2019年度税制改正で「得する人・損する人」 ふるさと納税は5月までがお得?

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2019年10月から消費税が10%に上がります。家計にも大きな影響を及ぼすことは誰もが覚悟していることでしょう。ところが、2019年度は消費税増税だけでなく他にもいくつか税制改正があります。

この改正で私たちの生活はどう変わるのでしょうか。改正のポイントとともに、それにより得する人と損する人を見ていきましょう。(執筆者:ファイナンシャルプランナー たじりひろこ)

住宅ローン控除延長 購入のタイミングはいつ?

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入・新築・改築した人のための制度です。現行制度は、「2021年12月31日までに居住を開始し、一定の条件を満たした時に、取得などにかかった住宅ローンの年末残高の合計額をもとにして計算した金額(住宅ローン残高の1%)が10年間、所得税や住民税から控除される」というものでした。各年の控除限度額は40万円(認定長期優良住宅の場合は50万円)です。

この10年間の所得税控除は2016年4月1日以降に住宅を取得した人にのみ適用されています。それが消費税増税を受けて、2019年10月以降に住宅を取得し、かつ、2019年10月1日~2020年12月31日の間に居住を開始する人については控除期間が3年間延長されることが決定したのです。

この改正で、住宅ローン延長後の11年目~13年目は、次の2つのうち少ない額が控除額となります。

◆住宅ローンの年末残高(4,000万円が限度)×1%
◆住宅取得額の2%

消費税増税だからと住宅購入を迷っていた人には朗報となるのではないでしょうか。

ただし、注意点もあります。この控除期間延長の恩恵が受けられる人は居住の開始時期が限定されていることです。また、消費税10%で取得した住宅に限られてもいます。増税前に住宅を購入した人、2019年10月以降に家を購入したけれども入居時期が2021年以降になる人は該当しないので気を付けましょう。

また、住宅ローン控除される金額は「年末の残高」をもとに算出されます(11年目以降も住宅ローンの年末残高×1%が控除される場合)。

11年目以降は住宅ローンの返済もある程度落ち着く人もいるのではないでしょうか。もしローン残高がそれほど残っていない場合、この控除期間延長時期には控除金額も少なくなり、恩恵をそれほど感じられない可能性もあります。

得する人:消費税10%で住宅を購入し、かつ2019年10月1日~2020年12月31日の間に居住を開始する人は、住宅ローン控除延長の恩恵を受ける

損する人:消費税10%で住宅を購入したが2021年1月以降に居住を開始する人は、住宅ローン控除延長が適用されない

ふるさと納税の見直し 5月末までがお得?

居住地にかかわらず寄附ができる「ふるさと納税」。確定申告をすると、寄附した金額の一部が所得税や住民税から控除されます。

このふるさと納税が人気を集めた理由は、自治体によって豪華な返礼品が受け取れるとことですね。一方、返礼品としてその地方の名産品が贈られるはずのふるさと納税でしたが、そうではない高額返礼品合戦が問題になっていました。

そこで、ふるさと納税の返礼品の見直しが行われ、返礼割合を3割以下に、返礼品の内容も地場産品とすることが決定しました。2019年からは一部で話題となっていた高額な返礼品、旅行会社発行の旅行券や商品券など自治体に関連のない返礼品はふるさと納税の対象から外されることになったのです。

ただし、ふるさと納税の高額返礼品の規制は2019年6月以降に始まります。6月以降に納税をしたら同じ納税額でも返礼品の金額が低くなることもあり、損をした気分になるかもしれません。もし高額返礼品を狙いたいというならば、2019年5月までにふるさと納税を済ませておきましょう。

得する人:2019年5月末までに高額返礼品がある自治体にふるさと納税を済ませた人

損するかも?:2019年6月以降は返礼割合が下がる可能性があるため、高額返礼品を狙いたい人は5月末までに駆け込もう

富裕層の孫への教育資金贈与は要注意

「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」という制度にも一部改正があります。

この制度は30歳未満の孫や子どもに対して、直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母)が教育資金を一括贈与する際に、受贈者1人に対して1,500万円まで(塾など学校以外の場合は500万円まで)ならば非課税とするものでした。富める高齢者世代の資産を、まだそれほど資産を持たない若年層に移すことを促進する制度だったのです。

