• 作成日 : 2022年9月2日

小規模企業共済とは?加入するメリットは?個人事業主・中小企業経営者必見!

小規模企業共済とは?加入するメリットは?個人事業主・中小企業経営者必見!

年金制度の破綻が叫ばれている中、若年層から中高年までの幅広い層において、漠然とした老後の不安を抱えている方も少なくないと思います。

大企業に長年勤めたサラリーマンの大きな味方となるのが「退職金」の存在でしょう。退職時にもらえるまとまったお金は頼もしいですね。

一方、フリーランスや個人事業主、中小企業の経営者の中には自分は退職金とは無縁と感じている方も多いでしょう。しかし、打つ手はあります。

本記事では、「経営者の退職金」と言われる小規模企業共済について紹介します。

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小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や個人事業主などの積立による退職金制度で、掛金に応じて給付を受け取れます。前述のように経営者の方にとっての退職金にあたるものと考えると分かりやすいでしょう。

小規模企業共済は、政府の機関である中小企業基盤整備機構が運営しており、全国で約160万人以上の加入があります。

小規模企業共済の加入資格は?

小規模企業共済に加入するためには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • 建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業などは、会社等の役員または従業員が20人以下の個人事業主
  • 商業、宿泊業・娯楽業を除くサービス業は、従業員が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  • 組合員が20人以下の企業組合の役員及び従業員が20人以下の協業組合の役員
  • 従業員が20人以下で、主として農業の経営を行う農事組合法人の役員
  • 従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員 ほか

上記の条件において従業員には家族従業員を含まない、生命保険外務員は含まないなどの制限がありますので、詳細については下記の中小機構のサイトなどで確認してください。

参考:加入資格|小規模企業共済(中小機構)

簡単にまとめると、小規模企業共済は中小企業の役員や経営者、個人事業主が対象になると言えます。

小規模企業共済の掛金月額は?

小規模企業共済の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲で500円ごとに自由に設定できます。なお、経営状況などに応じて増額・減額も可能です。

小規模企業共済のメリットは?

小規模企業共済のメリットは、大きく3つ挙げられます。

  • 退職金の代わりになる
  • 掛金支払時は節税対策になる
  • 制度内に貸付制度がある

それぞれ見ていきましょう。

個人事業主・中小企業経営者の退職金代わりになる

事業の廃業や退職時に、それまで積み立てた金額を退職金として受け取ることが可能です。
小規模企業共済では、受け取るお金を「共済金」と言います。例えば個人事業主では、次の場合に共済金が受け取れます。

共済金A
個人事業の廃業、死亡
共済金B
65歳以上で掛金を180か月以上払い込んだ人
準共済金
法人成りしたため、加入資格がなくなって解約した人
解約手当金
任意解約等

どのケースをとってもサラリーマンの退職金と同様のタイミングで共済金が受け取れます。
また、掛金は前納でき、一定の前納減額金を受け取れます。掛金の納付月数と給付事由ごとに、受け取れる共済金が決まっていますが、20年未満での任意解約は、掛金を下回る給付となります。

所得控除による節税対策ができる

小規模企業共済の掛金は、確定申告において「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除の対象となり、節税対策として利用できます。

仮に、小規模企業共済以外の課税所得が350万円であった場合、小規模企業共済掛金への加入によって、所得税額は次のように変わります。

小規模企業共済掛金
(月額)
小規模企業共済等
掛金控除額
課税所得
(掛金考慮前を350万円とする)
所得税額
0円(加入しない)
0円
3,500,000円
272,500円
10,000円
120,000円
3,380,000円
248,500円
70,000円
840,000円
2,660,000円
168,500円

貸付制度がある

小規模企業共済では、掛金の範囲内で事業資金の貸付けが受けられます。
借り入れられる金額は、掛金の納付月数により掛金の7割から9割で、2,000万円までの借り入れができる「一般貸付け制度」などがあります。それ以外にも次のようにさまざまな種類があります。

  • 緊急経営安定貸付け
  • 傷病災害時貸付け
  • 福祉対応貸付け
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付け
  • 事業承継貸付け
  • 廃業準備貸付け
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小規模企業共済のデメリットは?

