確定申告で要注意! キャッシュレス・ポイント還元の仕訳はどうするの?

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キャッシュレス決済

キャッシュレス・ポイント還元制度により、スマホ決済やクレジットカード決済をする機会は増えてきているのではないでしょうか。また、事業者の方であれば、キャッシュレス決済での購入時・販売時には会計処理が必要です。
そこでこの記事ではキャッシュレス・ポイント還元制度に関係する仕訳を、購入者と販売者の立場から解説していきます。

キャッシュレス・ポイント還元事業の概要

キャッシュレス・ポイント還元事業とは、キャッシュレス決済を促進するために国が行っている事業です。
消費者(購入者)からすると、キャッシュレス・ポイント還元の期間中は対象店舗でキャッシュレス決済を行うと通常獲得できるポイント(クレジットカードの還元率のポイントなど)とは別に、2%または5%のポイントが還元されます。

購入者の仕訳

購入者がポイントを利用して購入した場合の仕訳については、複数の仕訳が考えられます。

なお、消費税については消費税及び地方消費税を含む意味で10%の消費税としています。
消費税の会計処理は税抜方式で解説していきます(以下同様)。

購入者のお金とポイントの流れ

購入者が、商品や消耗品などを購入しキャッシュレス決済を行った場合は取引を以下の3つに分けることができます。

  1. 商品・消耗品などを入手する、またはサービスの提供を受ける
  2. 商品・サービスの代金と消費税をお金、ポイントで支払う
  3. ポイントを獲得する

上記の1と2は、仕訳を行うことになりますが、「3.ポイントを獲得する」は、仕訳を行いません。

購入者の一連の仕訳

購入者がポイントを獲得しポイントを利用するまでの一連の仕訳を確認していきましょう。

ポイント獲得時

22,000円(消費税込)の商品をキャッシュレス決済で購入し、1,100円分のポイントを獲得した場合

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消耗品費20,000未払金22,000
仮払消費税2,000

※「仕入」は購入するものによって消耗品費なども考えられます。(以下同様)

上記の仕訳は、ポイントを獲得しても仕訳には影響がありません。
また、この取引では値引きもないため、決済した金額(22,000円)を計上します。

ポイントを利用して購入した時

ポイントを利用して支払うことは、お金で払う金額が安くなるため値引きとします。
次に値引きの取り扱いは以下の2通りの仕訳方法が考えられます。

  • 値引き後の純額で仕訳を行う方法
  • 値引き前の仕訳と値引きの仕訳を行う方法

順番に以下の例で確認していきましょう。

【前回に獲得した1,100円分のポイントを使用して、11,000円(消費税込)の商品をキャッシュレス決済で購入した場合】

値引き後の純額で仕訳を行う方法

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入9,000買掛金9,900
仮払消費税900

仕入及び仮払消費税金額からポイント利用部分を直接マイナスした仕訳です。
上記の仕訳は1,100円分のポイントを値引き前の商品代金10,000円と消費税1,000円の比率で按分し利用したことにしています。1,100円分のポイントのうち1,000円を商品代金に、100円を消費税に分けています。
実際の取引では、仮払消費税の金額はレシートや領収書などに記載されている消費税の金額になります。

値引き前の仕訳と値引きの仕訳を行う方法

まずはポイントを無視した仕訳を行います。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000買掛金11,000
仮払消費税1,000

次にポイントで値引きする部分の仕訳を行います。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買掛金1,100仕入(※)1,000
仮払消費税100

※上記の例では「仕入」の勘定科目を使用していますが、値引き額を別で管理したい場合は、仕入のマイナス科目である「仕入値引」などの勘定科目や「雑収入」を使用しても問題ありません。

値引きの仕訳は、元の仕訳に対して反対の仕訳を行うことになり、消費税金額は純額で仕訳を行う方法と同様に按分計算を行っています。

ポイントを利用した場合には上記2つの仕訳方法が考えられます。その事業者に合った方法を選択しましょう。

販売者の仕訳

販売者の仕訳を解説します。仕訳の前に、ポイントの発行は以下の2つがあるため、確認しておきましょう。

  1. 自社独自でポイントを発行する場合
    自社(販売者)が自社独自のポイントを発行し利用を認めるポイント制度のこと
  2. 提携している決済事業者(※)がポイントを発行する場合
    提携している決済事業者がポイントを発行し利用を認めるポイント制度のこと
    ※決済事業者とは、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどの決済手段を提供する事業者のことです。

