ひな形の使い回しには注意!税理士が陥りやすい「顧問契約トラブル」3選

「顧問契約書は、開業した時に作ったひな形をずっと使い回している」

「先輩税理士から譲り受けたテンプレートを、内容もよく確認せずそのまま使っている」

こうした状態に、心当たりのある税理士の方は少なくないのではないでしょうか。

しかし、トラブルや税務ミスの発生した時、顧問契約書の記載内容は税理士自身を守るか不利にするかを左右します。そのため、平常時には意識されにくくとも、極めて重要な役割を担うことになります。

そこで本記事では、顧問契約書における見落としがちな3つの落とし穴を、実際に起こりうるトラブル事例とともに紹介します。そのうえで、トラブルを未然に防ぐための契約書の見直しポイントを解説していきます。

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ひな形の使い回しには注意!税理士が陥りやすい「顧問契約トラブル」3選

「契約書はとりあえず形になっていればいい」「揉めたことがないから、今の契約書のままで問題ない」

そう考えていると、いざという時に自分自身を守ってくれない契約書のまま、業務を続けてしまうことになりかねません。

ここでは、実務の現場でよく見られる3つのトラブルパターンを、具体的な状況とともに見ていきましょう。自分の事務所に置き換えて「もし同じことが起きたら、今の契約書で対応できるだろうか」と考えながら読み進めてみてください。

 

事例①記帳代行の「丸投げ」による責任転嫁トラブル

顧問先の担当者が多忙を理由に、領収書や通帳のコピーといった証憑の提出を後回しにし続けた結果、申告期限の直前になっても必要な資料が揃わない、というケースは決して珍しくありません。

このような状況で申告が期限に間に合わなかった場合、顧問先からは「なぜもっと早く対応してくれなかったのか」「税理士側の確認や催促が不十分だったのではないか」と、責任を税理士側に転嫁するような主張がなされることがあります。

最悪の場合、延滞税や加算税といった追加の負担分について、損害賠償を請求される事態に発展するケースも見られます。

本来であれば、資料提出が遅れたのは顧問先側の事情であるにもかかわらず、契約書に「資料提出の期限」や「期限を過ぎた場合の責任の所在」が明記されていないと、税理士側が交渉上、著しく不利な立場に立たされてしまいます。

口頭で「早めにお願いします」と伝えていたとしても、それを証明する手段がなければ、水掛け論になりかねません。

事例②ITツール導入・DX支援が無償の「便利屋」扱いに

近年、クラウド会計ソフトの導入を検討する顧問先が増えており、税理士に対して「操作方法を教えてほしい」「請求書発行や経費精算のシステムも一緒に導入してほしい」といった相談が寄せられる機会が増えています。

こうしたIT導入支援やDX推進のサポートは、本来であれば税務顧問業務の範囲を超えた、付加価値の高いスポット業務として、別料金を設定すべき性質のものです。

しかし、契約書に業務範囲が明記されていないと、顧問先側からすれば「顧問料を払っているのだから、当然対応してもらえるはず」という認識になりがちです。

結果として、税理士側は本来評価されるべき専門性の高い支援を、無償の「便利屋」対応として提供し続けることになります。一件一件は小さな作業に見えても、対応する顧問先の数が増えるほど、この「見えないサービス残業」は事務所経営の収益性をじわじわと圧迫していきます。

事例③不当な賠償請求に対する「上限設定」の漏れ

どれほど注意深く業務にあたっていても、税務処理上のミスや、税制改正への対応漏れといったヒューマンエラーが完全にゼロになることはありません。

万が一、こうしたミスによって顧問先に金銭的な損害が発生した場合、契約書に「損害賠償の限度額(例:年間報酬額を上限とする、など)」の記載がないと、実際に生じた損害額に応じて、際限のない賠償を求められる可能性があります。

数十万円の顧問報酬に対して、数百万円、場合によっては数千万円規模の賠償請求に発展するケースも、法律上は起こり得ます。

長年の付き合いがあり、信頼関係が築けていると思っていた顧問先であっても、いざトラブルが発生すれば、契約書という客観的な取り決めがすべての拠り所になります。

「そんなことは言わなくても分かってもらえる」と軽視せず、契約書に記載漏れがないか確認するようにしましょう。

参考:TAINS

トラブルを防ぐ契約書のポイント

上記のようなトラブルの多くは、契約書のわずかな記載漏れや、実務の実態と契約内容とのズレから生まれます。ここでは、最低限押さえておきたい2つのポイントを紹介します。

