「そろそろ独立したい。ただ、何をいつから始めればよいのか分からない」
独立開業を考え始めた税理士の方から、こうした声をよく耳にします。
開業に必要な手続きや準備は多岐にわたります。そのほとんどが「初めての経験」であるうえに、周囲に開業経験者がいなければ、判断の基準そのものが手元にない状態から始めることになります。
そこで参考になるのが、実際に開業した税理士がどのようなスケジュールで、何に迷いながら準備を進めたのかという「実態」です。
本記事では、開業準備を検討期・直前期・開業直後の3つのフェーズに分け、それぞれの段階でやるべきことと、実際の開業事務所が直面した課題を整理します。
マネーフォワードが開業税理士120名を対象に実施したアンケート調査のデータも交えながら解説しますので、ご自身の準備計画を立てる際の参考としてご活用ください。
ご開業を検討中の方へ
税理士の独立開業準備はいつから始まる?
結論からお伝えすると、開業の1年前から準備に着手することをおすすめします。
マネーフォワードが開業税理士を対象に実施した実態調査でも、開業に関する情報収集を始めたタイミングは「開業の6〜12ヶ月前」が全体の50%超を占めており、多くの方が1年近くをかけて準備を進めていることが分かります。
一方で、この調査では興味深い傾向も見えています。情報収集は6ヶ月前から始めているものの、本格的な準備の着手と開業日の決定は「3ヶ月前」が最も多いという結果です。つまり、「なんとなく考え始める期間」と「具体的に動き出す期間」の間には、数ヶ月のギャップがあるのが実態といえます。
このギャップ自体は悪いことではありません。事務所の方向性をじっくり固めるための時間だからです。ただし、情報収集の期間を持たないまま短期決戦で開業に踏み切ると、後述するトラブルを招きやすくなります。
準備期間に時間をかけたほうが良い理由
税理士事務所の開業で、やるべきことは多岐に渡ります。
準備期間に時間をかけたほうが良い4つの理由
- 01
税理士登録の手続きに時間がかかるため - 02
顧問先はすぐには増えないため - 03
勤務先との調整に配慮が必要なため - 04
判断の質が上がるため
1. 税理士登録の手続きに時間がかかるため
勤務税理士から開業税理士へ移行する場合、税理士名簿の登録事項の変更手続きが必要です。新規に登録する場合、東京税理士会では申請から登録決定までに最短でも2ヶ月程度かかるとされており、書類に不備があればさらに延びます。
面接調査の日程が月に一度しか設定されていない支部もあるため、想定どおりに進まない可能性も見込んでおく必要があります。
開業日を先に決めてしまうと、この手続き期間が思わぬボトルネックになります。
2. 顧問先はすぐには増えないため
開業初月から十分な顧問料収入が立つケースは、決して多くありません。紹介の依頼、Webサイトの整備、面談の実施といった集客の仕込みには、どうしても時間がかかります。開業してから集客を始めるのではなく、準備期間中に見込み顧客との接点をつくっておけるかどうかが、1年目の資金繰りを大きく左右します。
3. 勤務先との調整に配慮が必要なため
退職の申し出、業務の引き継ぎ、有給休暇の消化。いずれも自分だけの都合では決められません。繁忙期を避けようとすれば、退職時期は自ずと限定されます。円満に退職できるかどうかは、開業後の紹介ルートにも影響します。
4. 判断の質が上がるため
事務所の場所、会計ソフト、顧問料の設定。開業準備では大小さまざまな意思決定が続きます。時間に余裕があれば複数の選択肢を比較検討できますが、期限に追われた状態では「とりあえず前職と同じもの」を選びがちです。
ゆとりを持って準備を進めることは、質の高い判断・意思決定につながります。
準備不足のまま開業をした場合のトラブル
準備期間が十分に取れないまま開業に踏み切ると、次のような問題が起こりやすくなります。
開業日が後ろ倒しになる
前述のとおり、税理士登録や変更登録の手続きには相応の期間を要します。「この日から開業する」と対外的に告知したにもかかわらず、手続きが完了せずに業務を開始できない、という事態は避けなければなりません。
