納税充当金

経理に携わる方は、法人税の申告書について、会計と税務の差異を表す法人税の確定申告書の「別表4」や、納税状況を表す法人税の確定申告書の「別表5-2」については、意味がわかるようにしておいた方が良いでしょう。

そこで今回は、法人税で用いられる納税充当金について丁寧に解説していきます。

納税充当金とは?

法人税の計算については、会計上の決算書における利益の金額をベースにして計算を行います。その利益の額から、会計上の利益と法人税上の所得の差を調整します。

具体的には、会計上では費用として経理処理しているが、法人税では損金として認められないもの(交際費や引当金など)を損金不算入として処理しています。

今回は法人税の申告書で必ずと言っていいほど用いられる納税充当金の申告書上の処理について確認していきます。

まず、納税充当金とは何でしょうか。納税充当金とは、決算時に見積計上する法人税・住民税・事業税のことです。すなわち、会計上での「未払法人税等」と同じ意味になります。

では、この納税充当金が法人税の申告書上では、どのように表記されているのでしょうか。次は事例をみながら具体的にみていきます。

納税充当金を実際の別表で確認

法人税の申告書には、その計算方法の明細が記載されている別表、付表およびその他明細書があります。このうち、経理として特に確認すべきなのが、会計と税務の差異を調整する「別表4」と法人税等の経理処理方法や納付状況を表す「別表5(2)」です。

では、具体的な事例から、法人税等の経理処理と法人税の申告書(別表4と別表5(2))の記載を確認しましょう。

事例: A社の第10期(H27.4.1〜H28.3.31)について

(1) H.27.6.20
前期の確定申告の納付のため、550万円(法人税360万円、住民税80万円、事業税110万円)を普通預金から支払った。

(2) H.27.12.20
当期の中間申告の納付のため、480万円(法人税330万円、住民税60万円、事業税90万円)を普通預金から支払った。

(3)決算処理
当期分の確定申告の納付のため、520万円(法人税350万円、住民税70万円、事業税100万円)を未払法人税等に計上した。

<経理処理>

 借方金額貸方金額
(1)
未払法人税等5,500,000普通預金5,500,000
(2)
法人税等4,800,000普通預金4,800,000
(3)
法人税等 5,200,000未払法人税等5,200,000
 

経理処理については、上記のように処理します。

まずは、法人税の確定申告書の別表4について見ていきます。

図1:所得の金額の計算に関する明細書(確定申告書 別表4)

所得の金額の計算に関する明細書(確定申告書 別表4)

図1では、会計上の税引後利益の額から、会計上の収益・費用と税務上の益金・損益の差額を調整して法人税の計算のもとになる利益(所得金額)を算出しています。

図全体から見ると、「当期利益又は当期欠損の額」という会計上の決算の税引後当期純利益の金額を記入する欄があります。そして「加算」欄に益金算入・損金不算入の各項目があり、「減算」欄に益金不算入・損金算入の各項目があります。

そして、一番下の「所得金額又は欠損金額」が、各項目で調整した後の法人税上の利益の金額を表す欄になっています。

納税充当金については、[5.損金の額に算入した納税充当金]の項目で調整します。損金不算入の項目として処理するのは、会計上では法人税等の金額は、「法人税等」やあるいは「租税公課」という勘定科目で費用として処理しますが、法人税では損金として認められていないからです。金額は、決算処理時に未払法人税として計上した520万円となります。

しかし、事業税については法人税の計算で損金として認められます。ただし、事業税を納付した際に損金として認められますので、損金として認められるのは前期に納税充当金として見積計上し、当期に納付した金額となります。

したがって、[13.納税充当金から支出した事業税等の金額]に、当期に納付した事業税分である110万円の記入します。

次に、法人税の確定申告書の別表5(2)についてみていきましょう。下の図2は、法人税や住民税、さらに事業税の経理処理方法や納付状況についての記入している表になります。

図2:法人税の納付状況等の明細欄(確定申告書 別表5(2)上部)
法人税の納付状況等の明細欄(確定申告書 別表5(2)上部

上記の図2は、事例に合わせて法人税の表記欄を記入したものです。

まず、[(1)期首現在未納税額]には、前期計上した納税充当金のうち、法人税分の360万円を記入します。この未納分については、当期中に全額納付しましたので、[(3)充当金取崩しによる納付]に同額を記入します。

そして、[(2)当期発生税額]については、中間納付した330万円と確定申告分の350万円を記入します。中間納付した法人税分の330万円については、「法人税等」という費用の勘定科目で処理しましたので、[(5)損金経理による納付]に同額を記入します。

当期の確定申告分については、まだ納付を行っていませんので、[(6)期末現在未納税額]として残る形になります。

図3:納税充当金の計算明細欄(確定申告書 別表5-2下部)
納税充当金の計算明細欄(確定申告書 別表5-2下部

納税充当金の計算欄についても、上記の図3から事例のケースに合わせた記入方法をみていきましょう。

[31.期首納税充当金]は、前期に見積計上した納税充当金の金額の550万円を記入します。

[32.損金の額に算入した納税充当金]には、当期の決算処理によって見積計上した納税充当金の520万円を記入します。

取崩額については、前期の見積計上した納税充当金の納付分を記入するのですが、[35.法人税額等] には(法人税+住民税)の金額、36.事業税については、事業税の金額を個別に記入します。(なぜ事業税だけ別記入するかというと、別表4でも説明しましたが、事業税については納付時に損金算入されるからです。)

期首納税充当金から繰入と取崩を行って[42.期末納税充当金]に520万円が残るという計算になります。

事例のケースでは、このような処理方法になりますが、会計上での法人税等の経理処理の方法によっては、法人税の確定申告書の記入方法も変わってきます。

今回と異なる経理処理の場合であっても、ケースに合わせて会計上の費用と税務上の損金の違いからどうしてこのように調整しているのかを考えてみて下さい。

まとめ

最後に、今回のポイントについて確認していきましょう。

・納税充当金とは、税務上の「未払法人税」である。
・別表4では、会計上の税引後利益の額から、会計上の収益・費用と税務上の益金・損益の差額を調整して法人税の計算のもとになる利益(所得金額)を算出している。
・納税充当金は、損金不算入として別表4で調整される。ただし、事業税については納付した際に損金として認められるため、前期に見積計上した事業税の納付分を損金算入として減算処理を行う。
・別表5(2)は法人税や住民税、事業税の経理処理方法や納付状況についての記載している。

まずは自社の法人税の確定申告書を確認して見てください。 そして納税充当金の項目について確認できたら、それ以外の項目についても確認してみましょう。

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BIZ KARTE編集部

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