仮想通貨投資の税金対策ってあるの?税理士さんに聞いてみた

仮想通貨元年と言われた2017年。仮想通貨で大きな収益を得た人も多いのではないでしょうか。同時に「仮想通貨で得た収益の税金対策や税金の計算はどうすればいいの?」と思う方も多いはず。

そこで今回は仮想通貨に詳しい税理士八木橋泰仁先生(以下:八木橋/写真中央)をお招きし、仮想通貨の税金周りに関する疑問をぶつけることに。

仮想通貨に関する情報を発信するたそがれちゃん@仮想通貨女子さん(以下:たそがれちゃん/写真右)と☆←ヒトデさん(以下:ヒトデ/写真左)が八木橋先生に色々な質問を投げかけました。

仮想通貨投資に特別な節税対策はない

ヒトデ:今日はよろしくお願いします。さっそくなんですけど、仮想通貨で稼いだ収益の節税対策ってあるんですか?

八木橋:結論から言うと節税対策はほとんどありません。私のお客様には億り人(※)の方も何名かいるので、「こんなにいっぱい納めるの」と思う気持ちはよくわかります。でも、「儲かったんだからいいじゃん」っていうのが正直なところで。ジタバタするより覚悟決めて払っちゃった方がいいと思います。

たそがれちゃん:たしかに。マイナスになるわけではないですからね(笑)。

八木橋:そうですね。収益の半分を税金で持っていかれても結局はプラスになっているので。ただ、やっぱり仮想通貨の申告は計算が大変なので、金額が大きくなればなるほど誤差が生じやすい。そうなると追加で課税されたりするので、計算だけはしっかりやったほうがいいと思います。

※億り人…仮想通貨のトレードなどで資産1億円を達成した人

可能な限り正確に計算して申告する

たそがれちゃん:私、いろんなコインに手を出しているので、計算が複雑な気がしていて。すごく不安なんですよね……。

八木橋:たしかに、一人でやろうとしても難しいでしょうね。時間が無限にあれば自分で計算できますが、すごく大変です!

たそがれちゃん:そ、そうなんだ…。きちんと計算して申告したつもりなのにミスがあった場合も、数年後に突然追加で課税されることってあるんですか?

八木橋:十分ありますよ。もし少なく申告していた場合は、過少申告加算税がプラスされてしまう。逆に多く払っていても、その分が戻るとは限らない。だから、ある程度は頑張って計算しないと結局自分が損をしてしまいます。大変ですが、まずは計算して申告することが大切です

移動平均法による収支計算が好ましい

ヒトデ:でも、具体的にどうやって計算すればいいんですか?そもそも、計算方法をよくわかっていなくて……。

八木橋:こちらのスライドをご覧ください。だいぶ昔のレートですけど、移動平均法による収支計算の例になります。まず10BTCを2万円で買った場合、取引合計は20万円になりますよね。保有しているBTCは10だから取得原価は20万円で、平均単価は2万円になります。

2行目では5BTCを5万円で買ったから取引合計は25万円。最初の保有BTCと合わせると15BTCになって、取得原価の合計が45万円になるから、平均単価は3万円になります。このように平均単価をどんどん洗い替えていく方法が移動平均法です

たそがれちゃん:うわあ、大変そう……。取引履歴を全部メモしておかないといけないんですね。

八木橋:そうですね。取引履歴はたいてい取引所からCSVでダウンロードできるので、今は頑張ればできないことはないです。ただ、問題がいくつかあります。ここにも書いてある通り、全ての取引を合算する必要があるので、 複数の取引所と複数の仮想通貨を取引している場合、計算がすごく大変です

比較的簡単に計算できるのは総平均法

ヒトデ:たしかに、移動平均法だと複雑すぎて無理そうですね……。

八木橋:実は比較的簡単に計算できる総平均法というやり方もあります。たとえば、年間のBTC購入額の合計が100BTCで1200万円だった場合、1BTCあたりの平均単価は12万円ですよね。

そして、年間のBTCの売却額が20BTCで600万円だった場合、収支額は600万—(12万×20BTC)で360万円になると。この計算を取引所に関わらず仮想通貨ごとに行って合算すればいいんです。

ヒトデ:おぉ!これなら頑張ればできそうな気がしますね。

八木橋:ただ、海外取引の場合だと問題があります。たとえば、USドルベースの取引だったらUSドルから日本円への為替換算をその都度やらないといけないんです。

たそがれちゃん:う、それはしんどい……。

八木橋:そうなんですよ。一応日銀のホームページからその日の定額平均レートを取ってくることはできるので、頑張ればできないことはない。ただ、ものすごい数のトレードがされているので、かなり大変ではあります。

たそがれちゃん:現状だとこれがベストな計算方法なんですか?

