税理士が開業直後に陥りやすい落とし穴とは?独立後で差がつく準備の進め方

独立開業

「独立さえすれば、自由に事務所を経営できる」

そう意気込んで開業したものの、最初の1年で経営が思うようにいかずに、勤務時代と変わらない働き方に逆戻りしてしまう税理士は少なくありません。

その明暗を分けるのは、開業する前から戦略的な準備をして動き出せるかという点にあります。

開業直後は、挨拶回り、各種届出、環境整備、初期の顧問先対応にと、想像以上にやるべきことが押し寄せ、あっという間に時間が過ぎていきます。だからこそ、準備をおろそかにして走り出すと、知らず知らずのうちに落とし穴にはまってしまうのです。

この記事では、まず多くの税理士が陥りがちな3つの失敗パターンを解説します。そのうえで、開業直後の具体的なアクションプランと、目指すべき成功事務所の事例を紹介します。

開業直後のノウハウについてご紹介!

開業3年目

開業直後に陥りがちな3つの落とし穴

成長しづらい事務所には、共通する失敗のパターンがあります。

これらは決して特別なミスではなく、無意識にはまりやすい落とし穴です。一つずつ確認していきましょう。

「紹介待ち」の営業スタイルで時間が過ぎていく

開業直後、多くの税理士がまず取り組むのが、知人や前職関係者への挨拶回りです。これ自体は大切なことですが、問題は、それだけで営業活動を終わらせてしまうことにあります。

紹介は、たしかにありがたい案件獲得の経路です。しかし、紹介は相手の都合に左右されるため、自分でコントロールできません。「いつか誰かが紹介してくれるだろう」と待ちの姿勢でいるうちに、数ヶ月はあっという間に過ぎていきます。

能動的に顧客を開拓する導線を最初に作っておかないと、数ヶ月後に新規案件が途絶えてしまう可能性が高まります。この場合、焦って慌てて営業を始めるという後手の展開に陥りがちです。

そのため、継続的に新規を獲得する仕組みを、案件が途切れる前から作る必要があります。

目の前の実務をすべて「自分一人」で抱え込んでしまう

開業直後は顧問先がまだ少なく、一件一件じっくり向き合えます。そのため、どんなに細かい雑務も、利益の出にくい案件も、すべて自分一人で抱え込んでしまいがちです。

「今は自分でやったほうが早いから」という判断は、一見正しく見えます。しかし、これが習慣として固定化してしまうと、後々リソースの限界を迎え、成長を止めるボトルネックになりかねません。

「自分にしかできない仕事」と「仕組みや人に任せられる仕事」を切り分ける発想を、業務量が少ない初期のうちから持っておくことが重要です。

忙しくなってから「慌てて採用」しようとする

最後は、人材採用に関する落とし穴です。

「とりあえず一人でやって、手が回らなくなったら人を雇おう」この考え方には、大きな危険が潜んでいます。

業務が標準化(マニュアル化)されないまま開業直後の繁忙期を過ぎ、本当に手が回らなくなってから採用に動くと、新しく入った職員に仕事を教える時間が取れません。

教育されないまま放置された職員は戦力になりづらく、かといって代表は教える余裕もなく自分の業務に追われる。結果として、両者が共倒れになってしまうのです。採用を成功させる鍵は、雇ってからの頑張りではなく、雇う前の「準備」にあります。

開業直後で失敗しないための3つのアプローチ

3つの落とし穴に共通するのは、いずれも「事前の準備不足」が原因だという点です。逆に言えば、開業直後、あるいはその前段階から正しく準備を進めておけば、経営が軌道に乗る可能性が高まります。

そこで、この章では、今すぐ実践すべき3つのアプローチを紹介します。

アプローチ①:初月から「毎月5件以上」を狙う顧客開拓の仕組み化

1つ目は、紹介に依存しない、能動的な顧客開拓の仕組みづくりです。

目指すべきは、開業初月から毎月5件以上の新規顧問先を安定的に獲得できる状態です。これを実現するには、相手任せの紹介だけでなく、Webサイトやオンラインでの情報発信、ターゲットを絞ったアプローチ、自分から紹介をもらう動きといった、自分でコントロールできる獲得経路を構築する必要があります。

ここで多くの方が「開業したばかりで実績がないのに、どう打ち出せばいいのか」と悩みます。しかし、税理士が選ばれる理由は、実績だけではありません。

「どの業種に強いのか」「どんな課題を解決できるのか」「なぜ他の事務所ではなく自分なのか」など、ご自身の強みを明確に言語化し、ターゲットに刺さる形で打ち出すことで、開業直後でも選ばれる事務所になれます。

