税理士が語る独立・開業の秘訣!3つの成功事例から学ぶ

独立・開業

税理士の独立・開業を検討している方にとって、成功者の体験談は参考材料になります。実際に独立・開業を経験し、成功を収めている先輩方の事例を知ることで、具体的な戦略や心構えを学ぶことができます。

本記事では、事務所勤務から独立・開業を果たし、成功された3つの事例をご紹介します。それぞれの独立開業時の戦略や成功のポイント、経営・人事戦略、そして開業前の不安をどのように解消したのかなど、具体的な体験談を通じて、独立を目指す皆さんの道しるべとなる情報をお届けします。

事例①PYXIS会計事務所

事務所のご紹介を兼ねて、理念や大事にしていることを教えてください

PYXIS会計事務所」という事務所名に、理念としての思いを込めています。「PYXIS(ピクシス)」とは、ラテン語で「羅針盤」という意味です。つまり、「中小企業の発展と継続に貢献する羅針盤となる」という意味を込めて、事務所名を決めました。経営は、企業という船で荒波を乗り越える航海のようなものだと、私は考えています。企業経営はいつ何時、何があるかわからないですよね。そんな中で目的地にたどり着くためには、地図ではなく羅針盤を見ることが大切です。もちろん地図も大事なのですが、地図は過去の記録でしかないですよね。変化が激しい現代において、過去の記録は役に立たないこともあります。そういうときに必要なのは、目的地を示す羅針盤だと思います。しっかり未来を見据えていれば、どんなルートを通っても、絶対に目的地にたどり着ける。そういう意味で、理念や思いを込めた社名にしました。

独立開業時の戦略や成功のポイント

開業されたきっかけを教えてください

開業は2023年の2月です。税理士資格を取得したことを期に、事務所を設立しました。その背景には、中小規模の居酒屋を経営している父の影響があります。当初は漠然と「父のような経営者になりたい」という夢を持っていましたし、父が税理士とやりとりするところも見ていたからです。そこで、「税理士ってなんだろう」とこの仕事に興味を持つようになり、簿記3級から受けたりしていました。もともと数字が好きで、簿記に面白さを感じたこともあり、税理士を目指そうと決めました。

開業を決めたのも、元はと言えば「父の会社を税理士として見ることができれば、親孝行になるのでは」と考えたことがきっかけです。実際に今、父の会社に税理士として関わっています。

開業までどのような経験を積まれたのでしょうか 

経歴としては、税理士法人を2社経験し、フリーランスとしての独立を経て、開業に至っています。税理士を目指した当初から開業することは決めていたので、記帳から訪問まですべての業務を経験したいと思い、2つの税理士法人で学ばせていただきました。そして、税理士の肩書がまだなかった当時、自分の営業力を試すためにも、フリーランスとして独立しました。 

以前勤めていた税理士法人でも、「マネーフォワード クラウド」を活用していました。ただ、請求書の作成や経費申請など、会計ソフト以外の機能はあまり使っていませんでした。こうした便利な機能を自分でお客様に提案したい、という気持ちも、独立の理由のひとつでした。こうして経験を積みながら、税理士資格を取得し、開業に至りました。

事務所経営のノウハウ

「マネーフォワード クラウド」を導入する際の不安がありましたら教えてください 

「マネーフォワード クラウド」を使うことに関して、不安はまったくなかったです。マネーフォワード クラウドのシリーズ自体に、本当に惚れ込んでいたので。むしろ、会計以外にも人事労務や契約など、バックオフィス全般をカバーできるクラウド会計ソフトは、他にないと思っていました。その価値を私がお客様に伝えられれば、まったく問題ないと思っていましたね。 

ただ、「マネーフォワード クラウド」一本で事業を行うことについては、少し不安がありました。他の会計ソフトもあるなかで、「マネーフォワード クラウド」に絞ることで取りこぼしてしまうお客様も、いるかもしれないと思っていたからです。

「マネーフォワード クラウド」の導入・公認メンバー制度加入後に事務所として変化した部分はありますか? 

