• 更新日 : 2024年2月22日

町内会等の会計報告書の書き方・話し方・テンプレート

町内会等の会計報告書の書き方・話し方・テンプレート

自治会、町内会などの団体や地域活動を行っているコミュニティ団体で法人格を持たないものは「任意団体」に分類されます。任意団体の運営については、法律などで決められたルールがありません。しかし、実務的には一定の運営のルールに基づいて会計報告などが行われています。

コミュニティ団体が作成する会計報告書は、一般企業が作成するものと様式が異なりますので、今回は会計報告書である収支計算書及び財産目録の作成方法や会計報告の仕方を確認します。

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会計報告書とは?

会計報告書(収支内訳書)は、組織や団体が特定の期間(たとえば年間や月間)にわたる財務の収支をまとめた文書です。組織の運営状況を明確に報告し、収入と支出の詳細を共有することで、効果的な運営と活動の促進を図るために作成されます。

労働組合、自治会や町内会などの地域コミュニティ、学校のPTA、スポーツクラブ、集合住宅の管理組合など、財務活動が活発なあらゆる団体にとって重要です。

会計報告書の目的

主な目的としては、組織の財務状況の透明性を確保し、将来の計画を立て、資金管理の課題を識別し共有することです。

会計報告書は、収入と支出の概要、保有資産、残予算や剰余金の状況などを提供し、これらの情報を基に次年度の活動方針や予算配分を決定します。また、資金繰りの問題点を指摘し、改善策を模索するための基礎ともなります。

会計報告書の無料テンプレート(Word/Excel)

町内会などで使える会計報告書(収支内訳書)のテンプレートは以下よりダウンロードできます。

会計報告書(収支内訳書)

 

会計報告書には通常、収入と支出の内訳、予算と実績の比較、残高、摘要などが記載され、団体の透明性と責任を高めるために署名欄も設けられる場合もあります。形式や内容は、団体の方針や活動の性質に応じて異なりますので、ご自由にカスタマイズしてご利用ください。

町内会や自治会の会計報告について

自治会・町内会の年間スケジュール

会計事務の1年間の主な流れは次のとおりです。

①旧役員から引き継ぎを受ける
帳簿や書類を前任者から引き継ぎ、会計に関するルールについて説明を受けます。通帳や印鑑も引き継ぎ、必要に応じて口座名義も変更します。
②日々の活動を帳簿に記録する
会費の集金、補助金の申請及び経費の支出など活動に伴うお金の動きを帳簿に記録します。
決算報告書を作成する
決算報告書として作成する書類(収支計算書や財産目録)を会則や過去の帳簿などを確認して作成します。
会計監査を受ける
予算書、決算報告書、帳簿、領収書などの書類について監事による会計監査を受けます。
⑤総会で決算報告を行う
総会では、活動報告、決算報告書の承認、予算案の決議などが行われます。会計報告は基本的には総会で行うこととなります。
⑥新役員の選任及び新役員への引き継ぎ
(注)役員の任期はその団体により異なりますので、引き継ぎについては、任期満了時など適宜行うようにしましょう。

お金の管理

コミュニティ団体の活動費は、会員から集金した会費や行政から交付される補助金により構成されていますので、その団体の目的に沿って使用しなければなりません。そのため、お金について運用ルールを定め、厳格に管理する必要があります。

例えば、会費を集める時は個人の財布とは別にし、集金したら領収書を発行します。領収書を発行したら集金記録をつけ、その会費は速やかに団体の口座へ入金します。

支出については、領収書をもらうようにし、工事などの大きな金額の契約をする時は、複数の業者から見積もりを取るなど、契約金額の妥当性を説明できるようにしておく必要があります。
現金の管理は、収入と支出が分かる現金出納帳を使用し、入出金を都度記入するようにしましょう。

会計報告の目的

会計報告書を読む目的は、コミュニティ団体が1年間どのような活動を行ってきたかをお金の面から知り、その団体の活動をより詳しく理解することです。

自治会・町内会の税務申告等が必要な場合

多くの任意団体は「人格のない社団等」に該当します。「人格のない社団等」は法人ではありませんが、法人税法上、法人とみなされて法人税が課税されます。

コミュニティ団体は通常の活動を行っている限り、法人税等は発生しませんが、事業場を設けて継続的に収益事業(物品販売など)を営む場合などは、法人税等が課税される場合がありますので注意が必要です。

