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中小企業でも社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければいけない?

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マイナンバーの導入などをはじめとして、さまざまな取り組みが見られる社会保険ですが、中小企業の中には未加入のところも見られます。

今回は、中小企業でも社会保険に加入する必要があるのか、さらには社会保険に加入した場合の納付までの流れや経理処理などについてご紹介していきます。

社会保険は加入しないといけない?

中小企業の経営者から”社会保険は必ず加入しないといけないの?”という疑問がよく挙げられます。

特に起業したばかりの経営者は、登記や開業届などのことは分かっていても、社会保険についてはそれほど意識をしていない人も少なくありません。そのような経営者の中には、”従業員がいないから社会保険は不要だろう”という考えがあるのかもしれません。

しかし、法人である以上は社会保険の「強制適用事業所」であり、社会保険に加入しなければなりません。すなわち、従業員が0人であっても、経営者に対して役員報酬が支払われている場合は、社会保険の加入手続きを取らなければならないのです。しかし、現状としては、法人でありながらも社会保険に未加入である中小企業が存在していることも事実です。

あえて社会保険に加入しない理由としては、その負担額が大きいことが挙げられます。社会保険は企業と従業員がそれぞれ半分ずつ負担することになっています。

その保険率は厚生年金保険と健康保険を合わせて25%~30%近くあり、企業側はもちろんのこと、個人としても社会保険よりも国民健康保険や国民年金に加入する方が、負担額が少なく済むケースがあることから加入しないのかもしれません。

これまで未加入の企業が社会保険に加入した場合に、最大2年まで遡って請求される社会保険料は、中小企業の資金繰りに大きな影響を与えかねません。こういったリスクもあることから、企業の規模にかかわらず社会保険の加入を前提に考えていかなくてはいけません。

では、今度は社会保険料の発生から納付までの流れと、その経理処理方法を見ていきましょう。

社会保険料の経理処理方法は?

では、今度は社会保険料の経理処理方法について確認していきましょう。社会保険料は、基本的には従業員と企業で半分ずつ負担することになります。(ただし、子供子育て拠出金については企業が全額負担することになっています)

発生から納付までの流れについて、具体例を用いて説明していきます。

例)3月分の給与20万円について、社会保険料が6万円(企業負担3万円、従業員負担3万円)発生した。このとき、納付は翌月の4月末で、従業員負担分は4月の給与から差し引くものとする。

では、さっそく経理処理から見ていきましょう。まず企業負担分についてですが、3月分の社会保険料の負担額なので、4月に支払うとは言っても発生主義の考え方から、この費用を3月末に処理しておく必要があります。

<仕訳①> 3月末日の仕訳

借方
貸方
摘要
(法定福利費) 30,000円(未払費用) 30,000円3月分社会保険料 (企業負担)

社会保険料の企業負担分については、「法定福利費」として費用計上します。貸方科目については、納付がまだ行われていないことから、流動負債の勘定科目の「未払費用」として処理します。

次に、4月の給料の支払日における仕訳です。4月分の給料から3月の社会保険料の従業員負担分を天引きした金額を支払ったものとします。(本来は、社会保険料以外にも住民税や所得税なども天引きしますが、ここでは簡単に説明するために社会保険料のみの天引きとします)

<仕訳②> 4月の給料支払日の仕訳

借方
貸方
摘要
(給与手当) 250,000円 4月分給与
(現金預金) 220,000円 支払金額
(預り金) 30,000円 3月分社会保険料 (個人負担)

社会保険料の従業員負担分については、流動負債の勘定科目である「預り金」を用います。「預り金」については、住民税や所得税を天引きする際にも使用するため、その金額をしっかりと区分するために「社会保険料預り金」の勘定科目を使用している企業もあります。

では、最後に社会保険料の納付時の仕訳です。

<仕訳③> 4月末の社会保険料の納付時の仕訳

借方
貸方
摘要
(未払費用) 30,000円3月分社会保険料 (企業負担)
(預り金) 30,000円3月分社会保険料 (個人負担)
(現金預金) 60,000円納付金額

流動負債に計上していた「未払費用」と「預り金」を打ち消す処理を行います。この仕訳を行った後に3月の社会保険料に関する「未払費用」や「預り金」が残っている場合は、仕訳や給料の天引き分などに誤りがあるかもしれませんので、確認が必要になります。

具体的な経理処理は以上になります。今回の例で挙げたように、3月分の社会保険料を翌月の4月の従業員の給与から差し引き、4月末に納付するという流れが一般的です。従って、社会保険料の発生と天引きは1カ月分のズレが生じるということに留意して下さい。

まとめ

最後に、今回のポイントについてまとめておきましょう。

・法人は、社会保険の「強制適用事業所」であり、社会保険に加入しなければならない

未加入の企業が社会保険に加入した場合には、最大2年分の社会保険料を遡って請求され、そのことは資金繰りの面でリスクとなる

・社会保険料は、企業と従業員で半分ずつ負担し、納付は企業が行う

・社会保険料の経理処理方法としては、企業負担分を「法定福利費」の勘定科目、給料から天引きされた従業員負担分については「預り金」や「社会保険料預り金」の勘定科目を用いる

・社会保険料の経理処理で用いた流動資産の勘定科目「未払費用」や流動負債の勘定科目「預り金」の残高が合わない場合には、仕訳や給料の天引き分などに誤りがあるかもしれないので、確認が必要となる

・一般的には社会保険料の発生と給料からの天引きは1カ月分のズレが生じる

起業して新たに社会保険に加入する企業はもちろんのこと、これまでも強制適用事業所であっても、あえて社会保険に加入していなかった中小企業も、これを機会にして社会保険の加入について、その制度や負担額などを確認してみて下さい。

また、社会保険料とともに、所得税や住民税などの天引きをする際に「預り金」で経理処理している場合には、貸借対照表上の「預り金」の科目内訳を定期的にチェックするようにしましょう。

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