「副業でFX」をしている会社員の確定申告のやり方 節税対策も

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2018年の副業解禁の影響を受けて、副業としてFXを始めた会社員の方もいらっしゃるでしょう。儲かった方も、そうではなかった方も、2018年分の損益は、2019年2月18日(月)~3月15日(金)の間に確定申告する必要があります。

今回は、投資の税務に詳しい税理士・齋藤雄史さんが、FXにまつわる確定申告のやり方を教えてくれます。「確定申告はやったことがあるけど、FXの申告は初めて」という方は必見です。

<プロフィール>齋藤 雄史(さいとう ゆうじ)
税理士/公認会計士(齋藤雄史公認会計士事務所
宮城県仙台市出身。高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、2011年に公認会計士試験に合格し、新日本有限責任監査法人福島事務所に入所。法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に会計事務所を開業。ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

FXの確定申告で必要な書類

こんにちは。税理士の齋藤雄史です。今回は副業としても人気のFXの、確定申告の方法をお伝えします。FXをしている架空の会社員「為替太郎さん」の収入をもとに、確定申告書を作成していきます。

<為替さんの基本情報>
名前  :為替太郎さん
職業  :会社員
家族構成:専業主婦の妻がいる
経費  :セミナー代3万円、書籍代5千円
その他 :社会保険料控除分は30万円、FXの年間損益は200万円

FXの確定申告で必要な書類は4点

まず、FXの確定申告で必要な書類は次の4点です。

<FXの確定申告で必要な書類>
・申告書B(第一表、第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用) ※FX損失の繰越控除を使う場合

このうち<申告書第三表(分離課税用)先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書>の2点が、FXの申告をするために必要な書類です。

もし損失が発生している場合は、3年間損失を繰越できる繰越控除という制度を使用するために、<所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)>も必要となります。

>>株で損したら確定申告すべき! 繰越控除をもっと知る

FXの申告書を提出する際に必要な添付書類は2点

申告書を提出する際に必要な添付書類は次の2点です。

<申告時に必要な添付書類>
・年間取引報告書(年間損益報告書)
・給与所得の源泉徴収票

<年間取引報告書(年間損益報告書)>は、取引で使用しているFX会社のホームページからダウンロードできます。<給与所得の源泉徴収票>は勤務先の会社から受け取ってください。

申告書B(第一表)の左側の書き方

はじめに、左側の「収入金額等」「所得金額」「所得から差し引かれる金額」を、源泉徴収票を見ながら記入します。ここまでで、FX特有の記入事項はありません。

基本的な確定申告書の書き方から確認したい方は、まずはこちらをご覧ください。

>>確定申告の基礎知識を知りたい!

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の書き方

<申告書B(第一表)>の左側を埋めたら、右側に進む前に、<先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書>と<申告書第三表 分離課税用>を作成します。

所得の選択と氏名の記入

この書類では、課税対象となるFXの所得を計算します。まず、上部に氏名を記入し、「雑所得用」を丸で囲みます。

取引の内容を記入

取引の内容の箇所は、種類に「外国為替取引」、決済の方法に「仕切」と記入します。

総収入金額は、年間取引報告書をもとに記入

総収入金額の箇所は、「差金等決済に係る利益又は損失の額」の空欄に、先ほど出てきた<年間取引報告書>に記載の「損益合計金額」を記入します。(2)(3)に該当がなければ、(1)の金額をそのまま(4)に記入します。

必要経費等があれば記入

(7)~(9)「その他の経費」に、FXの経費として認められるセミナー代、書籍代、ソフトウェア代などを記入し、(11)に合計を記入します。

所得金額を計算

(4)「総収入金額」から(11)を引いた値を記入します。

これで、FX投資の課税対象となる所得が算出できました。

申告書第三表(分離課税用)の書き方

ここからは、先ほど作成した<先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書>を見ながら、<申告書第三表(分離課税用)>の記入を進めていきます。

収入金額を記入

(ト)「先物取引」に、<先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書>の(4)「総収入金額計」を記入します。

所得金額を記入

(67)「先物取引」に、<先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書>の(12)「所得金額」を記入します。

