個人事業主の「消費税」に関する見逃せない5つのポイント

みなさん、消費税はモノを買うときに一緒に支払っているだけでOK!と思っていませんか?

個人事業主の方の場合、受け取った対価にかかる消費税分を、税務署に納付する必要があります。それは、消費税の納税義務者は、その対象の商品を売上げ・代金を受け取ったもの、つまり事業者であるという性質のためです。

しかし、すべての個人事業主が消費税を納めなくてはならないわけではありません。

それでは、どのような個人事業主が消費税の確定申告をしなければならないのでしょうか?特に理解が必要な項目を5つのポイントに絞りました。それでは一つずつ確認していきましょう。

1. 個人事業主にとっての消費税は、ただ支払うだけの消費税ではない。

一般消費者にとって、消費税はサービスや対価に対して「支払う」という側面しか持ちません。

しかし、上記で述べた通り、個人事業主や法人にとっては、消費者からもらった対価に含まれている消費税を税務署に「申告・納付を行う」という、新たな側面が加わるのです。

2. 事業者が消費税を納めるかどうかの境界額は課税売上高1,000万円超!

すべての個人事業主と法人が消費税の確定申告を通じて納付を行う必要があるわけではありません。

「小規模事業者の納税義務の免除」という制度を利用すれば、基準期間の課税売上金額が1,000万円以下の事業者は納税が免除されます。言い換えれば、課税売上高1,000万円までの個人事業主と法人は、消費税を納付しなくてもよいのです。これを免税事業者といいます。

個人事業主の場合、基準期間とは前々年度を指し、2年前の課税売上高により当年度の納税義務を判断することになります。

さらに、「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」というものがあり、22年前の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(前年の1/1〜6/30を指します)の課税売上高及び給与支払額が1,000万円以上であれば、その年は課税事業者となってしまうのです。

例1:個人事業主 基準期間、特定期間ともに1,000万円以下の場合
平成24年 1/1〜12/31 (平成26年度の基準期間) 課税売上高 1,000万円
平成25年 1/1〜6/30 (平成26年度の特定期間) 課税売上高 500万円
平成26年 1/1〜12/31 (現在の課税期間)

2年前の基準期間が1,000万円、前年の特定期間も500万円なので、平成26年度は免税事業者となります。

例2:個人事業主 基準期間は1,000万円以下だが特定期間で1,000万円を超える場合
平成24年 1/1〜12/31 (平成26年度の基準期間) 課税売上高 800万円
平成25年 1/1〜6/30 (平成26円度の特定期間) 課税売上高 1,100万円
平成26年 1/1〜12/31 (現在の課税期間) 課税売上高未確定

2年前の基準期間が800万円であっても前年の特定期間で1,000万円を超えてしまったので、特定期間中に1,000万円超の給与支払があれば平成26年度は課税事業者となります。

例3:個人事業主 開業初年度の場合
平成26年 1/1〜12/31 (現在の課税期間)

基準期間や特定期間の課税売上高が1,000万円以下のため、平成26年度は免税事業者となります。

3. わかりにくい税額計算を簡略化!場合によっては節税効果も得られる「簡易課税制度」

Photo by vintagedept

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時間の短縮が見込める簡易課税制度

課税売上高5,000万円以下の事業者が利用できる課税区分です。仕入にかかる消費税額を科目ごとに算出するのではなく、課税売上高に対して一定の率(みなし仕入率)を掛けることで計算を簡略化しましょうという制度なのです。

簡易課税を使うと場合によって節税効果も!

実際にどういった場合であれば節税となるのか、具体的な事例を見てみましょう。

・本則(一般)課税の場合

売上高の消費税100万円 – 仕入高の消費税65万円 = 納付税額35万円

・簡易課税(第2種小売業)を選択した場合

売上高の消費税100万円 – 仕入高の消費税※80万円 = 納付税額20万円

※売上高の消費税100万円 × 第2種小売業みなし仕入れ率80%

この事例の場合は、「簡易課税制度を適用したほうが15万円節税できた」という結果になります。

どうすれば簡易課税事業者となれるの?

