予実管理を経営改善に役立てる

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企業経営にぜひ役立てたいプロセスの一つに予実管理があげられます。

予実管理とは、あらかじめ設定した業績の予測と実際の業績を比べて原因を分析し、改善につなげるプロセスです。予実管理を今後の経営改善に役立てる意識が大切です。

予実管理はなぜ必要か

大企業であれば予実管理はごく普通に行われています。一方、中小企業では経営者の勘と経験に頼ることが多く、予算を立てていないケースも見られます。

しかし、中小企業でも一定の規模になると、金融機関から設備資金や運転資金などを借りることがあります。また、これから開業する場合に、創業資金を借りるケースもあるでしょう。

その時に必ず求められるのが、事業計画書です。金融機関は、貸出先の企業が本当に返済できるのかを事業計画書をもとに判断します。

しかし、事業計画書を作るだけでは不十分で、計画したとおりに経営ができているかコントロールすることが重要になります。そのためのプロセスが予実管理です。

資金を借りない場合でも、計画性をもって経営をコントロールすることは大切で、予実管理が不要というわけではありません。

予実管理を経営改善に役立てるには

予実管理を経営改善に役立てるための方法を、予算、決算、比較、行動のプロセスに分けてお伝えします。

まず予算を立てる

売上、売上原価、販管費(販売費、一般管理費)、営業外損益(支払利息、資産の売却損益など)の予算を立てます。

すでに事業を行っているのであれば、過去の実績をもとに年間の予算を立てます。過去の実績をそのまま使うのではなく、今後予定している売上・仕入や費用の増加、設備投資などを織り込むことが大切です。

これから開業する場合は過去の実績がないので、売上・仕入や費用の見込み額をもとに年間の予算を立てます。売上・仕入や費用を見込むときは、実現できるかどうかよく検討することが大切です。

年間の予算を立てれば、これを月ごとに配分します。単純に12で割るのではなく、季節による売上の変動や、ボーナス支給月の人件費の増加なども考慮します。

月ごとに決算をする

予実管理は月ごとに行うことをおすすめします。予算と実績にずれが生じた場合に軌道修正ができるからです。

月ごとに予実管理をするためには、月ごとの予算だけでなく、月ごとの実績も必要になります。

年度の決算は帳簿上の決算処理や法人税の申告もあって大変手間がかかりますが、月次決算はそこまでのレベルは求められません。1か月の売上・仕入と費用が明らかになれば大丈夫です。

ただし、売上・仕入や費用は、入出金の時点ではなく取引の時点で計上する必要があります。また、保険料・減価償却費など、費用を1年分まとめて計上するものは、月ごとに配分する必要があります。

予算と実績を比較する

実績がまとまれば、売上、売上原価、販管費、営業外損益の区分ごとに予算と実績を比較します。比較して大きな差があれば、原因を分析します。

原因が一時的なものか、長期にわたって影響が及ぶものかを見極めて、必要であれば対策を考えます。

簡単な予実管理表の例は次のとおりです。会社の考え方に応じて比較の方法や比較表の体裁は変わっても構いません。

予実管理表の例

科目
7 月
4 月からの累計
予算
実績
差異
予算
実績
差異
売上
100
120
+20
370
400
+30
売上原価
75
90
+15
290
310
+20
売上総利益
25
30
+5
80
90
+10
販管費
15
20
+5
55
50
△ 5
営業利益
10
10
0
25
40
+15
営業外費用
5
5
0
15
20
+5
税引前利益
5
5
0
10
20
+10

対策を実行に移す

原因がわかって対策を考えたとしても、対策を実行に移さなければ意味はありません。あれこれ理由をつけて実行を先送りしているうちに、経営が悪化して取り返しのつかないことになる可能性もあります。

原因の究明で満足するのではなく、対策を実行に移すことまでが予実管理であることを忘れないようにしましょう。

予実管理で陥りがちな失敗例

最後に、予実管理を始めた会社が陥りがちな失敗例をご紹介します。同じ失敗をしないように参考にしてください。

細かい差異の分析が目的になる
予実分析を始めると、いつの間にか細かい差異の分析が目的になるケースがあります。差異が気になると止まらなくなる気持ちもあるでしょう。

しかし、予実管理の目的は、あくまでも経営改善の対策をたてて実行することにあります。手段が目的になってしまわないように気をつけましょう。

予算を低めに設定する
予実管理では、目標を達成しやすいように予算を低く見積もる傾向があらわれます。経営者の考え方にもよりますが、成長段階の企業であるなら、目標は合理的に説明できる範囲で高めに据える方がよいでしょう。

予算にこだわりすぎる
年間の実績が予算に届きそうにないことがわかると、残りの期間で無理にでも予算を達成させようとする気持ちになるものです。目標達成のために無理をすると、社員が疲弊するだけでなく、売上を水増しするといった不正行為にもつながります。

上場企業では、実績が予算から離れることを極端に嫌う企業もあります。予算と実績の差異を投資家に説明することは大変な仕事になるからです。しかし、予実管理を始めたばかりの中小企業であれば、それほど予算に強くこだわる必要はありません。

予算と実績が合わない原因には、そもそも予算が現実に見合っていなかったというケースもあります。取引の状況が急変したとか、近くに競合店ができたなどの理由で予算の前提が明らかに変わったのであれば、予算の修正も考えましょう。

まとめ

以上、中小企業の予実管理についてお伝えしました。中小企業は人員が限られていることが多く、予実管理に労力を割くことは難しいかもしれません。

しかし、計画性をもって経営をチェックすることは、経営改善に役立ちます。この記事を参考に、予実管理を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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