開業直後の売上が立たない
集客の仕込みが間に合わないまま開業すると、顧問先ゼロの期間が長引きます。売上がない状態でも、税理士会の会費、ソフトの利用料、事務所の家賃といった固定費は発生し続けます。
実態調査でも、開業準備で最も苦労したこととして「集客・顧客獲得」が最多に挙げられています。
選定の失敗が後から効いてくる
会計ソフトや業務フローは、一度決めると簡単には変更できません。顧問先が増えてから移行するとなれば、データ移行の負担も、顧問先への説明コストも大きくなります。焦って選んだ結果を長く引きずることになります。
前職との関係が悪化する
引き継ぎが不十分なまま退職すると、前職との関係に禍根を残します。実態調査でも「退職・引き継ぎ」は、開業準備で苦労したことの上位に挙げられている項目です。前職の同僚や上司は、開業後の紹介ルートにもなり得る存在です。
丁寧な引き継ぎのための時間は、確保しておくべき投資と考えましょう。
税理士の開業の実態|3つのフェーズに分けて解説
開業準備は、大きく3つのフェーズに分けて考えると整理しやすくなります。
開業準備の3つのフェーズ
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検討期 (開業12〜6ヶ月前)方向性を決める
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直前期 (開業6〜1ヶ月前)手続きと環境を整える
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開業直後 (1年目)事業として回す
それぞれのフェーズで、何を優先すべきかを見ていきましょう。
フェーズ①:検討期
情報収集を始め、独立するかどうか、するとしてどんな事務所にするかを固めていく段階です。ここでの解像度が、後続の判断すべてに影響します。
独立の目的と目指す事務所像を言語化する
最初に取り組むべきは、「なぜ独立するのか」「どんな事務所にしたいのか」を言葉にすることです。
抽象的に思えるかもしれませんが、これは実務上きわめて重要な工程です。目指す事務所像によって、その後の意思決定がすべて変わってくるからです。
たとえば実態調査では、開業を決断した際に描いていた事務所像として「自由なライフスタイルを確立したい」という自由志向が7割超を占め、「顧客獲得を進めて事務所を大きくしていきたい」という拡大志向を大きく上回りました。そして、この志向の違いは、開業後1年間で目指す顧問先の獲得件数にもはっきりと表れています。
同じ「独立」でも、目指す方向が違えば適切な目標件数は変わります。他人の目標をそのまま持ち込んでも意味がありません。
次の問いに、自分の言葉で答えてみてください。
- 独立して実現したいことは何か(収入、働き方、専門性、裁量など)
- 誰を顧問先にしたいのか(業種、規模、地域、フェーズ)
- 人を雇うのか、一人で完結させるのか
- 5年後、どのくらいの規模になっていたいのか
ランニングコストのシミュレーション
方向性が見えたら、数字に落とします。開業時にかかる初期費用だけでなく、毎月発生し続けるランニングコストを把握することが重要です。
主な費目は次のとおりです。
| 区分 | 主な費目 |
|---|---|
| 事務所関連 | 家賃、水道光熱費、通信費 |
| 業務関連 | 会計・税務ソフト利用料、複合機リース料、書籍・データベース代 |
| 会務関連 | 税理士会・支部の年会費、政治連盟会費など |
| 保険・税金 | 国民健康保険料、国民年金保険料、住民税、事業税 |
| 営業関連 | Webサイト維持費、名刺・パンフレット制作費 |
| その他 | 損害賠償責任保険料、税理士賠償責任保険料 |
見落としやすいのが、開業直後の税・社会保険の負担です。勤務時代の所得に対する住民税や、給与天引きから切り替わった国民健康保険料の支払いは、売上が立つ前から発生します。
