現在、集客手法にはインターネットを利用したものなど数多くありますが、昔からの営業手法の一つにチラシでの集客方法があります。税理士業界でもチラシはまだまだ使われていますが、実際にチラシを作るとなると作成方法やコストに対する効果はどうなのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、チラシ利用の目的や作り方、作成の判断軸などを解説していきます。
目次
税理士が広告としてチラシを利用する目的とは
広告には「プッシュ型」と「プル型」の2種類あり、チラシは「プッシュ型広告」に該当します。「プッシュ型広告」は「攻めの広告」とも言われており、テレビCMやメールマガジンなど、不特定多数に対し、自分から積極的に情報発信する手法です。
それに対して「プル型広告」は、適切な場所に広告を配置し、特定のニーズを持った潜在顧客を待ち構える手法を指し、リスティング広告などの検索連動型広告が該当します。これらはどちらか一方が有効というものではなく、状況に応じた使い分けが重要になっています。
税理士が集客を行う場合では、「プル型広告」としてホームページを作成するだけでは十分ではありません。事務所の概要や強みなどを記載したチラシを「プッシュ型広告」として活用することによって、事務所の認知度向上やブランディングを行い、ホームページへの誘導が可能となります。
営業チラシのメリット・デメリット
集客において、チラシで営業活動を行う場合のメリットやデメリットは以下のとおりです。
営業チラシのメリットとは
税理士が営業チラシを作成する場合、以下のメリットがあります。
- 事務所の概要や業務内容、強みについて広く発信できる
- 配布先を選定することで、見込み客へ訴求できる
- 定期的に配布することにより、信頼関係を築きやすい
- 内容に興味を持った場合、保存してもらえる
税理士事務所を開業しただけでは、事務所の存在にすら気づいてもらうことができません。チラシ広告を活用することで、配布先に対して事務所の存在を周知するだけでなく、発信したい情報を視覚的にわかりやすく伝えることができます。
また相続業務を専門とする場合には個人宅へ、中小企業をターゲットとするならば会社宛というように、掲載する内容に合わせて配布先を選定すれば、チラシ広告の効果をより得やすくなります。特にシニア層へ情報発信を行う場合など、チラシのような紙媒体の方がより効果的に訴求できるケースも少なくありません。
なお税理士事務所によっては、見込み客に対し、毎月のニュースレターを配布するケースもあります。定期的な情報発信を通じて見込み客とのつながりを保つことで、いざ税理士が必要となった場合には受注の可能性を高めることができます。
すぐに受注できなかったとしても、相手先が内容に関心を持った際にはチラシを保存し、後日税理士が必要となった場合に連絡してもらえる可能性もあるでしょう。
営業チラシのデメリットとは
営業チラシを作成するデメリットには、以下の内容が挙げられます。
- チラシの作成や配布にコストがかかる
- 内容に変更や修正が必要になった場合には作り直しが必要
- 反応率が低い
詳しい金額については後述しますが、チラシ作成や配布に際し、外部サービスを利用する場合にはそれぞれ費用が発生します。税理士の場合には、チラシに税務情報を記載するケースもありますが、税制改正などによって変更が生じた際には、その都度新たな内容へと作り替えなければなりません。
チラシの反応率は0.01~0.3%と言われており、10,000枚配布して1~30件の反応が得られる程度が一般的とされています。広告については、一目見てわずか3秒程度で自分に必要な情報かどうか選別すると言われており、チラシの反応率を高めるためにはデザイン制作や配布先の選定を慎重に行いましょう。
税理士用のチラシの作成方法
税理士がチラシを作成する場合には、主に以下の2つの方法があります。
チラシ作成を外注する
チラシの作成を外注する場合には、デザイン会社や広告代理店、あるいはクラウドソーシングを活用してフリーランスのデザイナーに依頼することが一般的です。ただし外注先に士業広告の実績がない場合、原稿自体は自分で用意しなければならないケースも多いため、注意しましょう。
自分で文章を考えることが苦手な場合には、士業での集客実績が豊富な制作会社へ依頼することをお勧めします。
自分でチラシを作成する
自分でチラシを作成する場合には、主に以下の2つの方法があります。
- テンプレートを使って作成するWebサイト
- オンラインサービス
