所得控除の種類と控除額の算出方法を解説!

所得税は所得金額に税率をかけて求めます。ただ、所得金額から差引くことができるもの(所得控除)があります。それは、控除することができる要因によって大きく2つに分けることができます。一つ目は、扶養控除や障害者控除などの人的要因による控除です。こちらは、前作「税金計算上の『扶養』とは?知って得するあれこれ」をご参照ください。二つ目は、保険料控除などの人的要因以外の要因による控除です。今回は、この人的要因以外の要因による所得控除について説明していきます。(執筆:大前ひとみ 監修:公認会計士・税理士 加地延行)

所得控除の種類

人的要因以外の要因による所得控除の種類として、(1)雑損控除、(2)医療費控除、(3)社会保険料控除、(4)小規模企業共済等掛金控除、(5)生命保険料控除、(6)地震保険料控除、(7)寄附金控除の7つがあります。下記では、これら一つずつについて説明していきます。

(1)雑損控除

雑損控除とは、災害、盗難又は横領によって損害を受けた際に、控除できるものです。対象の資産は、日常生活上必要な住宅、家具などになります。

<控除金額>

次の二つのうちいずれか多い金額。
① 損害金額(保険金などで補填される金額を除く)-(総所得金額等)×10%
② 損害金額のうち災害関連支出の金額(保険金などで補填される金額を除く)-5万円
※災害関連等支出とは、災害等に関連して住宅家財等の取壊し又は除去などに要した金額のことです。

(2)医療費控除

医療費控除には、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制による控除の2つがあります。注意点として、セルフメディケーション税制による控除を受けるためには、人間ドックや健康診断等の健康の保持増進及び疾病の予防への取り組みが必要となります。また、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制による控除はどちらかしか適用できません。どちらを選択すると得かを考えて適用する必要があります。

<控除金額>

・従来の医療費控除
支払った医療費の総額-10万円(総所得の5%といずれか少ない方)
 ただし、上限は200万円です。

・セルフメディケーション税制による控除
一部の市販薬の購入金額-1万2千円
 ただし、上限は8万8千円です。
いずれの場合も保険金などで補填される金額を除きます。

(3)社会保険料控除

健康保険料や国民健康保険料などの保険料を支払ったり、給与から差し引かれたりしたときは、その金額を所得から控除することができます。
前納の期間が1年以内のものについては、来年の分を今年の社会保険料の金額とすることができます。

(4)小規模企業共済等掛金控除

 小規模企業共済法の規定による共済契約により支払った掛金、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金などを支払ったときは、その金額を所得から控除することができます。

(5)生命保険料控除

 生命保険料等を支払った場合、最高12万円を限度に控除することができます。生命保険料控除は契約締結の時期によって計算方法が異なります。平成24年1月1日以後に締結した保険契約は新生命保険料、介護医療保険料又は新個人年金保険料に区分され、平成23年12月31日以前に締結した保険契約は旧生命保険料又は旧個人年金保険料に区分します。計算式は以下の通りです。

1) 新生命保険料、介護保険料、新個人年金保険料を支払った場合

支払った保険料等の金額控除額
20,000円以下支払った保険料等の金額
20,001円~40,000円支払った保険料等×1/2+10,000円
40,001円~80,000円支払った保険料等×1/4+20,000円
80,001円以上40,000円

2) 旧生命保険料、旧個人年金保険料を支払った場合

支払った保険料等の金額控除額
25,000円以下支払った場合保険料等の金額
25,001円~50,000円支払った保険料×1/2+12,500円
50,001円~100,000円支払った保険料×1/4+25,000円
100,001円以上50,000円

例えば、生命保険料について新生命保険料と旧生命保険料の両方を支払っている場合は、旧生命保険料のみの控除額(上限5万円)と新生命保険料と旧生命保険料の控除額の合計額(上限4万円)のいずれか大きい方の金額となります。
上記のように生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料など保険料ごとに控除額を計算し、最後に3つの保険料控除額の合計金額を生命保険料控除の金額とします。ただし合計金額が12万円を超える場合には、控除額は12万円となります。

例)旧生命保険料(5万円)+介護医療保険料(4万円)+旧個人年金保険料(5万円)=14万円→12万円

(6)地震保険料控除

 損害保険契約等について保険料を支払った場合は、その年中に支払った地震保険料の金額の合計額を控除することができます。
また、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(旧長期損害保険料)について、支払った保険料がある場合も控除することができます。

<控除額>
地震保険料の合計額(最高5万)+旧長期損害保険料の金額(1万を超える場合は旧長期損害保険料×1/2+5千円。上限1万5千円)
ただし、合計額の上限は5万円です。

(7)寄附金控除

 国などに寄附やふるさと納税などを支払った場合は、下の計算式で求めた金額を控除することができます。

<控除額>

1)と2)のいずれか低い方の金額-2千円
1) 寄附金額
2) 総所得金額の40%相当額

まとめ

人的要因以外の要因による所得控除の適用を受けるためには、年末調整や確定申告の際に資料の添付や明細書の作成が必要となります。
ぜひ一度、所得控除の対象となっているものがないか、また、対象となるものについて資料が揃っているか確認してみてください。

参考

野田高士編(2017)『平成29年3月申告用 所得税の確定申告の手引き』



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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。 創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。 「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。 お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します。

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