そのうえで、「売上がゼロでも何ヶ月生活できるか」を計算しておきましょう。生活費を含めた必要資金が見えて初めて、融資を受けるかどうかの判断ができます。なお実態調査では、開業時に融資を受けたかどうかについても回答を得ていますが、その割合は多くの方の想定とは異なるかもしれません。
勤務先との関係を整理する
検討期のうちに、勤務先との関係についても方針を決めておきます。
- 退職の申し出時期:就業規則を確認し、繁忙期を避けた現実的な時期を設定する
- 顧問先の取り扱い:担当していた顧問先を引き継ぐのか、一切持ち出さないのか。競業避止に関する取り決めの有無も含めて確認する
- 引き継ぎの範囲:後任者への説明、資料の整理にどれだけの期間が必要か
特に顧問先の取り扱いは、感情的なトラブルに発展しやすいポイントです。契約や規程を確認したうえで、早い段階で誠実に相談することをおすすめします。
フェーズ②:直前期
開業日を決め、実際に業務を開始できる状態を整える段階です。実態調査では、本格的な準備の開始と開業年月日の決定はいずれも「3ヶ月前」が最多でした。この時期は、やるべきことが一気に増えます。
登録手続きを進める
開業形態に応じた登録手続きを行います。勤務税理士から開業税理士になる場合は変更登録、これから税理士登録をする場合は新規登録の申請が必要です。
必要書類は多く、勤務先から発行してもらう在職証明書など、自分だけでは完結しないものも含まれます。書類の準備にどれくらいかかるかを逆算し、余裕を持って着手してください。
あわせて、税務署への開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)、青色申告承認申請書などの提出も必要です。提出期限が定められているものもあるため、リスト化して管理しましょう。
事務所を構えるか、自宅開業かを決める
事務所形態の選択は、固定費に直結する重要な判断です。
| 形態 | メリット | 留意点 |
|---|---|---|
| 自宅開業 | 固定費を抑えられる。通勤時間がない | 来客対応が難しい。公私の切り替え。住所公開の問題 |
| 賃貸オフィス | 信用力が高い。来客対応がしやすい | 家賃・保証金の負担が大きい |
| レンタルオフィス | 初期費用を抑えつつ住所を確保できる | 面積・設備の制約。契約条件の確認が必要 |
なお、税理士事務所の設置については税理士法上の要件があり、税理士会によって取り扱いが異なる場合があります。自宅を事務所とする場合の要件は、所属予定の税理士会に事前確認しておくと安心です。
実態調査では、独立開業時の事務所形態についても回答を集計しています。どの形態が実際に選ばれているかを知っておくと、判断の参考になるはずです。
屋号・Webサイト・名刺などを整える
対外的な準備も直前期の仕事です。
- 事務所名称:名称の付け方には税理士会ごとに取り扱いがあるため、事前に確認しましょう
- ロゴ・名刺:開業初日から必要になります。挨拶回りの分量を見込んで部数を決めます
- Webサイト:問い合わせの受け皿であると同時に、紹介を受けた相手が最初に見る「プロフィール」でもあります
Webサイトについては、実態調査でも大半の事務所が開設していると回答しています。一方で、その多くが自作という結果も出ており、準備で忙しい時期にサイト制作へ相当の労力を割いている実態がうかがえます。外注するか自作するかは、早めに決めておきたい論点です。
会計システムを選ぶ
会計・税務ソフトの選定は、開業準備の中でも影響範囲が特に広い意思決定です。日々の業務効率だけでなく、顧問先に提案できるサービスの幅そのものを規定します。
実態調査では、検討していた会計ソフトの80%がクラウド型という結果が出ています。決定のタイミングは開業3ヶ月前が最多で、開業1〜3ヶ月前に決めた方が67.5%を占めました。
注目したいのは、選定理由に表れた違いです。オンプレミス型を導入した事務所では「慣れ・経験」が理由の上位に挙がる一方、クラウド型を導入した事務所では「機能・使いやすさ」に加え、「クラウド志向」=場所を選ばない働き方や将来性といった経営ビジョンに基づく判断軸が上位に入っています。