\自治会・町内会の会計報告にも便利/

会計報告書の簡単な書き方

町内会での収支報告書の書き方

会計報告書(収支内訳書/収支計算書)の簡単な書き方は、テンプレートを基に作成することです。

まずは、記載すべき内容を解説します。

会計報告書への記載事項

会計報告書は主に10の項目で構成されています。

一般会計
基本となる会計です。団体のお金の出入りは基本的に一般会計から行われます。
特別会計
特定の目的の収入と支出を明らかにするために設けられる会計区分です。必ず設けられるものではありませんが、補助金を使う活動では特別会計を求められる場合があります。
勘定科目
「何に使ったのか」の部分です。収入で言えば「会費」や「補助金」、支出で言えば「消耗品費」「通信費」などを指します。
摘要(備考)
勘定科目をより具体的にしたものです。消耗品費なら「文具」「コピー代」「写真代」など、通信費なら「電話代」「郵送費」などの用途や支払先を記載します。
比較増減
予算額と決算額の差額を示す部分です。どのような見込みで計画を立て、実際にどれだけ使ったのかを比較できます。
合計
収入、支出それぞれで予算額・決算額(実際に使った金額)、比較増減の合計額を計算します。収入(前年度繰越金を含む)と(次年度繰越金を含む)支出は、常に同じ金額になります。
前年度繰越金
前年度から引き継がれたお金を指します。前年度の収支計算書の「次年度繰越金」と同額でなくてはなりません。
次年度繰越金
前年度繰越金と今年度の収入の合計から、今年度の支出を差し引いたお金です。来年度の「前年度繰越金」となります。
予備費
予算を立てる時点では想定できなかった支出に使うお金です。
監査報告の監事署名
会計報告をする前には、団体の監事が帳簿等を使って監査を行います。ここにはその時の監事の署名を記します。

会計報告書の構成は基本的に毎年同じです。

会計担当になった場合は、前年度の会計報告書(収支内訳書/収支計算書)をあらかじめ読んでおけば、より理解が深まるでしょう。

\自治会・町内会の決算書作成にも使える/

財産目録

備品を消耗品と区分し、購入したら財産目録(備品リスト)に記入します。備品については年度末付近に現物があるか実際に確認します。また、備品にシールを貼るなどして団体の財産であること明らかにしておきます。

財産目録は必ず作成しなければならないものではありませんが、備品管理は重要です。財産目録を作成しない場合でも備品リストは作成しておくとよいでしょう。

貸借対照表は必要?

コミュニティ団体の場合、一般企業と異なり、現金の出入りのみを記録していく現金主義に基づいて、家計簿のような単式簿記の方法で会計事務を行うため、基本的には貸借対照表を作成する必要はありません。

もちろん、複式簿記による決算書を作成しているため貸借対照表を作成している団体や、金融機関から借入があるため貸借対照表を作成している場合は継続して貸借対照表を作成してください。

会計報告書の読み上げ方・流れの例

総会時の会計報告の時に、出来上がった収支計算書を上から順番に読み上げるだけですと、要点を得ず、せっかく作成した会計報告書がきちんと相手に伝わらないかもしれません。

1年間の会員数と会費はどうだったか(その結果、収入が増減したのか)、主要な勘定科目について予算との比較や前年度との比較をすることで、相手により分かりやすく伝わります。また、通常の年にはない臨時的な収入や支出があればその旨も説明しましょう。

もちろん全ての項目について説明する時間もないと思われますので、予算額との比較や前年度との収支差額を意識して、その団体にとって特に重要である部分を中心に説明しましょう。

大まかな流れとして、町内会の会計報告を例に流れを解説します。

1. 導入部分

  • 会計報告の目的と報告期間を簡潔に説明します。
  • この報告が町内会の財務状況を反映していることを強調し、参加者の注意を引きましょう。

2. 収入の概要

  • 期間中の総収入とその主な源泉(例:会費、イベントからの収益、寄付など)を挙げます。
  • 各収入源の金額と、総収入に占める割合を具体的に説明します。
  • 前年度繰越金と次年度繰越金を報告し、今年度のお金の増減についても説明します。