大切なのは、この開拓の仕組みを案件が途切れてから作るのではなく、開業前から設計しておくことです。

アプローチ②:将来の経営を見据えた業務のマニュアル化

2つ目は、将来のスケールを見据えた業務のマニュアル化です。

「まだ顧客も少ないのに、マニュアル化なんて早い」と感じるかもしれません。

しかし、案件数が少なく、業務がシンプルな開業直後こそ、業務フローやマニュアルを言語化するチャンスです。案件が増えて忙しくなってからでは、立ち止まって整理する余裕は生まれません。

目指すのは、たとえば「職員2名と代表で計120件の顧問先をサポートする」といった、高い生産性で回せる体制です。これは、属人的な「自分にしかできないやり方」ではなく、「誰がやっても高い生産性で回せる型」を最初から作っておくことで初めて実現します。

クラウド会計ツールを活用して業務フローそのものを効率化・標準化しておけば、人が増えても品質を保ったままスケールできる準備が整います。

アプローチ③:採用した職員の育成動線を整える

3つ目は、採用した職員にいち早く戦力になっていただくための、育成の仕組みづくりです。

落とし穴の3つ目で触れたとおり、職員を雇ってから慌てないためには、開業直後から職員育成の準備を進めておく必要があります。

鍵となるのは、代表が手取り足取り教える「属人的な教育」ではなく、整備されたマニュアルや標準化された業務フローによる「仕組みによる教育」です。

業務の型がきちんと用意されていれば、実務経験の浅い職員であっても、その型に沿って学ぶことで早期に業務を習得できます。

代表が逐一指導しなくても職員が自走できる動線をあらかじめ作っておくことで、未経験に近い職員でも、いち早く事務所の戦力へと育てることができるのです。

これは、アプローチ②の業務標準化があって初めて機能します。仕組みづくりと育成は、表裏一体の関係にあると言えるでしょう。

開業直後に知っておきたい「成功事務所のベンチマーク」

ここまで紹介してきたアプローチが目指す到達点を、具体的な数値で可視化してみましょう。独立直後の税理士が目標とすべき、成長スピードと生産性の指標です。

成長のフェーズ 目指すべき成功モデルの数値
新規獲得スピード 毎月5件以上の新規顧問先を安定的に開拓
職員の生産性 職員2名+代表で計120件を標準化された型でサポート
組織の立ち上がり ノウハウの型化により、職員がいち早く戦力化

 

開業直後は「まだ顧客が少ないから、組織化なんて先の話」と思いがちですが、最初から成功モデルの基準を頭に入れて準備と行動を進められるかどうかが、1年後に「普通の事務所」で終わるか、「急成長する事務所」になるかを決定づけます。

マネーフォワードでは、以下の資料をご用意しております。無料でダウンロードができるので、成功事務所のベンチマークとしてぜひご活用ください。

▼資料の内容

  • 開業から毎月5件以上の新規顧問先の獲得に成功した事例
  • 2名の従業員で120の顧問先のサポートを実現した戦略
  • 職員を採用し、いち早く事務所の戦力にするためのノウハウ

「2名の従業員で120の顧問先のサポートを実現した戦略」はこちら

よくある質問

なぜ「紹介待ち」の営業スタイルではいけないのでしょうか?

紹介は相手の都合に左右されるため、自分で獲得のペースをコントロールできないからです。

「いつか紹介してもらえるだろう」と待ちの姿勢でいると、数ヶ月後に新規案件が途絶えた際、焦って後手の営業活動を行うことになります。

開業初期は手が空いているのだから、すべての業務を一人でやっても問題ないのでは?

短期的には回せても、それが習慣化すると将来的にリソースの限界を迎え、事務所の成長を止めるボトルネックになります。

業務量が少ない初期のうちから「自分にしかできない仕事」と「仕組みや人に任せられる仕事」を切り分ける意識を持つことが重要です。

顧客がまだ少ない時期からマニュアル化に取り組むべきなのはなぜですか?

案件数が少なく業務がシンプルな時期こそ、業務フローを言語化する絶好のチャンスだからです。

忙しくなってからでは整理する余裕は生まれません。最初から「誰がやっても高い生産性で回せる型」を作っておくことで、人が増えても品質を保ったまま事務所を拡大できます。

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