前述のとおり、開業を決断した方の7割超が「自由なライフスタイルの確立」を志向していることを踏まえると、この結果は自然な流れといえます。事務所の在り方から逆算してソフトを選ぶ、という考え方です。
マネーフォワード クラウドは、会計・確定申告・請求書・給与・経費など、バックオフィス業務のデータを連携して効率化するクラウドサービスです。士業事務所では54,000人を超える方にご利用いただいており、実態調査においても、開業時に検討・導入された会計ソフトとして上位に挙げられています。
顧問先との情報共有や、場所にとらわれない働き方を前提とした事務所運営を考えている場合は、選択肢のひとつとしてご検討ください。
フェーズ③:開業直後(1年目)
開業がゴールではありません。1年目は、事務所を事業として回す仕組みをつくる期間です。
集客の仕組みをつくる
実態調査によれば、開業後に行った顧問先獲得の手法として最も多かったのは「知人からの紹介」でした。次いで、税理士紹介サービス経由での獲得が続きます。
つまり、開業直後の顧客獲得は人的ネットワークが主軸になるということです。ただし、紹介を待っているだけでは件数が読めません。次のような取り組みを並行させ、複数のチャネルを育てておくことが重要です。
- 前職の関係者、同期、士業仲間への開業挨拶
- 提携先の開拓(社労士、司法書士、行政書士、金融機関など)
- 税理士紹介サービスへの登録
- Webサイトでの情報発信、SNSでの発信
- 異業種交流会や地域の経営者団体への参加
どの手法にも、費用対効果と手間の面で一長一短があります。すべてを同時に始めるのではなく、自事務所のターゲット顧客がどこにいるかを考えて優先順位をつけましょう。
顧問料を設定する(料金表をつくる)
顧問料の設定は、多くの開業税理士が悩むポイントです。相場が公開されにくく、判断材料が少ないためです。
設定の考え方としては、次の順序が現実的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ①必要売上を逆算する | ランニングコスト+生活費+税金から、年間で必要な売上を算出する |
| ②対応可能件数を見積もる | 一人で対応できる顧問先数と、1件あたりにかけられる時間を把握する |
| ③1件あたりの単価を導く | 必要売上 ÷ 対応可能件数で、下限となる単価が見えてくる |
| ④業務範囲で階段をつくる | 訪問頻度、記帳代行の有無、年末調整や決算申告の扱いなどで段階を設ける |
そのうえで、料金表を作成し、明示することをおすすめします。都度見積もりは価格交渉を招きやすく、安値で受けた案件が長期的に事務所を圧迫します。値付けは、顧問先を選ぶための機能でもあります。
業務フローを標準化・効率化する
顧問先が増え始めると、業務量の増加に対応しきれなくなる時期が訪れます。件数が少ないうちに、業務の型をつくっておきましょう。
- 資料回収から月次報告までの流れを固定する
- 契約書、チェックリスト、報告書のテンプレートを整える
- 顧問先とのやり取りの手段を統一する(メール、チャット、共有フォルダなど)
- 記帳や証憑処理を自動化できる部分を洗い出す
一人事務所であっても、業務フローの標準化は有効です。作業の判断コストが減り、本来注力すべき相談対応や提案に時間を振り向けられるようになります。
開業準備でつまずきやすいポイント
ここまで準備の流れを見てきましたが、実際に開業した方が「苦労した」と回答している領域には、明確な傾向があります。特につまずきやすい3つのポイントを押さえておきましょう。
開業準備でつまずきやすいポイント
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01
集客・営業を後回しにする
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02
売上入金までのタイムラグと資金繰り
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03
