課税所得とは?同じ年収でも税金に差が出る理由

課税所得とは、所得税を計算するための必要な金額です。

課税所得を正しく理解することができれば、同じ年収でも税金に差が出る理由が理解でき、納税負担をコントロールすることが可能となります。

ここでは所得税がどのように計算されているのか、図表を使用しながら順を追って解説していきます。

課税所得が確定するまでの流れ

課税所得を確定するためにはまず、「収入金額」と「収入から差し引かれる金額」を元に、「所得金額」を求めることから始めます。

所得税及び復興特別所得税のしくみ

(出典:平成29年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

「収入金額」とは、事業を営んでいる場合はその事業に関するすべての売上高であり、給与をもらっている場合は給与や賞与、その他手当金等が該当します。

「収入から差し引かれる金額」とは、事業を営んでいる場合は原材料費や必要経費などが該当し、給与をもらっている場合は給与所得控除が該当します。

事業内容が販売業や製造業など商品を売買する事業の場合は、仕入れた商品や原材料費を差し引きます。

一方、サイト構築やシステム開発、デザイン制作といった成果物を取引する事業内容は、原材料費などがそれほどかからないことが考えられます。

このように事業内容によって「収入から差し引かれる金額」に差が出てくるため、同じ年収でも業種によって税金負担に差が出てくることがわかります。

給与所得者はどのような職種や雇用形態であったとしても、「収入から差し引かれる金額」は「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」によってあらかじめ決められています。

たとえば、給与や賞与などすべての合計額が5,782,000円だった場合、「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の「給与等の金額」に5,782,000円を当てはめ、所得金額4,084,000円を導きだすことができます。

平成27年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表

(出典:平成27年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表

ただし「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に当てはまるのは給与収入660万円までとなっており、660万円以上となると計算式を用いて所得金額を求めなければなりません。「所得金額」を求めることができたら、次は「所得金額」から「所得から差し引かれる金額」を差し引きます。

下図で「課税される所得金額」と表記されているものが、「課税所得」と呼ばれる金額です。

課税される所得金額

(出典:平成27年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

それでは、「所得から差し引かれる金額」には、どのようなものがあるのでしょうか。

次節で詳しく見ていきましょう。

所得から差し引かれる金額とは

税金には「公平・中立・簡素」の3原則があるため、「公平」を税金計算に持ち込むためには、個人の事情を反映させる必要があります。収入金額から必要経費を差し引いただけでは、各人の事情を考慮したとは言えません。

たとえば障害の有無を考慮せずに税金計算を行えば、健常者と障害者が同じ税金を負担することになってしまいます。

こうした状況を考慮するのもが「所得から差し引かれる金額」であり、「所得控除」と呼ばれています。

「所得控除」は、

・保険料に関するもの
・社会的立場を是正するためのもの
・家族に関するもの
・その他

という4つに大別され、所得控除の条件に該当すれば誰でも適用することができます。

それでは所得控除にはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

保険料に関するもの

[社会保険料控除]
国民健康保険料や国民年金保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などを支払っていれば、適用されます。

[小規模企業共済等掛金控除]
小規模企業共済法で定められた掛金の支払いがある場合に適用される控除です。

[生命保険料控除]
生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用されます。

[地震保険料控除]
地震保険料や(旧)長期損害保険料の支払いがある場合に適用されます。

社会的立場を是正するためのもの

[寡婦・寡夫控除]
シングルマザーとシングルファザーに適用されます。

[勤労学生控除]
働いている学生に適用されます。

[障害者控除]
あなた自身だけでなく、条件に当てはまる配偶者や扶養親族に障害がある場合にも適用されます。

家族に関するもの

[配偶者控除]
配偶者が「控除対象(=扶養内)」である場合に適用されます。
なお、平成30年以降はあなた自身の給与所得が1,120万円超の場合、所得に応じて控除額が減額されます。

[配偶者特別控除]
配偶者が控除対象外となってしまった場合でも、所得金額に応じて税金が優遇される控除です。

[扶養控除]
あなたの収入で生活している家族や親戚が、控除対象である場合に適用されます。

その他

[基礎控除]
収入のある人であれば、誰でも適用される控除です。

[雑損控除]
災害や盗難、横領などによって資産に損害を被った場合に適用されます。

[医療費控除]
支払った医療費が一定金額以上の場合に適用されます。

[寄附金控除]
ふるさと納税など、寄附金控除に該当する寄附金を支払った場合に適用されます。

これらの所得控除を所得金額から差し引いたものが「課税される所得金額」、つまり「課税所得」となります。

所得税額は、課税所得に所得税率を乗じて算出されるため、課税所得を少なくすれば所得税額も少なくすることができます。

所得税額の計算

(出典:平成27年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

まとめ

実際には課税所得に所得税率をかけて求めた所得税額から、さらに住宅ローン控除などが差し引かれますが、今回は収入金額から所得金額や課税所得がどのように算出されるのかという大きな流れを解説しました。

同じ年収であっても、
・事業所得者の場合は事業内容によって所得金額に差が出る
・適用される所得控除によって課税所得に差が出る
ことが明らかになりました。
課税される仕組みを正しく理解し、納税負担を軽減するための参考にしてみてください。

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監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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