ホリエモン×落合陽一が予測する未来 『10年後の仕事図鑑』に学ぶ、AI時代の経理の生き方

オックスフォード大学准教授のマイケル・A・オズボーン氏は、2013年に発表した論文「雇用の未来」の中で、AI技術の普及によって10~20年後になくなる仕事を予想し、世界に衝撃を与えました。

その中には「薄記、会計、監査の事務員」などバックオフィスにかかわる仕事も挙げられていました。経理担当者の中には、「このままでは仕事を失う……」と不安を抱えた方もいるはず。

経理がAI時代を生き抜くにはどうすればいいのでしょうか。

ここでは、2018年4月の刊行からすでに22万部のベストセラーを記録している、堀江貴文氏と落合陽一氏の共著『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)をひも解きながら、AIの脅威にさらされることなく、今よりも高い価値を生み、会社をリードする経理になるにはどうすればいいのかを考えていきます

「普通」が「普通」ではなくなる時代の到来

AIの台頭によって私たちの日常はどのように変化するのでしょうか。オズボーン氏と共同研究を行った野村総合研究所によると、日本の労働人口の49%が、10〜20年後にはAIやロボットに代替可能になると予想しています。

堀江、落合の両氏は『10年後の仕事図鑑』の中で、10年後の未来を次のように表現しています。

「過去に築き上げられた常識が通用しない」―(堀江p3)

「『普通』が『普通』でなくなる時代」―(落合p14)

これはつまり、テクノロジー発達以前の社会システムの上で成り立っていた仕事が次々と淘汰されていくということ。一生安泰とされてきた大企業に就職しても、食いっぱぐれないと言われてきた資格を取得しても、これからの時代、その輝かしいキャリアがずっと保証されるということはないでしょう。

長年続いてきた、キャリアに関する常識や価値観をアップデートしないでいると、いつのまにか足元をすくわれていた――。そんな時代が到来するのです。

「経理」は代替可能性の高い職業の筆頭株!


その中でも、「経理」などのバックオフィス業務は、高確率でAIに代替されると言われています。実際にどのような仕事がなくなり、どのような仕事が残るのでしょうか。

 

【今後なくなる仕事(AIやロボットなどの代替可能性が高い)】

■経理・会計士・税理士
そもそも現在のAI技術とは、数学者の新井紀子氏によると、四則演算で数式処理を行っている「計算機」だそうです。数字の計算や分析はAIの得意領域で、人間より正確性が高いことから、仕訳・記帳などの簿記や監査など、経理や会計の多くの仕事が代替されると予想されます。
とくに、資格試験がある「士(サムライ)業」に関しては、資格に必要な知識やルールなどを学習させやすいため、AIに代替される可能性が高いと言われています。

■人事・社労士
人事については、採用応募者情報など膨大なデータを収集・分析することもAIの得意分野です。近年では人事労務のテクノロジー活用「HRテック」が進み、管理にAIやクラウドサービスを導入する企業も増え、すでに社労士などはポジションが置き換わりつつあります。

■弁護士・司法書士
弁護士も前出の「士業」同様、AIに置き換えられやすい業務が多いです。法知識や過去の判例などのデータをAIに学習させることで、人間よりも素早く正確に判断できるようになります。

■公務員
多くの手続きがオンラインで申請できるようになるため、役所の窓口対応の仕事は減っていくでしょう。

その他にも……
銀行員、出荷・配送係員、倉庫作業員、電車運転士、受付、運業、エンジニア、データ入力係など
 

【今後もなくならない仕事や分野(AIやロボットなどの代替可能性が低い)】

■個人経営のお店
ビジネスとしての儲けは少なくても、志とこだわりを持った個人経営店にはファンがつき、機械化や自動化に代替される可能性は低いと考えられます。

■ブロガー、ユーチューバー、インスタグラマーなど
クリエイティビティや表現力が必要な、人間にしかできない仕事の価値は一層上がります。

■AIを操る仕事
急激なテクノロジーの発達により、時代のニーズを読みAIを操れる人材の需要が拡大します。

■デザイナー・メイクアップアーティスト・インテリアコーディネーターなど
発想力や感性などクリエイティビティが大きなウェイトを占める職業は、現状ではAIに代替することができません。