「顧問料に含まれる業務」と「別料金の業務」を明確にリスト化する

記帳代行、税務相談、決算対応、DX支援、資金繰り相談など、顧問先から依頼される可能性のある業務をあらかじめ洗い出し、どこまでが顧問料の範囲内で、どこからがスポット対応(別料金)なのかを契約書上に明記しておきましょう。

この線引きを料金表などに文書化しておくことで、事例2のような認識のズレを防げるだけでなく、顧問先に対して料金体系の説明がしやすくなるというメリットもあります。

「なんとなく無償対応してしまっている業務」に心当たりがある場合は、まずそのリストアップから始めてみることをおすすめします。

 

税理士法改正や電子帳簿保存法など、最新の実務環境にアップデートする

電子帳簿保存法やインボイス制度など、税務・会計を取り巻く制度は頻繁に改正されており、それに伴って税理士に求められる業務範囲や責任の所在も変化していきます。

数年前に作成した契約書のまま更新を怠っていると、現在の実務実態と契約内容との間に、静かに大きなズレが生まれてしまいます。

契約書は一度作って終わりではなく、大きな制度改正のタイミングや、提供サービスの内容を見直すタイミングに合わせて、定期的にアップデートしていくものだと捉えておくことが大切です。

【弁護士監修】トラブルの芽を摘む「顧問契約書テンプレート」のご紹介

日々の実務に追われるなかで、契約書の内容を一から見直し、法的な観点までカバーしたうえで整備し直すのは、決して簡単な作業ではありません。

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「今の契約書で本当に大丈夫か、一度専門家の目線でチェックしてみたい」という方は、ぜひこの機会にご活用ください。

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顧問契約書を今一度点検してみよう

顧問契約書は、単なる形式的な書類ではなく、万が一のトラブルや法的なリスクから税理士自身と事務所を守るための極めて重要な「盾」です。

「今まで揉めたことがないから」「開業時から同じひな形を使っているから」と油断していると、資料提出の遅れによる不当な責任転嫁や、際限のない損害賠償請求、あるいは無償の「便利屋」扱いによる収益圧迫など、思わぬ落とし穴に直面しかねません。

また、電子帳簿保存法やインボイス制度など、目まぐるしく変わる最新の制度や実務環境に合わせて、契約内容も定期的にアップデートしていく必要があります。

「今の契約書で本当に自分を守り切れるだろうか?」と少しでも不安を感じた方は、トラブルが起きてから後悔する前に、まずは現状の契約内容を点検してみてください。本記事でご紹介した「弁護士監修の顧問契約書テンプレート」やチェックリストを活用し、より安全で健全な事務所経営のための第一歩を踏み出しましょう。

また、税理士として独立・開業を検討している方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

よくある質問

開業時の顧問契約書ひな形をそのまま使い回すことには、どのようなリスクがありますか?

実務の実態と契約内容にズレが生じたり必要な条項が漏れたりするため、万が一トラブルや税務ミスが発生した際に税理士側を守れず、法的な交渉で著しく不利な立場に立たされるリスクがあります。

顧問先からの資料提出が遅れて申告期限に間に合わなかった場合、どのようなトラブルが発生しますか?

顧問先から「催促や確認が不十分だった」と責任を転嫁され、発生した延滞税や加算税などの損害賠償を請求されるトラブルに発展することがあります。

契約書に資料の提出期限や遅延時の責任の所在を明記していないと、水掛け論になりかねません。

クラウド会計ソフトなどのIT導入支援・DXサポートに関するトラブルを防ぐにはどうすればよいですか?

契約書や料金表で「顧問料に含まれる標準業務」と「別料金(スポット対応)となる業務」を明確にリスト化することが有効です。

線引きがあいまいだと、専門性の高い支援であっても顧問先から無償対応を当然と受け取られ、事務所の収益性を圧迫します。

万が一のミスに備え、過大な損害賠償リスクを回避するために必要な契約書の条項は何ですか?

「損害賠償の限度額(例:年間報酬額を上限とする)」を明記する条項です。上限の記載がない場合、わずかな顧問報酬に対して数百万円〜数千万円規模の際限のない損害賠償を請求される恐れがあります。

顧問契約書を定期的に見直さなければならないのはなぜですか?

税理士法改正や電子帳簿保存法、インボイス制度など、税務・会計の制度改正に伴って求められる業務範囲や責任の所在が変化するためです。更新を怠ると、現場の業務実態と契約内容の間にズレが生じてしまいます。

法的リスクをカバーした契約書を効率的に整備する方法はありますか?

弁護士が監修した「顧問契約書テンプレート」や「見直しチェックリスト」を活用する方法があります。

賠償上限や業務範囲の線引きといった必須条項があらかじめ網羅されており、事務所のサービス内容に合わせて調整することで、作成の手間と法的リスクを抑えられます。

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