• 更新日 : 2020年9月17日

消費税の軽減税率 調味料なのに「みりんは適用対象外」なワケ

2019年10月1日、いよいよ消費税が10%に引き上げられます。

消費税は所得の多さに関係なく、すべての人に等しくかかる税金です。そのため低所得者の負担増の懸念から、増税と同時に、飲食料品と新聞については税率8%に据え置く「軽減税率制度」が実施されます。

そんな中、調味料の「みりん」は軽減税率の対象にならず、ツイッターなどで「飲食料品なのにややこしい」との声が上がっています。なぜみりんは対象外なのでしょうか?

醤油は8%なのに、みりんは10%

そもそもどのような品目が軽減税率の対象なのでしょうか?

政府広報オンラインによると、軽減税率の対象となるのは「飲食料品」と「新聞」です。対象品目は消費税率が10%に引き上げられた後も、税率8%が継続されます。

「飲食料品」と言ってもすべてに適用されるわけではなく、「外食」「ケータリング(一部除く)」「酒類」は対象外となっています。


※政府広報オンライン「消費税の軽減税率制度」より引用

「あれ? それならみりんはセーフじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、意外と知られていないのが、みりんは「酒類」に分類されるということ。れっきとした「お酒」なのです。

「酒類」は軽減税率の対象外と規定されているため、同じ調味料でも「醤油は消費税8%」「みりんは消費税10%」となるのです。

みりんの酒税はいくら?

酒税法によると、みりんは酒類のうち「混成酒類」に分類されています。その定義として「米、米こうじに焼酎又はアルコールを加えてこしたもの」で、アルコール分が15度未満、エキス分が40度以上のものと定められています(エキス分とは、みりんを加熱して、蒸発せずに残った成分の含有量のこと)

もちろんみりんには酒税もかかっており、その税率は「1l当たり20円」。ビール、日本酒(清酒)、ウイスキーなどと比べると税率はとても低いです。

主な酒類の基本税率
酒類の分類1l当たりの税率
みりん20円
ビール220円
清酒120円
焼酎(アルコール分21度未満の場合)200円
ウイスキー(アルコール分37度未満の場合)370円

「みりん風調味料」は軽減税率の対象

ちなみに、スーパーに行くと、みりんのそばに「みりん風調味料」も陳列されていますよね。

いわゆる「本みりん(酒類に規定されているみりん)」と「みりん風調味料」では原料や製造方法も異なりますし、なによりアルコール分の有無が大きな違いです。

「本みりん」の製造販売で国内トップシェアを誇る宝酒造の商品は、どれもアルコール分は12.5~14.5度の間となっています。

一方、「みりん風調味料」はアルコール分をほとんど含みません。国税庁の軽減税率に関する説明でも、酒類に該当しない「みりん風調味料(アルコール分1度未満)」は飲食料品のため軽減税率の対象としています。

本家本元の「みりん」は消費税が引き上げられ、「みりん風調味料」は軽減税率の対象というのはなんとも皮肉っぽい話。「ややこしい」と言われるのも仕方ないかもしれません。

ともあれ、それぞれ若干風味が異なるので、うまく使い分けて料理を楽しみたいですね。

【参考】
■消費税の軽減税率制度 対象品目(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/taisyohinmoku/naniga.html
■酒のしおり 平成30年3月>酒税法における酒類の分類及び定義(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2018/pdf/006.pdf
■消費税の軽減税率制度に関するQ&A(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf
■宝ホールディングス株式会社>IR説明会>2018年個人投資家向け説明会資料
https://ir.takara.co.jp/ja/IREvents/IREvents-5116211146980010836.html


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