お客様も私自身も、業務の効率化を実現できていると思います。例えば、請求書も「マネーフォワード クラウド請求書」で作れますし、そのまま売上の仕訳もできてしまいます。手打ち入力していた現金取引もアプリを通じて取り込めますし、電帳法にも対応できるので、お客様にも非常に評価いただいています。 

「これまで単純作業に割いていた時間を、未来を考えるための時間に変換できている」という実感がありますね。また制度登録後、「マネーフォワード クラウド検定1級」に合格した結果、「本当に『マネーフォワード クラウド』に詳しいんですね」と認知いただけるようになりました。

そして、制度に登録した一番の決め手は、専任担当者のサポートが受けられることです。まだ駆け出しで、事務所としても人を雇う余裕がない中で、相談できる相手がいることは非常に心強いです。担当者の方とも、やりたいことを包み隠さず話せるいい関係が築けています。毎月のミーティングではアドバイスもいただけて、本当に有意義な時間だと思います。

今後の展望について教えてください 

「今後も事務所のフロントに立つ人間は、私でありたい」と考えています。お客様は、事前に面談した私を信用して契約いただいていると思いますし、実際そのようなお声が多いです。税理士法人の場合は、面談担当者と記帳担当者、フロントに立つ税理士が違うことも多いのですが、PYXISではあくまで私が一貫して対応していきたいです。その体制を維持しながら件数を増やすためにも、便利なツールを活用してどんどん効率化していきたいと考えています。 

実際、現在の顧客数は50件を超えていますが、「マネーフォワード クラウド」と「STREAMED」を活用しているおかげで、まだ余裕があります。ただ今後、人を雇ったとしてもしっかりとレクチャーができるように、業務フローのマニュアルを作成しています。先に教育体制を整えておけば、人を雇っても作業が属人化せずに済むと考えているからです。こうして、事務所内の効率化をどんどん進めています。

将来的には、お客様のバックオフィスの効率化もお手伝いしたいですし、売上のコンサルにも徐々にシフトしていきたいです。あとは、「事業の発展と継続」という理念に基づき、お客様の事業継続計画(BCP)も重要視しています。中小企業こそ、コロナ禍や震災など、有事の際にも生き残れる計画が必要です。「マネーフォワード クラウド」をはじめとしたクラウドツールを活用しつつ、お客様の会社が継続するための支援をしていきたいですね。 

そして、お客様の事業拡大やフェーズの変化に合わせた提案をしていきたいです。無理にサービスを売るのではなく、あくまでもお客様に合ったタイミングで、必要なサービスを提供していく。こうしてお客様と一緒に成長できるのがシンプルに楽しいので、今後もよい提案をしていきたいです。

事例②Metax会計事務所

事務所のご紹介を兼ねて、理念や大事にしていることを教えてください

税理士事務所はお客様とのやり取りが多いため、弊社ではその信頼関係を大事にしつつ、料金以上の価値を提供したいと考えています。社外への価値提供はもちろん、社内スタッフに対しても働きやすい環境を用意したり、スキルアップの機会を提供したりしたいと考えています。

開業に至るまでの経緯や、きっかけについて教えてください

もともと、大学生時代から「起業しよう」と考えていました。当時は、「自由に働けて、自由に使えるお金が稼げればいいな」と思っていたんです。そしてそのためには、経験を積んでいろいろな会社を見ておきたいという思いがあり、まずは公認会計士の資格取得を目指しました。

ただ、資格を取ってからは、「お金を稼ぎたい」というより、「税金や会計のことで困っている方や損をしている方を助けたい」と思うようになったんです。「まずは大きな会社でしっかり働きたい」と思い、大学卒業後は大手の監査法人で1年、準大手と言われる監査法人で2年、実務経験を積みました。そこではさまざまな上場企業や上場準備企業、金融機関などとお仕事させていただき、2022年の10月に今の事務所を開業しました。

