ベンチャーが知るべき資金調達の手段 注目の「ファクタリング」とは

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創業間もないベンチャー企業にとって、どのように資金を調達するかは非常に重要な問題です。会社を軌道に乗せて成長させるためには資金が必要だけど、どこで誰に相談すればいいのかわからない、という経営者の方も多いのではないでしょうか。

今回は創業から7年強で600社以上の新規顧客を獲得し、デットファイナンス支援金額は年間10億円以上、エンジェル投資家としても20社超に投資し、グループ全体の構成員数50名の組織に成長させた会計事務所、Seven Rich会計事務所・株式会社Seven Rich Accountingの代表取締役社長・服部峻介さんに、ベンチャー企業向けの資金調達について聞きました。

【プロフィール】服部 峻介(はっとり しゅんすけ)
公認会計士/税理士/行政書士
北海道大学卒。有限責任監査法人トーマツ、経営コンサルティング会社での取締役を経て、2011年にSeven Rich会計事務所・株式会社Seven Rich Accountingを設立。スタートアップの支援を中心に「損する機会を防ぎ、得する機会をもたらす」ことを実践し、「経営者の左腕」としての存在を目指している。

成長途中の企業が「資金調達難」に陥るワケ

――創業間もない企業にとって資金調達は非常に大きな課題です。そもそもなぜそのような状況に陥るのでしょうか?

一番大きな問題は、資金が足りなくなってから資金繰りを考えることです。本来ならばお金があるうちに未来の事業について考え、それと同時に資金繰りを進めなければいけません。それが大前提です。

事業計画や資金計画を作成するときに、非現実な理想を考えがちな人が多いのではないでしょうか。それはつまり、実際の自分としっかりと向き合っていないと言えます。1年後、2年後の自分としっかり向き合って、考え続ける。それができれば資金繰りは改善します。

――事業計画や資金計画で未来をしっかりと予測することが大事ということでしょうか?

そうですね。たとえば銀行から融資を受ける場合と、ベンチャーキャピタルなどから資金を受ける場合では計画の数字の評価ポイントが異なります。

ベンチャーキャピタルの場合は事業の成長性を見てくれますから期待値の高い数字を出しても大丈夫ですが、銀行の場合は期待値の高い数字を出して達成できなかったら評価が下がってしまい、貸してくれなくなることがあります。1年後、2年後の事業の成長を考えて、達成できる計画を作成することが重要ですね。

――経営者には数字が苦手な人も少なからずいると思います。そんなときは誰に相談するのがいいのでしょうか?

専門家や、経営の知識がある人に頼るのが一番だと思います。知識がないまま自分でやろうとするからわからなくなっていくわけです。冷静な判断ができなくなり、過小評価や過大評価をしてしまい、うまくいかないことが往々にしてあります。数字に強い人に相談することで、冷静な判断とアドバイスをもらえます。あまり自分で悩みすぎないほうがいいですね。

創業間もない企業が知るべき「資金調達の手段」

――資金調達の代表的な手段を教えてください。

一般的な資金調達手段としては次の4つがあります。それぞれに特徴がありますから、これらを組み合わせて資金繰りを考えていくことが大切です。

<主な資金調達の手段>

・自己資金

自分で貯めたお金

・融資(デットファイナンス/Debt Finance)
銀行や日本政策金融公庫などから借り入れるお金

・株式資本(エクイティファイナンス/Equity Finance)
ベンチャーキャピタルなどの投資家から出資を受けて調達するお金

・その他
補助金や助成金、クラウドファンディング、ファクタリングなどで調達するお金

――デットファイナンス(融資)とエクイティファイナンス(株式資本)について、それぞれどのような特徴があり、どう使い分ければいいのでしょう?

単純に分ければ、デットファイナンスは直近に利益を出すために使い、エクイティファイナンスは将来的な成長につなげることに使ったほうがいいと思います。

自分が作りたい世界観がどれくらいの規模かを考えて、デットファイナンスを使うか、エクイティファイナンスを使うかを考える必要があります。デットファイナンスで得たお金で利益を増やせるなら両方同時に使ったほうがいいですし、利益がまだ出ていない段階ならエクイティファイナンスを使うしかありません。

デットファイナンスは返済しなければいけませんから、とにかく利益につながる事業に使う必要があります。つまり、利益をしっかり出せている会社なら、デットファイナンスを使ってどんどん会社を成長させたほうがいいですね。

エクイティファイナンスの場合、資金調達の手段としての側面の他に、株主となるベンチャーキャピタルや投資家など、事業パートナーとの関係強化の意味合いのほうが強いと言えます。彼らは事業成長の相談役になってくれます。足元の資金繰りではなく、事業の未来を一緒に作り上げる仲間との連携強化のためにあるととらえたほうがいいと考えています。

――「その他」の手段にあるファクタリングはあまり馴染みがありませんが、どういった資金調達法でしょうか?

