株式会社働きごこち研究所・税理士法人鶴田会計

自動化により働き方が変わっただけでなく、顧問税理士との関係性も変化しました

株式会社働きごこち研究所・税理士法人鶴田会計 株式会社働きごこち研究所 代表取締役 藤野 貴教様
税理士法人鶴田会計 代表 鶴田 幸久様/野田 智成様
請求データと会計が連携できたことで、タイムリーな売上管理を実現。場所を選ばず業務が完結し、働き方の変化を体現しました。
「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援をしているだけでなく、さまざまな大企業からの講演依頼や、メディア取材も多い働きごこち研究所の藤野代表取締役。「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワードクラウド請求書」「STREAMED」を導入することで、バックオフィスが自動化し楽になっただけでなく、顧問税理士である税理士法人鶴田会計様との関係性にも変化が生まれました。

「人はどう働いたら幸せになれるのか」ということを考えざるを得なくなりました。

 

――株式会社働きごこち研究所様の会社概要や事業内容について教えてください

(働きごこち研究所・藤野様)「働きごこち研究所」ということで、働きごこちがどうよくなるかということを研究して、それを大企業や経営者に推進・提供しています。「人とテクノロジーの協働」というテーマでの講演や、研修としてお話する機会が増えています。


――藤野様ご自身について教えてください

(藤野様)東京の外資系のITコンサルティング会社に新卒として入社しましたが、ITが嫌いということで辞めました。ちなみに、大学時代の卒業論文のテーマが、「日本の就職活動のミスマッチはなぜ起こるのか」という研究でした(笑)。その後、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズに上場したばかりのインターネット求人広告会社に人事として入社しました。六本木にオフィスを構えるベンチャー企業だったのですが、終電でも帰れずタクシーで帰る日々でした。そういった中で、「人はどう働いたら幸せになれるのか」ということを考えざるを得なくなりました。今から13年前に、奥さんが愛知県の出身で、縁があってこちらに移住し、その1年後に会社を創業しました。


――では、ITについては起業されてからご興味を持たれたということでしょうか

(藤野様)ITが嫌いだった理由は、自分自身がプログラミングを学ぶということにモチベーションを持てなかったからです。ITで世の中が変わることには興味がありましたが、その当時は、自分がそのサービスの作り手や使い手になるイメージが湧きませんでした。その後、2015年に人工知能が急速に進化しているという話を聞きました。それ以来、人工知能を中心とするテクノロジーの進化が、人々の仕事を変え、働き方を変え、ひいては、人間自体の考え方や価値観も変えていくことが直観的に理解できるようになり、テクノロジーについて真剣に学ぶようになりました。

人海戦術的に記帳代行を受けている事務所と、テクノロジーをうまく活用できる事務所では、人材を投下できる時間の割り振りが変わってきます。

 

――鶴田会計様について教えてください

(税理士法人鶴田会計・鶴田代表)平成18年に創業し、丸12年経ちました。もともと名古屋の税理士法人で7年勤め、そのまま名古屋で開業しました。今は岡崎支店や社労士法人を含むグループ全体で約50名になります。事業内容としては税理士法人がメインで、クライアントの層としては、1/3が藤野さんのような起業家。1/3が、私と同世代の団塊ジュニアの後継者、事業承継支援のお客様。残り1/3が医療関係です。開業時から起業家支援がやりたいことの軸としてありました。それに加えて、私が中小企業診断士の資格を持っているので財務コンサルもやっていました。しかし、事業再生はノウハウが偏るため、お客さんが増えてくると自分で全部対応するのは難しくなり、少しずつ事業承継にシフトしていきました。その後、リーマンショックが起き、安定した売上基盤を構築するため、医業に注力することにしました。今は、景気が回復してきたので、改めて事業承継支援も大きな柱になってきています。


――働きごこち研究所様と鶴田会計様が出会ったきっかけを教えてください

(藤野様)出会ったのは6、7年前ですが、当時は起業当時から依頼していた別の税理士と顧問契約を結んでいました。変化があったのは、私がテクノロジーの活用について人に伝える立場になったときに、自分の手元の業務は全然自動化されてないことに気づいたことです。経理業務の自動化と財務状況の見える化を実現したいと思ったときに、鶴田会計さんがサポートされていることを知り、2017年末からお願いすることにしました。ツールのことも財務のことも分かっているパートナーのサポートを受けることは、経理業務の最適化を目指す上でとても大事なことでした。


――鶴田会計様が「マネーフォワード クラウド」を導入いただいた経緯やきっかけを教えてください

(鶴田代表)会計業界は人材が不足しています。さまざまな採用の施策は打っているものの、業務効率化により生産性の向上を図りたいという思いがありました。そのころ、会計事務所甲子園に出場し、大手の会計事務所さんと情報交換したことでクラウド会計の存在を知り、部分的に導入してみました。しかし、当事務所は新しい事務所ではありますが、ソフトを変えるハードルはそれなりにありまして、導入はなかなか進みませんでした。そういった状況で野田くんが入社してくれました。彼は前の職場でもクラウド会計の導入推進をしていましたし、社内の巻き込み力を持っていたので、本格的な導入がスタートしました。