事務所の経営戦略

若いお客様向けにサービスを展開されていますが、それはなぜでしょうか

年齢が近い方が、お互いの価値観が似ていたり、話しやすかったりするからです。また、顧問契約は10年、20年のお付き合いになると思うので、「お客様と一緒に年を重ねていけるといいな」と考えています。実際、弊社のお客様は20~30代の方が大半で、40代以上のお客様はほとんどいません。

チャットツールやクラウド会計ソフトの活用を求められることもあるとお聞きしました

はい。ツールやソフトの活用はもちろん、「クラウド化したい」「インボイス制度に備えて準備をしたい」といったご相談も頂きます。また、「前任の税理士がチャットを使えない」「新しいソフトを取り入れてもらえなかった」というお悩みをお持ちの方もいました。

税務相談以外の相談も受けられていますが、それはなぜでしょうか

設立したばかりの企業では、「悩みがあっても、それを誰に相談していいのか分からない」ということが多いんです。税理士に頼めばいいのか、社労士に頼めばいいのか、それとも弁護士なのか…。そうやってお客様が悩んだときに、「法人なら必ずいる『税理士』が窓口になれれば、便利なのでは」と考えました。実際に弊社では私が窓口になって、「社労士と顧問契約するべきか」「契約書のチェックは誰に頼むべきか」など、幅広いお悩みに対応しています。

イベントで情報収集し、開業前の不安を解消

開業をするにあたり、不安な点はございましたか 

私は監査法人出身なので、税理士の知り合いが少なかったことです。他の税理士事務所が具体的にどういう運営をされているのか、あまり分かっていませんでした。ネット上で検索しても、税理士事務所のホームページには、あまり運営については書かれていないんです。そこで、貴社に相談したところ、他の税理士事務所がどうしているかを教えていただき、とても助かりました。MFクラウド開業スタートプランの特典イベント「第1回 開業税理士meetup」にも行ったのですが、そこでも他の税理士の方と交流できて、よかったです。 

実際に開業してみて、良かったことは何ですか 

監査法人時代と比べて、とても学びが多かったことです。仕事のスタイル自体にあまり変化はないのですが、監査法人で3年間学んだことより、開業してからの3か月で学んだことの方が、多かったです。例えば、トラブルを未然に防げるような契約書の作成や、従業員の教育のための仕組みづくりなどがそうですね。会計処理以外のほとんどのことも、自分で考えなければいけないので。すべきことの範囲が、かなり変わりました。

スタッフの方には、普段どのような業務を任せていますか 

未経験の方なので、簿記3級の参考書を見ていただいたうえで、データ入力や簡単な記帳などの単純作業をお願いしています。あとは、「マネーフォワード クラウド会計」に取り込むための仕訳帳の加工や、「STREAMED」へのデータスキャン・アップロードもお任せしています。 「マネーフォワード クラウド会計」なら、タグやメモなどいろいろと記録を残せる機能があるので、仕事を切り分けてスタッフに依頼するときもスムーズです。仕事を教えるときには、基本的に一緒に作業をやりながら単純作業に落とし込んで、「Notion」でマニュアルも作りましたね。また、「マネーフォワード クラウド会計」の使い方自体は、プロフェッショナル養成講座を利用して覚えてもらいました。

今後の展望について、教えてください

今後更に業務が増えることが予想されるので、増員する予定です。そして、税務に限らず、新しい事業を始めたいです。例えば、最近は家でNetflixを見ているんですが、「こういう、人生を豊かにするサービスっていいな」「こういうサービスを作りたいな」と考えたりします。士業も続けながら、それとは別に「自分が没頭できて、世の中のためになること」を探して、事業を始めたいです。やっぱり事業をするなら、利益率が高いだけのものよりも、世のためになるようなものを目指したいんです。これまでもこれからも、「人のためになる」「人を幸せにする」ということをモチベーションに、仕事を続けていきたいですね。

