• 更新日 : 2022年9月21日

電子契約とは?契約方式やメリット、注意点を徹底解説!

電子契約とは?契約方式やメリット、注意点を徹底解説!

デジタル化が推進される中、これまでは紙で作成していた契約書も電子化する動きが加速しています。しかし、「電子契約と書面での契約と何が違うのか」「電子契約の場合でも証拠能力が認められるのか」など、わからないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、電子契約の概要や電子契約のメリットなどについて解説します。

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電子契約とは?

電子契約とは、電子的に作成した契約条項についてインターネット等を用いて相手に送付し、電子署名等を施すことによって締結する契約のことです。すべてのケースで通用する明確な定義はなく、実務が先行する形で導入されています。

政府もデジタル庁を創設し、デジタル社会に向けた取り組みに本腰を入れています。行政手続きが紙での申請から電子申請に変われば紙を管理する必要がなくなり、業務の効率化を図れます。これまで紙で作成されていた契約書をすべて電子化できれば、本当の意味でペーパレス社会が実現するかもしれません。

ここからは電子契約と書面契約の違い、電子契約の証拠能力、電子サインなどについて見ていきましょう。

電子契約と書面契約は何が違う?

電子契約と書面契約の最大の違いは、物理的な「紙」があるかどうかです。書面契約は文字どおり紙に印刷し押印して締結しますが、電子契約では紙は存在せず、電子データのやり取りのみで契約を締結します。

もちろん電子契約の契約書も印刷することはできますが、ディスプレイとプリントアウトの違いであって、印刷されたもの自体は契約書ではありません。契約書を電子化すると、紙代や印刷代を削減できるといったメリットを享受できます。詳しくは、次項「電子契約のメリット」で解説します。

電子契約は物理的な「紙」ではなく「電子データ」を利用して契約するため、オンラインで契約ができることも大きなメリットです。書面契約の場合は印刷や製本、郵送、確認、返送という作業が必要になるため時間がかかりますが、電子契約はオンラインで契約を締結できるため、迅速に手続きを進めることができます。

電子契約に証拠力はある?

民法上は、契約の締結に契約書は必須ではありません。それでも実務において契約書が作成されるのは、後日トラブルが発生しないように証拠として残すためです。それでは、電子契約書に証拠力はあるのでしょうか。

電子契約にも証拠力は認められますが、そのためにはその電子契約が当事者の意思によって締結されたことを証明する必要があります。電子署名法第3条では「当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定されているため、相手方から反証がない限り相手方本人が作成した文書であると認められるのです。

ただし、借地借家法上の定期賃貸借契約など、一部の契約では書面での契約書の作成が義務付けられています。

参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索

契約の有効性を示す上で重要な要素(電子サイン・タイムスタンプ)

契約の有効性を示す上で重要な要素に「電子サイン」と「タイムスタンプ」があります。電子サインにはメールや指紋認証などさまざまな種類がありますが、タブレットなどにスタイラスによって手書きで署名するものが一般的です。電子的なものですが、手書きによって本人が署名したことを証明できます。

電子サインは本人の意思によるものであることを、タイムスタンプは書類がいつ作成されたのかを証明します。いつ作成されたのかを明らかにすることで、その時点で存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明することができます。

タイムスタンプは信頼性が求められることから、第三者である時刻認証局によってなされます。電子サインと併せることで、電子契約の有効性を担保しています。

電子契約の契約方式

これまで説明したとおり、電子契約は電子サインやタイムスタンプを使い、書面契約に代わって電子的に契約を行うものですが、多くの人が利用しているネットショッピングも電子契約の一種です。注文者が商品をカートに入れて、決済すれば商品が送られます。これも電子契約による売買です。

これまで高額な商品を買う場合やビジネスで売買を行う場合は契約書を作成するのが一般的でしたが、これも電子的に行われるケースが増えています。その場合の電子契約には押印に代わって、電子サインや電子署名が用いられます。電子サインと電子署名は名前が似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。次項で説明します。

電子サインと電子署名の違い

電子サインと電子署名は包含関係にあり、電子サインの中に電子署名があります。具体的に、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

