元TOKIO山口達也さんの降板続々… 芸能人の不祥事、賠償金の会計処理は?

ジャニーズ事務所が5月6日、TOKIOのメンバー山口達也さんとの契約解除を発表しました。急展開に悲鳴をあげているのが、緊急対応を迫られているテレビ局やCMスポンサー企業です。一部スポーツ紙は、ジャニーズ事務所には巨額の損害賠償金が請求される見通しだと報じています。

このように芸能事務所の所属芸能人が不祥事を起こし、取引先から損害賠償金を請求された場合、芸能事務所や利害関係先ではどのような会計処理が必要になるのでしょうか。

テレビ番組降板、CM中止も相次ぐ

事件が報じられた直後から、山口さんの出演番組では放送中止や出演部分の編集などの対応に追われていました。山口さんのジャニーズ事務所退所が発表された翌日の7日、NHKは山口さんが司会を務めた番組『Rの法則』の終了を同番組ホームページで発表。日本テレビも、山口さんが出演していた『ZIP!』『ザ!鉄腕!DASH!!』など全番組での出演を取りやめるとコメントしました。

テレビCMの放送中止も相次ぎました。スズキは、TOKIOが出演していた小型車「ソリオ」のCMの放送を中止すると発表。ほかにもヤマト運輸、フマキラーがCMの放送を見合わせるなど、スポンサー企業にも事件の余波が広がっています。

一般的に、テレビ番組やCMなどの出演契約を結ぶ芸能人がトラブルやスキャンダルなどの不祥事を起こした場合、芸能事務所と利害関係先ではどのような会計処理が必要になるのか、税理士の小山寛史さんに聞きました。

利害関係先が賠償金を受け取ったら、会計処理はどうする?


――芸能人が不祥事を起こし、テレビ番組やCMの打ち切りなどのトラブルが発生した場合、芸能事務所の利害関係者としてどのような取引先が想定されますか。

小山税理士:今回のケースでいえばテレビ局、CM制作会社、スポンサー企業が大まかな利害関係者だと考えられます。

 

――各利害関係者は、どのようなアクションを取る可能性が考えられますか。

小山税理士:テレビ局はすでに制作したテレビ番組などにかかったコストを、CM制作会社はすでにかかったコストだけでなくスポンサー企業から入金のあるはずだった手数料など、スポンサー企業はイメージダウンによる売上減少部分の補填としてなどさまざまな角度から、芸能事務所へ損害賠償請求する可能性があります。

 

――芸能事務所へ損害賠償請求した場合、テレビ局、CM制作会社、スポンサー企業などの関係先ではどのような会計処理が行われますか。

小山税理士:今回は各々の利害関係者の処理は細かく説明しませんが、一般的な流れでお話すると、お蔵入りになった番組制作費などをもとにした損害賠償請求権が各関係先から芸能事務所へ発生します。

この私法(私人としての関係を規律した法。民法や商法など)の流れを前提とすると、損害賠償請求権発生時の会計処理は、

【各利害関係先側の会計処理】
①未収損害賠償請求権 ××千万円 / 雑収益         ××千万円
②損害賠償損失    ××千万円 / 番組制作費などのコスト ××千万円

という収益と損失を両建て(借方・貸方の両方を処理すること)することになります。

 

――芸能事務所から損害賠償金が支払われた場合はどう処理しますか。

小山税理士:実際に損害賠償金を受け取ったときの会計処理は、各関係先で未収入金として損害賠償金をあげているものを相殺する次の仕訳を起こします。

【各利害関係先側の会計処理】
現預金 ××千万円 / 未収損害賠償請求権 ××千万円

 

損害賠償金を受け取ったら税金はかかる?

――芸能事務所側の仕訳はどうなりますか。

小山税理士:芸能事務所はいったん各関係先に損害賠償金を支払うことになるでしょう。しかし、このままでは芸能事務所側が巨額損失を被るので、芸能事務所側が不祥事を起こした芸能人に対して損失額を求償していくことになるでしょう。
その場合は、

【芸能事務所側の会計処理】
損害賠償金 ××千万円 / 現預金   ××千万円
未収入金  ××千万円 / 損害賠償金 ××千万円

という仕訳になると考えられます。
この損害賠償金を未収入金に振り替えることが、芸能事務所から芸能人に対して求償していくことを表しています。
 

――芸能事務所が、テレビ局やスポンサー企業に損害賠償金を支払う際、経理の勘定科目はどうなりますか。

小山税理士:実は勘定科目自体は何でもいいです。というのも勘定科目はこの取引はこの科目を絶対使わないといけないというルールがないからです。ただし、利害関係者に対してわかりやすく開示するという意味では、シンプルに「損害賠償金」という科目を使うのが妥当かと考えます。

 

――テレビ局、スポンサー企業などが損害賠償金を受け取った際、資産の譲渡などにかかわる税金は発生するのでしょうか。

小山税理士:法人税と所得税と消費税の関わりが出てくるため、一つずつお答えします。

まず、法人税法上は益金として認識します。つまり課税されます
また、損害賠償請求権が発生した時点で収益としてみるか、損害賠償金を受け取った時点で収益としてみるかというタイミングの問題が生じてきます。
原則的には損害賠償請求権が発生した時点で賠償金を受け取る権利があるという意味で収益計上を行います。例外として損害賠償金を受け取ったタイミングで各関係先は収益を計上することもできます。

次に所得税です。損害賠償を行った方が個人事業主の場合は、所得税法上の話になります。所得税法では、交通事故等による損害賠償金は非課税となっております。しかし、今回のように事業関連性がある損害賠償金につきましては事業所得として課税対象となります。

また、消費税法では損害賠償金自体は課税の対象ではないので何も発生しません。

【取材協力】小山 寛史(こやま よしふみ)
税理士/アーリークロス会計事務所(事務所紹介URL:https://mfc-partner.moneyforward.com/17727/
1987年、宮崎県生まれ。関西大学卒、西南学院大学大学院卒。
大学院を卒業後、嬉野会計事務所に就職。その後、税理士法人山田&パートナーズに入社し、資産税をメインにメガバンクや地場の大手地銀より数多くの承継案件を受注。2014年に税理士資格取得。税理士法人コスモスを経て、2017年にアーリークロス会計事務所を立ち上げる。

BIZ KARTE編集部

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