税金の計算を記入

まずは、課税所得を記入していきます。

(9)「総合課税の合計額」に、<申告書B第一表>の(9)「所得金額」を、また(25)に<申告書B第一表>の(25)「合計」を記入します。

(70)に、(9)から(25)を引いた金額を記入します。

そして、(75)「(67)対応分」には、(67)「先物取引」の金額をそのまま記入します。

税額を計算

それでは、ここから税額を計算していきます。はじめに、給与の課税所得に対する税額を計算します。

(78)「(70)対応分」には、国税庁ホームページに記載の計算方法で算出した金額を記入します。(78)の課税所得の金額によって計算方法は変わります

為替さんは、給与所得が1,920,000円で、社会保険料控除等の所得控除が1,060,000円なので、控除額を差し引くと所得金額は860,000円になります。この所得金額の税額を国税庁ホームページで調べると、課税される所得金額に0.05を掛けたものが税額になります。なので、(70)には860,000円に0.05をかけた金額(=43,000円)を記入します。

FXの課税所得に対する税額を計算

次に、FXの課税所得に対する税額を計算します。ここで気をつけていただきたいのが、FXの課税所得に対する税率は一律20.315%ですが、一気に20.315%をかけて、税額を出さないことです。

20.315%の内訳は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

まずは所得税15%から計算していきます。(75)に15%をかけた値を、(83)「(75)対応分」に記入し、(86)に(78)~(85)の合計額を記入します。

第三表の記入はこれで終わりです。

あれ、FXの税率の残り住民税5%、復興特別所得税0.315%はどこで計算するの?」と思う方が多いと思います。

住民税5%については、この確定申告書を元に各地方自治体が計算しますので、今回算出する必要はありません(そもそも、所得税額を算出するのが確定申告の目的でした)。

では、復興特別所得税0.315%はどこで計算するのでしょうか? それは、この後に<申告書B(第一表)>に戻ってから計算していきます。

申告書B(第一表)の右側の書き方

最初に作成した<申告書B(第一表)>に戻ってきました。最後に右側を埋めて行きましょう。

まず、(27)に<申告書第三表(分離課税用)>(86)の数値を転記します。

(26)は給与所得のみの場合は(9)-(25)の金額を記載しますが、<申告書第三表(分離課税用)>を作成した場合は記入しません。(27)にはすでに給与所得の税額が含まれているため、給与所得をもう一度記入する必要がないためです。

ここから先は通常の確定申告と同じですが、まだ復興特別所得税0.315%の計算が終わっていませんでした。

復興特別所得税は(41)で計算します。ところが税率は2.1%と印字されています。0.315%ではありませんね。

(27)に転記した税額は、すでにFXの所得税15%が含まれた値でした。(忘れてしまった方はFXの課税所得に対する税額を計算をチェック!)

この所得税15%に2.1%をかけることで、15%×2.1%=0.315%となり、結果的にFXの所得に対して0.315%の復興特別所得税が申告されるという仕組みです。

ここから先は一般的な確定申告の流れと同じです。お疲れ様でした!

節税チェックポイント

最後に、税金を安くするためのポイントをご紹介します。

①FXで損失がある場合は繰越控除を活用!
FXで発生した損失は、3年間繰越ができる制度があります。利用する場合は「所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」も合わせて提出してください。
>>株で損したら確定申告すべき! 繰越控除をもっと知る

②源泉徴収額の記入
会社から給料をもらっている方は、会社からあらかじめ源泉徴収された金額を、<申告書B(第一表)>の(44)に記載するのを忘れないようにしましょう。

③必要経費の確認
FXの所得からは次の費用が経費として認められています。抜け漏れがないか今一度確認しましょう。
・セミナー参加費
・新聞代、書籍代、ソフトウェア代
・通信費 など

また、FX特有のものではありませんが、<申告書B(第一表)>の所得控除を全て記入したか、最後にもう一度点検しましょう。医療費控除、生命保険料控除、寄付金控除など、抜け漏れはありませんか?

以上、「FXをしている会社員」の確定申告書の作成方法でした。早速為替さんの真似をして、確定申告の準備を始めましょう!(文・サムライト)

BIZ KARTE編集部

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