電子サイン

電子サインは、これまで書面で行っていた署名や押印に代わるものです。電子契約では紙がないため署名や押印ができず、その内容が本人の意思によるものなのかどうかの確認が難しいという問題があります。そこで、本人の意思によるものであることを明らかにする電子サインが生まれました。

印鑑に認印と実印の区分があるように、電子サインにも簡易的なものと証明力の高いものがあります。簡易的なものは、タブレットなどに手書きでサインをするものです。紙がタブレットに変わっただけで、手書きによって本人性を明らかにする点は同じです。

ただし、この方法では遠隔で契約する場合に、本人が手書きしているかどうかを確認できません。したがって、効力は印鑑でいうところの「認印」程度になります。

電子署名

簡易な契約であれば、書面による契約でも認印が押印されることがあります。電子契約においても、簡易な契約を電子サインによって締結したとしても問題はないでしょう。

しかし、高額取引などの重要な契約を締結する場合は、より慎重な対応が求められます。書面による契約では、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められるケースもあります。「電子署名」は電子契約において証明力の高い署名方法で、紙の契約における「実印」に近いものです。電子署名は第三者である認証局が本人確認を行うため、本人性が担保されます。

具体的には署名者が「秘密鍵」を使って暗号化し、それを相手方に送付して、受け取った側は「公開鍵」で復号します。

ただし、事業者署名型の電子署名では本人確認などの厳格な手続きが必要になるため、負担が大きいというデメリットがあります。そのため、取引内容に応じて電子サインと電子署名を使い分けるとよいでしょう。一方、当事者署名型であれば電子署名でもICカードなどは不要なので、比較的容易に署名ができます。

当事者署名型と立会人署名型(事業者立会型・クラウド型)との違いについては、次の章で説明します。

電子署名における当事者署名型と立会人署名型の違い

電子契約システムに使われる電子署名には、「当事者署名型」と「立会人署名型(事業者立会型・クラウド型とも呼ばれる)」があります。

当事者署名型はその名のとおり、当事者が情報を暗号化する秘密鍵を購入する方法です。秘密鍵はICカードなどに入れて保管し、契約書データはパソコンのハードディスクやサーバーなどに保存します。
ちなみに、当事者署名型の中で秘密鍵をICカードなどに保存する形式のものを「ローカル型電子署名」、秘密鍵をサーバー上に保存するものを「リモート型電子署名」と呼びます。リモート型電子署名であれば、ICカードを保管する手間を省けますが、秘密鍵を当事者が用意しなければならない点は同じです。

一方、立会人署名型は契約書をクラウド上に保存してやり取りします。秘密鍵もクラウド事業者が立会人として用意するため、当事者が購入して保管する必要はありません。立会人署名型のサービスでは本人確認などの厳格な手続きが必要になるため導入時に手間がかかるデメリットがありますが、それさえ済ませれば、秘密鍵を用意しなければならない当事者署名型と比較するとスムーズに契約を締結することができます。

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電子契約のメリット

電子契約も法的に有効ですが、書面契約を電子契約にすることのメリットは何でしょうか。

電子契約にすることの主なメリットは、以下のとおりです。

  1. 収入印紙や郵送代、人件費などの削減につながる
  2. 押印・製本・郵送などの手間を省ける
  3. 契約の締結・更新・解約漏れを防げる
  4. 契約に関するデータの紛失を防げる

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

収入印紙や郵送代、人件費の削減につながる

書面契約では紙に印刷しなければならないので、紙代と印刷代がかかります。また、契約書に押印して相手方に郵送し、相手方はそれに押印して返送する必要があります。そのため、双方に郵送代がかかります。さらに、契約書の種類によっては印紙税法で定められた課税文書となり、その場合は収入印紙を貼付する必要があります。契約金額が大きい場合は収入印紙の金額も高くなるため、負担が大きくなります。これらの作業は人が行うことになるため、人件費もかかります。

それに対して電子契約では、紙代や印刷代、郵送代、印紙代がかかりません。電気代や通信費は発生しますが、既存の業務で使用していれば新たな費用は発生しません。ただし、電子契約サービスを導入する必要があるので、その費用が発生します。

