10代で借金→起業。サイバーセキュリティで世界に挑む28歳社長の異色経歴

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令和への改元早々に「サイバーセキュリティ庁」の新設が提言されるなど、国内でも急務となっているサイバー対策。この分野で注目を集める企業がサイバーセキュリティクラウドです。

クラウド型WAFサービスを手掛ける同社は、2018年10月、監査法人トーマツが著しく売上を伸ばした企業を表彰する「日本テクノロジー Fast 50」において10位を受賞。

今まさに企業、事業ともに注目を浴びる同社を率いるのは28歳の大野暉社長。なんと高校1年生のときに130万円の借金を抱えた過去を持ちます。その後18歳で起業、22歳で経営者から会社員になり……。決して平坦ではない道のりを歩んできた大野社長の異色経歴に迫ります。

「借金130万円返済のために働いた」

【プロフィール】大野 暉(おおの ひかる)
株式会社サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長
1990年生まれ。早稲田大学卒業。16歳時より個人事業主として起業家人生をスタート。複数社の起業及び事業譲渡の後、株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役に就任。
Twitter:@opikaru

――高校生で130万円の借金を背負ったと聞きました。どのような背景があったのでしょうか?

神奈川県の横浜市で生まれ育ちました。父親はトラック運転手で、あまり裕福な家庭ではありませんでした。高校に進学する際も、親から「消防士になれ」「働いて稼げ」と言われていたんですよ。

でも、僕は学力に自信があったから学校に行きたいと思っていました。どこかの高校を卒業して東大に行けばいいやと思っていたんです。

その後、早稲田大学高等学院に進学しました。その際にいろんな方に学費を借りて、高校1年生で130万円の借金を背負うことになったんです。

――学費をかけずに公立高校に行く選択肢もあったと思いますが、なぜあえて私立へ?

かつて楽天の副社長だった本城慎之介さんの言葉がきっかけでした。本城さんは楽天退社後に公立中学の校長先生に転身していて、僕はその中学に通っていました。

本城さん自身は函館ラ・サール高校を出ているんですが、「私立高校で出会った仲間たちが一生の仲間になっている」と話していました。特に早慶はネットワークが強固だとも聞きました。社会人になってからも関係が続いたり、同じような仕事のフィールドで活躍する仲間を得られるならと思い、進学先を決めましたね。

――高校生でビジネスの世界に足を踏み入れていますが、働くことに興味があったから? それとも借金返済のためですか?

ビジネスへの興味はあまりなかったです。強いて言えば、僕の中学生時代の2003~2005年頃は「ヒルズ族」がメディアを賑わせた頃で、堀江貴文さん、三木谷浩史さん、村上世彰さんたちがよくニュースに出ていたのを覚えています。とは言え、起業家になりたいなんて1ミリも思いませんでした。

――ビジネスに興味がなくとも目の前の借金を返済しなくてはいけない。それで仕事を始めたんですね。

高1の夏頃までファミレスでバイトしてみたんですけど、これじゃ全然返済できないと思ったんです。その上、翌年4月にはさらに100万円程度の学費がかかります。

どうにか稼がなきゃいけないと悩んでいたら、高校の先輩に「2時間で8,000円貰えるバイトがあるんだけど一緒に行く?」と誘われて。いかにも怪しいですが(笑)、付いて行くとグループインタビューのモニターのバイトだったんです。

その調査会社の人に「これだけでなぜ8,000円も貰えるんですか?」と聞くと、「あなたたちからしたら大金かもしれないけど、この8,000円で得たデータは企業にとってそれ以上の価値があり、データをもとに商品がブラッシュアップされて、それが何十億何百億円という売上を生み出すようになるんだよ」と言われた。

これが社会のお金の流れ、価値の提供の流れなのかと感じて、面白いなと思った。その場で「人集めでも議事録作成でもなんでもやるから手伝わせてほしい」と頼んで、企業のマーケティング活動に関わるようになりました。

少しずつ報酬を貰えるようになったので、16歳で個人事業主に。借金を返済し、後の起業の際の資金を貯めるようになりました。

「利益を出しお金も稼いだけど…」経営者から会社員へ

――その後、18歳で環境事業を手掛けるユニフェクトを起業されました。具体的な事業内容は?