参考:Metax会計事務所

事例③Leapal会計事務所

 

Leapal会計事務所の開業のきっかけなどをお聞かせください

Leapal会計事務所を立ち上げたきっかけは、以前より日本の働く人を取り巻く環境の劣悪さに強い問題意識を持っており、そういった問題の解決に資する形態の会計事務所を作りたいという思いです。弊社を立ち上げる前は、監査法人に1年半ほど勤めたあと、事業会社を買収して4年ほど経営していました。そんななかで、「日本の雇用形態は、知識労働と合いづらい」と強く疑問に思いました。

日本の働き方は、仕事に人をつける「ジョブ型」ではなく、人に仕事をつける「メンバーシップ型」であることから、希望のキャリアパスとは違う配置になってしまったり、時給で残業代が計算される結果、長時間労働が蔓延したり優秀な人に仕事が集中してしまうという矛盾に違和感を持っていました。こうした問題を解決したいという思いと、自身の公認会計士資格を生かせる利点から、2022年にLeapal会計事務所を設立しました。

従来の働き方に問題意識を持たれて開業されたという話は、あまりお聞きしないので非常に新鮮です。

事務所の理念や実際に取り組まれている施策などはございますか大事にしていることは、社員が労働時間や労働場所を自由に選べることです。特に報酬に関しては、固定給に歩合報酬が上乗せされるコミッション制ではなく、成果に比例して報酬が支払われるフルコミッション制を採用しています。

事務所の経営・人事戦略

顧客獲得を順調に進められていますが、ターゲットや集客手法について教えてください

ターゲットは「売上10億円未満」という条件があるくらいで、特に絞っていません。 弊社のサービスはオンラインで完結しているので、日本各地で顧問先を獲得しています。現在の集客方法は、Web広告、紹介会社の利用です。 

顧客獲得が順調に進んでいる背景には、どのような要因がありますか

顧客担当として採用するには一定の基準を設けています。コンサルティング力が高く、会計事務所での勤務経験と知識を持っている担当を採用していることが、顧客獲得における強みになっているのではないかと思います。 

また、サービスを安売りせず、ご要望に合わせて提供内容を調整していることも、顧客獲得が順調な理由のひとつだと思います。「マネーフォワード クラウド会計」のようなクラウド会計ソフトを使っているからこそ、提供内容の調整にも柔軟に対応できているのだと思います。

事務所経営のアドバイス

事務所のオペレーションで工夫していることがあれば、教えてください

当初から目指していた製販分離体制の構築に向けて、採用を少しずつ進めています。製販分離体制を目指している理由は、生産性や売上の向上です。顧客担当が製造部分を手放すことができれば、担当数も増やせますし、一人当たりの売上の増加が見込めます。その結果、社員への報酬も増やせるようになるでしょう。また、事業拡大に伴い日々課題が生まれているので、常にその課題と向き合い、一つずつ解決に努めています。

今後開業する方に向けてアドバイスがあればお願いします

開業するのであれば、個人ではなく組織として立ち上げ、大企業にしていくことを目指すべきだと思います。個人で開業する場合は特に、自分に何かあった時に周りに迷惑がかかってしまいますよね。さらに前提として、事業として開業するのであれば、それに見合った利潤を出すことは必須です。日本において、個人事業主や中小企業はその生産性が問題視されているので、「大企業を作る」という志を持つことが大切なのではないでしょうか。

今後の展望について教えてください

税務については、大手事務所を目指し、顧問先をさらに増やしていきたいです。税務以外の展望については、会社買収の経験や会計士資格を生かして、M&A仲介を視野に入れています。会社の売買も不動産売買と同じように、「エージェントから探す」ようなサービスがあってもいいと考えています。

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