一般的にはあらかじめ用意されたテンプレートに基づいて作成するケースが大半です。「Microsoft Office」や「PIXTA」などのWebサイトでは、チラシ用のテンプレートをPowerPointやWordデータとしてダウンロードすることができるため、初心者でも比較的容易に作成できるでしょう。
ネット印刷の「ラクスル」やデザイン公開ツール「Canva」(キャンバ)などのオンラインサービスでも同様に、テンプレートを用いた自由なチラシ作成が可能です。
これらの方法によってチラシを作成することで、デザインから印刷までの工程を自分で行うことができます。
税理士のチラシ作成にかかる費用
チラシ作成に必要な費用としては、それぞれ以下のとおりです。
外部にチラシ作成を依頼する場合
チラシ作成を外注する場合には、主に以下の費用が発生します。
- デザイン料:約1.5万円~8万円
- 原稿料:約2万円~4万円
- 印刷費:1部あたり約5円~15円
デザイン料については、人気のデザイナーや大手の広告代理店であれば高額となるため、費用を抑えたいならフリーランスのデザイナーに依頼することも検討しましょう。
原稿料については、自分で文章を作成することで費用負担を軽減することが可能です。
チラシ作成にかかる全体的な費用としては、フリーランスのデザイナーであれば5万円、広告代理店では15万円前後が目安となります。
フリーランスに依頼する場合は、フリーランス向けマッチングサービスの利用が便利です。
自分でチラシを作る場合
自分でチラシを作成する場合、無料のテンプレートなどを利用すれば、デザイン料や原稿料は発生しません。この場合には印刷費のみの負担となります。
税理士がチラシを作成するときのポイント
チラシを作成する場合には、闇雲に情報を掲載しても効果的なチラシは作成できません。
自分でチラシを作成する場合には、特に以下の点を意識しましょう。
チラシを作るときの考え方
まず「5W1H」の観点からターゲットを明確にしましょう。
「5W1H」とは、「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字です。
たとえば税理士の場合には、以下のように応用します。
- Who(誰が) = シニア層が
- When(いつ) = 子供が帰省した際に
- Where(どこで) = 自宅で
- What(何を) = 相続対策を
- Why(なぜ) = 高齢のため
- How(どのように) = 比較検討する
これらのターゲット像をもとに、税理士としての業務内容を記載するのではなく、「なぜ他の税理士ではなく、あなたへ依頼すべきなのか」をアピールしましょう。
チラシデザインのポイント
チラシを作成する際には、一目見て情報がしっかりと伝わるように、見やすくてインパクトのあるデザインを心掛けましょう。配色や書体を変えるだけでも、親しみやすさやメリハリを演出することが可能です。ただし、これらに統一感がないと煩雑な印象を与えるため、全体を俯瞰してチェックする必要があります。
デザイン制作では、情報を盛り込みすぎないことに注意しましょう。
チラシですべてを伝えようとすると情報が増えすぎて、かえって読み手に伝わりづらくなってしまいます。「見る人の視点」に立ち、チラシに掲載する情報は絞り込むことをお勧めします。
税理士の場合には「商品」が存在しないため、専門家としての信頼を得ることが重要です。顔写真だけでなく、自らの経歴や人物像など、読み手に安心感が伝わる情報を載せるとよいでしょう。
チラシ作成を決めたら、効果の上がるものを目指しましょう
今回は税理士のチラシ営業について解説しました。
近年ではインターネットを活用した集客も増えていますが、依然としてチラシ広告も効果的な営業手法です。チラシ営業のメリットやデメリットに基づき、チラシを作成することの費用対効果を踏まえ、実行するかどうかの意思決定を行いましょう。
チラシ営業を行う場合には、まずターゲットを明確にし、掲載した内容が読み手にしっかりと伝わるよう、効果的なチラシ作りを心掛けてください。
よくある質問
チラシ営業のメリットは?
チラシ営業を行うことで自分の情報を広く発信できることや、定期的に配布することで見込み客との信頼関係を構築しやすいなどのメリットがあります。
チラシ作成にかかる費用は?
チラシ作成を外注する場合、フリーランスのデザイナーであれば5万円、広告代理店やデザイン会社であれば15万円前後が目安となります。
チラシ作成時に意識するポイントは?
まずターゲットとなる読み手をイメージにしましょう。ターゲット像については、Who、When、Where、What、Why、Howの「5W1H」をもとに検討することをお勧めします。