中小企業に適した会計基準「中小会計要領」

中小会計要領(中小企業の会計に関する基本要領)は、中小企業がより簡単に利用できる会計基準として2012年に定められました。

中小会計要領は、すべての中小企業に導入が義務づけられているわけではありません。しかし、一定の会計基準に従った決算書を作成することで、対外的な信用が増すなどのメリットがあります。

この記事では、中小会計要領を導入することのメリットと中小会計要領の内容を簡単にご紹介します。

中小会計要領を導入することのメリット

中小会計要領を導入することのメリットには次のようなものがあります。

  • 経営改善に役立つ
  • 資金の借入条件が有利になる

それぞれのメリットについて、簡単にご紹介します。

経営改善に役立つ

一定の会計基準に従った決算書を作成することで、自社の経営の状況が客観的な数値で表わされます。売上高、利益、資産、負債などの金額から自社の経営の状況を分析して、経営改善につなげることができます。

中小会計要領を導入した企業に、決算書をどのように自社の経営力強化に活用しているかを聞き取った調査では、代表的な回答として次のような項目があげられました。(平成26年度中小企業における会計の実態調査・中小企業庁)

  • 取引金融機関に対する財務情報の開示
  • 売上高のみを目標とせず利益を意識した経営
  • 部門ごとのコスト管理
  • 販売や仕入れの適正化

中小会計要領を導入した企業は、金融機関や取引先からの評価が良くなったほか、経営状態が好転したという効果をあげています。

資金の借入条件が有利になる

金融機関からの融資を受ける場合は、事業計画書を提出する必要があります。中小会計要領を導入していれば、自社の経営の状況を一定の会計基準に従った客観的な数値で表わすことができ、事業計画がより信頼できるものになります。

また、先ほどご紹介したとおり、中小会計要領を導入すると金融機関からの評価が良くなるという効果があります。

信頼できる事業計画に加えて、普段から金融機関からの評価が良ければ、融資を受ける場合の条件は有利になります。

日本政策金融公庫や民間の一部の金融機関は、中小会計要領を導入している企業に対して貸出金利を優遇しています。また、信用保証協会は信用保証料率の引き下げを行っています。

各地でセミナーを開催して普及を後押し

中小会計要領の普及のため、さまざまな団体が各地でセミナーや研修会を開催しています。中小企業の経営者や経理担当者に向けて、わかりやすく短時間で解説している点が特色です。

直近の開催予定は、下記のサイトから確認することができます。
平成29年度「中小企業会計啓発・普及セミナー」(独立行政法人中小企業基盤整備機構)

中小会計要領の内容

中小会計要領は、法令などで導入が義務づけられているわけではありませんが、中小企業が導入することを前提に定められた会計基準です。

中小企業が決算書を開示するのは、同族株主、金融機関、税務当局などごく限られた範囲にとどまることや、実務にかかる負担を考慮して、大企業向けの会計基準に比べて簡単な内容になっています。

収益・費用は発生したタイミングで計上

売上などの収益や売上原価などの費用は、現金や預金を支払うタイミングではなく、取引を行ったタイミングで計上します。

収益とそれに関連する費用は、一定の期間(年度、月など)ごとに対応するようにしなければなりません。商品を仕入れて売れ残ったものは、売上原価に計上せず、在庫として計上するといった処理が必要になります。

資産は取得価額で計上

資産は取得した金額で計上し、負債は将来支払うべき金額で計上します。有価証券などの資産を時価で評価する時価会計を行う必要はありません。

中小企業の多くが法人税の納税のために会計を行っている実情を考慮して、中小会計要領は税法との調和を図った会計基準となっています。そのため、税法と財務会計のルールの違いから起こる差異を調整する税効果会計を行う必要はありません。

中小会計要領の内容についてさらに詳しく知りたい場合は、下記のサイトを参照してください。
中小企業庁:中小企業の会計に関する基本要領
「中小会計要領」の手引き

日本税理士会連合会のチェックリストが活用できる

自社の会計処理が中小会計要領に適合しているかどうかを確認するには、日本税理士会連合会が作成したチェックリストを活用することができます。

チェックリストは、税理士が顧問先企業の会計にお墨付きを与えるためのものですが、税理士にチェックを依頼する前の自主的なチェックにも活用できます。
中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト(日本税理士会連合会)

まとめ

中小会計要領は、中小企業がより簡単に利用できる会計基準として制定されました。大企業に向けた会計基準よりも簡便な会計処理が認められていて、経理担当者の数が限られている中小企業でも導入しやすくなっています。

中小会計要領を導入すると、経営改善に役立つほか、対外的な信用が増すなどのメリットがあります。導入を後押しする施策として、中小会計要領について学べるセミナーが各地で開催されているので、活用すると良いでしょう。

関連記事

・中小企業向けの会計ルールを知っておこう
・【公益法人会計基準とは】法人税が非課税になるのには理由があった
・国際会計基準の概要と導入のメリット・デメリット

BIZ KARTE編集部

「BIZ KARTE Powered by MFクラウド」は株式会社マネーフォワードが運営している公式メディアです。
MFクラウドに関係する会計や経理などのバックオフィス業務をはじめとしたビジネスに役立つ情報を更新しています。



【おすすめ】会計・経理業務でお困りの方へ

マネーフォワード クラウド会計なら

  • 面倒な作業はすべて自動化
  • 会計情報をリアルタイムで経営に反映
  • 他の会計ソフトからの乗り換えも簡単!
マネーフォワード クラウド会計を無料で試してみる

「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料