――野田様は、クラウド会計に抵抗感なく使い始められたのでしょうか

(税理士法人鶴田会計・野田様)人海戦術的に記帳代行を受けている事務所と、テクノロジーをうまく活用できる事務所では、人材を投下できる時間の割り振りが変わってきます。「クラウド会計を使わないと業界で生き残ることができない」という強い意志を持ってスタートしたので、抵抗感はありませんでした。しかし、導入当初は慣れないせいもあり苦労もありました。金融機関一つとっても、銀行によって連携の進め方が違うとか。挙げだすとキリはありませんが、マネーフォワードの導入担当者の力を借りつつ、一つひとつ進めていくことができました。


――所内のご反応はいかがでしたか

(野田様)鶴田会計は平均年齢が若いですが、日常的にメインで使っているものを変えることには抵抗感があります。できないのではなく、わからないから手が出ないという抵抗感はすごく大きいと思います。しかし、一回システムのメリットを享受すると捉え方の変化が起き、「あのお客様のところでやりたいです」といった話も、最近上がってくるようになりました。

今までは、税理士とは過去の話が多かったが、自動化してからは「これからこうしたい」と未来の話ができるようになりました。

 

――ありがとうございます。クラウドツールを活用することで、藤野様ご自身の働き方が変わった点等がございましたら、お聞かせください

(藤野様)まず、請求書の発行です。10年間、印刷をして、捺印をして、封入をして、宛名を書いて郵送するという作業を、何も疑わずにやっていました。しかし、「マネーフォワード クラウド請求書」の導入後、出張先のホテルでも、新幹線の中でも普通に請求書が送れるようになった。請求書の作成が、テクノロジーによって楽になったこと以上に、仕事はこういうものだと思っていたことの既成概念が崩れたことが、私の中では大きな衝撃でした。お客様に対しても、当初、受け入れてもらえるかどうか若干不安でしたが、結果的にはまったく問題ありませんでした。ただし、請求書を送る側が自動化することによって、送られる側は新しいオペレーションに合わせる手間が発生します。そのため、紙の請求書からメールの請求書に変更するタイミングで、定型文の後ろにコメントを添えて送りました。「今後は私の仕事の一部が自動化されて生まれた時間を、よりお客様のことを考える時間にシフトしていきたいと思います。」というものです。
また、「STREAMED」を活用して、これまで手入力した現金のレシートも自動化されました。ただし、これは別の側面もあります。私にとっての手入力での経費精算は、自分自身がどれくらい経費を使っているのかを肌感覚として把握するためにやっていました。一見、付加価値を生んでないと思われる単純な業務をやっているときに、発想が生まれたり、心が落ち着いたりという作用はあるはずなので、自動化によってそれがどう変化していくか、身をもって体験している最中です。

――会計事務所で「STREAMED」を導入すると、若手の育成にならないのではないかということを指摘されることもあります。鶴田会計様では、テクノロジーの進化を、育成の観点からどのように捉えられているのか教えてください

(鶴田代表)素人でもスキャンすれば仕訳で返ってくるというのはその通りなのですが、その後に上司によるチェックの過程ははさみますし、その中で誤りがあれば若手に指導していきますので、自動化されるところに依存することはないと考えています。
(野田様)従来的な感覚でいくと、会計職員の育成には、「日付」「貸借」「金額」「摘要」を打つということが重要視されていました。しかし、そろばんがPCに置き換わり、今はスキャンや連携により自動化する方向に変わってきています。我々の業務も、資料回収からアウトプットまでのフェーズがあるなかで、これまで手でやっていたことをツールに置き換えているというだけですので、全体の業務品質や、教育のプロセスに対しては、大きな影響はないと考えています。入力業務を大量に繰り返すのではなく、自動入力されたデータの監査や画像処理、お客様とのやり取り等、新しい能力を若手にも開発してもらう良いきっかけになりますし、今後はそういう能力を磨かなければならないと考えています。


――「マネーフォワード クラウド」や「STREAMED」の活用により、会計事務所と顧問先のコミュニケーションに変わった点はありましたか

(藤野様)今まで、税理士さんと話しをするときに、「今月こうでした」と過去の話をすることが多かったのですが、「これからこうしたい」と未来の話ができるようになったのは、自動化したことの大きなメリットだと思います。
(野田様)先日、藤野さんから提案いただいて、打合せを会議室ではなく藤野さんが経営する海の家でやりました。会計事務所の仕事はオフィスでやるものだと思っていたのですが、テクノロジーを使うことで、オープンな屋外スペースでもできるようになり、普段よりもより経営者としての藤野さんの価値観やバックグラウンドに触れることができました。あの体験を通じて、テクノロジーの活用に対する価値観が進んだという実感があります。
(藤野様)今まで、税理士や会計士という人は、自分の作業を代わりにやってくれる人って思っていたのですが、あの後、自分の実現したい世界観を一緒に伴走してくれるパートナーとして見るようになり、相談の仕方も大きく変わりました。



