FIFAの商業主義もハンパない? W杯試合で「レッドブル」飲み罰金

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世界中が熱狂したワールドカップは、フランスの20年ぶり2度目の優勝で幕を閉じました。

日本代表も“強豪相手の奇跡の勝利”や“時間稼ぎのパス回し”などなにかと話題の尽きない大会となりましたが、やはり公認会計士としては巨額マネーが動く「スポーツビジネス」としての側面も気になるものです。

今回は、主催のFIFA(国際サッカー連盟)にまつわるお金の裏話をいくつかご紹介しましょう。(執者:公認会計士・税理士 國井隆)

FIFAの「半端ない放映権収入」

実はFIFAの決算書は少し変わっていて、ワールドカップ開催年には、4年分合計の損益計算書を公表しています。もちろん、単年度の決算書も公表していますが、世界的なスポーツイベントが4年に1度なので、4年分合計(four-year period)の決算書も有用なのでしょう。

2014年の監査は世界的な会計事務所KPMG(2015年からはPWC)が担当しており、単年度及び4年間合計の監査を行っています。前回のブラジル大会が開催された2014年の決算書では2011年から2014年までの合計の損益が公表されており、4年間合計の収入は57億1,800万ドル(約6,454億円※)、2014年単年度では20億9,600万ドル(約2,361億円)の収入が計上されています。
※執筆時2018年7月16日時点の為替1ドル=112円の場合、以下同

今回のロシア大会までの2015年から2018年の4年分合計(four-year period)では、前回のブラジル並みの56億5,600万ドル(約6,373億円)の収入予算が計上されています。今回の4年間では放映権収入が30億ドル(約3,380億円)の予算となっており、まさに半端ない数字になっています。放映権は北米のメディアの割合が大きいのですが、最近はアジアのメディア割合も高くなってきています。

収入が数百億円のFIFAは課税されるの?

FIFAの本部は、スイスのチューリッヒにありますので、スイス法によって法人格が付与されており、非営利団体になっています。

日本同様、非営利法人としての税制優遇はありますが、2017年の財務諸表の注記をみると100万ドル(約1億円)の税金が発生しています。収入が数百億円レベルの非営利団体なので、それほど大きな税金ではありません

前回のブラジル大会を含む4年合計(2011-2014年)でも7,500万ドル(約84億円)程度の税金です。通常の企業のスイスの実効税率は21%強なので、先進国の中ではかなり低い部類に入ります。

「レッドブル」を飲んで罰金…FIFAは商業主義?


FIFAの商業主義は、たびたび批判の的になりますが、今回のロシア大会でも試合中にクロアチア代表が公式スポンサーではないメーカーの「レッドブル」を飲んで罰金、という出来事も記憶にあたらしいところです。収入の8割近くが放映権とスポンサー収入から成っている現状では、商業主義といわれても仕方がないところですね。

最上位スポンサーカテゴリーであるFIFAパートナーは年間数十億円単位のスポンサー料を払っているので、スポンサー以外のドリンクが公式映像に取り上げられる場合には罰金が発生する取り決めだったのでしょう。

また罰金がスイスフランで請求されていましたのでびっくりされた方もいると思いますが、FIFAがスイスに本部を置いているのである意味当然かもしれません。

ところで豆知識ですが、スイスにはFIFA以外にも国際競技団体(IF)の本部が結構あります。FIS(国際スキー連盟)、FINA(国際水泳連盟)、FIVB(国際バレーボール連盟)、FIVA(国際バスケットボール連盟)などの他、オリンピックの総本山のIOC(国際オリンピック委員会)もスイスのローザンヌにあります。

これらは、税制の問題もありますがスイスが永世中立国という背景も大きく影響しているのでしょう。

ロシア大会、日本が受け取る賞金額は

今回のロシア大会での賞金は4億ドル(約448億円)で、優勝が3,800万ドル(約43億円)、準優勝が2,800万ドル(約31億円)、3位が2,400万ドル(約27億円)となっています。

日本はベスト16なので、1,600万ドル(約18億円)を受け取ります。この18億円は日本サッカー協会(JFA)が受け取りますが、JFAは公益財団法人なので税務上優遇されており収益事業(不動産賃貸事業など)のみが課税されることになっていますので、代表関連事業である公益目的事業に関して課税されないことになります。

代表選手については、日当の他に分配金などが支給され、これらは選手の報酬になり、各選手の納税地で最終的に納税されることになります。過去のワールドカップでは選手たちに時計などの記念品を配っていましたので、これらも報酬として課税されることになりますが、これらは選手にとっては大切な宝物ですね。ちなみに、オリンピックの報奨金と違い、非課税の恩典はありません。

次回はカタール大会ですが、酷暑のため11月~12月開催が予定されており、出場国の拡大も検討されています。
ますます肥大化するワールドカップ、FIFAについては、日本代表とともに目が離せません。税制的には、法人税率が10%(石油関係は35%)という軽課税国での初めてのワールドカップ開催についても注目しています。

【参考】
■FIFA Financial Reports
https://www.fifa.com/governance/finances/index.html
■国税庁 法人税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

執筆:國井隆(公認会計士/税理士/行政書士/公認システム監査人/FP)

税理士法人オフィス921代表社員/一般社団法人アスリートデュアルキャリア推進機構理事
1965年生まれ、東京都出身。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻前期博士課程修了。1988年に早稲田大学卒業後、旅行会社勤務を経て、1991年に公認会計士2次試験合格。同年に青山監査法人/プライスウォーターハウス入所。1996年に公認会計士・税理士國井事務所設立及び株式会社オフィス921設立。
スポーツ関係では、公財)日本オリンピック委員会加盟団体審査委員会調査チームメンバー(平成24年)、 公財)日本スポーツ仲裁機構「スポーツ団体のガバナンスに関する協力者会議」委員(平成26年~平成27年)、新国立競技場整備計画経緯検証委員会(第三者委員会)委員、国会内の超党派のスポーツ議員連盟「スポーツ・インテグリティPT」アドバイザリーボードメンバー、スポーツ庁「スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会」専門委員などを歴任し、統括競技団体、クラブ、球団、マネジメント会社に対する会計・税務コンサルティングのみならずメジャーリーガー、ブンデスリーガ、国内プロスポーツ選手などはじめ数多くののプロスポーツ選手の税務・ファイナンシャルプランニングを担当している。



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