相談をせずに一人で抱え込む
①集客・営業を後回しにする
最も多くの方がつまずくのが、集客・営業です。
実態調査では、開業を検討し始めた際に不安だったこととして「顧問先の獲得・営業活動」が約8割と突出して多く、実際に準備を進める上で最も苦労したこととしても「集客・顧客獲得」が最多でした。検討段階の不安が、そのまま現実の課題になっていることが分かります。
さらに、「本格的な準備を始めた際に収集に苦労した情報」でも集客・営業方法が最多で、特に再現性のある具体的な情報が手に入りにくいという声が集まっています。
集客が後回しになりやすいのには理由があります。登録手続きや事務所の契約と違って締切がなく、しかも「税理士としての専門性さえあれば何とかなる」と考えてしまいがちだからです。
対策はシンプルです。準備期間中から、開業を伝える相手のリストをつくり、実際に会う予定を入れておくこと。開業してから動き出すと、最初の数ヶ月が空白になります。
②売上入金までのタイムラグと資金繰り
見落とされやすいのが、契約から入金までの時間差です。
顧問契約を締結しても、報酬の入金は翌月以降になるのが一般的です。決算料など単発の報酬も、業務完了後の請求になります。つまり、顧問先を獲得できたとしても、手元の資金がすぐに増えるわけではありません。
一方で、支出は開業前から始まっています。登録費用、税理士会の会費、ソフトの利用料、事務所の初期費用。さらに前述のとおり、勤務時代の所得に基づく住民税や国民健康保険料の負担も重なります。
対策として、次の3点を押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運転資金の見積もり | 生活費を含めた運転資金を、月次で6ヶ月分以上見積もる |
| 融資を受けるか開業前に判断する | 日本政策金融公庫の創業融資などは、開業後に実績がない状態で申し込むより、事業計画を持って早めに相談したほうが進めやすい場合があります |
| 報酬の回収サイクルを契約時に決める | 口座振替やクレジットカード決済を導入し、回収の手間と遅延リスクを減らす |
なお実態調査では、開業時に融資を受けた事務所の割合と調達額の分布も明らかになっています。自分の資金計画が一般的な水準からどれだけ離れているかを知るうえで、参考になるデータです。
③相談をせずに一人で抱え込む
3つ目は、相談相手がいないまま判断を重ねてしまうことです。
実態調査でも、開業準備で苦労したこととして「複業での相談相手不足」といった声が挙がっています。勤務時代であれば所長や先輩に確認できたことも、独立後は自分で決めるしかありません。
問題は、判断を誤ることそのものよりも、判断に時間がかかりすぎることです。事務所形態、会計ソフト、顧問料、集客手法。どれも正解が一つに定まらない問いであり、一人で考え込むと堂々巡りになります。
実際、実態調査における情報収集手段は「インターネット検索」に次いで「同業者・先輩税理士からのアドバイス」が多く、開業検討段階でも本格準備段階でも、この構図は変わりませんでした。開業経験者の話を聞くことが、最も実用的な情報源になっているということです。
とはいえ、身近に開業した税理士がいるとは限りません。その場合に有効なのが、他の開業事務所の実態をデータとして参照する方法です。
- 他の事務所は、いつから準備を始めたのか
- どんな不安を抱え、実際には何に苦労したのか
- 事務所形態や資金調達を、どう判断したのか
- 顧問先を、どの経路で獲得したのか
こうした情報を先に把握しておけば、自分の判断がどれだけ一般的なのか、どこが独自の判断なのかを切り分けられます。判断の速度は、比較対象を持っているかどうかで大きく変わります。
【無料DL】先輩事務所のリアルな声をまとめた資料のご紹介
ご開業を検討中の方へ
マネーフォワードでは、開業税理士のみなさまを対象にアンケート調査を実施し、その結果を資料「開業税理士の実態調査|データで見る成功への道のりと先輩税理士の本音」としてまとめています。
