日産を「年収1000万円」の家計に例えたら分かる、監査法人がゴーン氏不正を見逃した理由

カルロス・ゴーン氏の逮捕劇から10日が経ちました。日産自動車の有価証券報告書に、自身の報酬を約50億円過少に記載した疑いが持たれているゴーン氏。世界を股に掛けるカリスマ経営者のスキャンダルだけに、国内外で報道もヒートアップしています。

その標的は日産とルノーだけでなく、「不正を見抜けなかった」として日産の監査を担当したEY新日本監査法人にも及んでいます。

会計士「不正を見抜くのは難しかっただろう」

なぜ監査法人は不正を見抜くことができなかったのでしょうか。上場企業の監査の経験がある公認会計士のAさんは、「監査法人が不正を見抜くのは難しかっただろう」と指摘します。

「そもそも監査は、会社の状況や業種によって、『売上や利益の〇%以下の数字は細かくみない』などのルールを設けていることがあります

例えば、日産は2017年度の売上が11兆9,512億円にも上ります。このうち、同年のゴーン氏の役員報酬7億3,500万円の割合は0.006%です。毎年高額だと話題になるゴーン氏の役員報酬でさえも、割合にすると0.01%にも満たないのです。

売上額の大きい企業だと、細かい数字まで追っていくときりがないので、監査のレベルを落とす部分がどうしても出てくるのです」(Aさん)

日産の売上を「年収1,000万円家計」に例えると…

日産の年間売上を「給与収入1,000万円の家計」に例えると、より数字のコントラストがはっきりすると言います。

「日産の2017年度の有価証券報告書をもとに、売上を『給与収入1,000万円』に換算すると、次のような表になります。

表から分かるとおり、ゴーン氏の役員報酬は615円に相当します。想像よりも少なく感じた方が多いのではないでしょうか。

また、ゴーン氏は2010~14年度までの5年間で報酬約50億円を過少記載していた疑いが持たれていますが、これを換算すると4,184円に相当します。

日産の2017年度の売上を「給与収入1,000万円」に換算したら…

◆毎年の貯金額は64万円
◆ゴーン氏の役員報酬は615円
◆5年間で50億円の過少記載は4,184円
 に相当する。

監査法人を擁護するわけではないですが、年収1,000万円の家計のうち約4,000円がへそくりになっているのを気付くのは難しい、ということは想像できます。

さらに、その4,000円がちゃんとした名目で処理されていたら、監査法人としてはさらに企業を追及することは難しいという実情があるのです」(Aさん)

監査法人は日産に疑義指摘していた

また、新聞各社の報道によると、EY新日本監査法人は2011年頃から日産に対し、オランダの子会社の「実態が不透明」などと複数回指摘していたそうです。

「資金の流れが不透明だと指摘していたそうですが、日産側は問題ないとしていたそうですね。

先ほどの内容と重複しますが、基本的に、監査はその企業の内部統制がしっかり機能していることを前提にしています。企業側から正当な理由を述べられると監査法人としてはそれ以上の追及ができなくなるのです。

とはいえ、第三者の立場から上場企業の監査を行うことを法律で唯一認められているのが公認会計士ですから、“外部の目”としてチェック機能は強化していかなければなりません。

監査法人や公認会計士は、会計基準・監査基準等の法規知識に加えて、経験豊富な経営者と適切にコミュニケーションをとれるだけのビジネスの知識・経験を身につけることが必要になるでしょう」(Aさん)

参考|日産自動車株式会社 第119期(自平成29年4月1日 至平成30年3月31日) 有価証券報告書
https://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2017/fr2017.pdf

BIZ KARTE編集部

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