押印・製本・郵送の手間を省ける

書面契約はコストの面だけでなく、手間の面でも負担が大きいといえます。契約書は、印刷して製本する必要がありますし、契約書が複数枚になる場合は袋とじ、あるいはページがまたがる部分に契印を押印する必要があります。さらに封筒に宛名を書いて封入し、投函しなければなりません。これらの作業を行っている間は、他の業務ができなくなります。

それに対して電子契約では、電子契約サービスに加入していればそのフローにしたがって進めるだけなので、簡単かつ迅速に手続きが完了します。簡易な契約であれば契約書を送信するだけなので、数秒で終わります。

契約の締結・更新・解約漏れを防げる

契約は一度締結したら終わりではなく、内容を変更したり、更新時期を迎えたら作り直したりすることがあります。自動更新でない場合に更新を怠ると、契約の効力が失われます。そのようなことを防ぐためにも、電子契約は有効です。

書面契約の場合は契約書をファイリングし、キャビネットなどに保管する必要があります。更新時期ごとに分類したり、パソコンで別途管理したりすることもあるでしょう。

一方で電子契約は電子データで管理できるため、ファイリングやキャビネットでの保管は不要で、契約締結日や更新日の管理も容易です。パソコンで契約内容を閲覧できるため確認も容易であり、更新や解約漏れを防ぐこともできます。

契約に関するデータの紛失を防げる

書面契約の場合は契約書が2通作成され、それぞれが1通ずつ保管するのが一般的ですが、契約書は物理的なものなので紛失するリスクがあります。また厳重に管理していたとしても、自然災害や火災などで破損・汚損・消失するリスクもあります。このような場合は相手方に事情を説明して、写しをもらうといった対応が必要になります。

一方で電子契約サービスを使用していた場合は、電子契約で使用したデータはクラウド上にあるので破損・汚損することはなく、基本的には紛失・消失することもありません。自然災害が多い日本では、紙で保存するよりもクラウド上に保存するほうが安全といえるでしょう。

電子契約の導入における注意点

電子契約を導入する場合は、どの電子契約サービスを採用するかを検討することになります。一般的には電子契約導入の担当者を決めたり、検討チームを編成したりしてベンダーを選定します。その上でリスクの洗い出しや、導入スケジュールの検討などがなされます。

電子契約を導入するにあたって特に注意すべき点は、以下の3つです。

  1. 業務フローの変更が必要なこと
  2. 電子契約については取引先の合意が必要になること
  3. 電子契約に対応していない契約もあること

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

業務フローの変更が必要

紙での契約を電子契約に切り換える場合は、業務フローが変わるケースがほとんどです。紙の契約書の場合は、営業部門が作成した契約書を法務部などがチェックして、契約の重要度に応じて異なる決裁プロセスを経て承認されるのが一般的です。

電子契約を導入すると契約書がデジタルデータとして管理されるようになるため、同時並行的な処理が可能になりますが、多くの場合は業務フローをそれに適した内容に変更する必要があります。決裁規程などがある場合は、それも改定しなければなりません。

電子契約を導入すると現場の職員が戸惑うことも想定されるので、事前に研修を行うなどしてスムーズに導入できるよう準備しておきましょう。併せて、マニュアルやQ&Aなども作成しておくことをおすすめします。

電子契約については取引先の合意が必要

BtoBの取引においては取引先と契約を締結することになりますが、電子契約を導入する場合は相手方の合意を得る必要があります。中小企業の中には未だパソコンを使っていないところもあるため、すべての取引先と電子契約ができるわけではありません。

検討段階で電子契約について取引先に説明し、対応の可否を確認する必要があります。対応できる取引先にはマニュアルを配付するなどして、電子契約をスムーズに行えるよう準備しておきましょう。対応できない取引先については、これまでどおり紙での契約も可能であることを伝えた上で、電子契約の導入に向けた支援ができないか検討することも重要です。

電子契約に対応していない契約もある

ほとんどの契約は電子契約で対応できますが、一部の契約は対応していません。現在、以下のような書面は紙で作成しなければなりません。(2022年9月1日時点の情報です。今後、法改正により、変更となる可能性があります。)

