以上の実務経験」が必要です。

実務経験を計算する際の注意点は?

実務経験には税務や会計業務に従事した期間をカウントします。パートやアルバイトなどの非正規雇用、一般企業での勤務期間についても、業務内容によって実際に従事した勤務時間数を実務経験に含めることができます

登録申請の具体的な流れは?

申請書類を受理した税理士会は、面接を含む登録調査を実施します。その後日本税理士会連合会へ進達され、登録が適当と認められた場合には税理士名簿に登録されるとともに氏名や登録番号が官報をもって公告されます。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

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