・基準期間の課税売上高が5,000万円以下
・「消費税簡易課税制度選択届出書」を簡易課税を適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに提出していること

これらの要件を満たしていれば、簡易課税事業者となることができます。

事業が急成長!課税売上高5,000万円を越えてしまったときは

簡易課税を選択している事業者の基準期間における課税売上高が5,000万円を越えてしまったら、強制的に一般課税(本則課税)が適用されます。 なお、一度強制的に一般課税(本則課税)が適用されたからといって「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力が失効するわけではないので、基準期間における課税売上高が5,000万円以下となった課税期間は簡易課税が適用されます。

4. 納める消費税額によっては、申告や納付回数が1回では済まない場合も!

個人事業主にとっての消費税に関して、注意すべき点として「中間申告・中間納付」というものがあります。

中間申告とは納税制度の一つで、前年の納税額に応じて年度途中に納税の必要が発生するというものです。一般的に、前年納税額の半額が納付予定額になります。

参考:消費税の中間納付・中間申告が必要なのは前年の納税額が〇〇万円以上の人?!

ただし直前の課税期間の確定消費税額が48万円以下であれば、中間申告は不要で、年度末にまとめて申告するよりも、年度途中に複数回に分けて申告することで事業者の負担が軽減されます。

やはり、国としても年度途中で複数回にわけて申告納付してもらったほうがリスクを軽減できるということもあり、中間申告・中間納付という制度があるのです。

また、直前の課税期間の確定消費税額が48万円以下であっても、年度末にまとめて申告納付するのは負担が大きいと感じるのであれば、自主的に6月中間申告書を提出することができます。

直前の課税期間の確定消費税額によって申告回数や時期が異なります。

・48万円以下…中間申告不要
・48万円超え400万円以下…年1回の中間申告
・400万円超え4800万円以下…年3回の中間申告
・4800万円超え…年11回の中間申告

もちろん分納という形式なのため、1回毎の申告納付額は、期間に見合った額となります。直前の確定消費税額が100万円だった場合の中間納付額は50万円となります。

5. 消費税にかかわる届け出書類一覧とその役割

最後に消費税に関する各種届出書の一覧を、個人事業主の平成26年の事業年度(1/1〜12/31)を基準に説明していきます。

消費税課税事業者届出書(基準期間用)

平成24年の課税売上高が1,000万円を超えた時点で、平成26年からは課税事業者となることが確定されますので、分かった時点で届出書を提出します。

(国税庁:[手続名]消費税課税事業者届出手続(基準期間用)

消費税課税事業者届出書(特定期間用)

平成25年の1/1〜6/30の特定期間の課税売上高が1,000万円以上になったことが分かった時点で提出します。なお、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額により判定することもできます。

(国税庁:[手続名]消費税課税事業者届出手続(特定期間用)

消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書

基準期間の課税売上高が1,000万円以下となり、免税事業者となる場合に提出します。

(国税庁:[手続名]消費税の納税義務者でなくなった旨の届出手続

消費税簡易課税制度選択届出書

簡易課税制度を利用するときに、適用課税期間の開始日の前日までに提出します。平成27年事業年度から簡易課税制度に移行したい場合は、前日の平成26年12/31までに提出します。

平成27年4月からみなし仕入れ率に第6種が新設されますので、適用を受けたいのであれば平成26年の12/31までに消費税簡易課税制度選択届出書を提出します。

また簡易課税の適用をやめたいと思ったときには「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しますが、簡易課税制度には2年縛りがありますので、2年経過しないと不適用届出書は受理されません。

(国税庁:[手続名]消費税簡易課税制度選択届出手続

まとめ

さて、これまで個人事業主にとっての消費税に関する5つのポイントをご紹介してきました。正しく消費税のことをきちんと理解しておかないと、消費税の納付を滞納し、延滞税を納付することになりかねません。

また、消費税に関しては平成31年10月に10%まで引き上げられる予定。税率が変更されることにより消費税法が改正され、より免税や簡易課税による有利不利が大きなものとなります。本業だけではなく、税制を見据えた経営をしていきましょう!

参考

国税庁 消費税改定のお知らせ
国税庁 消費税課税事業者届出手続



監修:大道 智之 (税理士)

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