  1. 定期借地契約書
  2. 定期借家契約書
  3. 宅建業者の媒介契約書
  4. 不動産売買における重要事項証明書
  5. 任意後見契約書
  6. 訪問販売等で交付する書面

1〜4の書面は不動産取引で用いられるもので、権利関係を明確にしておく必要性が高いことから、書面の作成・交付が義務付けられています。5の任意後見契約書については公正証書の作成が義務付けられており、公証人の面前で署名する必要があります。6の訪問販売においても、消費者を保護するために書面の交付が義務付けられています。書面に書くべき内容は法律で規定されており、虚偽の記載をした場合は罰則が科せられます。

電子契約サービスの比較検討ポイント

電子契約を導入する場合は、電子契約サービスを提供している会社を選定する必要があります。電子契約サービスを提供している会社はたくさんあるので、自社の目的に適合するサービスであるかどうかを調べて選びましょう。

電子契約サービスを比較する際のポイントは、導入実績や使いやすさ、料金、サポート体制などです。一定期間無料で試せるものも多いので、複数のサービスを試して使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

また、電子帳簿保存法に対応しているか」「電子契約と書面契約が混在している場合に両者をカバーできるか」といったことも重要です。それぞれについて解説します。

電子帳簿保存法に対応しているか?

電子契約を導入する際、電子契約サービスを提供している会社が電子帳簿保存法に対応しているかどうかは重要なポイントになります。税務関係の資料は紙で保存するのが原則ですが、保管にかかる事務負担やコストを軽減するため、一定の要件を満たす場合は例外的に電磁的記録による保存が認められています。

また電子取引については、2022年1月1日以降は電子データで保存することが義務付けられています。電子帳簿保存法の要件を満たさない電子契約サービスを利用した場合、2023年12月31日以降は法律違反になる可能性があるので注意が必要です。

参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】|国税庁

電子契約と書面契約が混在している場合に両者をカバーできるか

電子契約を導入することになっても、取引先が電子契約に同意しない、特定の様式が求められるために電子契約ができないといったことが想定されます。そのような場合でも、紙の書類をスキャナーなどで取り込み、電子契約と一緒に管理することができれば非常に便利です。したがって、書面契約も同時に管理できるかどうかも重要なポイントといえます。

電子契約に関する法律

電子契約にかかわる法律には、「民法」「民事訴訟法」「電子署名法」「電子帳簿保存法」「e文書法」「IT書面一括法」などがあります。

民法では第552条で契約の成立には当事者同士の合意が必要であること、民事訴訟法では第228条で文書の成立について定められています。これは電子契約に限らず、すべての契約における前提となるので必ず押さえておきましょう。

電子署名法は、電子署名の効力について規定しています。電子帳簿保存法は、国税関係書類(帳簿や領収書、請求書、注文書など)や電子取引に関する書類を電子データで保存することを認め、その方法について規定している法律です。電子契約サービスを導入する際は、これらの法律に対応したものを選ぶ必要があります。

さらに、e文書法では契約書などの文書を電子データで保存する際に守るべきルール(みやすさや機密性など)について、IT書面一括法では電子メールなどでの書面の交付や手続きに関する規定について定めており、電子契約を行う際はこれらの法律も遵守しなければなりません。

他にも、業種によっては借地借家法や宅建業法、特定商取引法、下請法などの関連法案に沿って電子契約を締結する必要があります。

電子契約に関わる法律については、以下のの記事で詳しく説明しています。

電子契約の仕組みについては早期の導入を検討しよう

今回は電子契約の概要やメリット、注意点などについて解説しました。デジタル社会の進展によって、今後電子契約はさらに普及すると考えられます。コスト削減と業務効率化も図れるため、早期の導入をおすすめします。

導入をスムーズに進めるためにも、電子契約に関連する法律について改定や新しい法律の制定をチェックしておきましょう。

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よくある質問

電子契約とは何ですか?

電子的に作成した契約書を、インターネット等を用いて相手に送付し、電子署名等を施すことによって締結する契約のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

電子契約と書面契約の違いは何ですか?

電子契約と書面契約の大きな違いは、物理的な「紙」があるかどうかです。電子契約の場合は、PDFなどの電子データになります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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