地代家賃

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地代家賃はその名のとおり「地代」「家賃」を管理するための勘定科目ですが、一見すると地代家賃に分類できそうでも、実は地代家賃ではないというケースもあります。

ここではそのような間違いを起こさないために、地代家賃の定義や実務上の注意点、具体的な仕訳方法について解説します。

地代家賃の基本と注意点

地代家賃の定義

まずは地代家賃を正確に定義しておきましょう。事業を経営するにあたっては、事務所や店舗、社宅などが必要です。この場合の家賃や共益費、月極駐車場の使用料やその他の土地の使用料などが地代家賃に相当します。これら以外にも建物・土地を賃借したことに伴う賃料は地代家賃として管理されます。

計上のタイミング

個人が住む賃貸アパートなどの家賃は原則として、次の月の分を前の月のうちに支払います。これは企業でも同じで、地代家賃は当月分を前月中に前払いするのが一般的です。実務処理としては2つの方法があります。

1つは、前月中に支払った時点ではそのお金はまだ地代家賃ではないと考えて、まず「前払費用」として計上し、翌月に「地代家賃」へ振替処理する方法です。ただしこの方法では実務が複雑化してしまいます。

実務を簡便化したい場合は、支払った月で地代家賃として処理することも可能です。ただしこの処理方法は継続が条件となっているので、注意が必要です。

財務諸表での位置付け

地代家賃は損益計算書の経常損益の部のうち、営業損益の部の販売費及び一般管理費に区分されます。ただし販売費及び一般管理費に区分される地代家賃は、事務所や店舗などの賃借に対して支払われるものです。工場など製造業務で使用する建物・土地などの賃料として支払われる地代家賃は、売上原価に計上されます。

所得税法上の取り扱い

所得税法第56条では「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」、必要経費に算入しないものとしています。

例えば親が所有している建物・土地などを利用して、事業を行っている人がいたとします。所得税法に基づけば、この人が税金の節約を目的に親に対して毎月家賃や共益費などを支払ったとしても、そのお金は必要経費として認められません。これが親でなく、叔父や叔母でも生計を一にしている場合は同じです。

消費税法上の取り扱い

消費税法において、地代家賃は「地代」と「家賃」に分けて考えます。このうち地代は非課税となります。一方家賃は事務所や店舗などに対する賃料などは課税対象となりますが、居住用建物の賃料については非課税です。なおこの場合の「家賃」には共益費も含まれます。事務所や店舗などに使用するスペースと、居住用スペースが併設されている場合は、床面積などの比率に基づいた合理的な計算によって、前者についてのみ課税されます。

地代家賃の仕訳

注意したい地代家賃の仕訳

地代家賃にはいくつか判断が難しいケースがあります。

例えば月極駐車場の使用料は地代家賃に相当しますが、駐車場によって消費税課税対象か否かが変化します。駐車している車両の管理を行っていたり、駐車場の地面が整備されていたり、フェンスなどが配置されている場合は「施設の利用に付随して土地が使用されている」とみなされて、消費税の課税対象となります。

逆に青空駐車場のような場合は非課税です。なぜなら青空駐車場は土地を借りているのと変わらないため、非課税の地代に分類されるからです。

また敷金や権利金、保証金のうち返還されないもの、そして礼金・更新料は、一見すると地代家賃に分類できそうですが、会計上は「長期前払費用」として計上します。不動産業者などに支払う仲介手数料も、地代家賃ではなく「支払手数料」として処理します。

このように課税対象か否か、そもそも地代家賃か否かといった点に注意する必要があります。

具体的な仕訳例

ある事業用建物の家賃10万円を現金で支払った際の仕訳は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
地代家賃100,000現金100,000

お金が減少しているため貸方に「現金10万円」が記入され、その理由である地代家賃が借方に同額で記入されます。

ところがこの建物は実は自宅兼事務所として利用しているものであり、按分計算したところ自宅50%・事務所50%であることがわかりました。この場合、自宅分の地代家賃5万円を事業主貸として振替処理する必要があります。その時の仕訳が以下のとおりです。

借方金額貸方金額
事業主貸50,000地代家賃50,000

また事務所を賃借して、礼金20万円、家賃10万円、敷金・仲介手数料がそれぞれ1ヶ月分10万円を現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
地代家賃100,000現金500,000
敷金・保証金100,000
長期前払費用(権利金)200,000
支払手数料100,000

礼金が前述のように長期前払費用として処理され、仲介手数料が支払手数料として処理されている点に注意しましょう。

まとめ

地代家賃の会計処理は定義を理解するとともに、具体的な支出について課税対象か否か、地代家賃か否かといった点に注意する必要があります。自分の思い込みで処理せず、慎重に分類するよう心がけましょう。

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Bizpedia編集部

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