• 作成日 : 2023年4月14日

追徴課税とは?計算方法や対象期間の解説

追徴課税とは?計算方法や対象期間の解説

確定申告を忘れていた場合や正しい税額を納付していない場合は、税務調査により追徴課税の徴収を受ける可能性があるでしょう。また、追徴課税の内容によってはペナルティーとして、本来納めるべき税額よりも多くの税金を支払うことになる場合があります。本記事では上乗せされる税金の種類や、追徴課税の対象期間について解説していきます。

追徴課税とは

追徴課税とは、本来納めるべき税額が正しく納付されていなかった場合に、その差額の徴収を受けることをいいます。ただし、追徴課税の内容によってはペナルティーとして、本来納めるべき税額に加算された金額を納める必要があります。

追徴課税の概要は以下のとおりです。

納税額申告税額追徴課税により徴収される税額
不足税額
附帯税延滞税
利子税
加算税過少申告加算税
無申告加算税
不納付加算税
重加算税

過少申告加算税

納める税金が少なかった場合や還付される税金が多かった場合は、修正申告が必要です。しかし、税務調査を受けるまでに修正申告を行わなかった場合や、税務署から申告税額の更正を受けた場合は「過少申告加算税」として、追加で徴収を受ける税額のうち10%を乗じた金額を支払う必要があります。

ただし、追加で徴収を受ける税額が、当初の申告納税額と50万円のうちいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については10%ではなく15%になります。

例えば、当初申告していた納税額が100万円だった場合に、税務調査を受けて納税額が少ないことがわかったとして、追加で徴収を受ける税額が200万円だった場合は、100万円を超えている部分について15%の過少申告加算税が課されます。なお、税務調査を受ける前に修正申告書を提出した場合は(この際に納税も済ませる必要があります)、原則として過少申告加算税はかかりません。

過少申告加算税の概要は以下のとおりです。

加算税の種目内容税率
過少申告加算税税務調査を受ける前の修正
追徴税額と50万円のうち

いずれか多い金額までの部分

10%
追徴税額と50万円のうち

いずれか多い金額を超える部分

15%

追加で200万円の徴収を受けた場合に課される過少申告加算税の計算式は以下のとおりです。

100万円 × 10% + 100万円 × 15% =250,000円

無申告加算税

期限内に確定申告ができなかった場合や、税務調査を受けたあとに申告する場合は「無申告加算税」として、追加で徴収を受ける税額のうち5〜20%を乗じた金額を支払う必要があります。

無申告加算税の概要は以下のとおりです。

加算税の種目内容税率
無申告加算税税務調査を受ける前の期限後申告5%
納税額のうち50万円までの部分15%
納税額のうち50万円を超える部分20%

追加で100万円の徴収を受けた場合に課される無申告加算税の計算式は以下のとおりです。

50万円 × 15% + 50万円 × 20% = 175,000円

ただし、以下の要件をすべて満たしている場合、無申告加算税は課されません。

  • 法定申告期限から1か月以内に、自主的に期限後申告が行われていること
  • 以下の2つに該当し、期限内申告をする意思があったと認められること
    • 期限後申告にかかる納税額を法定期限内に納税していること
    • 直近5年間に期限後申告による無申告加算税または重加算税を課されていないこと など

不納付加算税

源泉所得税を納期限までに納付しなかった場合は「不納付加算税」として、本税に5%または10%を乗じた金額を支払う必要があります。なお、税務調査を受ける前に徴収高計算書などを提出した場合は、原則として不納付加算税はかかりません。

不納付加算税の概要は以下のとおりです。

加算税の種目内容税率
不納付加算税税務調査を受ける前の修正
追徴税額と50万円のうち
いずれか多い額までの部分
5%
追徴税額と50万円のうち
いずれか多い額の超過部分
10%

また、以下の要件をすべて満たしている場合、不納付加算税は課されません。

  • 納期限から1か月以内に納付した場合で、過去1年間に期限後納付がない場合
  • 不納付加算税の金額が5,000円未満の場合

重加算税

納める税金が少なかった場合や期限内申告に確定申告ができなかったときに、仮装・隠ぺいなどの不正事実があった場合は、過少申告加算税や無申告加算税に代えて「重加算税」が課されます。仮装・隠ぺいなどの不正事実とは、二重帳簿の作成や、帳簿書類の破棄や隠匿、改ざんなどのことです。

重加算税に該当した場合は、過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%を乗じた金額を支払うことになります。

重加算税の概要は以下のとおりです。

加算税の種目内容税率
重加算税仮装・隠ぺいなどの
不正事実があった場合
過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%
無申告加算税に代えて40%

延滞税

定められた期限内に税金が納付できなかった場合は、原則として法定納期限の翌日から納付されるまでの日数をもとに「延滞税」が自動的に課されます。延滞税を支払う場合は、本税とあわせて納付する必要があります。

延滞税の計算方法は以下のとおりです。

延滞税 =( 納税額 × 延滞税の税率 × 延滞した日数 ) ÷ 365日

また、延滞税の割合は以下のとおりです。

納付を行う時期税率
【原則】納期限の翌日から2か月以内7.3%(年率)
【特例】納期限の翌日から2か月以内2.4%(年率)
【原則】納期限の翌日から2か月以降14.6%(年率)
【特例】納期限の翌日から2か月以降8.7%(年率)

※令和4年4月1日現在

利子税

延納を申請した際に支払う税金です。国税の延納を申請して認められた場合は、その期間中において年7.3%または特例税率のうちいずれか低いほうの割合が適用されます。利子税は申請して認められるものであるため、延滞税とは性質が異なります。

利子税の計算方法は以下のとおりです。

利子税 = ( 納税額 × 利子税の税率 × 延納の日数 ) ÷ 365日

また、所得税の利子税の割合は以下のとおりです。

納付を行う時期税率
【原則】納期限の翌日から2か月以内7.3%(年率)
【特例】納期限の翌日から2か月以内0.9%(年率)

※令和4年4月1日現在

追徴課税の対象期間

追徴課税の対象期間は過去3期分です。税務調査では一般的に3期分の税務申告を調べるとされているからです。ただし、過去にも追徴課税の徴収を受けている場合や、多額の申告漏れが想定されている場合は、5期または7期分の税務申告が調べられる可能性もあります。

追徴課税の納付義務が生じた場合は原則として、すぐに一括で納付する必要があります。追徴課税は本来納めるべき税金である性質上、納付期限という概念が存在しないからです。

しかし、納税額が高額で一括納付が厳しいと認められる場合は、分割納付や納税猶予が認められる場合もあります。

追徴課税を受けないように日頃から申告期限を意識しよう

追徴課税の義務が生じた場合は、延滞税や過少申告加算税などのペナルティーが加算される場合があります。申告期限を意識して日頃から会計業務を行なっていれば追徴課税を受けることは少ないため、税理士などのサポートを受けながら納期限までに税金を納付するようにしましょう。

もし会計業務に苦手意識がある場合は、会計ソフトの利用をおすすめします。会計ソフトを利用することにより、会計が苦手な人でも日々の収支が記帳できるようになっているからです。気になることや疑問点がある場合でも、専門家からメールや電話でサポートを受けることができます。

よくある質問

追徴課税とは?

本来納めるべき税額が正しく納付されていなかった場合に、その差額の徴収を受けることをいいます。追徴課税の内容によってはペナルティーとして、本来納めるべき税額に加算された金額を納める必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

追徴課税の対象期間は?

原則として3期分です。ただし、無申告の場合や、過去に追徴課税の徴収を受けている場合は5期分になる場合もあります。また、重加算税に課されたことがある場合は7期分になる可能性もあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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