3. 支出の概要

  • 期間中の総支出と主な支出項目(例:イベント経費、運営費、備品購入費など)を紹介します。
  • 各支出項目の金額と、総支出に占める割合を詳細に説明します。

4. 予算と実績の比較

  • 予算計画と実際の収支の差異を指摘します。
  • 予算超過または予算未達の項目があれば、その理由を簡潔に説明しましょう。

5. 残高および資産の状況

  • 期間末の現金残高や銀行残高を報告します。
  • 必要であれば、町内会の資産(例:不動産、設備)についても言及します。

6. 今後の予算計画に向けて

  • 次年度の予算計画や財政戦略について簡単に触れます。
  • 会計報告から得られた教訓や改善点を基に、将来の方向性について述べます。

7. 質疑応答

  • 報告の最後に、聴衆からの質問やコメントに応答する時間を設けます。
  • 分かりやすい説明とオープンな姿勢で、参加者の疑問や懸念に答えます。

8. 締めくくり

  • 参加者への感謝を表し、会計報告の重要性と透明性を再確認します。
  • 会計報告が町内会の健全な財務管理に寄与することを強調し、閉会の挨拶をします。

会計報告の話し方・スピーチ文例

以下は町内会の会計報告書に基づくスピーチの文例です。

この文例は、報告の構造を明確にし、聞いている方が理解しやすいように設計されています。具体的な数字や状況は、実際の会計報告書の内容に応じて調整してください。

皆様、本日は集まっていただき、ありがとうございます。この時間を使って、今年度の町内会の財務報告を行わせていただきます。

まずはじめに、今年度の総収入ですが、我々は合計で[総収入金額]を収入として記録しました。この収入は主に会費、地域イベントからの収益、そして寄付から成り立っています。各項目の詳細については、会費からは[会費からの収入金額]、イベントからは[イベントからの収入金額]、寄付によっては[寄付からの収入金額]がありました。

次に、支出についてですが、今年度は合計で[総支出金額]の支出がありました。これには、地域イベントの開催費用、町内会の運営管理費、そして共有スペースのメンテナンス費用が含まれます。具体的には、イベントに[イベント費用]、管理運営に[運営管理費]、メンテナンスに[メンテナンス費用]をそれぞれ使用しました。

収入と支出の差から、我々の町内会は今年度、[収支差額]の剰余を記録しました。これは計画した予算と比較して[予算との差異]、良い意味でも悪い意味でも予想外の結果です。この剰余は、来年度のプロジェクトやイベントに向けて再投資する計画です。

今後の予算計画について簡単に触れさせていただきます。来年度は[来年度の予算計画概要]に焦点を当て、町内会の活動をさらに充実させていく予定です。特に[具体的な計画や活動]に資金を配分することを計画しています。

最後に、皆様のご協力とご支援に深く感謝いたします。透明性を持って財務状況を共有することで、私たちの町内会が一層団結し、より良いコミュニティを築くことができると信じています。質問があれば、どうぞお気軽にお聞きください。(質疑対応)

それでは、これを持ちまして町内会の会計報告を終わります。

ありがとうございました。

自治会・町内会の会計報告書作成には会計ソフトが便利

マネーフォワード クラウド会計

コミュニティ団体の場合は必ずしも会計ソフトは必要ありませんが、お金の流れや団体経営の状態をより正確に把握したいときは、やはり会計ソフトを活用するのが良いでしょう。

マネーフォワード クラウド会計は、町内会・自治体の経理をラクにし、会計報告にも活用できます。

 

会計報告書を読む目的は、コミュニティ団体が1年間どのような活動を行ってきたかをお金の面から知り、その団体の活動をより詳しく理解することです。

団体が活動報告書を作成している場合、会計担当者は、その活動報告書を一緒に読み上げるとよいでしょう。そうすることにより、1年間の活動に沿った支出が行われていることも分かります。また、例年とは異なる活動を行ったことによる臨時的な支出の理由が活動報告書から分かる場合もありますので、収支計算書と合わせて活動報告書も一緒に読み上げると効果的に説明することができるでしょう。

参考:任意団体について|環境省

よくある質問

自治会や町内会の会計事務の1年間の主な流れは?

主に、「1.旧役員から引き継ぎを受ける2.日々の活動を帳簿に記録する3.決算報告書を作成する4.会計監査を受ける5.総会で決算報告を行う6.新役員の選任及び新役員への引き継ぎ」といった流れになります。詳しくはこちらをご覧ください。

収支計算書に記載すべき内容とは?

収支計算書は主に「一般会計・特別会計・勘定科目・摘要(備考)・比較増減・合計・前年度繰越金・次年度繰越金・予備費・監査報告の監事署名」の10項目で構成されています。詳しくはこちらをご覧ください。

会計報告のポイントは?

1年間の会員数と会費はどうだったか(その結果、収入が増減したのか)や、主要な勘定科目について予算との比較や前年度との比較などです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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