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中小企業の昇給率は1.6% 昇給の理由は?

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アベノミクスの効果や人手不足などにより、給与の額は増加傾向にありますが、中小企業ではどの程度昇給しているのでしょうか。

政府統計をもとに、中小企業における昇給の実情や、昇給した理由、昇給しなかった理由を分析します。

中小企業の昇給率は1.6%

中小企業庁がまとめた「2016年版中小企業白書」から、従業員数の規模別に昇給率の推移を表したグラフをご紹介します。グラフからは、経済情勢の影響を受けて昇給率も変動していることがうかがえます。

従業員が1000人以上の大企業は相対的に昇給率が高く、従業員が100~299人の中小企業は低い傾向があります。直近5年間の昇給率は、中小企業でも上昇傾向にありますが、2015年の昇給率は1.6%と、大企業に比べると低い値にとどまっています。

賃上げの推移
(出典:平成27年度(2015年度)の中小企業の動向|2016年版中小企業白書)

大企業と中小企業の格差は給与の額にも表れています。同じく「2016年版中小企業白書」から、会社の規模別の給与額の推移を表したグラフをご紹介します。グラフを見ると、1990年代から一貫して7万円から8万円程度の差があることがわかります。

規模別給与額の推移
(出典:平成27年度(2015年度)の中小企業の動向|2016年版中小企業白書)

昇給した理由・昇給しなかった理由

経済産業省が実施した「平成28年中小企業の雇用状況に関する調査」では、中小企業・小規模事業者の昇給の状況が明らかにされています。

この章では、中小企業が昇給した理由、昇給しなかった理由と、そのほか調査によって明らかになった傾向をご紹介します。

昇給の理由の最多回答は「人材の採用・従業員の引き留め」

調査に回答した企業のうち、約6割強の企業が昇給を行っています。

常用労働者の1人当たりの平均賃金引上げ状況

(出典:中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要(1ページ)|中小企業庁)

昇給した理由として最も回答が多かったのは「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」(47.6%・複数回答)でした。「他社の賃金動向」(16.0%)を合わせると、人材不足が中小企業の経営に影響を及ぼしていることがうかがえます。

また、「業績回復・向上」を理由に挙げた企業も32.6%あり、昇給した中小企業は業績が好調に推移していることがわかります。

賃上げを実施する理由
(出典:中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要(2ページ)|中小企業庁)

業績の低迷で昇給を見送る企業も

昇給をしなかった理由としては「業績回復・向上が不十分」との回答が88.3%(複数回答)を占めました。業績の低迷により昇給を見送る企業の実情がうかがえます。

次いで多い理由は「賃金より従業員の雇用維持を優先」(25.6%)でした。リーマン・ショック後の経済低迷期には、大企業でも昇給より雇用維持を優先する傾向がみられました。一部の中小企業では、依然として昇給より従業員の雇用維持を優先する傾向があることがわかります。

このほか、「他社製品・サービスとの競争激化」(13.6%)、「原油・原材料価格の高騰」(12.7%)、「取引先企業からの値下げ要求」(9.5%)、など、外部環境の変化を理由にあげる企業もありました。

賃上げを実施しない理由

(出典:中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要(2ページ)|中小企業庁)

従業員数が少ない企業は昇給しない傾向に

調査では、昇給の有無を従業員数の規模ごとに集計しています。その結果、従業員数が20人以下の企業と21人以上の企業では、昇給(月給引き上げ)を行った企業の割合が大きく異なることがわかりました。

中小企業全体では約6割の企業が昇給を行っていますが、従業員数が20人以下の企業では4割程度にとどまります。

このような差が出る理由としては、従業員数が20人以下の事業者の多くが、経営者が1人で経営している場合や家族経営であることがあげられます。

先ほどお伝えしたように、中小企業が昇給した主な理由は、「人材の採用・従業員の引き留め」や「他社の賃金動向」といった人材不足にかかわる要因でした。しかし、1人経営や家族経営の小規模事業者は、人材不足の心配をする必要がなく、直ちに昇給する必要には迫られていません。そのため、昇給を行う企業の割合が低い水準にとどまっていると推測されます。

月給引上げ実施企業の割合
(出典:中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要(3ページ)|中小企業庁)

まとめ

中小企業の給与は大企業より少ないものの、昇給は継続して行われており、昇給率も増加する傾向にあります。

昇給の理由としては、人材不足への対応をあげる企業が多く、業績の回復をあげる企業が続いています。政府からの要請や税制上の後押しといった取り組みは、直接の理由にはあげられておらず、あくまでも事業環境や業績から昇給の是非を判断していることがうかがえます。

一方、業績不振や外部環境の変化などの理由から昇給を見送る企業もあり、中小企業の間でも対応が分かれる結果となっています。

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