法人企業の廃棄物処理業務を効率化するクラウドサービスを提供していました。企業がゴミを出すとき、何のゴミを出してどう処理されたか、リサイクル率は何%かなど、廃棄物の排出状況を回収業者が企業に報告するんですよ。

企業は排出状況やコストを管理しなければなりません。企業規模が大きいほど管理は煩雑になります。その管理を効率化するクラウドサービスをやっていました。サービス開始の2009年は“クラウド元年”と呼ばれた年でしたね。

――マーケティングとは畑が違う事業を始めた理由は?

事業領域のこだわりはありませんでした。でも、この先何十年も働くのであればスケールが大きい事業に携わりたいなと。そこでインフラ事業を現代のビジネスモデルに応用できればと思ったんですね。

様々なWebサービスが生まれた頃でしたが、いろいろな企業やビジネスモデルを“調べては違う、調べては違う”を何百回も繰り返しました。結局自分が携わりたいのは生活に密接に結び付くインフラだなと。

そんな中、引越しでゴミを捨てようとしたときに回収業者にぼったくられたんですよ(笑)。「なぜこんなに料金が高いのか? 明細は?」と聞いても「この料金だから」の一点張り。ロジックがないんですよ。ロジカルなビジネスプロセスや業務の可視化といった部分で改善ができそうだと思い、廃棄物処理に関わる事業を始めました。

――事業は順調に成長したにもかかわらず、大学4年で、弁当配達サービスを手掛けるスターフェスティバルに入社しています。なぜ経営者から会社員に?

利益も出したし、お金も稼げたし、お客様にも喜んでもらえるサービスでした。が、初めて人を雇う経験をして、自分の組織マネジメントの未熟さを痛感したんです。20歳前後の頃は人の心を理解しないマネジメントをしていたわけですよ。それで組織作りの勉強をしたいと思い、ご縁のあったスターフェスティバルに入社しました。

――会社員時代に学んだこととは?

いっぱいあります。まずは、同僚とのコミュニケーションの取り方ですね。先ほども触れましたが、事業を立ち上げる経験は積んでいても、その事業を社員一丸となって育てていく部分はまだまだ未熟でした。

でも、僕自身が一社員になり同僚と同じ目線になったことで、彼らの心理や仕事の価値観などを肌で感じられるようになったんです。

入社したての頃は、同僚との交流がうまくいかなかったり、自分よがりに突き進んでしまったりすることもありました。でも徐々に距離が縮まりました。会社員時代に最も糧になったのは、社員とのコミュニケーションや、人や組織のマネジメントスキルのベースになる経験でしたね。

――ビジネスにおいてはどうでしょう?

大企業との折衝は勉強になりましたね。約30億円規模の資金調達をまるっと担当したり、売上2,000億円規模の大企業に出向して経営管理部門で経営改善に携わったり。会社が成長しているときにどのフェーズでどんな問題が起こり、どう対処し、何に投資するかといった経営全般を見れたことはとても勉強になりました。

さらに異業界へ…米国に子会社設立、国内から世界へ

――スターフェスティバルで3年間過ごし、次はサイバーセキュリティクラウドに社長として就任されました。サイバーセキュリティを選んだ理由は?

インフラに携わりたい気持ちは変わらなかったので、これからニーズが高まる市場を調査していました。そしてセキュリティかビッグデータの2つだろうと。それでサイバーセキュリティの事業アイデアを出しまくり、いろんな人と出会う中でサイバーセキュリティクラウドにめぐり逢いました。

会社員時代の学びのおかげで、ユニフェクトで課題を感じていた組織運営も改善しました。社員にもフラットに接することを意識しているので、今では社員に嫌われることもないと思います(笑)。

――大野さんは何を軸に次に関わる事業を選んでいるんですか?

BtoB領域のインフラ事業であることですね。例えば生活インフラ化したCtoCサービスも、間に会社が挟まっていることでインフラとして整備されていきますよね。結局はBtoBの延長線に様々なサービスが生まれるのです。だから僕はBtoB領域に関わっていたいと思っています。

――今後の展望は?

今はサイバーセキュリティクラウドの事業を世界規模にするため、グローバル全域でのサービス展開に注力しています。2018年9月末にはシアトルに子会社を設立し、海外の事業拡大を進めています。

もちろん上場も見据えています。サイバーセキュリティの会社として社会的信用力は必須ですから。世界中の人々が安心安全にインターネットを利用するための、付加価値の高いサービスが提供できる企業を目指していきます。

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Bizpedia編集部

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