税理士の平均年齢は高い?平均年齢が高くなる理由とは。

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税理士の平均年齢は高い?平均年齢が高くなる理由とは。

近年、税理士の高齢化が進んでいるとよく耳にします。
では、実際のところ税理士の年齢層の割合はどうなっているのでしょうか。

そこで本記事では

  • 税理士の平均年齢の割合
  • 税理士の平均年齢が高い理由

について解説していきます。

税理士の平均年齢は何歳?

税理士の過半数が60歳を超えており、平均年齢も60歳前後だと言われています。一方で若手税理士の割合は極めて少なく、特に20~30代の開業税理士に関しては全体の1割にも満たないと言われています。

現在の税理士業界における高齢化は一時的なものではなく、大きな制度改正等がない限りは今後も続くことが見込まれます。そのため、若手税理士にとってはこのようないびつな年齢構成を前向きに捉え、その「若さ」を自らの強みへと変えていくことが重要です。

税理士の平均年齢が高い理由

現状における税理士業界全体の平均年齢が高い理由としては、下図のとおりいくつかの要因が影響していると考えられます。

 

 

これらの要因の中には一般的な中小企業や個人事業主にも当てはまるものだけでなく、税理士業界特有の内容も含まれています。税理士業界の現状を正しく理解し、自らが税理士として長く活躍するためのポイントを探りましょう。

国税OBから税理士になる人が多い

国家公務員である「国税専門官」として一定年数以上の勤務経験を有する場合には、税理士試験における免除制度の適用を受けることが可能です。

国税専門官とは税務調査等を行う「国税調査官」、税金を滞納している納税者に対して督促や差し押さえなどの処分を行う「国税徴収官」、裁判所の許可を得て強制捜査を行う「国税査察官」の3つに分類されます。

これらの国税専門官として国税庁や税務署などで10年または15年以上勤務した場合には、税理士試験のうち税法3科目が免除されることとなります。さらに23年以上勤務した場合には、指定研修を修了すれば税理士試験の5科目すべてが免除され、税理士資格を取得できます。

国税専門官がこのような免除制度を活用して税理士資格を取得する場合、税務署等での長年にわたる勤務経験が必要であるため、自ずと資格取得時の年齢は高くなります。国税庁や税務署で23年以上勤務することで税理士資格を取得し、定年退職すると同時に「国税OB」や「税務署OB」をキャッチコピーとして自身の事務所を開業するケースも多いです。

長年の勤務経験に基づき、国税専門官の税理士登録や独立開業を可能とするこれらの免除制度の存在が、税理士の平均年齢が高いひとつの要因となっています。

税理士試験を受験する年齢が上がっている

税理士試験の受験者層からも、税理士業界の高年齢化の傾向を確認することが可能です。以下のグラフのとおり、令和2年度における税理士試験に関しては、41歳以上の受験者が約37%超の割合を占めています。このことから税理士業界においては税理士登録者だけでなく、受験者の年齢層も高いことが伺えます。

 

受験者層の高年齢化については、税理士試験の試験制度自体に原因があると考えられます。
税理士試験には「科目合格制度」が設けられており、最終的に5科目合格を果たした場合に税理士登録への道が開けます。毎年1~2科目程度を受験するケースが一般的であり、多くの受験者は何年もかけて1科目ずつコツコツと科目合格を積み上げていきます。長い年月をかけて税理士試験を突破することとなるため、毎年受験を繰り返すうちに年齢を重ね、税理士登録を果たす頃には一定の年齢に達するケースが多くなります。

定年退職がない

一般的な中小企業の経営者や個人事業主に関しては定年退職がないため、心身ともに健康な状態を保つことができれば、いつまでも働き続けることが可能です。開業税理士も例外ではなく、自らがリタイアする意思がない限りは現役税理士として活動できます。

特に一般的な税理士事務所では、税務顧問契約を締結している顧客を抱えているケースも多く、その顧問契約の期間が長いほど顧問先との関係性も深くなります。自社の経営状況や内情を理解している顧問税理士への信頼感だけでなく、高齢の税理士と同世代の経営者も多いことから環境の変化を避ける傾向にあり、税理士変更そのものを嫌がるケースも多いです。
そういった顧問先からの要望により、税理士側もなかなかリタイアできない状況になっていきます。

開業税理士の場合には定年という概念がなく、顧問契約によって顧客との結びつきが強くなりやすい業種であることから、高齢になっても税理士業務を継続するケースが多いのが現状です。

跡継ぎがいない

昨今の日本においては経営者の高齢化が顕著であり、後継者問題を抱える中小企業や個人事業主が急増しています。

税理士業界も例外ではなく、高齢の税理士が所長を務める税理士事務所では、事務所の跡継ぎが死活問題となっている事例も多々あります。税理士事務所の場合、跡継ぎとなる人物は有資格者でなければならないため、後継者探しのハードルはより一層高まります。

