
「退職エントリー」が相次いでいるNTTグループに希望の光は灯るのでしょうか。
NTTデータは4日、AIやIoTなどの先進技術のスキルを持つ高度人材を採用する人事制度「Advanced Professional(ADP)制度」を新設したと発表しました。
特に注目を集めたのは高度人材への報酬です。NTTデータは、高い専門性を持つ人材には「(会社員でも)確定申告が必要になる程度」の報酬を支払うとしています。
会社員だと年末調整で済ませる人が多く、確定申告には無縁という人も少なくないでしょう。ですが、実は、会社員でも“給与の多さ”によっては確定申告が必要になるのです。
NTT辞めて…転職先は「グーグル」
10月以降、NTTグループを退職した人が辞職理由などをブログに書きとめる「退職エントリー」が相次いでいます。
そのうち大きな話題になったエントリーでは、退職理由のひとつに大幅な給与アップが見込めないことを挙げていました。さらにその人物は、転職先は、高額報酬で知られるグーグルと明かしており、高度なIT技術者が「GAFA」などの大手外資系企業へ流出している実態もうかがえました。
一連の「退職エントリー」はエンジニアを中心に話題を呼んでいただけに、今回のNTTデータの新人事制度には驚きと期待の声があがっています。
とくに注目を集めるのは、高度人材をつなぎとめる大きなカギとなる高額報酬です。日経新聞によると、柳圭一郎副社長は会見で「(会社員でも)確定申告が必要になる程度」の報酬を支払うと話したそう。
会社員でも確定申告しなければならない収入額と言われてもすぐにピンときませんが、一体、給与収入がいくら以上だと会社員でも確定申告が必要になるのでしょうか?
会社員でも確定申告が必要な人は?
冒頭でも触れたとおり、会社員などの給与所得者の多くは、確定申告ではなく会社の年末調整によって一年の所得税額を確定しているでしょう。
ですが、国税庁によると、次のいずれかに当てはまる人は、給与所得者であっても確定申告をしなければなりません。
①給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
②1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
③2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
④同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
⑤災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
⑥源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
⑦退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
このとおり、1年間の給与収入が2,000万円を超えた場合は、会社で年末調整はしてくれないので、自分で確定申告する必要があります。最近の報酬形態のトレンドでもある、社員に株式を付与する譲渡制限付株式報酬制度も“給与”となるので、合わせて確認したいですね。
NTTデータの新人事制度で採用された人材は、年間給与2,000万円ほどを得ることになりそうです。外資系企業並みに引き上げた報酬で人材流出は止まるのでしょうか。注目が集まります。
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参考|新サービスの創出のための新雇用区分の創設(NTTデータニュースリリース)