借金返済の減額を金融機関に相談する際の3つのポイント

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事業用の資金として、金融機関から借金(借入れ)をしている法人や個人事業主の方も多いと思います。借金をした時のスケジュールどおり返済している場合は問題になりませんが、経営には不測の事態がつきものであり、場合によっては、借金が返済できなくなるという状況も想定されます。

このように事業用として借りた借金の返済が苦しくなった場合に備えて、一時的に借金返済を減額してもらえるよう金融機関に相談する際のポイントを解説します。(執筆者:株式会社ナレッジラボ 取締役 山邊泰匡 )

ポイント①:借金の返済ができない現状を数値で説明する

金融機関に借金返済の減額を相談に行くには、まずは現状をしっかりと説明するところから始めます。では、どのような説明をすればよいのでしょうか?

借金の返済ができなくなった原因はなにか

金融機関へ相談に行った際には、まずは借金の返済ができなくなった原因を説明することから始めます。

その際には、以下の例のように、例えば売上高が減ったということだけでなく、売上高が減った要因まで分析、把握して説明することが重要です。簡単なことですが、自社のことになるとできていないケースも多いです。

例1
(×)売上高が減少し、借金の返済が苦しくなりました。
(〇)競合他社の値下げを受けて相見積りで負けることが多くなり、売上高が減少し、借金の返済が苦しくなりました。

例2
(×)売上高が想定よりも伸びず、借金の返済が苦しくなりました。
(〇)仕入先による部品の納品遅れから当社の製造ラインも止まり、予定数量の納品ができず、売上高が想定よりも伸びず、借金の返済が苦しくなりました。

返済できない現状の説明には数値を加える

借金の返済ができない現状を伝える際には、可能な限り客観的な数値を加えて説明することが必要です。説明に数値が加わると、情報の内容や質が上がり、金融機関の担当者もより的確に状況を理解できるようになります。

先ほどの例に加えて記載すると、以下のようになります。

例1 競合他社の値下げが影響している場合
競合他社の値下げを受けて相見積りで負けることが多くなり、先月の受注数量は3,000個と、前年同月の5,000個から4割減少しました。この結果、売上高が前年同月と比較して1,000万円減少し、借金の返済が苦しくなりました。

例2 予定数量の納品ができなかった場合
仕入先による部品の納品遅れから当社の製造ラインも止まり、当初の予定では、月5,000個納品するはずが、実際には月3,500個の納品にとどまり30%の未達となりました。この結果、当初の見込み売上高800万円/月に対し、実績は560万円/月となり、借金の返済が苦しくなりました。

ポイント②:「業績改善、借金返済への意欲」と「行動面の目標」を示す

現状をしっかりと説明した次は、現状を前提として、業績改善と借金返済に取り組む意欲、そしてどうやって業績を改善させようとしているのか、を伝えることが必要となります。

業績改善と借金返済への意欲は絶対に必要

一度落ち込んだ業績を改善させることは、そう簡単にできることではありません。金融機関の担当者もそのことは理解しているため、様々な角度から質問を投げかけ、経営者の業績改善と借金返済に対する意欲を確認してきます。

その際のポイントは、経営における諸問題を、基本的には全て経営者が解決しなければならないと考えているか、という点になります。以下のような「他人事」の回答は、経営に対する意欲や認識が不十分と判断されかねないので要注意です。

・業績の悪化を景気のせいにする → 景気の波を捉えて対策をするのも経営者の仕事
・従業員が動かないと言う    → 従業員が動ける仕組みを作るのも経営者の仕事
・いい人材がいないと言う    → いい人材を確保するのも経営者の仕事
・取引先が悪いと言う      → 取引先と適切な条件を交わすのも経営者の仕事

借金返済に向けた行動面の目標ってなに?

業績改善と借金返済の意欲とセットで、業績を改善させるための目標を示すことも非常に重要となります。その際には、売上高や利益の目標に加え、それを達成するためにどのような行動を行うのか、という「行動面の目標」を設定することもポイントとなります。

現状を説明する際に数値を用いるのと同様に、業績の目標と行動面の目標を示すことで、業績改善と借金返済に向けた意欲を金融機関の担当者に伝えることができます。

例えば、以下のようなものになります。

(×)来期は年間売上高5,000万円を目標に設定します。
→どうやったら達成できるのかが、金融機関の担当者には伝わらない

(〇) 競合他社の営業攻勢に対して、営業量を増やすことで対抗します。来期は毎月5件の新規契約を取ることを通じて、年間売上高5,000万円を目標に設定します。また、毎月5件の新規契約を獲得するために、毎月15件の提案営業を行うことを目標にします(さらに提案営業を15件行うために、何をするかということも重要となります)。

ポイント③:借金返済の減額という要望を伝える

事業の現状、業績改善と借金返済に向けた意欲と行動を説明した後は、借金返済の減額を希望する意思を伝え、金融機関の担当者と話し合いをすることになります。

借金の返済が可能な金額と期間を明確にする

借金自体を減らしてもらうことは通常できませんので、資金繰りが厳しい間、借金の返済を一時的に減額してもらう形になります。

その際には、現状で借金の返済が可能な金額と、減額を希望する期間を示すことが必要となります。借金返済の減額を希望する期間はケースによって異なりますが、3~12ヵ月程度の期間が実務的には多いと考えられます。

複数の金融機関から借金がある場合は?

複数の金融機関から事業用の資金の借金がある場合には、借金のある金融機関全てに同様の要望を行うことが通常です。基本的に、各金融機関ともに、他の金融機関との足並みが揃うことを条件に借金返済の減額に前向きに検討してくれます。

また、借金の残高が一番多い金融機関から訪問するのが一般的と考えられます。これは、金融機関の足並みを揃えるためには、残高の多い金融機関の意向が重要となるためです。

まとめ

借金は、当初のスケジュールどおり返済するに越したことはありません。また、借金の返済が厳しくなった際に、年利10%を超えるようなローンでの借換えを繰り返す方もいますが、そのような状況では、経営に集中することはできません。

資金繰りを改善するために取り得る選択肢は、より早い段階で検討する方が多いです。

何らかの事情により資金繰りが厳しくなった際には、過度に悲観的にならず、金融機関に借金返済の減額を交渉するという選択肢もあることを覚えておきましょう。

執筆:山邊 泰匡 (公認会計士)

株式会社ナレッジラボ 取締役
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