中小企業の営業力をアップ!コンサルティング型営業の基礎知識

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あなたの会社は営業力に自信がありますか?

今回は、中小企業が競争力を高めるためにお勧めしたい「コンサルティング型営業」の特徴や、組織に浸透させるための基本的なポイントについて解説します。

中小企業はコンサルティング型営業で競争力を高めよう

大企業と比べて経営資源に限りのある中小企業にとって、今ある人的資源を活用し、営業力を高めることは競争力の強化に直結すると言っても過言ではありません。

特に、現代のような新規市場の開拓が難しい成熟社会では、営業力の強化は重要課題のひとつとなっています。

実際、下記の調査結果のように、中小企業にとって営業力の強化は重要課題と位置づけられています。

 経営基盤の強化に向けて注力する分野
(出典:2017年の中小企業の日本景況見通し:日本政策金融公庫)

このグラフは、首都圏・中京圏・近畿圏の中小企業を対象に2014~2016年に実施された調査結果をまとめたものです。

翌年度の経営基盤の強化に向けて注力したい分野について訊いたところ、毎年7割前後が「営業力・販促力の強化」を挙げており、他の項目と比べても問題意識の高さがうかがえます。特に2017年に向けて「営業・販売力の強化」が75.3%と、もっとも高い割合を占めています。

しかしながら、行政等の中小企業向け経営支援策は資金繰りや雇用維持に関するものが多く、営業力の強化は自助努力が求められているのが現状です。

プッシュ型営業が通用しない時代

営業スタイルにはさまざまな種類がありますが、従来型の営業スタイルとして代表的なのが「プッシュ型営業」です。プッシュ型営業とは、いわゆる飛び込み営業のような訪問営業や、電話で売り込みをかけるテレマーケティングがメインの営業スタイルです。

プッシュ型営業は、営業担当者が能動的に顧客に働きかけるという意味ですが、その目的は「自社製品の魅力を積極的に伝え、購入してもらう」というシンプルなものです。需要が多い時代や市場であれば、プッシュ型営業は効果的とされていますが、顧客からすると「数多くの出入り業者のひとつ」と認識されやすく、供給過多の時代にはあまり適していません。

それにも関わらずプッシュ型の営業スタイルを続け、「成果が上がらない」と嘆いている中小企業は多いようです。

コンサルティング型営業は双方向型

では、中小企業が営業力を高めるにはどうすれば良いでしょうか?

供給過多の市場成熟社会では、商品を売り込みに来るだけの出入り業者ではなく、「顧客の良きパートナー」と認識されるような営業スタイルが良いでしょう。それが、「コンサルティング型営業」です。

コンサルティング型営業とは、営業をかけたい企業の売上をはじめとする課題・問題点を共有し、自社製品やサービスを用いて解決策を提案するスタイルの営業方法です。つまり、自社製品を売るために製品特徴や魅力を一方的に伝えるのではなく、顧客の課題やニーズをヒアリングした上で、双方向的に解決へと導くという考え方です。

コンサルティング型の営業スタイルをうまく取り入れれば、顧客から特別な存在として認識されるようになります。今ある人的資源を活用すれば実践可能なので、中小企業でも営業面での競争力を高められるでしょう。

コンサルティング型営業を推進するための基本ポイント

コンサルティング型の営業スタイルにシフトするための基本的なポイントを見ていきましょう。

第一に、コンサルティング型営業を推進するには、以下の3つの知識を深める必要があります。

・ 顧客企業の情報(ビジョン、戦略、課題、ニーズなど)
・ 業界情報(トレンド、市場全体の課題、顧客のポジションなど)
・ 自社製品情報(競合品に勝っている点・劣っている点、顧客ニーズに応えられる点など)

顧客企業が抱えている課題やビジョンを踏まえたニーズは、解決策の提案の主軸となる最も重要な情報です。また、交渉のキーパーソンとなる人物を見極め、その人が優先的に取り組みたいと考えている課題について解決策を提案すると、話を前進させやすいでしょう。

また、常に客観的な視点から自社製品・サービスを分析し、顧客のニーズを満たすにはどの部分がマッチし、どの部分は改善する必要があるかを捉える真摯な姿勢も大切です。

ヒアリング力・プレゼン力が重要

課題やニーズなどの顧客企業の情報は、簡単に教えてもらえるものではありません。顧客の本当の情報を聞き出すには、まず仮説を立てることが重要です。

その企業が主戦場としている業界(市場)の現状や展望、業界の主要企業のポジショニングなどを事前に調べ、顧客が今抱えている課題を予測します。そして、話をしながら仮説がどの程度合っているか、または見当違いなのかあたりをつけ、少しずつ顧客の本音を引き出していきます。この段階では自社製品の売り込みはしません。

顧客の課題やニーズを引き出すことができたら、そこにマッチする自社製品・サービスを提案します。この段階では、自社製品の魅力をどう伝えるか、というプレゼンテーションが重要です。商品の魅力をただ羅列するのではなく、これまでの経緯を踏まえて「なぜ、この商品を御社に提案するのか」というストーリー性と説得力のあるプレゼンが求められます。

ここまで話を進めると、すぐに顧客に結論を求めたくなるかもしれませんが、意思決定にはタイミングが重要なので、むやみにプレッシャーをかけるとまとまる話もまとまらなくなります。良い感触が得られない場合は、説得しようとするのではなく、顧客の本音に寄り添いながら解決策を導く姿勢をアピールすると、パートナーとしての信頼度が増すでしょう。

スキルの底上げと他部門の協力が不可欠

ヒアリング力やプレゼン力が求められるコンサルティング型営業を企業内に浸透させるには、営業担当者一人ひとりのスキルの底上げが必要になってきます。

個人差のある営業スキルを底上げするには、能力が高い営業担当者のノウハウを共有化するというやり方がお勧めです。顧客の課題やニーズをヒアリングする際の質問内容やプレゼン資料の作成方法、顧客に意思決定をしてもらう際のクロージングのコツなど、効果的と思われる部分を集めてマニュアル化し、苦手な部分の改善に役立てるのです。

また、コンサルティング型営業は営業部門の努力だけで成立するものではありません。

顧客の課題やニーズを解決するには、開発・物流・情報システムなど他部門と協力しながら全社的に取り組まなくてはいけないケースがあるため、速やかに連携できるような組織体制づくりと共に、全社員の意識改革が不可欠と言えます。

まとめ

営業力の強化は、多くの中小企業が重要な経営課題として位置づけているものの、思うように改善できていないのが現状です。成熟市場で営業力を強化するには、従来型のプッシュ型の営業スタイルより、顧客の課題やニーズを踏まえて解決策を提案するコンサルティング型の営業スタイルが適しています。

コンサルティング型営業を推進するには、ヒアリング力やプレゼン力など営業担当者一人ひとりのスキルアップと共に、速やかに連携できる組織づくりと意識改革が必要です。コンサルティング型の営業スタイルが軌道に乗れば、顧客との関係性が深まり、「良きパートナー」として絶対的なポジションを築きやすくなるため、営業スタイルの転換を検討してみてはいかがでしょうか。

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