小規模企業共済のデメリットとしては、掛け捨てリスクや元本割れについて考えておかなければなりません。それぞれについて見ていきましょう。

掛け捨てのリスクがある

小規模企業共済は、共済金A、Bの場合には、掛金納付月数が6か月未満だと掛け捨てになります。また、準共済金及び解約手当金の場合には、掛金納付月数が12か月未満だと掛け捨てになります。

このように掛け捨てとなっている期間があるため、節税になるからといって短絡的にならずに、加入の際はよく考えておいたほうがよいと言えます。

元本割れのリスクがある

前述のように小規模企業共済においては、20年未満で任意解約をした場合、受け取れる共済金が元本割れを起こしてしまいます。事業を始めるにあたって、20年先まで見通すことはなかなか難しく、この期間の確保に縛られることがデメリットと言えます。

解約手当金の支給率については次のとおりです。

解約手当金の支給率

引用:加入者のしおり及び約款|小規模企業共済制度

実際には、上記の手当金に毎年度の運用収入等に応じた「付加共済金」がプラスされます。

小規模企業共済加入の手続きは?

小規模企業共済への加入手続きについては、まず必要書類を準備します。個人事業主や法人の役員の場合などで準備物が異なるため注意してください。

公的書類
個人事業主
確定申告書の控(ない場合には、開業届の控)
法人の役員
履歴事項全部証明書
共同経営者
確定申告書の控及び共同経営契約書の写しなど
申込書など
契約申込書、預金口座振替申出書など

次に、中小機構と契約を結んでいる団体や金融機関の窓口に必要書類を持参します。

加入窓口
委託団体
商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会
損害保険ジャパン株式会社、アクサ生命保険株式会社
代理店
都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合
商工組合中央金庫、農業協同組合(34都道府県)

参考:加入窓口|小規模企業共済(中小機構)

その後、40日程度の審査機関を経て「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済加入者のしおり及び約款」が手元に届きます。

個人事業主・小規模事業者が加入できる類似の制度は?

小規模企業共済は「経営者の退職金」と言われると述べましたが、この制度のように利用できるもののうち、iDeCoと年金制度について触れておきます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、「individual-type Defined Contribution pension plan」からきた「個人型確定拠出年金」の愛称です。自分自身で支払った掛金について、自分自身で選んだ金融商品で運用し将来に備える私的年金制度のことです。

掛金は65歳まで積み立てでき、年金の受取は原則60歳以降に可能となります。iDeCoの掛金は小規模企業共済と同様に全額が所得控除の対象になり、受け取るまでは運用益が非課税となっています。確定申告では、iDeCoも小規模企業共済と同じ「小規模企業共済等掛金控除」欄を使い、所得控除をします。

小規模企業共済との大きな違いは、自分で掛金で資金を運用し、その運用の成果によって将来の受取額が決まることです。
iDeCOの詳細については、次の記事をご参照ください。

国民年金・厚生年金

個人事業主は、国民年金のみとなりますが、国民年金は将来の退職金というより、老後の生活を支えるための資金となります。支払った年金保険料は、確定申告において「社会保険料控除」として全額が所得控除の対象になります。

令和4年4月からは受給する老齢基礎年金(満額)は、月額64,816円となりました。この額で月々の生活のすべてはまかなえないにせよ、国民年金が老後の生活のベースとなる人が多いため、年金の手続きは忘れないようにしましょう。

また、サラリーマン時代の厚生年金がある人は、将来の年金受取額をシミュレーションして、iDeCoや小規模企業共済と組み合わせて運用しましょう。

個人事業主・小規模事業者は節税しながら積立しましょう

個人事業主や中小企業の経営者は、事業リスクを考慮しながら将来のことも考えておく必要があります。小規模企業共済は、引退時だけでなく、事業を続けていく中で起こる種々の事態に適応する制度となっていますので、一考の余地はあると思います。
多額の掛金を支払い続けることは難しいため、事業の資金繰りに無理のない範囲で気長に続け、いざというときに貸付制度などを利用できる状態にしておくと心強いと言えます。

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よくある質問

小規模企業共済とは?

小規模企業共済制度とは、中小企業の経営者や個人事業主などの積立による退職金制度で、掛金に応じて給付を受け取ることができ、「経営者の退職金」のような役割を果たします。詳しくはこちらをご覧ください。

小規模企業共済のメリットは?

小規模企業共済制度は、個人事業主や中小企業経営者の退職金代わりとなり、掛金については、所得控除による節税対策ができ、かつ、独自の貸付制度があります。詳しくはこちらをご覧ください。

小規模企業共済のデメリットは?

掛金の支払月数が少ない場合には掛け捨てとなることがあり、また、20年未満で任意解約をした場合には、受け取れる共済金が元本割れを起こしてしまうことがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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