年間100件以上の新規顧客を獲得!営業が成功のカギ 急成長事務所の開業反省会 vol.2 | アーリークロス会計事務所

独立・開業

花城正也氏
クラウド会計の黎明期からクラウド会計を積極的に活用し、急成長してきたアーリークロス会計事務所(税理士法人アーリークロスの前身)。今回は税理士法人アーリークロスのCBO兼CPOである花城正也氏に、開業時についてのインタビューを行い、開業までの経緯や年間100件以上の新規顧客を獲得できた営業手法についてお話を伺いました。

プロフィール
花城正也/税理士法人アーリークロス:CBO兼CPO
株式会社アーリークロス:代表取締役
1985年生まれ。36歳
2015年のクラウド会計黎明期から導入支援を行い、2016年には300件近くの企業にマネーフォワードクラウド会計の導入を行う。関与したクラウド会計の導入実績数は700件超。
2017年に税理士事務所を立ち上げる。2018年に税理法人化。現在はグループ90名体制でバックオフィスのDX化支援・確定拠出年金の導入支援、財務支援・M&A・相続申告などワンストップで中手企業の支援を行う。

クラウド会計に強みをもった事務所づくり

現在の事務所概要を教えてください

グループで85名が在籍しており、その内有資格者として、税理士7名、公認会計士3名、国税OB・OG4名、社労士2名がいます。関与先数は約900件です。(2021年9月現在)

独立開業された経緯や背景を教えてください

独立を考え始めたのは2016年でしたが、当時は黎明期だったクラウド会計を活用しお客様の課題を解決していきたいと考えました。当時所属していた事務所でもマネーフォワードクラウド会計を300件ほどに導入していましたが、やはり歴史ある組織を変革するのには時間がかかると感じ、自分でリスクを取って理想とする事務所づくりに挑戦したいと考え、独立しました。また、これから会計業界の再編が起きると感じていたので、それまでに自社のブランドを作りたいと考えていました。そこで、東京オリンピックまでにクラウド会計といえば、アーリークロスというブランドを作ろうと考えました。

また、生産労働人口の減少や税理士業界の若手の減少などを考えると将来的に中小企業の財務部長の役割を担える人材がいなくなっていくと考え、その役割を代わりに担える事務所を作りたいとも考えていました。

開業に向けた入念な計画

花城正也氏

開業に向けてどのような準備をしましたか

まずは、創業メンバーを集める事から始めました。当時は仲間集めと言っていました(笑)

次に、事業計画の策定に着手し、創業融資を受けるために4か月ほどかけて計画を練りました。結果的に公庫と銀行から1,500万円を調達することができました。また、前職での引継ぎの必要があったため、前事務所には退職の7か月前に、独立したい旨を伝えていました。開業して最初の設備投資はマネーフォワードのプラチナメンバーと高額な高性能スキャナです(笑)

ターゲットとする顧客はどのように決めましたか

ターゲットは、創業するお客様に絞りました。創業融資の支援が得意だった事と税理士変更よりも創業融資から入った方が営業しやすかったことが理由です。クラウド会計や創業融資で新規開業のお客様を初期段階から捕まえて、信頼関係を構築し、共に成長していく中で出てくる記帳代行や財務支援などの課題を解決していくイメージですね。また、相続のお客様は積極的にはとらないようにしていました。担当できる者はいたのですが、難易度が高いので、訴訟などのリスクを避けるにはリソースが必要で、そのリソースを他に充てるべきだと思ったからです。

税理士の営業は課題解決

開業時に行った営業手法は主にどんなものがありますか

基本は紹介がメインで、創業支援企業や士業からの紹介が多かったですね。特徴的なのはターゲットの異なる税理士からも紹介をいただいていた点だと思います。また、創業期のお客様が集まるレンタルオフィスに入っていました。

紹介を増やす方法はシンプルですが、しっかりと紹介依頼をする事が大事だと思います。ただし、ただ依頼するだけだと印象に残らないので、紹介元の方が自分のファンになってくれるような話をしていました。例えば、クラウド会計でどんなことが出来るかを伝えていました。ポイントは、初めに感情(驚きや感動)を引き出して、その後にロジック(それを可能にする仕組み)を伝えて印象に残すという感じですね。この事務所は明らかに他と違うなというイメージを植えつけて、何かあった際に自分を思い出してもらえるようにしていました。