本記事でも一部のデータを紹介しましたが、資料では開業検討〜準備開始/本格的な開業準備/開業直前〜開業後の3つのフェーズごとに、調査結果の全体像を掲載しています。
資料の主な内容
- 開業を検討し始めたきっかけと、描いていた事務所像
- 情報収集を始めたタイミングと、その手段
- 開業後1年間で目指していた顧問先の獲得件数
- 開業準備の段階で不安だったこと/実際に苦労したこと
- 会計ソフトを決めたタイミング・種類・選定理由
- 独立開業時の事務所形態
- 融資の有無と調達額
- 開業後に実際に行った顧問先獲得の手法
- Webサイトの制作状況と手段
このような方におすすめです
- 開業準備をいつから始めればよいか、目安を知りたい方
- 自分の準備の進め方が一般的な水準と比べてどうかを確認したい方
- 開業した税理士が、実際に何に苦労したのかを知っておきたい方
- 事務所形態や資金調達の判断材料がほしい方
資料は無料でダウンロードいただけます。開業準備の全体像を把握し、早めに手を打つための材料としてご活用ください。
まとめ
税理士の独立開業は、準備に着手するタイミングが結果を大きく左右します。本記事の要点を整理します。
- 準備は開業の1年前から。実態調査でも、情報収集の開始は開業6〜12ヶ月前が50%超を占め、本格的な準備の開始は3ヶ月前が最多だった
- 検討期には方向性を固める。目指す事務所像によって、目標件数も必要な準備も変わる
- 直前期は手続きと環境整備。税理士登録には相応の期間がかかるため、逆算した進行が必要
- 開業1年目は仕組みづくり。集客チャネル、料金表、業務フローの3点を早期に整える
- 最大の課題は集客。約8割が開業前から不安を抱え、実際に苦労したことでも最多だった
- 判断に迷ったら、他事務所の実態を参照する。比較対象があるだけで、意思決定の速度は変わる
開業準備で必要なのは、完璧な計画ではなく、全体像を把握したうえで優先順位をつけることです。先に開業した事務所がどう動いたかを知ることは、そのための近道になります。
また、独立・開業を検討している方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
よくある質問
税理士の独立開業準備は、どのくらい前から始めるべきですか?
1年前からの着手をおすすめします。実態調査では、開業に関する情報収集を始めたタイミングとして「6〜12ヶ月前」が50%超を占めました。
税理士登録の手続きに要する期間、退職・引き継ぎの調整、集客の仕込みを考えると、それだけの期間があると安心です。
開業準備で最初に取り組むべきことは何ですか?
「独立の目的」と「目指す事務所像」を言語化することです。事務所の方向性によって、目標とする顧問先件数、事務所形態、必要な資金、選ぶべきツールがすべて変わります。
ここが曖昧なまま個別の準備を進めると、判断が場当たり的になります。
自宅開業と賃貸オフィス、どちらを選ぶべきですか?
固定費、来客対応の必要性、住所公開の可否から判断します。実態調査では独立開業時の事務所形態についても集計しており、実際にどの形態が選ばれているかを確認できます。
なお、事務所要件は税理士会によって取り扱いが異なる場合があるため、所属予定の税理士会への事前確認をおすすめします。
開業時に融資は受けるべきですか?
一律の正解はありませんが、生活費を含めた運転資金が6ヶ月分以上確保できているかが一つの目安になります。融資を検討する場合は、事業計画を準備したうえで開業前に相談を始めるほうが進めやすいケースが多いです。
実態調査には、融資の有無と調達額の分布も掲載しています。
また、税理士開業の融資についてはこちらの記事をご参照ください。
開業直後は、どうやって顧問先を獲得すればよいですか?
実態調査では「知人からの紹介」が最も多く、次いで税理士紹介サービス経由での獲得が続きました。開業直後は人的ネットワークが主軸になるため、準備期間中から開業を伝える相手をリスト化し、実際に会う予定を入れておくことが有効です。並行して、提携先の開拓やWebでの情報発信など、複数のチャネルを育てていきましょう。
