「競馬は二重課税」と批判再燃 税理士に聞く「馬券と税金」の不思議なカラクリ

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「正直がバカを見る制度」と言われても仕方ないのでしょうか。
先日、競馬や競輪などの公営ギャンブルで当たった1,000万円以上の高額払戻金について、会計検査院が調査したところ、約8割が税務申告されていないことが判明したと新聞各社が報じました。

これについて、ギャンブルの税問題が度々話題になるネットでは「そもそも二重課税なのでは」「ギャンブルしない人間から見てもこの税制はおかしい」などの批判が再燃しています。

なぜそのようなツッコミが入るのか、税理士の小暮勝さんに聞きました。

「二重課税」と批判を浴びるのはなぜ?

そもそも競馬や競輪、競艇、オートレースの公営競技のギャンブルには税金がかかります。ですが、当たったときの“儲け”である払戻金のほかにも「国に納めているお金」があるのです。

「国税局は、馬券が当たった際の“儲け”にあたる払戻金に『一時所得』として所得税を課しています。それとは別に、馬券購入者は、そもそも馬券を購入する際に約10%の『国庫納付金』を支払っているのです。

国庫納付金は税金ではありませんが、『実質的な税金じゃないのか』『二重課税では』『高額払戻金に課税できなくなるのを避けるため、税金ではないと言っているだけでは』などの意見があるのです」(小暮さん、以下同)

二重課税とは、同一の納税者や同一の課税物件に対して、複数回課税を行うことを言います。そのため、すでに実質的な税金を払っている上、当たり馬券にも課税されるのは「経済的二重課税」に当たるのではないかと批判が起こるのです。

「同じくギャンブルである宝くじは、購入した際に約40%が収益金として徴収され、全国都道府県および20指定都市へ納められます。しかし、当たったお金については、『当せん金付証票法』により非課税所得になります。このような事情もあり、公営競技だけ不公平だと指摘されることもあるのです」

もう一つの批判「それなら外れ馬券を経費として認めて」

また、当たり馬券に課税するなら、「当たるまでに負けることもあるわけで、その外れ馬券は必要経費として認められないのか」という意見もあります。

「実は、2015年と2017年に、最高裁が外れ馬券の購入費を経費として認めた判例があります。詳細は国税庁のウェブサイトに譲りますが、どちらの場合も『営利目的の継続性』から例外的に認められたものです」

【参考】
◆2015年5月:競馬の馬券の払戻金に係る課税の取扱い等について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h27/saikosai_hanketsu/01-02.pdf
◆2017年7月:競馬の馬券の払戻金に係る課税について(国税庁)
http://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/keiba/index.htm

 

つい最近も2018年8月に、同様の訴訟がありましたが、外れ馬券は経費として処理できないとして追徴課税した税務署の処分取り消しを求めた男性が敗訴しました。たとえ購入規模が大きかったとしても、裁判所に「その払戻金は雑所得」と認められなければ必要経費として控除できません。一般的な競馬愛好家と同じように「その払戻金は一時所得」と見なされると必要経費として控除できないのです。

「外れ馬券の購入費は必要経費かどうかを実際に判断するのは裁判所です。ただ私は、払戻金が『雑所得』ではなく『一時所得』でも、外れ馬券が経費として認められないのは少し疑問に思いますね。

あくまで個人的な意見ですが、収入を得るために要したものが通常経費なわけです。会社においては、交際費や広告費を使いながら売上が上がるものですよね。

競馬は、最初から当たる人はほとんどいません。あくまでも失敗の積み重ねが当たり券に繋がります。『失敗から成功は生まれる』という通念からすると、外れ馬券の経費性を認めてもよいのではないか、という意見があるのも当然かなと思いますね」

【取材協力】小暮 勝(こぐれ まさる)
税理士/小暮会計事務所(事務所URL:http://www.kogu-kai.com/

地元の不良高校中退、日雇い労働者・整備工等のアルバイトを経て、会計事務所に転職。会計事務所退職後に結婚相談所の事業経営、2度の保険代理店経営に失敗。税理士試験も22歳で始め、45歳で最終科目の消費税法に合格し、やっと税理士になる。

平成20年9月に開業したが、平成25年1月まで顧問先はほとんど増えず、度々廃業の危機に追い込まれる。

しかし、平成25年2月より現在まで1週間に1件顧問先を増やすことに成功。平成30年中にDVD『顧問先0件から、広告費なし・税理士(会計事務所)コンサルタントに、支払う費用なしで、顧問先を200件獲得する方法。』をリリース予定。

BIZ KARTE編集部

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