楽になるになるまでは結構大変。でも、その面倒くささを乗り越えたときに大きな楽が待っています。

 

――藤野様もよくAIとどうやって向き合っていくかを講演のテーマとされていますが、士業の方の仕事はAIによってどのように変化していくとお考えでしょうか

(藤野様)以前、社労士の方から聞いた言葉で「資格を取れば安心と思うことが死角」、というものがありました。しかし、士業のように資格の内容が明確に定められている職業の方ほど、AIの活用によってその仕事のオペレーショナルな部分から開放されたときに、本来自分が経営者に対して提供したかった価値を発揮するチャンスが生まれているのかなと思います。具体的には、時間の使い方をもっとコミュニケーションにあてることと、自動化されて出てきたデータから何が問題なのかを考える脳の使い方をすることです。データから何が言えるか、出てきたデータから会社をどうしていきたいかは、人間の意思から生まれることです。そういったことを考えられるパートナーとして、どう進化していくかが士業に求められることなのかと思います。


――今後の、鶴田会計様および働きごこち研究所様の目指されていること、注力されていることをお聞かせください

(鶴田代表)やりたいことはたくさんありますが、バックオフィスの支援をしていくことですね。クラウドツールを活用しながらよりバックオフィスをシンプルにするお手伝いをして、もっと経営者に本業に集中してもらいたいです。税理士本来の経営者に伴走していけるポジションを、また違った形でつくっていければと思います。


(藤野様)私の研究スタイルは、部屋にこもって論文を書くのではなく、新たなテクノロジーを活用して、自分が発見した気づきというのを伝えていくというものです。今回「マネーフォワード クラウド」を使って気づいたことは、楽になるまでは結構大変ということです。一つひとつの作業はすぐに終わりますが、面倒くさいこともあり重い腰が上がらない、でもその面倒くささを乗り越えたときに楽があるのです。部屋が整理整頓されていたら、探すのも片付けるのも楽になるのに、整理整頓された状態に至るまでの工数を考えると、今ぐちゃぐちゃのままで、生産性は低くてもそのままやっていた方が楽というのが人間の感情にはある。世の中でデジタルトランスフォーメーションが進まない理由はまさにここにあります。クラウドサービスベンダーは、このハードルをいかに下げるかに手を打つ必要があるとは思います。私も自分の実体験をもとに、テクノロジーと人が協働してデジタルトランスフォーメーションをどう進めていくかについて社会に伝えていきたいと考えています。


――マネーフォワードの会社やサービスについてのご要望があれば教えてください

(藤野様)請求書作成や財務状況の確認等、作業時間の中で、何か気づきを与えてくれるような示唆を出してくれると、作業時間が楽しくなると思います。例えば、キャッシュフローチャートの中に、「去年もここできつくなっています」という吹き出しが出てくるといったものですね。疑問に思ったことが、マネーフォワードの中のAIだったり、一緒に伴走してくれる税理士だったりと共有ができれば、今この瞬間思った疑問や問いを忘れないでいられますよね。


(野田様)1つ目は、クラウドサービスの組合せをよくわかっていないので、「マネーフォワードクラウド」と相性のいいシステムのパッケージの活用事例を積極的に公開してほしいですね。もう1つは、お金に関する取引周りと営業案件管理と会計がもっとシームレスにストレスなくつながってほしいと思います。


(藤野様)実際、私はマネーフォワードと連携しやすい銀行に口座を置きたいと考えています(笑)。シームレスにつながっていないと不便ですからね。


(鶴田代表)先ほどのデジタルトランスフォーメーションの話と共通しますが、会計事務所としてソフトを乗り換えるには膨大な労力を伴います。事務所の会計ソフトをクラウド会計に移行する際に、それをサポートしてもらえる体制があればありがたいなと思います。職員を何人も抱えながら、通常の業務も進めつつ、ソフトを入れ替えるわけなので、プロジェクトの立ち上げやデータ移行やスケジュールの設定等を先導してくれると、安心して任せられますね。

株式会社働きごこち研究所
(藤野 貴教 代表プロフィール) 2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。 「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。グロービス経営大学院MBA。 2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダーを育てることを志として、全力で取り組んでいる。 2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)を上梓。
税理士法人鶴田会計
2006年開業、名古屋に本社、岡崎に支店を構えており、職員数は約50名、顧問先は約400社。 グループ内に社会保険労務士法人・医療人材紹介会社・行政書士事務所・経営コンサル会社があり、 経営全般をサポートする様々なサービスをワンストップで提供する体制が整っていることが特徴。 「幸せと利益を両立する"いい会社"を増やす」をMissionとして、 経営者の一番身近なパートナーとなり、財産面・経営面を 安心して次代に繋ぐまでの支援を行っている。