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「事業承継ガイドライン」から学ぶ事業承継の進め方

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経営者が高齢化していることを背景に、これから事業承継のタイミングを迎える中小企業が増えると予想されています。

中小企業庁は平成28年12月に、事業承継をスムーズに進めるための指針として「事業承継ガイドライン」を策定しました。

ここでは、「事業承継ガイドライン」から、経営者が事業承継を考えるときに役に立つ部分をピックアップしてご紹介します。

事業承継の重要性と準備の進め方

事業承継には期限がないため、対応は後回しになりがちです。また、中小企業では事業承継を家庭内の問題と考えて、外部の専門家に相談することに消極的な傾向があります。

そのような状況で経営者が高齢になって経営ができなくなったときは、準備不足でスムーズに事業承継ができないことがあります。場合によっては、廃業せざるを得ないこともあります。

事業承継を計画的に進めれば、廃業を免れ、これまで培ってきたノウハウや技術を次の世代に引き継ぐことができます。

事業承継の5ステップ

「事業承継ガイドライン」では、事業承継の計画から実行までのプロセスを5つのステップに分けています。

事業承継に向けたステップ

(出典:事業承継ガイドライン(20ページ)|中小企業庁

ステップ1.事業承継に向けた準備の必要性の認識

事業承継は、経営者自身がその必要性を認識しなければ始まりません。

事業承継は長い場合で10年以上かかることもあるため、経営者が60歳になったころから着手することが望ましいと考えられます。

しかし、60歳ではまだまだ経営の第一線で活躍している経営者が多く、事業承継の必要性を認識することは少ないでしょう。経営者自身の気づきも大切ですが、取引金融機関や顧問税理士・弁護士などからの働きかけも期待されます。

ステップ2.経営状況・経営課題等の把握(見える化)

事業承継を始めるときは、自社の経営状況と経営課題を把握し、文書に書き出すなどして関係者と認識を共有することが重要です。具体的には、次のようなことを実施します。

・資産・負債の洗い出し(特に経営者個人と会社の間の貸し借りの明確化)
・自社の知的資産の洗い出し(経営者の信用、ノウハウ、ブランドなど)
・自社の経営の強みと弱みの確認(月次決算の分析結果など客観的な数値で表す)
・業界内での自社のポジションの確認
・後継者を誰にするのか、後継者について関係者から異論は出ないかの検討
・親族内で承継するのであれば相続税対策の検討

これらのプロセスを経営者個人で実施するには限界があります。専門家や金融機関に客観的なアドバイスを求めることをおすすめします。

ステップ3.事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

次のステップでは、事業承継に向けた経営改善を実施します。

会社の経営を改善して、後継者が引き継ぎたいと思えるような状態にしておきます。経営者が財務リストラや構造改革に取り組んだ結果、事業承継に消極的だった後継者が事業承継を決断したという例もあります。

経営改善の方法としては、事業の競争力強化、職務権限の明確化、社内規程・マニュアルの整備などがあげられます。必要であれば、在庫処分や過剰な負債の返済といった財務リストラも実施します。

ステップ4-1.(親族内・従業員承継の場合)事業承継計画の策定

親族や従業員に事業承継する場合は、中長期的な事業計画を立てて、それを踏まえて具体的な事業承継計画を考えます。後継者が承継した後の事業のあり方をイメージすることが大切です。

単に経営権と資産を後継者に承継するだけではなく、これまで進めてきた事業に対する思い入れや価値観なども引き継げるとよいでしょう。

ステップ4-2.(社外への引継ぎの場合)M&A等のマッチング実施

会社を売却して事業を社外に引き継ぐ場合は、株式・事業の譲渡(M&A)の仲介機関に依頼することが一般的です。仲介機関には、地域の事業引継ぎ支援センターのほか、取引金融機関、士業などの専門家があります。

実務は仲介機関にゆだねることができますが、経営者としては、どのような形で事業を承継したいかを明確にする必要があります。例えば、社名は残してほしい、事業の一部だけを売却したい、従業員の雇用を守ってほしいなどといった要望があれば、仲介機関に伝えておきます。

ステップ5.事業承継・M&Aの実行

ここまでのステップをもとに、事業承継を実行します。税務や法務の手続きが必要になるため、専門家のアドバイスを受けながら実行することをおすすめします。

事業承継の課題と対策

事業承継には、親族への承継、役員・従業員への承継、株式・事業の譲渡(M&A)の3つの類型があります。これらの類型ごとに、事業承継の課題と対策をご紹介します。

親族に承継する場合

子供など親族を後継者にするには、後継者に意思を確認し、時間をかけて教育することが重要です。新旧経営者のコミュニケーションを十分にとることが事業承継の成果を左右します。

また、親族に承継する場合は、贈与税や相続税の対策が必要になります。事業承継では税制上のさまざまな特例があり、それらを活用することで税負担を抑えることができます。

役員・従業員に承継する場合

役員や従業員の中で、経営に近い立場のいわゆる「番頭」に位置づけられる人に事業を承継することも、広く行われています。ただし、親族を後継者にするときと同様に、後継者は時間をかけて教育することが必要です。

贈与税や相続税の対策が必要ないかわりに、後継者が株式を取得するための資金調達方法を考えなければなりません。金融機関からの借入や役員報酬の引き上げなどが一般的な方法です。

株式・事業の譲渡をする場合

株式・事業の譲渡(M&A)をする場合、実務は仲介機関に任せることができます。

経営者は、M&Aが行われている事実が外部に漏れないように注意しなければなりません。情報漏えいがもとでM&Aが不成立に終わることもあるからです。

事業承継の支援体制

事業承継計画の策定と実行では、事業承継のサポート機関の支援を受けることをおすすめします。

事業承継のサポート機関は、商工会議所・商工会、金融機関、税理士・弁護士・公認会計士などの専門家、事業引継ぎ支援センターなどがあります。

現状では、それぞれのサポート機関が自身のできる範囲内で支援を行っています。今後は、次の図に掲げるように、支援機関が連携して、事業承継の5つのステップにわたって継続的に支援する体制が望まれています。

事業承継支援体制のイメージ

(出典:事業承継ガイドライン(79ページ)|中小企業庁

まとめ

これまで培ってきたノウハウや技術を次世代に引き継ぐためにも、事業承継は計画的に実施することが重要です。経営を交代して財産を引き継ぐだけにとどまらず、経営理念や経営者の信用を引き継ぐことも考えなければなりません。

また、税務や法務の手続きも避けては通れません。効果的に事業承継を進めるためには、中小企業の事業承継を支援するサポート機関を活用することをおすすめします。

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