決算月を決める時に知っておきたいポイント

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決算月

日本では決算月を3月と定めている会社が多いですが、これは国や市区町村の会計年度が4月から3月までであることにならったものです。会社の決算月について、何月にしなければならないという決まりがあるわけではありません。

決算月は、会社の実情に応じて無理のないように決めることが大切です。会社を設立する場合だけでなく、既存の会社でも参考になるポイントをご紹介します。

決算月の実情は?

日本には、世界に名だたる大企業から個人経営に近い中小企業まで、さまざまな形態の会社があります。これらの会社が決算月を何月にしているかは、国税庁が公表している統計年報で調べることができます。

平成25年度に法人税の申告をした会社等の数は、約261万社ありました。このうち、決算月が3月である会社等は約51万社(全体の約20%)でした。次いで、9月(約28万社、11%)、12月(約26万社、10%)、6月(約25万社、10%)の順となっています。

しかし、資本金が1億円以上5億円未満の会社等に絞ると、決算月の分布は大きく異なります。平成25年度に法人税の申告をした会社等のうち、資本金が1億円以上である会社等の数は約2万6千社ありました。このうち、決算月が3月である会社等は半数の約1万3千社で、12月、9月、6月である会社等を合わせると、全体の80%となります。

海外に事業を展開する会社の中には、海外の子会社と決算月を統一する目的で、自社の決算月を12月に変更する動きもあります。しかし、まだ大企業を中心に、3月を決算月にしている会社が多くを占めています。

なお、ここでご紹介した決算月の分布の計算では、年に2回決算を行う会社等(約1万8千社)は除いています。

国税庁
(参考:国税庁統計年報(平成25年)「決算期別の普通法人数」

決算月を決めるポイント

会社を設立するときは、決算月を決めなければなりません。決算期間が1年を超えなければ、決算月は何月であってもよいことになっています。自由に決められるとなると、かえって迷ってしまいますが、決算月を決めるにはポイントがいくつかあります。

何となく3月にするのは避けるべき

多くの会社の決算月が3月であることから、「わが社も3月でいいか」と決算月を3月にすることはおすすめできません。

決算月が3月である会社が多いため、公認会計士や税理士は、4月から5月にかけて繁忙期を迎えることになります。このようなときに、決算チェックや会計監査、法人税の申告を依頼すると、十分に対応してもらえない可能性があります。これは公認会計士や税理士が忙しいから手を抜くのではなく、マンパワーにも限度があるというのが実情です。

マンパワーという点では、決算月を1月にすることもおすすめできません。2月から3月にかけては、所得税の確定申告の時期と重なり、税理士の繁忙期にあたります。さらに、社長個人の確定申告が必要となれば、会社の決算と社長個人の確定申告を同時に進めることになります。先ほどご紹介した決算月の分布で1月が少ないのは、このような事情があるとも推測できます。

親会社や取引先に決算月を合わせなければならないなど、特別の理由がない限り、1月や3月を決算月にするのは避けたほうがよいでしょう。

資金繰りから逆算する

資金繰りの状況から逆算して決算月を決めるのも一つの方法です。

決算月の2か月後には法人税や消費税などを申告して納税しなければなりません。納税期限が資金繰りの苦しい時期と重なってしまえば、納税に支障をきたします。そうならないように、資金が少なくなる月の2か月前を決算月にするのは避けます。

資金が少なくなる月とは、売上の入金が少ない月、仕入や経費の支払いが多い月、従業員にボーナスを支払う月などです。あくまでも、実際に入出金がある月として考えます。売上や仕入を計上した月ではないので要注意です。

消費税の免税期間を考慮する

資本金が1,000万円未満の会社であれば、開業の最初の2年度は消費税の納税が免除されます。

ここで気をつけたいのは、免除されるのは2年間ではなく、2年度であるという点です。仮に最初の事業年度が3か月だけであれば、1年3か月で2年度が経過します。納税免除のメリットを最大限に受けるためには、開業日から決算月をできる限り離すことです。そうすれば、最大で丸2年間納税が免除されます。

開業時の資本金が1,000万円未満であって、消費税を納税する可能性がある場合は、納税免除のメリットを視野に入れて決算月を決めるのも一つの考え方です。なお、消費税にかかわる規定にはさまざまな例外があります。納税免除のメリットから決算月を考える場合は、あらかじめ税理士に相談することをおすすめします。

決算月を変えるには

既存の会社でも決算月を変えることはできます。決算月を変更する手続きの概要をご紹介します。

株主総会で定款の変更を決議する

会社の決算月は、定款に記載されています。決算月を変更するには、株主総会で定款の変更を決議します。

定款の変更には特別決議が必要で、議決権で数えて過半数の株主が出席し、出席した株主のうち議決権で数えて3分の2以上の賛同を得なければなりません。ただし、会社によっては異なる規定をしている場合があります。

税務署へ届け出る

株主総会で決議されれば、税務署に「異動事項に関する届出」をします。添付書類は定められていませんが、定款の写しを添付しておくとよいでしょう。

まとめ

以上ご紹介してきたとおり、決算月は3月など特定の月にとらわれずに自由に決めることができます。これから会社を設立するときは、繁忙期を避け、資金繰りを考慮して決算月を決めるとよいでしょう。また、既存の会社であっても、株主総会の決議によって決算月を変えることができます。ぜひ参考になさってください。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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