しかし、この制度には問題点もありました。受贈者の年収が問われることがなかった点です。学費がどうしても必要な孫への教育資金援助というより、富裕層の高齢者から富裕層の孫への資金移動という側面の方が強く出てしまったのです。

そのため、2019年4月1日以降からいくつかの改正が行われます。主な改正点を1つずつ見ていきましょう。

主な改正点1:受贈者の所得制限

2019年3月末までは受贈者の所得は問われませんでしたが、2019年4月1日以降は所得制限があります。

贈与者(祖父母等)が金融機関へ教育資金の信託を行う年の、前年の受贈者(孫)の所得金額が1,000万円を超える場合には、贈与税非課税制度が使えなくなりました

今までは就業している30歳未満の孫が社会人学生になった場合、年間所得が1,000万円を超えていても贈与税非課税制度が使えましたが、それができなくなったのです。

主な改正点2:教育資金の範囲制限

今までの制度ではスポーツ・文化芸術活動など、学校以外の教育費として500万円までの贈与が非課税となっていました。

この範囲も変更となります。学校以外の教育費500万円ですが、23歳以上の受贈者が非課税で受け取られるのは、教育訓練給付金の支給対象となるものに限られるようになります。

23歳以上の場合、留学先への渡航費、楽器・スポーツ等の習い事は支給対象外です。この制限は2019年7月1日以降に支払われる教育資金から適用となります。

これらの改正部分を見ていただくとお分かりのとおり、「所得1,000万円以上の受贈者」「教育訓練給付金支給対象外の習い事への資金援助を受けていた受贈者」は今後贈与税非課税の恩恵を受けられなくなり、損をすることになります。

もちろん、所得1,000万円以下の受贈者ならば今までどおり贈与税の非課税措置は続くのでご安心ください。

得する人:次の人は、引き続き教育資金贈与の非課税措置を受けられる
・年間所得1,000万円未満の受贈者
・23歳以上で教育訓練給付金支給対象の習い事をしている人

損する人:次の人は教育資金贈与の非課税措置を受けられなくなる
・年間所得1,000万円以上の受贈者
・23歳以上で教育訓練給付金支給対象外の習い事に対し贈与を受けていた人

配偶者居住権の創設 評価方法を確認しよう

夫あるいは妻が亡くなり、その配偶者が自宅を相続できなかった場合でも、配偶者がこれまで住んでいた建物に住み続けることができる権利「配偶者居住権」が創設されます。

今までは遺産相続等で配偶者が家を受け取った場合、家の価値も相続財産として含まれていました。そのため、それ以外の金銭等の財産を受け取れなくなったり、最悪の場合は他の相続人と遺産を分けるために住んでいた家を手放さないといけないこともありました。

それをこの配偶者居住権で今までの自宅に住みつつ、金銭等も相続できるようにしたのです。配偶者居住権を確保するためには居住権の価値の評価を行わなければいけません。居住権の価値の評価は、次のように算出します。

この計算のチェックポイントは「存続年数」部分です。仮に配偶者が相続した家に一生住み続けるとした場合、存続年数は平均余命になります。65歳女性が相続した場合の存続年数は24.38、80歳女性で11.82です。

建物の残存耐用年数、つまり、どれくらい古いのかなどもありますが、相続人になる配偶者が若いほど配偶者居住権が大きくなるのです。

ただし、「居住権が大きくなる=評価が高くなる」と、金銭等で相続できる金額が少なくなる可能性があります。住むところを確保することが最優先か、相続できる金銭を多くすることを優先するかはじっくり考えないといけません。

得する人:相続財産以外に収入源がある、もしくは貯蓄が十分にある人は配偶者居住権の恩恵を受ける

損するかも?:配偶者居住権を優先すると金銭の相続額が少なくなるおそれがある人は、配偶者居住権の取得を慎重に検討したい

税制改正の内容を知って損しないようにしよう

2019年の税制改正の内容についてご紹介しました。ふるさと納税で高額返礼品が受け取れる期限のようにすぐにでも対応しておきたいもの、教育資金の贈与税非課税のように高額になる税金を節税できるものなど、自分の生活にも関連があることがいくつかあったのではないでしょうか。

2019年度税制改正に向けて、自分の関連する部分だけでも早めにチェックしておくことをおすすめします。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:たじり ひろこ(ファイナンシャルプランナー)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券外務員第一種資格保有。証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関勤務経験あり。2016年末からライターとして活動し、主に金融系サイトで執筆。



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