特に小~中規模の税理士事務所では所長以外に税理士が在籍していないことも多く、所長税理士の子供など、親族内承継を望むケースが一般的です。しかし、子供や孫に事務所を継ぐ意志がない場合や、税理士試験に合格できない場合には事務所の後継者問題が解消せず、所長税理士はいつまでもリタイアできない状況へ陥ってしまいます。

後継者問題を抱える税理士事務所も増えており、近年では跡継ぎのいない税理士事務所のM&A事例も次第に増加しています。

若手税理士の割合は少ない

高年齢化が進む税理士業界においては、相対的に若手税理士の割合が少なくなっています。
しかしこのような状況を正しく理解することで、数少ない若手税理士にとってはビジネスチャンスとして捉えることも可能です。これからの税理士としてのニーズや存在価値を見据えることで、自らが採るべき戦略や方向性を検証しましょう。

若手税理士とは何歳までのことを指すのか

「若手税理士」という言葉に明確な定義はありませんが、一般的には20~40代の税理士を指します。中でも20~30代の開業税理士はごく少数であり、20代で独立開業している税理士に関しては全体の1%にも満たないと言われています。

税理士試験合格までの所要年数や税理士業務における実務経験の重要性を考慮すると、20~30代で独立を決意し、実際に開業に至るケースは極めて少数であると考えられます。早期に税理士資格を取得することの難しさだけでなく、中小企業や個人事業主の数が減少する中で「自分が独立開業して十分に食べていけるかどうか」という不安もあるからです。複数の要因が相まって、開業税理士として活動する若手税理士が少なく、業界全体の高年齢化が促進しているものと予測されます。

若手税理士の強みとは

独立開業している若手税理士の割合が少ないからといって、若い世代にとって税理士そのものが将来性のない資格であるというわけではありません。下図のとおり若さを活かしたビジネスモデルを構築し、ベテラン税理士との差別化を図ることも十分可能です。

 

 

「将来税理士の仕事はAIによってなくなる」というネガティブな意見もありますが、実際には単純作業をAIに任せ、税理士はより専門性の高い業務に専念する「AIとの分業」が潮流となっていくことでしょう。ITやAIに抵抗の少ない若い世代にとっては、それらの最新技術を積極的に取り入れることで、高年齢化の進む税理士業界で競合他社との差別化を図りやすくなります。

若い世代の経営者ほどクラウド会計やオンラインストレージ、コミュニケーションツールなどの活用でバックオフィス業務全体の効率化に対するニーズが高まる傾向にあります。若手税理士が最新のテクノロジーに柔軟に対応することにより、同世代の若手経営者の需要を取り込みやすくなります。

一般的に若い世代の方が世の中の変化や流行に敏感であり、若手税理士に関しても時代の流れを先取りして業務に取り入れることで新たな強みを生み出すことが可能です。具体的にはTwitterやインスタグラムなどのSNS、YouTubeなどの動画配信を積極的に活用することで、競合相手の少ない環境で集客や知名度アップに取り組むこともできます。

高年齢化が進む税理士業界だからこそ、若さそのものが差別化につながる稀有な市場環境が成り立っています。「若手=経験が浅い」とネガティブな印象を持たれるケースもありますが、既存の固定概念に囚われない働き方を目指しやすい傾向にあります。ベテラン税理士と同じ仕事をすれば経験不足だとしても、自らの強みを活かして異なる業務領域を開拓すればその弱みは打ち消すことができます。

ベテラン税理士と同様の戦略や取り組みを行うのではなく、新たな方向性を模索することでキャリアアップの可能性は大きく広がっていきます。若手税理士は「既存の税理士業務」に依存することなく、「時代に合った新たな税理士像」を追求することで若さを自らの強みへと変換し、活躍の場を創出しましょう。

税理士業界の平均年齢は高く、若手が活躍しやすい環境

さまざまな要因で税理士の平均年齢は非常に高く、今後もこのような傾向は続いていくものと考えられます。

一方で若手税理士の割合は少ないので、数少ない存在としてビジネスチャンスが広がっていると言えます。若手税理士だからこそベテラン税理士とは違った特徴があり、その違いを税理士業務において発揮することで自分自身の強みとなり、競合他社との差別化を図ることができます。

時代の流れや最新技術にアンテナを張り、顧客のニーズに対して柔軟に対応することで若手税理士としての新たな価値を創造しましょう。

よくある質問

開業税理士の平均年齢は?

開業税理士の平均年齢は60歳を超えていると言われています。その一方で20~30代で開業税理士として活動する税理士の割合は1割にも満たないと考えられており、税理士業界全体の高年齢化が顕著となっています。

平均年齢が高い理由は?

国税専門官として一定年数勤務することで税理士試験の免除制度が適用されることや、税理士試験合格までの所要年数が長いことが挙げられます。また定年がないことや跡継ぎがいないことも要因として考えられます。

若手税理士としての強みは?

最新の税制に対する習熟度だけでなく、AIやITツールの活用による顧客ニーズへの対応力や、SNSやYouTubeなどを用いた集客活動など、時代の流れを敏感に察知した事業展開に長けている点が挙げられます。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

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