キャッシュレス決済を導入した店舗は、上記「2.提携している決済事業者がポイントを発行する場合」のに該当するため、こちらを解説していきます。

販売者のお金とポイントの流れ

販売者が、商品やサービスを提供しキャッシュレス決済を受けた場合は取引を以下の5つに分けることができます。

  1. 商品やサービスを提供する
  2. 購入者が決済事業者へ代金または代金の一部をポイントで支払う
  3. 決済事業者が購入者へポイントを付与する
  4. 販売者は決済事業者から販売代金を受け取る
  5. 販売者から決済事業者へ決済手数料を支払う

販売者の視点から見ると、上記の2と3は販売者に関係していないため、仕訳の必要がありません。
また、決済手数料は決済金額の2%程度(決済事業者によって異なります)が発生し、販売代金が振り込まれる際に手数料部分が差し引かれて入金されるケースがあります。
しかし、説明の便宜上、決済手数料は販売代金の受け取りと決済手数料を支払うことは分けて説明していきます。

販売者の一連の仕訳

販売者の一連の仕訳を確認していきましょう。

ポイントを付与した場合

22,000円(消費税込)の商品を販売しキャッシュレス決済で支払われ、1,100円分のポイントを付与した場合

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金
22,000売上20,000
仮受消費税2,000

この販売で1,100円分のポイントを付与していますが、決済事業者が購入者へポイントを付与しているため、販売者には関係がなく仕訳に影響がありません。

販売代金の一部がポイントで支払われた場合

販売者は11,000円(消費税込)の商品を販売した。その際に、前回の購入者が前回に獲得したポイント1,100円分とキャッシュレス決済(9,900円)で支払った場合の販売者側の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金11,000売上10,000
仮受消費税1,000

1,100円分のポイントは購入者から決済事業者への支払いのため、販売者には関係がなく仕訳に影響がありません。

販売代金が振り込まれた場合
上記販売代金33,000円(22,000円と11,000円の合計)が決済事業者から振り込まれた場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金33,000売掛金33,000

現実的には、販売代金の振り込みの際に決済手数料が差し引かれることがあります。
しかし、上記仕訳は説明の便宜上、決済手数料の仕訳を分けて説明しているため決済手数料の計上をしていません。
決済手数料については以下で解説しています。

販売代金に対する決済手数料を支払った場合

上記の2つの取引(22,000円と11,000円)の合計金額33,000円の決済手数料660円(※)を決済事業者へ支払った場合
※決済手数料は決済金額に対して2%で計算しています。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額

支払手数料600預金660
仮払消費税60

上記は、販売代金の振り込みを無視した決済事業者へ決済手数料を支払った仕訳になります。
現実的には、販売代金の振り込みの際に決済手数料を差し引かれて振り込まれることが多いです。振り込みのタイミングと手数料は決済事業者によって異なります。

キャッシュレス・ポイント還元の経費補填金の仕訳

上記で決済手数料660円が発生した。決済手数料660円のうち220円に対し、販売者が決済事業者から経費補填金として受け取った場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金220雑収入220

上記の仕訳は、経費補填金の入金があったタイミングで行います。
経費補填金に対して消費税は課税されません(不課税)。したがって仮受消費税はありません。
現実的には、上記のように経費補填金が支給されるケースと、販売者から決済事業者へ支払う決済手数料と経費補填金が相殺されるケースがあり、決済事業者によって異なります。
また、勘定科目は「雑収入」ではなく、適切な勘定科目になる可能性があり、これは事業者の判断によります。

まとめ

キャッシュレス・ポイント還元を基に、ポイントに関わる仕訳を解説しました。
実はキャッシュレス・ポイント還元は還元率が高くなるだけであって、ポイント自体の仕訳は変わりません。

購入者の場合は、「消費税をいくら払っているのか?」に注意し、販売者の場合は「ポイントはだれが発行しているのか?」に注意が必要です。
ポイントの仕訳でわからない場合は、どんな取引があるのか分けて考えてみましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。



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