電子的に保存する「電子帳簿保存法」と「e-文書法」とは?

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経理担当として扱う書類は非常に多く、管理の仕方について不安に感じる方も多いでしょう。電子帳簿保存法やe-文書法により一部の文書は電子的に保存することも可能で、紙保管に比べると簡便に取り扱えます。この記事では法人税法や消費税法において保存が義務付けられている帳簿書類の種類を整理し、電子帳簿保存法やe-文書法の概要について解説します。

保存すべき帳簿とは何か?

個人、法人を問わず、国税関係帳簿書類のうち保存を求められているものは多岐にわたります。法人税法や消費税法で保存すべきものとして定められている書類には以下のようなものがあります。

帳簿 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
国税関係書類 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、その他決算書類
証憑(しょうひょう)類など 契約書、領収書、預金通帳、請求書、納品書、見積書、注文書、検収書など

これらの書類は、一部を除き確定申告書の提出期限の翌日から7年間、証憑類は5年間保存することが定められています。

従来は、原則として紙での保存が義務付けられていましたが、指定されている書類すべてを紙で保存しようとするとそれだけ保管用の倉庫スペースやファイル代、印刷用紙代などのコストがかかります。保管期間を過ぎて破棄する場合にもセキュリティに配慮して処分する必要があり手間がかかります。

そのため、一定の条件を満たせばマイクロフィルムやサーバ、DVD、CDなどの電子データを使った保存が認められています。また、国税関係書類もスキャナで読み取り保存することが可能です。

電子帳簿保存法とは?

法人税法や消費税法により紙で保存することが定められている各帳簿書類も、はじめから電子データで作られるのが一般的になってきました。
従来、帳簿書類は紙で保存することが原則であり、たとえ電子データで作られた文書であっても、印刷して紙で保存する必要がありました。

しかし、紙での保存は、先に紹介したようにデメリットも多くあるため、ペーパーレス化へ向けて規制緩和され、1998年に電子帳簿保存法が成立しました。

電子帳簿保存法によってデータ保存する方法は、2通りあります。

一つめは、もともとデータで作られた文書をデータで保存する方法で、「電磁的記録による保存」と「COMによる保存」があります。

  • 電磁的記録による保存
  • 紙での保管を行わずに、各書類を電子データのままサーバ・DVD・CDなどで保管する方法です。

  • COMによる保存
  • COMとは「電子計算機出力マイクロフィルム」のことで、写真のフィルムで資料を保管する方法です。マイクロフィルムは耐久性があり長期保管に向いているとされ、最初から電子計算機で作成されている帳簿類については、そのままCOMで保存することが認められています。

もう一つは紙媒体をデータに変換して電磁的に記録する「スキャナ保存」です。
2016年の税制改正により電子帳簿保存法の一部が改正されました。

従来はスキャナ保存にかかわる要件が厳しく定められていました。例えば、2015年までは、スキャナ保存用の文書には電子署名が必要でした。また、コピー機などのスキャナ機能で読み取ったもののみがスキャナ保存データとして認められていました。

しかし2016年以後はスマートフォンなどで読み取った領収書等も国税関係書類として認められるよう要件が緩和され、使いやすくなっています。

なお、今まで紙で保存していた各資料を法人や個人の判断のみで電子保存に切り替えることは認められていません。上記の電子的な保存方法での運用を希望する場合は、3か月前までに所轄の税務署長あてに申請書を出して承認を受ける必要があります。

e-文書法とは?

e-文書法は電子帳簿保存法より後の2005年に制定された法律です。この法律もパソコンとインターネットの普及を受け、ペーパーレス化による業務効率化やコスト削減などが制定の背景にあります。

e-文書法の基本要件は見読性、完全性、機密性、検索性の4つです。

見読性 表示や印刷などで情報が読み取れること

※CDで保存している場合には、CDドライブを用意しておくなど、読み取り機器なども保持しておく必要があります。
完全性 作成された文書とデータが同じものであり、作成後改変されていないこと(真正性)確実に保存されていること(保存性)
機密性 盗難、漏洩、不正アクセスなどが防止できていること
検索性必要に応じて必要な文書が探し出せること

電子帳簿保存法は国税庁が所管し、国税関係帳簿書類について定義されていますが、e-文書法は厚生労働省が所管している法令です。紙文書の電子保存に関する共通事項を定めている「通則法」と、紙文書の電子管理のために必要な手続きなどを定める「整備法」の2つから構成されています。

つまりe-文書法は電子帳簿保存法の上流に位置し、より包括的に書類の電子保存について規定しています。例えば、電子帳簿ではない社内の稟議書、有価証券報告書、人事関連資料等などの保存についてはe-文書法が根拠になります。

社内規定や相互牽制を整備して帳簿をデータ保存しよう

経理担当が扱う書類には、帳簿、決算資料、証憑類などがあり、それぞれに保管方法や保管期限が定められています。しかし電子帳簿保存法やe-文書法により、ほとんどすべての文書はデータで残すことが可能となりました。これらを自社で運用するには、社内規定として「適正事務処理要件」の整備が要件となります。内部統制として適切にアクセス権を付与するなど、相互牽制の仕組みの導入などを規定することが求められます。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / フィナンシャルプランナー AFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。その後、システム会社に転職。
システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。
2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。



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