八木橋:ベストというか、今の税法からするとこれ以外に方法がないという感じですね。

ハードフォークの場合は取得原価をゼロにできる

ヒトデ:ちなみに、ハードフォーク(※1)の場合、取得原価はどうなるんですか?

八木橋:国税庁の資料によるとハードフォークでは無償でコインが付与されるので、「取得原価ゼロで受け入れて、売却したときに収益計上となる」とあります。

ハードフォークはもともとの仮想通貨の価値が一部分離しているので、何らかの取得原価を計上するという解釈もできるんですけど。国税庁が発表している通り、取得原価ゼロが現実的だし、計算も楽なのでぜひこのままの解釈でいってほしいと願っています。

ちなみに、ハードフォークと同様に無償でコインが付与されるAirdrop(※2)も取得「原価ゼロで受け入れて、売却したときに収益計上になる」と私は考えています。

※1ハードフォーク…仮想通貨の仕様変更などに伴い、仮想通貨が分割される現象

例)BTC→BCH、BTC→BCG、ETH→ETCなど

※2Airdrop…新規コインを発行者が勝手にウォレットに付与してくれるもの

近い将来、技術が計算の煩わしさを解決してくれる

たそがれちゃん:うーん、いろんなコインを持っている私としては、やっぱり計算がすごく面倒くさそうです……。

八木橋:今は大変かもしれませんが、たぶん時間が解決してくると思います。数年後には取引所も、私たちが開発している収支計算システムも進化していくでしょう。同じように、国税もツールを開発していくと思うので、いずれ技術が解決してくると思うんですね。

私たちは計算の仕組みができる前から仮想通貨に投資をしていたから恩恵を受けられたわけだし。儲かったと思えば、計算が面倒でも仕方ないと思いますね。

ヒトデ:ということは、だいぶ儲かったんですね!

八木橋:いえいえ。私は株や投信と同様のやり方をしているので、ちょっと上がったらすぐに売っちゃうんですよ。最後にガチホ(※)して時価総額が高騰したんですけど、そのあと結局暴落してマイナスになりましたからね(笑)。

たそがれちゃん:私もガチホ主義だったんですけど、トレードで儲けている人が周りに多くて。その影響もあって、いろんなコインに手を出してしまって、ぐちゃぐちゃになりました(笑)。

八木橋:トレードの計算は難しいですが、さっき話した総平均法を使えば、丸一日頑張ればできるかもしれません。さすがに300種類くらいコインがあったら無理ですけど……。

たそがれちゃん:わかりました。計算頑張ります!

ヒトデ:勉強になりました。ありがとうございます!

※ガチホ…ガチホールドの略。仮想通貨を短期で取引せず長期にわたって保有し続けること。

まとめ

仮想通貨投資の節税対策は今のところほとんどなく、できるだけ正確に計算して申告することが大切なようです。ざっくり計算して申告して大幅に数字がずれると後々追加で課税されたり納めすぎたりする恐れがあるので、仮想通貨で収益を得た方は気をつけましょう。最後に今回八木橋先生からご紹介があった計算方法とポイントをまとめます。

 

・移動平均法による計算が望ましいがすごく大変
・比較的簡単に計算できる総平均法もあるが海外取引があるとすごく大変
・無償でコインが取得できるハードフォークやAirdropは取得原価をゼロにできる
・今は仮想通過投資の申告は大変だけど、近い将来技術が進歩して計算が簡単になるはず

 

<プロフィール>

☆←ヒトデ (ブロガー)
「社畜辛い……」っていいながらブログを書いていたら、いつの間にかそのブログがきっかけで会社を辞めて独立した26歳。文章を書くのが好きでブラック企業が嫌い。雑記ブログ「今日はヒトデ祭りだぞ!」脱社畜サイト「今日は社畜祭りだぞ!」を元気に運営中!

 

たそがれちゃん@仮想通貨女子(ブロガー)
金融業界とITスタートアップを経て独立。2017年1月頃ブロックチェーンに興味を持ったことをきっかけに仮想通貨投資を開始。仮想通貨ブログ「たそがれの仮想通貨女子」を運営中。詐欺セミナー潜入記事も話題になった。

 

八木橋泰仁(税理士、行政書士)
税理士法人ファシオ・コンサルティング代表
クリプトリンク株式会社代表取締役
専修大学商学部会計学科を卒業後、大手金融機関にて予算管理、経理、営業支援、社内ベンチャーの立ち上げ等を経験し、平成17年4月に独立開業。
税理士(東京税理士会麹町支部所属)、行政書士、日本FP協会 CFP(R)認定者
M&Aシニアエキスパート
株式会社サンウッド(JASDAQ上場/8903)社外監査役(H27.6~)
株式会社メディア・ヴァーグ 社外取締役(H27.6~)

BIZ KARTE編集部

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