ファクタリングは売掛金、つまり請求書を現金化できるという資金調達方法です。最近、注目されている方法ですね。

デットファイナンスやエクイティファイナンスが資金調達までに数週間から数カ月かかるのに対して、ファクタリングなら最短3日で資金化できます。海外では一般的な資金調達方法なのですが、日本ではベンチャー企業をしっかりと評価してファクタリングを行ってくれる会社が少なかったんです。

ファクタリングを使ったほうがいい事例としては、「売上が非常に伸びている会社で、広告宣伝費をかけたらもっと売り上げが伸びる」というタイミングですね。そういった会社に対しても銀行は与信の関係でお金を貸してくれない場合もありますし、エクイティを入れて持ち株の比率を下げたくないという事例もありました。そういった会社がファクタリングを使って成長の機会を手に入れることができます。

>>ファクタリングサービスについて詳しく知る!(外部リンク)

「資金調達の手段」は、何を軸に選ぶべきか?

――デット、エクイティ、ファクタリングなど、資金調達の手段を選ぶときに何を軸にすればいいのでしょうか?

デットファイナンスの場合、創業間もない企業であれば、金利よりも金額を意識したほうがいいですね。融資が実行されるまでの期間としては1カ月から2カ月ほどかかります。さらに、1年後や2年後も借入を行うことを考えて、ありのままの姿を見せることが大切です。借りるために事業内容を脚色したり、過大にアピールしたりしないほうがいいと考えています。

エクイティは、ベンチャー企業にとって一番いい手段だと思います。先ほども言いましたが、エクイティは資金の提供だけではなく、事業の成長に必要なヒト、モノ、カネの相談にも乗ってくれます。ベンチャーは特に、そういった「相談できる人」を側に置いておくことは必要だと思いますね。

ファクタリングの最大の魅力は、現金化までのスパンが短いことです。最短3日で資金化できる、それは非常にありがたいことです。だからこそ、調達した資金で売上を立てられる見込みがある場合には積極的に使ったほうがいいですね。手数料が3%前後になりますが、その資金で10~30%の利益を上げられることもありますので、特に成長期の会社にはおすすめしたい手段です。

――資金調達を行うにあたって、どのような心構えをしておけばいいでしょうか?

まず何よりも覚えておいてほしいことは、「スマートな資金繰りはない」ということです。その代わり、資金を調達するためにはさまざまな方法はありますし、なりふり構わなければ何とかなると信じることです。

資金を調達したいと考えるのは、基本的にツラいときではないでしょうか。しかし、欲しいときに貸してもらえるわけでもない。私自身の経験でも、支援先や株主、銀行と話をしても想定通りにいくことはほとんどありません。だからこそ、1年後、2年後、場合によっては5年後、10年後の事業の形を考えることが大切になってきます。

どのような資金繰りの手段を使うにしろ、相手は人です。銀行にしても決して機械的に判断しているわけではなく「応援したいと思える会社、経営者か」という軸で判断されます。だからこそ、魅力的なビジネスモデルを描き、魅力的な経営者であることが最も大切なのではないでしょうか。

会計事務所と急成長ベンチャーによるパネルディスカッション開催

2019年3月28日(木)に服部峻介氏が登壇するパネルディスカッション「会計事務所と急成長ベンチャー企業が語る資金調達のリアル」を開催します。成長を続けるベンチャー企業の経営者は、資金調達手段をどのように使いこなし、事業の成長に有効活用してきたのか――。会計事務所と急成長企業3社によるパネルディスカッション形式でその極意に迫ります。

<開催概要>

◇日時:2019年3月28日(木) 10:00〜12:00(受付開始:9:45〜)
◇会場:FINOLAB(東京都千代田区大手町一丁目6番1号 大手町ビル4階)
◇受講料:無料
◇対象:企業経営者の方、財務部門の責任者の方、これから起業・新サービスを考えている方

>>詳細はこちらから

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Bizpedia編集部

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