外国税額控除制度とは?二重課税されないために知っておくべきこと

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外国でビジネスをしている人や外国証券に投資をしている人は各国の法令で所得税に相当する税金を支払うことがあります。

このような場合、日本では二重課税にならないように所定の金額を所得税額から差し引く「外国税額控除制度」を設けています。

ここでは外国税額控除制度の目的や考え方、計算方法に加え、「どのような外国所得税が控除対象になるのか?」について解説します。

外国税額控除制度とは何か?

外国税額控除制度の目的

外国税額控除制度は、日本国内に居住地を置く人が外国の所得税に相当する税金(以下、外国所得税)を納付した場合に二重課税を調整するための制度です。

日本は「居住地国課税」つまり居住地を置いている国の税制に従って課税を行う制度を採用しているため、所得が生じた場所が国内でも国外でも同じ所得とみなされ、所得税が課せられます。

しかし、日本に居住地を置く人が、「源泉地課税」つまり所得が生じた場所の税制に従って課税する制度を採用している国で所得を得ると、日本とその国で二重に課税されることになってしまいます。外国税額控除制度はこのような二重課税を是正するために設けられたのです。

外国税額控除の基本的な計算方法

源泉地課税された外国所得税は、「所得税の控除限度額」を限度として、当該年の所得税額から差し引くことができます。

所得税の控除限度額は以下の計算式で求められます。

所得税の控除限度額=当該年の所得税額×当該年の国外所得総額÷当該年の所得総額

例えば当該年の所得総額が600万円で、そのうちの国外所得総額が200万円だった場合の所得税の控除限度額は以下のようになります。

当該年の所得税額=600万円×20%(所得税率)−42万7,500円(控除額)=77万2,500円(百円未満の端数金額は切り捨て)
77万2,500円×200万円÷600万円=25万7,500円

※「当該年の所得税額」:配当控除や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除などの税額控除等を差し引いた後の所得税額。
「当該年の所得総額」:各種繰越控除等の適用を受ける前であり、かつ株式譲渡による譲渡所得や山林所得等を含めた金額。
「当該年の国外所得総額」:当該年の国内源泉所得以外で、かつ日本の税制の課税対象になる所得の総額。

計算式を見ると、ちょうど外国で得た所得の分だけ税額を控除しています。つまり外国所得税の対象となる所得に関しては、日本の税制の課税対象外にしてもらえるのです。

ところが所得を得る国によってはこの限度額よりも多い税金を課している場合もあります。このような時のために、外国税額控除制度では外国所得税が限度額を上回る場合に、さらに復興特別所得税の税額からも控除が受けられるようになっています。

その際の限度額を「復興特別所得税の控除限度額」と呼びます。

復興特別所得税の控除限度額=当該年の復興特別所得税額×当該年の国外所得総額÷当該年の所得総額

どのような外国所得税が控除の適用対象になるのか?

控除制度の適用となる外国所得税は次の4種類です。

(1) 超過所得税その他個人の所得の特定の部分を課税標準として課される税
(2) 個人の所得又はその特定の部分を課税標準として課される税の附加税
(3) 個人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、個人の特定の所得につき、徴税上の便宜のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの
(4) 個人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、個人の収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課される税

(引用:国税庁「外国税額控除を受けられる方へ」)

個人の所得等に関して課税される外国所得税は基本的に外国税額控除が適用されますが、中には外国所得税に含まれないものもあります。

例えば税の納付猶予を納税義務者が任意で決められるものや、税の全額または一部の還付が請求できるもの、外国所得税に付帯して課される加算税や延滞税などは外国所得税には含まれません。

そのほか次の5点に該当する外国所得税は、居住者に係る外国税額控除の対象になりません。

(1) 金融取引における仕組み取引など、通常行われる取引だと認められない取引によって得た所得に対して課される外国所得税
(2) 出資金の払い戻しなどの資本等取引に課される外国所得税
(3) 居住者が非居住者であった期間内の所得に対して課される外国所得税
(4) 租税条約の規定において外国税額控除の適用外とされる外国所得税
(5) 特定外国子会社等及び特定外国法人から受け取る剰余金の配当等の金額に対して課される外国所得税

まとめ

外国での所得を得ており、かつ居住地を日本に置いている人は、知らない間に二重に所得税を課せられているかもしれません。その場合は還付を受けられる可能性があります。

自分が納付している外国所得税が外国税額控除制度の適用対象かどうかを、ここで挙げた条件と照らし合わせてみましょう。もし該当するようであれば国税庁のホームページで調べたり、最寄りの税務署に問い合わせるなどしてみましょう。

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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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