営業に苦手意識を持つ方向けのアドバイスはありますか

営業を『販売』だと思っている方が多いのではないかと思います。私は、営業とは『課題解決』だと思っています。お客様の事業についてしっかりヒアリングをして、共感をする中で、どんな課題を解決すればお客様の事業を前に進めていけるかを考えて、その課題のソリューションをしっかりとお客様に伝えるということを大事にしています。課題解決の対価が料金だと思っているので、価値を感じてくださる方にサービスを提供することが大切だと考えています。

営業が成功のカギ

花城正也氏

開業後に感じたギャップはありますか

そもそも、計画通りにいくとは思っておらず、常に変化をし続けていたのでギャップはあまりなかったです。想像以上に大変だったのは、自社の請求や入金の管理でした。今まで総務に任せてきたことも自分たちで行わないといけなく、改めて感謝をするのと同時に僕たちが行っているサービスがいかに創業時のお客様にとって必要なのか改めて感じました。

事業計画を上振れで達成できた要因は何だと思いますか

事業計画を上振れで達成できた要因は、営業がうまくいったからだと思います。私たちが狙った創業支援やクラウド会計特化の領域は、ビジネスモデルは既に出来上がっていて、サービスも認知されています。また、創業する方はどの時代にもいるので新規ユーザーが常に生まれてきます。そのため、上手くいかない要素が少ないと思っていました。差別化をしていくには営業が大事だと感じていましたが、各々のお客様に対する営業の仮説がしっかりハマったことが良かったと思います。

逆に失敗したと思うことや次回起業する際に気を付けたいことはありますか

個人毎の売上や予算の管理をしっかりして、会社と個人の成長が把握出来るものを作成していれば良かったです。個人目標があいまいになっていたので、会社全体が成長していると自分も成長しているのではないかという錯覚が生まれてしまっていました。もう1つは、求人において外部のサービスを使っていれば良かったなと思います。開業から1年の間は、紹介経由の採用のみだったので、社内の人材のバランスが偏ってしまい、身内感が強まり過ぎてしまったという気がしています。

独立されて1年以内に事務所統合をされていますが、どのような変化がありましたか

良い点としては、成長スピードが増したことと組織のマネジメント体制ができたことです。統合前は、紹介での採用がメインで、営業も属人化していたため、事業や採用の細やかな戦略を策定していなかったのですが、統合によってその穴を埋めることができました。また、統合前は仲良しのメンバーである程度、融通を効かせながらやっていましたが、個人事業から組織に変化する事となり、ギャップを感じたスタッフも一定程度いました。

九州で1番の税理士事務所を目指す

花城正也氏

今後の方針や目標について教えてください

「クラウド会計ならアーリークロス」のポジショニングを作ると共に2030年までに九州でぶっちぎりNo.1の事務所になることです。そのためのマイルストーンとして、次の決算期までに100名体制を構築することを掲げています。社会にも業界にも良い影響力を持つためにスピード感をもってさらに拡大してお客様に貢献できるサービス提供を行っていきたいです。

 


今回、インタビューを受けていただいた花城正也氏に独立開業をテーマとしたセミナーにご登壇いただきました。
開業前後の数年間を振り返っていただき、開業までの準備や事業戦略、成功の要因から失敗したことまでたっぷりお話いただきましたので、ご興味のある方はぜひお申し込みください。

よくある質問

開業時にはどのような営業手法をしていましたか。

基本は創業支援企業や士業からの紹介がメインでした。紹介を増やす方法はシンプルですが、しっかりと紹介依頼をすることが大事だと思います。しかし、ただ依頼をするだけでは印象に残りにくいので、紹介元の方が自分のファンになっていただけるような話をするように心がけていました。

営業に苦手意識があります…。

営業に苦手意識があるという方は営業を『販売』だと思っている方が多いのではないでしょうか。私は営業とは『販売』ではなく『課題解決』だと思っています。お客様の事業についてしっかりヒアリングし、その中でどのような課題を解決すればより良い事業になるかを分析し、その課題のソリューションをしっかりお客様に伝えるということを大事にしています。なので、価値を感じてくださる方にサービスを提供することが大切だと考えています。

【監修】マネーフォワード クラウド 会計事務所担当

会計事務所・税理士の事務所経営に関するお役立ち情報をマネーフォワード クラウド 会計事務所担当が提供します。
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