■美容師など
コミュニケーション力はAIの苦手分野。美容師など対人で人をもてなす接客業は、今後も代替される可能性は低い職業といえるでしょう。

その他にも…
エコノミスト、カウンセラー、カメラマン、評論家、外科医、保育士、はり師など

これらを踏まえると、「AIに代替される可能性が高い仕事」と「AIに代替される可能性が低い仕事」には、それぞれ以下のような特徴があることがわかります。
 

【AIに代替される可能性が高い仕事】
・維持コストがAIの方が安い仕事
・パターン化、ルール化しやすい仕事
・単純作業が多い仕事
 

【AIに代替される可能性が低い仕事】
・クリエイティビティを求められる仕事
・コミュニケーション力が必要な仕事

 

ここまでで、「やっぱり経理に未来はない……」と悲観的になった方もいるかもしれませんが、そうとも限りません。むしろAIが普及すればするほど、「人間にしかできない仕事やサービスの価値が向上する」ことになります。

では、AI時代に価値が高まる「経理」になるためにはどうしたらよいのでしょうか。その心得を『10年後の仕事図鑑』から考察していきましょう。

AI時代に価値の高い「経理」になるための3つの心得

① AIを活用できる人間になれ

堀江氏は本書で「AIに職を奪われると思っている時点で搾取される側になる」(p29)と述べ、現在を生きる私たちに求められているのは「AIを恐れる」ことではなく、「上手に活用して新たな価値を生み出す」ことだと説きます。

経理担当者にとっても、新たなシステムの導入によってこれまでの仕事のプロセスが大きく変わることがあるでしょう。そのような状況にいつでも適応できるよう、常に新しいシステムや技術への感度を高めていくことが大切です。

まずは、「AIによる価値の代替=不幸」(p29)というロジックを捨てることが、AI時代を生き抜く第一歩になります。

② 「自分にしかできない」をつくり出せ

今後、多くのテクノロジーが職場に入り込んでくることで、その仕事を専門的にやってきた人とそうでない人のアウトプットの差はどんどん小さくなっていきます。

落合氏はこの状況へのリスクヘッジとして「ある経済圏の中で、その人にしかできない状況をつくる」(p118)ことが重要だといいます。ある経済圏とは、言い換えれば、個々が生きる会社や業界のこと。その中で「複雑性の高い仕事を掛け持ちしている人材は機械に代えるのが非常に面倒」(p117)であることから、今与えられた仕事だけを完璧にこなすという意識よりも、より俯瞰的視野を持ち、部門横断でスキルを蓄積していく「キャリアミックス」の思考が大切だということです。

③ 既存の「経理」像から脱却せよ

「経理」と聞くと、現金管理や預金管理、月次決算など、財務・税務会計の処理を行う仕事というイメージが根強くあります。しかし、これからの「経理」に求められるのは、会計周りの知識やテクニックだけではなく、「システムを使いこなす力」と「ビジネスをマネジメントしていく力」です。

経営管理を通じて、ビジネスに貢献できる経理のニーズは日々高まっています。会計の専門知識に基づき、いかに論理的かつ戦略のあるアクションを起こせるか。既存の「経理」の枠組みに捉われないマインドを持ち、日々自分自身のスキル向上に努めていくことを心がけましょう。

まとめ

「仕事を奪われる……」
「いや、より自身の価値を高める好機だ」

オズボーン氏の論文や、『10年後の仕事図鑑』を読み、あなたの頭にはどちらの言葉が浮かびましたか?

AIの登場は、「経理」をはじめとしたバックオフィス業務に大きな変革をもたらすことでしょう。しかし、その変革を「仕事を奪われる」というマイナスなものととらえるのか、「より自身の価値を高める好機」とプラスにとらえるのかでは、大きな“差”が生じていくことが考えられます。

落合氏は、本書の中で「自分が何をしたらいいのかわからない」という問いに対し、まずは「夕飯から決めよう」(p237)とアドバイスします。これは、自ら主体的に意思決定を行うことの大切さを説いたものです。

1年先ですら予想することが困難な時代において、どんな職業にも「これをやっているから大丈夫」という保証はどこにもありません。本書の結びの言葉「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」(p249)を胸に、日々時代感覚の更新を怠らずスキルを蓄積していくことが「代替されない」自分だけの価値を実現する条件となるのです。

紹介した書籍

書名 :10年後の仕事図鑑
著者 :堀江貴文(@takapon_jp)、落合陽一(@ochyai
出版社:SBクリエイティブ
発売日:2018/4/5

BIZ KARTE編集部

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